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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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 『了する』

 はいはい、了解かい……全く──姉さんはせっかちで心配性だなぁ……そう思いながら、弟の僕は支度する、スーツにネクタイをして、僕は外に出る、夕焼けが綺麗な空、僕は少し溜息を吐いて、頭を触る──一人暮らしの僕に姉の姉さんは電話をかけてきた。
 単純にいたずら電話かと思ったが、違う様だ、何と、姉が末期の癌なのだった──流石に嘘かと思ったが、証拠写真を送られてきてからはそれが真実だと肌で感じた、そして、僕は、姉の最期を見に行く為に家を出たのだ。
「大丈夫ですか、先輩……?」
「いや、大丈夫でしょ、あの姉だからね──」
「ねぇーねぇーおにいたんは何処へ行くのー?」
「のんちゃん……今から、僕の姉に会いに行くんだよ、少しは仕事を休ませて貰う、だからこのお姉さんの言う事を聞きなさい」
「いえいえ……お姉さんだなんて……」
「ていうか、君達の方が、僕より年上なだけだけどね……と言う事で行くよ……」
「ようやく……行くんですね……」
「ねぇねぇ、何時帰ってくるのー?」
「……のんちゃん、それは分からない……」
 今から、早く行かないと、飛行機に間に合わないや、そう思いながら、早く外に出た──このお姉さんと娘ののんちゃん、僕の仕事場の後輩でありながら、子持ちの母である、三十路を越えたお姉さんだけど……のんちゃんは今年で小学一年生の女の子だ、僕の事をおにいたんと呼ぶ、少し驚く言い方だが、今はもう慣れてしまった。
 単純に免疫が付いただけだが……そう思いながら、僕は何とか、飛行機に間に合って、飛行機で自分の出身県に向かった──

 単純にお尻が痛い、何でこんなに遠い県なのだろう……そう思いながら、小さな病院へ向かった。
 他県の病院は知らないが、階段の踊り場にベンチがあるのは、この病院だけではないだろうか?多分、そうだと思う。
 うーん、やっぱり、自分の県の空気が一番だな、そう思いながら、僕は姉の病室へ向かった──
「ただいま」
「まぁ、遅い帰りだこと……何処の幼馴染みと夜を過ごしたんだい?」
「いっいや!幼馴染みと会ってないよ!」
「余計に怪しいぞ?我が弟」
 とりあえず、会っていた事はバレた、でも、夜は……過ごしたけど……でも、幼馴染みとの一線を越えただけで!大人な関係になっただけで!そう、弁解しようと思ったが、逆に墓穴を掘りそうなので、止めた、そして姉は言う。
「……うーん……まぁ、私の寿命は持って後数日だ、だから、少しは楽しむぞ、弟ォォ!」
「おい病人」
「んー?いいんじゃなーい?どうせ、死ぬ迄何やってもいいって診断書貰ったし、外出もOKって貰ったし……とことん、遊ばせてはくれないか?」
「……完全に用意周到……」
 うーん……この姉に勝てる用意周到さな人っているのだろうか?いや、いなさそうだ……そう思いながら、車椅子に姉を乗せて、外に出た……僕の家は山の方にあり、結構人が居る山なのだ、まぁ、外に出ても、何もしない人が多いのだが……
 頑張っているのは、僕位かもしれない──すると、昨日一緒に寝た──大人の関係になった幼馴染みと出会ってしまった……
「た……体調はどうです?」
 凄く考えて、幼馴染みは言った、すると、不適切な発言をする姉。
「寝込んで数日したら、死ぬよ?もって数日の命」
「ちょっ!?姉さん!?いきなりそれは……」
 ハッとした、幼馴染みは下を向いたまま涙目になる──大丈夫だから!何時もの姉さんの嘘だから!そう言って、幼馴染みを落ち着かせる、そして、幼馴染みと別れる、そして、僕は姉さんに言った。
「単純な嘘なら、ともかく、リアルな話をしないでよ!」
「良かったじゃないか、少し邪魔な姉が消えるんだから、あの子とイチャイチャラブラブしなよ、私の部屋で」
「デリカシーが無い姉だな」
「何とでも言え」
「えぇ……」
 エンドレスに話が続きそうだったので、僕は、話を強制的に切った、そして、姉が行きたかった、デザート屋さんに向かった、そして、パフェを食べた。
 『大量!クリーム大量カスタードマックス!てんこ盛りパフェ(税込1980円)』を頼んだ、僕は『珈琲ゼリー』を頼んだ。
「大体、姉さんの頼んだのはでかい、僕は食べれないよ?」
「良かった、私が全て食べるからな」
「何と言う大食漢……」
「んー?大体の乙女は食べれるでしょ?いけるって」
「ていうか、乙女怖い」
「いや、怖くないだろ……落ち着け……」
 ケーキに貪る姉は一気に食べまくる、そして、一時間で食べ終わる……何それ怖い……
 今から、自宅で寝よう、そう思いながら、姉に説明、姉は仕方無く、了承する、そして、僕達は自宅に向かった。

 大量に食べたのに、まだ食べるか……そう思いながら、姉の晩御飯の食べる量に驚く僕……そして、僕は自室へ向かって寝た……姉さんは自宅で死にたいらしい……それを止める権利は姉にしかない……
 今更、姉が好きだなんて思っちゃ居ないけど、逆に姉が嫌いな訳でもない、より良い関係を結んでいる様な関係みたいな感じだった、だから、死んで欲しくは無かったと思う、でも、病気だから仕方無い、そう思いながら、僕は寝た──そして、目覚める、すると、姉は隣にいて──冷たくなっていた……急いで、姉の遺体を救急車に運んだが、もう、遅かった……姉は死んだ。
 大丈夫では無い顔になってしまった僕は叫んでしまった、家で……そして、僕は黒服に身を纏った、僕はいやいや、姉の葬儀に出る事になった……

 太陽が照っている、僕は少し体力が減ってきていた……今から始まるのは、姉が消えた初めての夏……僕はどういう出会いの季節になるか、まだ分からなかった……

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