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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*5*

巨大生物を片付けた翌日、ムンナ王女はルナティックソルジャーを集めた。

「これで全員かしら?」

最後にネオンが席に着き、ムンナはモニターをスクロールさせた。

「さてと。みんなには明日の特殊任務について説明するわ」

モニターに映し出される画像は2つ。
左に映る1つは、昨日俺がイタルータに教えてもらった、ルーンを意図的に暴走させている疑いのある株式会社。
右に映るもう1つは、学院の校舎のような写真だった。

「みんな左はともかく、右はどこかわかるわよね?」

誰も声を出さない。出さなくてもわかるのだ。
有名なこの校舎。ここは、ルミリア魔導学院という名のルーン専門学校なのだ。

ルーンを操り力を増幅させる魔術。小学校等でもまず学習するが、ここはもっと専門的、学問的分野への就職を目指す中高生の学院だ。
一般からはとても人気の高い学院である。

「で、左の写真はLBSという名で活動している株式会社よ。表向きは機械などを扱っているんだけど、裏ではルーンを暴走させている悪質な組織よ。」

サーチ能力を使ったのよ!と隣でリーナがニッコリ微笑んだ。

「さて、なぜ魔導学院と悪質組織を並べたかというと、明日この学院は組織に社会見学に行くのよ」

……その時、ルナティックソルジャー全員が思った。
なんてことをしてくれるんだ、と。

「もちろん、私達はLBSが学院を誘導したと考えてるの。機械会社と魔導学院なんて、なんの接点もないもの。……で、ルーンを暴走させている組織が学院を来るように仕向けた、ということはどういうことかわかるわよね?」

メンバーの目が変わる。

「恐らく食人植物を生徒に仕向けて、将来邪魔になるであろう魔術師を始末しようと考えてると思うの。そこで貴方達は組織内に忍びこんで、生徒の護衛、食人植物の殲滅をお願いしたいの。いいわね?」

メンバーは無言でうなずいた。

その後、流石にルナティックソルジャー全員で建物に忍びこむのはリスクが高いと判断し、特攻隊、コンピュータでのシステムハッキング担当の2つのグループに分かれることになった。

俺は特攻隊だ。

「また一緒だねー、ライデン!」

どうやらネオンも同じ部隊らしい。
他のメンバーは、イタルータとツバキだった。
4人で挑むことに抵抗も感じるが、潜入にはこれが最適だろう。

「では、今日は解散。明日に備えてゆっくり休んでね」

ムンナの声で、メンバーはバラバラと部屋から出ていった。

「ねーねーライデン、後で私と稽古しようよ。明日に備えて、ね。」
「……構わねえよ。」
「わーい!」

ネオンに連れられ、俺は稽古場へ向かった。
明日は特殊任務。俺は無駄に興奮していた。













  ???side


「……くだらないね」

>社会見学<と表紙に書かれたしおりを眺める。
イベントの日付は見事に明日。
株式会社なんかに行って何になるというんだろうか。
二人の男女が俺に近付いてくる。

「ん、行きたくなさそうな顔してるね」
「……めんどくさいのか?」
「その通りだよ。わざわざ列に並んで歩くものほどめんどくさいものはないし。」

第一動くのが嫌いだ、と言うのは根本的なところなので控えておく。

「まぁ、きっとそれなりに成果はあるよ。社会見学に行くくらいなんだからね」
「……そうなんだけどさー。」

ぶっきらぼうに返し、鞄を手に取る。


背負った魔力を宿した剣は、淡く白い光を放っていた。












  ???side

蒼く光を放つ矛を構え、とある建物に足を踏み入れた。
玄関口だけやたらガードが厳しかったが、ワイヤーを使えば一気に別の建物から侵入できる。
今までのところよりガードが薄い。これは簡単だ。

長い廊下を歩き階段を登り、繰り返していくうちに、やたら大型の機械で溢れかえっている階に辿り着いた。

「おいおいにーちゃん、どうやってここまで入ってきたんだぁ?」

スーツ姿、中年の男共が近寄ってくる。

「玄関で受付してたはずだが……お前みたいなやつは聞いてねぇぞ」
「お前不法侵入者だな!?」
「なんだってんだこのガキ……」
「まぁまぁ落ち着けよ」

男達の後ろから、他の奴等よりも若そうな男が僕の前に立つ。

「君ねぇ、来るなら最初から手続きを通してもらわないと。わかったならさっさと帰りな、なんもいいことないからさ」

男は僕の首元のマフラーを掴んで威圧する。
……しているつもりなんだろう。

「……どうしたんだい?ほら、早く……」
「これに触らないでもらえるかな」

男の手を弾き、背負った矛を構える。

「いないんなら君達にもう興味はない。皆殺しだ」

「なっ……!」

男は動揺を隠さない。

「……スピア・フローズン」

冷気を纏った矛を振り降ろした。










「ひっ……!」

僕を威圧した若い男はその場に座りこんだ。

「後は君だけだよ、みんな先に逝っちゃったからね」

氷を宿した矛はピキピキと音をたてる。
冷気は手に伝わる。持ち主でない者が使えば凍傷になるレベルだ。

「ま……待て!俺は組織の幹部だぞ!俺を殺せば、上の奴等が黙っちゃいないぞ!」
「知ったことじゃないね」

矛を男の前に突き付ける。

「ま…………まさか……いや、その目、間違いない……お前は……」
「さよなら、地獄で会おうね」

僕の視界には赤が映った。

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