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*60*
「綺麗…。」
「ありがと。あのさ…。この桜、見覚えないか?」
「……」
「やっぱ、覚えてないよな。」
そう呟くと、立花は少し悲しげな顔をして、立ち上がった。
「ごめん…。もう、いいや。」
「……えっ。」
「鍵、置いとくから。」
は…?自分から呼び出しといて何それ?
なんて思いながら絵を眺めていると、突然頭の中で記憶がよみがえった。
「!私、この景色…」
見たことある!
鍵なんて忘れ、ただひたすら走った。
あの桜、あの時の…!
前方に立花が見え、私は抱きつくような勢いで立花に叫んだ。
「待って!」
「…!」
気のせいか、こちらを向いた立花の耳が赤くなっていた。
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