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*55*
ライデンside
海辺の岸。
あいつはここで海を眺めるのが好きだった。
よく城を抜け出して、夜には二人で星を見た日もあった。
「本当にここでいいの?」
「はい」
ムンナに問われ、俺はこの場所にすることを決めた。
「あの子は……本当に幻の存在だったのね……あなたの頬の紋章が物語っているわ」
「あはは……これを見るたびに辛くなりますよ」
俺の頬に今も残る青い紋章をそっとなぞる。
髪は元の黒に戻ったし、わけのわからない魔力が湧き出ることもない。(もちろん勝手に出てこないだけだが)
だけど、なぜかこの紋章だけが残っていた。
「……あいつのこと……どうか、忘れないでください」
「もちろんよ、ライデン。永遠に。」
ムンナの笑みに微笑を返し、俺達はその場を後にしようと海に背を向けた。
しばらく進み、俺は少し足を止めた。ムンナは早足で歩いているが、どうしても立ち止まりたくなった。
そっと後ろを振り返る。
岸の、あいつがいつも立っていた場所。
そこには、あいつが使っていた両手剣が刺さっていた。
何故かあの武器は魔武器ではなくなっていた。二刀流として使おうと思っていたが残念だ。
だけど……あいつの武器なら、ここにあるのが一番だ。
いつも笑っていて、うるさくて人と価値観がずれていて、頭が悪くてマイペースで。
だけど真っ直ぐで、みんなをいつも励ましていた。
俺が産み出した幻の存在。
あいつの名前は
ネオン。そして
幻影兵士
Ghost-Soldier。
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