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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*20*

 『帝都』

 帝都日本……いや、今はもう、皇都日本になりかけてるか……俺はそう思いながら、短刀と、長刀を手に、外に出る……俺はまぁ、警邏と思ってくればいい……俺は警邏の癖に、刀を何時も持っている、他の警邏は拳銃を持っていたりするが俺は日本男児を貫いてるから、刀を持っている……だが、最近は犯罪者も刀ではなく、拳銃が主流になっていた……そして俺は勤務地である皇居に行く。
 苦しい程の坂の奥に皇居はあり、そして皇居の近くの勤務地へ向かう……もう、何年も行っている為坂には慣れてしまった、そして、自分の修行として、そこの坂を走って向かったりもしていた、まぁ、この坂だけで相当な運動量になるだろう……そう思いながら、俺は、走って向かった……

「太陽は綺麗ですねぇ……そう思いません、警邏の方?」
 タンッと、皇居の中に入ると、初老のお爺さんに声をかけられる、この人こそ、今の天皇様だ、俺は、『そうですね』と返す。
「素晴らしいですよねぇ……こんな綺麗な太陽を私みたいな一小市民が見るなんて……」
「天皇様、貴方様は一小市民ではありませんよ……この国に誇る、大切な方です、貴方様が生きてるだけで、我々は嬉しいのです、だから、一小市民だなんて、言わないで下さい……」
 今、風が俺の頬を撫でる……綺麗な桜が、俺の頬を逆撫でる……桜も綺麗だな……そう思いながら、天皇様は言った。
「ただ……この皇居の中の桜も綺麗ですね……矢張り染井吉野もいいですね……其の他の桜も良いですけどね……」
 ねぇ、と天皇様が言った……その話に俺は目を見開いた……まさかそんな離しをするなんて、俺には、予想もしていなかったからだ……その話を俺は考えた……
「ただ……私が言うのは、少し秘密にして下さいね……今の帝都を皇都に変えようと思います……大まかに言ってしまえば、私は引退して、息子に天皇を託して、皇都にしようと思うのですが……警邏の方はどうしますか?自分が天皇だったら、警邏の方はどうしますか?」
 完全に二回も言われて、答えなければならない……!俺は考えに考えて言おうとした。
「た……託します……」
「素晴らしい解答なんてこの世に無いと思うんですよ、だから答えても、それが間違いだったらダメですからね……では、私はこれで……」
 でっ……出る時間を少々早くしておけばとよかった……!そう思いながら、天皇様は皇居の中に入った……俺は、天皇様を見送る為に、右手で、敬礼をした……そして、天皇様が見えなくなると、敬礼を止め、勤務に戻った……

「ただ単に最近の天皇様は不思議なんですよね……何か、物腰が柔らかくなったというか、優しくなったと言うか……何か、不思議なんですよね……先輩もどうだと思います?矢張り、私と同じ様な事を考えたりしていますか?」
 完全に、厭な後輩と会ってしまった……コイツは、女の癖に話をよく聞いてくる……思ってもいない事を言われそうでも怖いのだが……何で、コイツと出会ってしまうのかな?俺は溜息を吐きながら、後輩と話を続ける事にした、面倒臭いが、これも先輩の役目だからだ……
「だから何だ?俺は、そうとは感じないが……お前が勘繰り易いからな……少しは考えるのを止めてみたらどうだ?少しは楽になるぞ?」
 存外な言い方をして、少し不満そうに後輩は顔を膨らませる……そう言う所は可愛いのだが、態度がでかいからな……あんまり、可愛くない。
 厭な言い方をされて、少し厭な顔をする後輩、すると、いきなり警報が鳴った、何と……こんな平和な時期に何なんだ……?そう思いながら、外に出ると、天皇様がヘッドロックされながら、短刀を突きつけられている、これは危険だ、俺は長刀を鞘から、抜き、犯人に突きつける様に、真っ直ぐ持つ。
「強いか?後輩?」
 今、後輩は計算をしている……こういう時の後輩は使えると思う……そう思いながら、後輩は計算を終えた。
「単純に言えば……弱いです」
 凄い事を言って、犯人は怒る、そして言う。
「うぉい!?俺は強いぞ!?早く、この天皇を殺させろ!この天皇の時代は終わっていいんだ!早く新たな天皇に!」
 憎い、と言いたそうな顔で言っている犯人、俺は犯人の刀を下げる様、言うが、話を聞いてはくれなかった……仕方無いので、俺は、近付いて、倒す事にした……
「ただ今から、お前を切る事にする……いいな……?」
 何気に、ジリジリ……と、間合いを詰めていく……気付かれない様に気付かれない様に近付いていく……そして、天皇様が言った……
「た……ただの名の知らぬ小市民よ……殺すなら、早く殺しなさい……!私の子に、帝都を……いや、皇都に受け継がせるのです……!貴方は歴史の一場面を見る事になるのです……!!」
 素晴らしい事を天皇様は言うが、犯人はうろたえる……そして、その間に俺は長刀を投げ、犯人の目に入る、そして、犯人は悶絶していた……その間に、手錠を犯人にかける後輩、こうして現天皇様を生かしたのだった……
 ただ、何時天皇様が死ぬのかは分からない……だから、俺達警邏が守らなければならない……さぁ、守ろう……そう思いながら、俺はまた一歩、踏み出したのだった……

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