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*61*
「どっどうしたっ?」
少し動揺し、カミカミで聞いてくる立花。
…ちょっとかわいい。
「いや、あの…。」
「もしかして、思い出したのか?あの日のこと。」
「そうかも…。」
…あの日。私の家ともみじの家合同でお花見に行ったことがあった。
「やだ〜お父さんたら。昼間からお酒なんて。」
「飲むために持ってきたんだろう、なあ?」
「そう、そう。ほら、母さんも飲めばいいじゃないか〜。」
「もう!だれが運転するのよっ!」
お父さんたちの息ぴったりの言い訳と、怒り出すお母さんたち。
とても和やかな時間が流れている中、やはり私たちも楽しく遊んでいた。
しかし、子供とは怖いものだ。
「キャー!」
「何?どうした?」
「秋がっ!」
「わーっ!」
「だから、どうしたの?!」
「「秋が、滑って川に落ちた!」」
もちろんもみじは泳げない。
お父さんはデロデロに酔っているし、お母さんが助けに行っても服が邪魔で泳げないだろう。
「流れが穏やかなのが不幸中の幸いだけど…。」
「警察呼ぶか?!」
動揺してめちゃくちゃな家族たち。
その横を、一人の少年が駆けていった。
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