完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*3*

  ライデンside

「西エリアの食人植物生存数を確認したわよ。見事に0。やったわね。ライデン、ネオン。」

白く長い髪を1つに束ねたドレス姿の女性は、こちらを振り返りそう述べた。





時はアルバーン歴524年。
かつてこの世界を浄化し、調和を守ってきた神木、世界樹。
大気中に含まれる無限の力を持った元素、魔素……主にルーンと呼ばれる力は、何かによって暴走し、この神木を人を喰らう邪木へと変貌させてしまった。
以降、邪木世界樹によって食人植物は生み出され続け、犠牲となった人々が後を絶たなくなった。

そしてここ、ジルマーズ王国を初めとするキルゴット帝国、セルフィンザ皇国、そして異大陸は協力し合い、食人植物の対策を練り続けた。

各国自衛隊は勿論、有志、傭兵からも兵を募らせ、食人植物殲滅部隊【ソルジャー】を建設したのだ。
食人植物の殲滅が目的となるソルジャーの致死率は高かったが、これにより人々の被害は抑えられていった。

……そんな中、国家が内密で作り上げた組織がある。

それが、世界警察青少年特殊任務部隊【ルナティックソルジャー】。
ルナティック、なんとも不本意な名前だが、12歳満の少年少女が集められたとされる組織だ。
俺が現在所属しているところでもある。

選抜基準は簡単だった。ルーンを操り、多彩なものを生み出す力の、更に上をいく魔術。
ルーンを大量に宿した特別な武器、【魔武器】を扱えるものだ。

魔武器は通常の武器の形状をしているが、本質は全く違う。
武器に宿るルーンの力を最大限に引き出せば、あらゆる兵器の上をいく最強の武器。
並の人間が扱えばルーンは暴走し、最悪死に至る。
それを扱える人間が少なからず存在しているのだ。

勿論様々な種類がある。例えば俺はサーベル、ネオン……蒼髪の兵士はクレイモア。

そして魔武器は、ルーンの力がほとんど暴走しない青少年にしか扱えないとされている。
この理由から、少年少女が集められたおかしな組織が誕生したのだ。





「二人ともよくやってくれたわね。今日はもうゆっくり休みなさい。」
「やったー!」

この白い髪の女性はムンナといい、ジルマーズ王国若き女王だ。
大人びた容姿だが、実際はまだ17だという。
ムンナが幼きうちに両親が他界したため、あまりにも早すぎるがムンナが即位したのだ。
俺やネオンは16なので、実質1歳しか違わない。

「じゃあ、今日はこれで。」
「うん、それではまた、明日ね」

ネオンは部屋にさっさと戻り、俺は一礼して稽古場へ向かった。







稽古場に幸い人はいなかったため、俺は少し出っ張った石に腰掛けて剣の手入れを始めた。
手入れを怠ればいくら魔武器でもいつか使い物にならなくなる。
……と、俺が勝手に思っている。
間違ってはいないと思う。

「よっ、ライデン!相変わらず真面目だね」

後ろから肩を叩かれ振り返ると、金髪を束ね、ゴーグルをつけた女性が目に映った。

「リーナか。見張りはサボりか?」
「交替したんだよっ。嫌な言い方しないでほしいな!」

リーナはジルマーズの監視塔である。
食人植物が国に近付いていないかなどを常日頃確認している。らしい。
実際俺はこいつが見晴台で寝ているところを目撃しているため、勤務態度がいいのかどうかはわからない。

「で、どうしたんだ?」
「ああ、イタルータが呼んでたんだよ。食人植物について分かったことがあるみたいだね」
「……そうか。」


ぶっちゃけイタルータには会いたくないが。

「あれ?もしかして会いたくないとか思ってる?」
「バレたか」
「分かりやすすぎるんだよ」

俺は立ち上がって、リーナと少し会話したあとその場を後にした。



……イタルータのところに行くためである。行きたくないが。

2 < 3 > 4