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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*26*

  ライデンside

「……は?お前それってどういう……」
「静かにしろ!」

小声だが威圧感のある声で、ジンは俺に語りかけた。

「相手はとんでもない殺気の持ち主だ。この会話を聞かれるのはヤバイ。後で会って話そ」

なんとかコクリと頷いたが、いきなりかけられた言葉をどう受け止めればいいのかわからない。

……俺が、この軍の誰かに殺される?

「……ライデン殿、あなたはしばらく休みますか?」

気を遣ったシンは、俺の方を心配そうに見ている。

「あ、いや、大丈夫です……」

声を出すのも精一杯だった。

「無理をなさらぬよう。お気付きでないでしょうが、顔色が酷く悪い。今は休むのが賢明です」
「そーだよライデン!具合悪いならすぐ休む!常識でしょ!」

ネオンにまで言われ、

「……じゃあ、すみません、面会は欠席します」
「それがいいです。おい、ジン。」
「はっ!」

ジンは兄に使う返事ではないような威勢のいい声を出した。

「お前はライデン殿につけ。」
「……は、はいっ」

一瞬、シンとジンが目配せをしたような気がした。











俺とジンは、救護室と書かれた城内の部屋にいた。

「……ふぃーっ、兄さん察し良すぎるぜ。」

ジンは大きくため息をついた。

「シンは、俺とジンが二人で話をしたそうだ、ってわかったのか?」
「多分ねー。兄さんは勘が鋭すぎるからな」

それは思う。

「……んで、本題だぞ」

ジンの顔が険しくなる。

「さっきもチラッと言ったけど、どうやらお前を狙っている奴がルナティックソルジャーの中にいるな。」
「……。」

全く信じられなかった。セイシュンはともかく、昔から一緒にやって来た仲間だ。

「……なんでそれがわかるんだ?殺気なんて普通隠れてるものだし……」

ジンは目を伏せた。

「……俺さ、昔から人のオーラってもんを感じちゃうんだよな。それも目に映るように、鮮明にさ。」

悲しそうな顔をしたが、ジンは話を続ける。

「反逆を起こそうとした兵士がいたとして、俺には『あ、こいつだ。』ってわかっちゃうんだよな。次には、考えてることもわかってくる。昔から変なんだよ、俺はさ」

でも、それなら……

「それなら、誰が殺気を持ってるかもわかるんじゃないのか?」
「いーや、それはわかんねーんだよ。普通ならわかるよ?だけど……」



「お前、心壊って話聞いたことあるか?」
「……ああ、暴走したルーンを取り込むとそうなるって……」
「そう、それ。まぁ昔はヒートと呼んでいたらしい。お前を狙っている奴はヒートと完全に同化してる。」

人間の姿でいることが不思議なくらいだ、と重い表情で付け足す。

「そのヒートが邪魔をして、殺気をばらまくんだ。誰が持っているかわからないくらい。だけどお前たちが来た瞬間、その殺気を感じるようになった。つまりはルナティックソルジャーにいるってことだよ。」

ヒートと同化する……それが本当に可能なんだろうか?
疑問を打ち明けると、ジンは簡潔に、

「できるよ」

と答えた。

「とは言っても、並の人間じゃできない。普通ヒートを取り込むってのは、意図的にするものじゃない。負の感情で満たされたときにできるヒートを受けとる器が勝手にすることなんだ。でもヒートと同化するってのは、ある程度身体にルーンを宿して、それをヒートに変換することで起こる現象なんだ。魔武器を扱えない人間じゃ不可能だよ。」

……専門的な用語が出てきてよくわからないが、

「……とりあえず、そいつは自ら心を全壊させたってことか?」
「そういうことだ。誰であったとしても、あんなに綺麗に演技するなんてな……」

ともかく、とジンは強めの口調で言った。

「内部に充分注意しろよ。いつどこで殺られるかわかんない。」

……内部も油断できないのか。








それにしても、いったい誰が……


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