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ヤシノキ町物語 第一話
作者: アルセ  (総ページ数: 109ページ)
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       ×      ×      ×

  キャビン内。
  ガハハハと高笑いするタイチとダイチの声を聞いているモモ・リカ。

モモ「・・・」

リカ「・・・嫌いなの・・・」

モモ「え?」

リカ「金持ちとかセレブとか言われるの・・・」

モモ「・・・」

  唇を噛み締め・・・黙っているリカ。




 モモには、その姿がとても辛そうにも寂しそうにも見えて、何も言えなかった・・・・・・。



リカ「・・・」

少女Xの声「あんなの違うよ・・・私、一度だってあの子のこと親友だなんて思ったことない・・・ない・・・」




 リカは、『お金持ち』,『セレブ』,『御嬢様』と、言われるたび少女Xの言葉を思い出し、遣る瀬ない気持ちになってしまう。自分という存在がソレだけの価値でしか評価されてないと感じるからだ・・・・。



モモ「・・・」

リカ「・・・」



 二人の間に、しばしの沈黙が流れる。すると・・・



リカ「(不意に)あのキッチンまで行けると思う?」

モモ「こんな時に何?」

リカ「いいから。思うか、思わないか、答えて」

モモ「・・・思うけど・・・」

リカ「あの(英単語で)流し台の下に果物ナイフが入っているの」

モモ「え?!」

リカ「それがどういうことだかわかる?」

モモ「上手く行けば、このロープが切れて自由になれる!」

リカ「(ニッ)やってみる価値あると思わない?」

モモ「思う!」

リカ「じゃあ、行くよ」

モモ・リカ「せーの」
  と、キッチンへ向かって動き出す。







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