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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*53*

  ヤジータside


゙レイド゙と書かれた1つの墓の前に立っていた。


あの決戦の後、俺達はジルマーズへと戻り任務の成功を伝えた。
ムンナとリーナは珍しく手を取り合って喜んでいた……ように見えた。
そのときにはイタルータも目覚めていて、セルフィンザからもユーティア達が来ていた。
久しぶりにあんなばか騒ぎをしたように思える。学院生徒も集まって、食人植物の驚異が去ったことを祝った。

あれから数日、やっとレイドの墓が作られたと聞き、真っ先にやって来た……つもりだったのだが。

既に墓の前には菊の花が添えられていた。

「なんだ……最初だと思ったのに」

密かに不満に思いつつその場を後にしよう後ろを振り向くと、

「あれ、お前が一番か?」

俺や前の人物と同じように菊の花を手に持ったミクロが立っていた。

「……いや、俺じゃないよ。もっと前に来ていた人物がいたらしい」
「ああ、それは私だ」

横からはミカンの声が聞こえた。
どうやら彼女が一番乗りだったらしい。

「それにしても見事に全員菊の花を持ってくるとは」
「俺だってここまで被るとは思ってなかったよ」

俺とミカン、ミクロが何気ない会話をしているところに、また菊の花が増えた。

「ん?お前達来ていたのか」
「あ、えーっと……もしかしてお花充分でしたか?」

アイリとフィギール、なんとそれぞれ1つずつ花束を持っている。

「あのなぁ……普通二人で1つとかにしないか?」
「えっ!?そうなんですか!?」

心底驚いた様子のアイリを見て、つい最近助けられたことが嘘のように感じられる。

「とりあえず……全員の分置いておこうか」
「それもそうだな」

俺達は5人分の菊の花束を墓の前に置いた。

「俺達が今ここにいるのは……こいつのお陰だからな」
「はい……わかってますよ」

手を合わせ、その場を後にした。



 
  レイドside


「うわっ、あいつらこんなに置いていきやがって。」

目の前の大量の花束、しかも全て同じ。

「……ま、俺菊嫌いじゃないからいいんだけどさっ。」

ひとつひとつの花束を眺めながら、ふとこんなことを考えた。



「……どんなに短くても、人と価値観が違っても、自分だけの人生を生きたと思えることが、一番大事だったり……なんて、似合わねー台詞だったかな?」






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