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作者: アルセ (総ページ数: 109ページ)
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*47*
???.ヨットハーバー(全景)
鮨詰め状態のテラス・・・ギャラリーの数がどんどん増えていく。
× × ×
遠くの方に浮かんでいるヨットを心配そうに見つめるジュンコ達。
何気なく腕時計を見るハルヒト・・・時刻は15:00になろうとしている。
ハルヒト「そういえば、ジュンコ先生。病院へ戻らなくて良いんですか?」
ジュンコ「午後は休診にしたんです」
ハルヒト「え、それはまたどうしてですか?」
ジュンコ「え?・・・あぁー!!(思い出し)そうだ!モモの事すっかり忘れてたぁー・・・」
タエコ「モモ?」
ジュンコ「姪です。私の姉の子供で、今度ウチで預かることになったんですが、外に出た切り戻らなくて
・・・」
リキ「(突然)あー・・・!」
と、大声を出す。
驚くジュンコ達。
タエコ「どうしたの、リキ君?」
リキ「い、今思い出したんですけどあのヨットに捕まっているのリカだけじゃなかったんです!もう一人
女の子がいたんです!」
ジュンコ・ハルヒト・タエコ「エェー・・・!?」
ハルヒト「それ、本当かい?!」
頷くリキ。
ジュンコ「ど、どんな子だったか覚えてる・・・?」
リキ「年はオレと同じ中1・・・この辺じゃ見かけない顔だったから・・・もしかしたら、その子が・・・」
ジュンコ「モモだって言うの?」
頷くリキ。
ハルヒト「ジュンコ先生・・・」
ジュンコ「(動揺して)ち、ちょっと待って・・・え、でもどうして?どうして、モモがヨットに?」
リキ「(首を振って)わかりません・・・」
ジュンコ「(ショックで)・・・」
ジュンコは、判断を誤った自分を責めた。事件に巻き込まれていないよう願っていたのに、とうとう懼れていたことが起きてしまった・・・・・・。
ジュンコ「早く、二人を助け出して下さい!刑事さん!」
と、必死になって寝込田に懇願する。
寝込田「(キッパリと)無理」
ジュンコ「無理?」
ハルヒト・タエコ「無理??」
ギャラリー全員「無理???!」
寝込田「ウチの署の受持ちは陸地だけ。海に関してはノータッチなんです。だから、別の人に頼んで」
ジュンコ「別の・・・人?」
寝込田「いるでしょ?例えば、ほら・・・水上警察とか何とか船系に強い人が・・・」
ジュンコ「ちょっと待って下さい。管轄外だから逮捕することも救出することも出来ないって言うの?!ふざけないで!」
ハルヒト「ジュンコ先生」
ジュンコ「これは誘拐よ!立派な犯罪じゃない!事件じゃない!」
と、寝込田に詰め寄る。
寝込田「・・・」
ジュンコ「二人にもしものことがあったら・・・アンタを訴えてやるぅー!!」
と、寝込田の襟を掴み掛る・・・のを慌てて止めるハルヒトとタエコ。
ハルヒト「ジュンコ先生、落ち着いて!」
タエコ「無駄ですよ。この刑事さんに何言っても・・・」
寝込田「(ゴホゴホ)・・・」
ハルヒト「こうなったら我々だけで二人を助け出しましょう」
ジュンコ「でも、どうやって?」
タエコ「ウチのモーターボートを出しましょう。アナタ、急いで頂戴」
ハルヒト「ハイ・・・え?今何て言ったの?」
タエコ「モーターボートを出してって言ったの!モタモタしないで!」
ハルヒト「(渋って)いや、でも・・・アレも・・・」
タエコ「アナタッ!」
ハルヒト「(ビクッ)ハイッ!」
タエコ「娘の命とボート、どっちが大切なんですか?!」
ハルヒト「・・・リカ・・・です・・・」
タエコ「でしょ!早くして下さい!」
ハルヒト「・・・試運転、まだ一度もしていないんですけど・・・」
襟を正す寝込田。
タエコ「本当、警察ってイザという時・・・役に立たなくて困っちゃうわ!」
と、止めを刺す。
寝込田「(ウッ)・・・」
周りから疎らな拍手が、ちらほらと沸き起る・・・が、寝込田に睨まれ・・・ピタリと止む。