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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*40*

  ライデンside


俺とネオン達を分断するように結界が張られる。
それと同時に俺は駆け出した。

「おっと、急に突っ込んでくるなんて……」

アイリスは両手で銃をクルクルと回しながら、挑発的な笑みを浮かべる。
テロリストとも、食人植物とも違うアイリスのオーラは、底無しの闇のように見えた。

「……」

サーベルを振りおろす。アイリスはバックステップをとってそれを避けるが、続けざまに俺は下にあった刃を思いっきり上に持ち上げた。

その剣先はアイリスの頬を掠める。しかしアイリスは滲んだ血を拭おうともせずにニヤリと笑った。

「どうしたの?こんなもの?」
「なっ……がはっ!!」

アイリスに腹部を蹴りつけられ、少し距離をとる。

『イタルータ』だったときとは基礎筋力も別物だ。

「ほらほらこっちだよー」

アイリスはいつの間にか遠くに移動している。

「ぐ……くそっ!」

勢いよく地面を蹴って再びサーベルを突きつけるが、それもひらりとかわされてしまう。

「遅い遅い!ほら頑張って!」
「舐めるのも大概にしやがれッッ!!」

アイリスが移動した先を見越してサーベルを何度も振るうが、その全てを嘲笑うようにアイリスは避け続ける。

「あ、当たらない……!」
「あれ?攻撃に夢中になってていいのか?」

アイリスの右手には銃が握られている。

「ッ!」

咄嗟に重心をずらして閃光を避ける。

「熱ッッ……!」

右腕の袖は半分が溶けていて、火傷が広がる。

「あははは、右利きの君にはキッツいハンデだねぇ……」

心底楽しいといった風な顔のアイリスには余裕しかないが、正直俺はかなり体力を消費してしまっていた。

「ほらほらこっからが本番だよ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

アイリスは2丁の銃を乱射する。的確に俺の動きを狭める位置で撃ち込んでいる。なんとか避けるのに精一杯で、とても反撃に移れる気がしない。

「ぅぐっ……!!」
「アハハハハハハッッ!もろ受けたね!!」

光線の1つが右胸にもろに当たってしまった。
鋭い痛みと、一瞬景色が遠くなるような感覚に襲われた。

まずい、本気で死ぬ……

「あははは、最期に教えてあげようか?お父さんがなにしてたかさ……?」
「……!?」

その言葉と共に頭に飛び込んできた映像。
手枷をつけた赤毛の少年が、バラバラの死体を見つめていた。












無数の悲鳴と、それよりも響く笑い声が聞こえる。
ガスマスクをつけた男の中に、確かに父親と思える人物がいた。

これは……イタルータの記憶……

手枷と足枷をつけられたまま俯いた少年が注射を打たれる。
数分もしないうちに少年は地面に膝をついて、激痛に耐えるように頭をおさえている。
それは他の子供も同じで、苦痛の叫び声で気が狂いそうになる。そしてそれを嘲笑う白衣の男……






場面が変わった。

男の一人がまた赤毛の少年に注射を打とうとするところだった。

それを打ち込んだ瞬間……






施設が爆発した。






赤毛の少年は鎖に縛られなくなった枷を付けたまま廃墟と化した施設を歩き回っている。
あるのは無惨にバラバラになった死体だけだった。男達だけではない、子供達もだった。














そして引き寄せられるように映像は終わった。

「い、今のは……」
「……まぁ、解説しておくよ。」

アイリスは不気味な笑みで話し始めた。

「俺は、身体にヒートを宿す研究の実験台だったんだ。毎日注射を打たれて、身体の限界が来ていた頃にあの実験失敗。施設は吹っ飛んだけど、俺の身体にはヒートと同化できるだけの器が残ったんだ。」

アイリスは自分の拳を見つめる。

「俺はヒートと同化して、復讐するって決めたんだ……ライデン、お前にな!」

深い闇を宿した目は、しっかりと俺の目を捉えている。

そして構えられた銃を見て、死を覚悟していたとき……








頭の映像に、ネオンの姿が映った。

何かは知らないけど、

必死に俺になにかを呼び掛けていた……

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