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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*40*

 『乱離』

 ──今の戦況は──? ──ダメダメ── ──そうか……こっちも人が死にに死んでるぜ── ──私も……もう、60000人も死んだかも……── ──こっちはまだ20000……まぁ、こっちは一番隊だし、人が少なくて、強い奴がばっかりいる隊だからな……最初は23000人なのに──こっちももうすぐ死にそうだ……── ──死なないでよ、まだ、私との決着が済んでいないじゃない……!お互い引き分けのまま死にたくは無いわ── ──今、何戦だっけ?── ──今は9999勝9999敗よ、どっちが10000勝するか戦っていたじゃない……── ──ゴメンなぁ、もう戦えないかもしれないんわぁ……── ──何でよ?── ──だってもう、足が──左足が無いからなぁ……── ──だったら、義足でもしたらどうなのよ!?── ──そこ迄して、戦いたくは無い、もう、引退するよ……── ──何でよ!私と戦いなさいよ!── ──もういいんだ……お前の勝── ──ねぇっ!?ねぇってば!?──
 ババッと、砂嵐が女の耳に入る、無線機で会話はもう出来ない様だ……
「大丈夫よ……アイツは生きているわ……きっと──」
 とりあえず、深呼吸──スーハースーハー、大丈夫、アイツは生きてる……早く城に戻らないと……

「トゥリム・アレルノミア……君は一番隊隊長として、よく頑張ってくれました……今迄有難う御座います……」
 スッと、シスターがトゥリムと呼ばれた青年の目を手で閉じさせる──女が帰ってきた頃には、トゥリムは死んでいた、そして、少女は泣いた。
「体力切れで死んだのか……!?なぁ!トゥリム!」
「無駄です、もう屍になっているので……」
「でも!?」
「もう、無駄なんです……貴女の夫でも、結局は人間なんですから……死なない訳にはいきません……それは分かりますか?」
「……必ず死ぬのは分かってたけど……!ここ迄戦わせる王様が悪いんだ!そうだろ!?」
「ロージェさん……それでも……」
 もう無理だ、そうシスターは思いながら、言う。
「うーん、そうなんですけれども……この戦いに勝ったら、戦争は終わるんです!もう少しの辛抱──」
「うるせぇな!我慢出来ねぇもんは出来ねぇんだ!」
 ダンダンと、足で音を鳴らしながら、王室へ向かうロージェと呼ばれた女は鼻息を荒くしていた。

「大将!王様の大将はいねぇのかぁ!?」
「ぁあー?何ー?こっちは忙しい──むぎゃあ」
「あんまりにも、戦争が進んでいない、だから、もう止めにしないか?」
「必ず勝てるんだ、もう少しで終わるからさ、ハッハッハ!」
「ハッハッハ──じゃねぇ!こっちは夫が死んでんだ!」
「誰だっけ?」
「ケッ!トゥリム・アレルノミアだ!一番隊隊長の!」
「ノー!お前とトゥリムが結婚していたって!?」
「ていうか、前に話していたよな!?忘れたのか!?」
「完全に知らなかった!」
「単純にトゥリムが話していなかっただけか!」
 完全に伝え忘れていたのか……と、ロージェは頭を抱えながら、思った。
「単純に伝え忘れたのかもね……じゃなくて、もうすぐ終わるから、もう少し我慢して?」
「手前の話は何回も聞いたわボケ!……アンタ、気を付けろよ?私みたいな人間はもっといるだろう、アンタの国の人間はもっと離れるかもしれないぜ?という事で私は離れるよ」
「良かった良かった、今日もナイスツッコミ──ってえぇ!?離れるの!?何で!?君を頼りにしているのに!」
「にゃぁぁぁぁぁぁ!!!何だそのホストみたいな言い文句は!?それでも私は離れるよ!バイバイだな!」
「……」
 何か言い過ぎたかな……?でも、私はもう、この国を捨てるんだ……そう思いながら、ロージェはこの国を離れた……

「大変ですね、貴女も……」
「もう、茶化すなよシスター?俺は戦争に勝って、良い国にしたいだけなんだ、そんだけだよ……」
「よくもまぁ、俺の真似をするなぁ、姉貴は……」
「ハッハッハ!戦いはいいぞ、弟の癖に王よ!」
「……余計って言葉知ってる姉貴……?俺がこの国を出ている間にロージェもトゥリムも居なくなって!戦争をおっ始める王様の姉+男装!+王様の真似!」
「ねぇ、ジュース無い?」
「いやいやいや!俺の話聞いてる!?」
「ループループー」
「プールは無いからね、そして、ループは無限にさせるぞ?」
「存外コイツはキッチリしてるな」
「中々貴方が動かないからな」
「なっ何ですって!?」
「ていうか、いきなり大声を出すなよシスターさん……どうしたの?」
「のっ農民や国民が!国を離れて行きます!」
「凄いヤバいよ!姉貴の所為だ、戦争なんかするからぁ!」
「あーもううっさい!この国潰れろー!」
「篭絡するぞ、クソ姉貴!」

 いきなりの戦争で青年の国は男装をした姉の所為で国民が減っていった、乱離する国──青年は、立て直して、戦争を止める事は出来るのだろうか……?それは青年の国にしか分からない……

「……いきなりの劣勢だ……何とかして、立て直してやる……!この国は俺の国なんだからな……!」

 NEXT 『了する』

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