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*38*
「うん、そうだよ。もみじなんて好きじゃないもん。」
「じゃあ…。なんで?」
「?なんでって?」
さらは、少し悔しそうな表情になった。
「なんで、香くんのこと、振ったの。」
「…そ、それは…。っていうか、なんでそれを…。」
「忘れたの?前にぼんやりしながら言ってたじゃん。」
「え、嘘?!そんなの知らないよ!」
「やっぱ、無自覚だったんだね。」
さらは可笑しそうに笑った。
「秋ちゃん、面白すぎだよ。」
「……」
「もみじくんのことが好きじゃないのはわかったよ。でも…。幼馴染として、最後の挨拶ぐらい、ちゃんとしようよ。もう会えるかわかんないんだから。」
さっきのさらとは全く表情が違って、優しい顔をしてる。立花の話をした時の顔とは、全然違う。さらって、もしかして。
でも、それには気付かないふりをすることにした。今は、その話をしている場合じゃない。
「さら、ついてきてくれる?」
「もちろん。」
にっこり頷くさらは、何とも言えないしたたかさをまとっていた。
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