完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*2*
残念なことだが、いくら相性がよくても、彼と彼女が付き合うには無理がある。彼はそのことをまだ十分に理解していない。その事実をしっかり分からせてあげないとだめだ。
僕と彼女は誰一人として介入出来ない程の強い絆で結ばれている。
彼女は彼と付き合ったって、幸せなんか訪れるはずがない。彼女と付き合えるのは、この僕だけなのだ。
そう思うと、なんだかばかばかしくなってきた。そうだ。絶対に彼女は僕のもとへと戻ってきてくれる。必ず。
すると、ずっと俯いていた彼女がふっと顔を上げた。彼女が口にしたそれは、金づちか何かで頭を殴られた時、以上の衝撃が走るものだった。
死んだ魚のような眼で僕を見つめると、か細い声でこう言い放ったのだ。
「ごめんね。でも、わかって、くれるでしょ?」
もう僕の知っている彼女ではないことが一瞬でわかってしまった。
目の前がぐにゃりと歪んだ。僕の中で、一つの世界が死んだ瞬間だった。
PR