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*31*
ライデンside
「暇だよーライデン。喋ろうよー。」
隣を歩くネオンはごね始める。
「あのなぁ……少しは緊張感持てよ……とりあえずここは敵の施設なんだからな?」
「でも道長いよ!食人植物出てくるわけでもないのに長すぎるよ!暇なの!!」
あまりにもうるさいのでとりあえず適当に流しながら歩く。
「アイリってホント歌うまいよねー」
「だな」
「セイシュンって絶対ツバキちゃんのこと大好きだよね?」
「だな」
「魔武器って意思を持つんだねー」
「はい!?」
突然ネオンが口にした言葉で足を止めた。
「あれ、知らなかったの?魔武器って、持ち主と少し影響されるけど意思を持つんだよ。」
ネオンは背からクレイモアを抜き、刃の部分を撫でる。
ネオンがそこまで力を入れていなかったからかもしれないが、ネオンの指には切り傷ひとつなかった。
「例えば私のクレイモアも、私を認めてくれてるから従ってくれてるのよ。ライデンのサーベルも同じなんじゃないかな?」
そうなのか?とサーベルに尋ねてみたくなったが、もちろんサーベルが話すわけでもない。
「……俺弱いし、サーベル不満に思ってねーかな……」
「使えてるうちは大丈夫でしょ!」
ネオンはクレイモアを鞘におさめて歩く。
ご機嫌はとれたようで、俺もその後ろをついていく。
セイシュンside
「……ねぇ」
僕は隣を歩く彼に声をかけた。
「なんだ?」
「君って……イタルータっていうの?」
「は?幼馴染みなのに忘れたのか?」
「……いや、ごめん。ちょっと思い当たることがあって」
彼の目が一瞬影のあるものに変わる。
「なんだそれ?気のせいだろ」
「そうだよね……」
でも僕はわかっている。どんなにはぐらかされても……
彼は、彼であって彼ではない。
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