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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*19*

 『伝』

 俺は困っていた……何故かって?そんなのは簡単だ、今、俺には、『金が無い』からだ……そして、明日は借りてるアパートの家賃を払いに行く日なのだ……俺はどうしようもなく、泣くしかなかった。
 ただ、それを知り合いの、吉田君に話すと、『おう、だったら、私が払ってやんよ』と言い、翌日、10万円を持って、払ってくれたのだ、因みに俺のアパートの家賃は6万円だ。
 だが、家賃を払ってくれたのだ、何かしておかないと、と思い、『お礼させてくれ』と言うと、『いやいや……お金持って無いなら、そんな事しなくても良いよ』と言って、逆に奢ってくれた、その日は焼き肉パーティーだった。
 ただ、お金持ちはスケールが違うなと思った……

 ただ今、金無い、今日の晩御飯が無い……何時もはサークルの友達や女友達、はたまたクラスの女の子の昼のおやつを少しばかり分けて貰っていたが、それももう尽きた……さて、俺はどうしたら……?そう思ってると、吉田君が来た、『お前、生きてるー?』等と、軽がるな発言をして家の中に入ってくる、そして、鍋を持ってきてくれた、今日はカニ鍋だそうだ……さて、料理上手である吉田君はいとも簡単に、豆腐を切っていく、そして、段々と完成していく……台所から、良い匂いがする……これは期待マックスだ!!

 大丈夫と、私は言いながら、金無しのアイツの卓袱台に新聞を敷いた簡易敷き布を置いて、鍋を置いた、いし、これで良いだろう、お酒も用意したし……そして、謝らせよう、春に出会った時は、分厚いコートを着ていて、私を『男』と勘違いしやがって……今度こそ、酒を飲ませて、『男と勘違いしてすみませんでした、これからは吉田ちゃんと言います』と、ビデオレコーダーで、録音してやる……そんな悪い企みにアイツは気付いていない……しめしめだ……そう思いながら、ビールを渡す、何で『吉田ちゃん』と呼ばせるか……それは、『吉田ちゃん』と言われた事が無いからだ、だって、『ヨッシー』しか、渾名無いじゃん!?そうでしょ!?全国の吉田さん!?そう自問自答しながら、予備のビールを渡す。

 凄く美味そうなカニ鍋だな……食べるとは、思わなかった……そして、吉田君からビールと、予備のビールを貰った、まぁ、お酒は強くない方とは思うが……そして、ビールを飲む、美味いなぁ……そう思いながらカニの足を取って、中身を穿(ほじく)る、う〜ん……カニは美味いなぁ……カニを舌鼓しながら野菜にも手を伸ばす、そしてビールを飲む……何なんだよ、この幸せコンボは!?そう思いながら、一本目を飲みきり、二本目突入、う〜ん……冷えてて美味い……

 いや〜、そんなに美味いのか……少しはアンタの為に手を上げたからな……空腹には、とても美味しい物を食わせたいからな……やっぱり、私はコイツの事が好きなんだな……そう思いながら、恋心は秘めておく、そして、私も食べる事を忘れていた……確かにこれは美味しい……本当に料理教室通っていて良かった……私は少し安堵する……そう思いながら、二人の箸は進んでいく……そして、アイツは二本目のビールを飲み切って、三本目に突入した……早く酔わないかなぁ……?というか、もう酔っているのでは……?薄ら、そう思ってしまう、そしてビデオレコーダーを起動する……これで、言い逃れは出来なくなる……さぁ、言え!!

 えーと……少し酔ってきたな……あぁ、熱いな……猫舌を忘れてた……そう思いながら、服を一枚脱いだ、下はTシャツ一枚だった、まぁ、タンクトップ代わりのTシャツだった……さぁ、まだ食うぜ!!そう思いながらビールを一杯、がぶ飲みをする、一気に半分消えた……まぁ、美味しいから良いんだけど……そう思いながら、鍋の中を弄り、肉団子を食べていく……あぁ、肉団子は美味いなぁ……そう舌鼓しながら、食べていく……
 食って食って、俺は少し酔ってきた……あぁーもうどうでもいいやー……

 やっと、酔ってきたか……そして私はビデオレコーダーを近付けて、『吉田ちゃん』と呼ばせるべく、謝らせた……『俺は……吉田君の事を……吉田ちゃんと言います……』と、取って、これで、証拠が出来た……そして、少し喜んでいると、とんでもない事を言った……『俺は……吉田ちゃんの事が……好きだぁ……スピー……』……?えっ?今何て……?私は、少し起こして、聞いた、『どういう事だ!?』と、すると、アイツは言った……『んぁ……?普通に吉田ちゃんが好きだ……友達として……すぴー……』……えっ?……『友達として』……!?ふざけんな!そう思いながら、アイツの肩を持って振る……よくある漫画の起こし方みたいに……だが、アイツはぐっすりと寝ている……おいおいおいおい……はぁー、と私は溜息を吐きながら、言った……
「たく……欲求不満じゃないか……」
 完全に苛つきながら、私はビールを飲んだ……

 だけど……アイツを振り向かせる事は出来るかもしれない……そう思いながらスカートを穿いて、アイツの家に行って、パンチラ等をしたが、『パンツ見えてるぞ』等とほぼ興味ない言い方をしたり……あぁ、イライラするな……そう思いながら、私はアイツにアタックしていく……アイツは私の恋心は知らなくていい……

 いやー、吉田君が……いや、吉田ちゃんか……アイツがいると、晩御飯や家賃を払ってくれるから嬉しいぜ……まぁ、アイツが俺の事が好きなのは分かるけど……もう少し、金を俺に貢いでくれる生活も悪くは無いな……そう思いながら、吉田ちゃんを家に呼ぶ、今日は何の晩御飯だろうな……?

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