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第8話「オニキスとの再会、親衛隊の襲撃!」パート4
「誰だ?」
オニキスは再び鋭い視線をしてその女戦士を睨んだ。
「私は帝国に使える親衛隊、その筆頭であるヴァーミリアンだ」
「その親衛隊が手下を連れて何のようなんだい?」
「その小僧に用があるのだ」
ヴァーミリアンは剣を門人に向けて言った。
「その小僧には普通の人間にはない特別な力を秘めている。いずれは我が帝国にとって大きな驚異になる。そうなる前に始末するのだ」
「始末、だと・・・?」
「小娘、大人しく小僧を私に差し出せ。黙って差し出すのが賢いやり方だぞ」
ヴァーミリアンは剣を二人に突きつけて歩を進めた。
「断ると言ったらどうする?」
「お前を切り捨ててでも奪い去るまでだ。言っておくが私は親衛隊で一番腕が立つ戦士だ。それでも、来るか・・・?」
薄笑いをして挑発するヴァーミリアン、オニキスは仕込み刀の鞘を抜いて切っ先を向けた。
「ふん、身の程知らずな奴。すぐにあの世に送ってやる!」
ヴァーミリアンが走り出した。
「オニキス・・・!」
「大丈夫だ、君は必ず守ってみせる」
オニキスは笑みを浮かべると、すぐに走って戦いに入った。
「喰らえ!」
切りかかるヴァーミリアンにオニキスはジャンプしてキックに出た。
「ふん!」
ヴァーミリアンは手の甲を前に出してオニキスのキックをガードしてしまった。不時着して尻餅をつくオニキスに突き攻撃に出る。
「な、させるか!」
オニキスは回し蹴りで剣を弾き、素早く回避する。ヴァーミリアンが突きに出ると、ひらりとかわして、オニキスが再び回し蹴りをしたが、ヴァーミリアンはこれをかわしてしまう。
「ふ、流石はレジスタンスの密偵オニキス、身のこなしはよく出来ているな」
「あんたこそね!」
走り出すと、今度は蹴りの押収に出た。素早い足技を繰り出していく二人だが、今度は剣を振るって切り合いに出た。ヴァーミリアンの払いをかわして太刀を一閃するオニキスだが、ヴァーミリアンは咄嗟に後退してかわしてしまう。オニキスが駆け出すとヴァーミリアンは剣を地面に刺して砂を飛ばした。
「う、く!」
砂に目が入り怯むオニキスに、ヴァーミリアンがアッパーをして転ばせた。突き刺しに出ると、オニキスは緊急回避をしてかわして、刀をヴァーミリアン目掛けて振り下ろした。
「やった!」
門人も勝った、と思ったが・・・、
「え・・・!」
「な、何・・・?!」
オニキスは唖然とした。オニキスの剣をヴァーミリアンは手の指の間で挟んで白刃取りをしたからだ。
「せええい!」
ヴァーミリアンがオニキスの胸部にパンチを見舞った。
「ぐはあ!」
オニキスは吹っ飛ばされて地面を転がり落ちてしまった。
「オニキス!」
「し、心配ない、すぐにこいつを、ぐばああ!」
オニキスの体に衝撃が走った。後ろからサーベルタイガーが背中に噛み付いてきたのだ。
「ふん、貴様の命もここまでだな」
ヴァーミリアンは動けないオニキスに連続パンチを浴びせて、サーベルタイガーが放した瞬間に腹部に強烈な蹴りを見舞った。
「ぐ、ぐううう・・・・」
「ふん!」
地面を這って動けないオニキスにヴァーミリアンは何度も踏みつけをした。
「ぐは、ぐわああ!」
体に容赦ない攻撃が加えられてオニキスは苦しがって地面でもがいていた。
「さあ、小僧。次は貴様だ」
ヴァーミリアン、そして立ち上がったモンスターの軍団が門人にじわじわと迫って来た。門人は追い詰められて動揺していた。オニキスは動くことは出来ない。石版を使おうにも仲間はいない。その時だった。
「グワッシャアオオオオオオ!」
「!」
「何だ?」
何かの咆哮が聞こえて来た。空を見上げると、何かが羽ばたいている。それは門人達の前に姿を現した。そして親衛隊目掛けて炎を吐いてきた。
炎は爆風を上げて、ヴァーミリアン配下のモンスター達を吹き飛ばしていく。
「ち、まさか邪魔が入るとは。これでは私も危ういな・・・。引き上げるぞ!」
ヴァーミリアンは冷静さを失わず状況を分析してその場を撤退していった。
「オニキス、大丈夫?」
門人はオニキスに駆け寄って声をかけた。
「だ、大丈夫だ、これくらいは何とも、う!」
オニキスは心配をかけまいと強がったが、ダメージは大きかった。中々起き上がれずにいると、門人はオニキスの肩を抱いて体を立たせる。
「あ、大丈夫だ。そこまでしなくても・・・」
「君は俺を守ろうとしてくれたんだ、せめてこれぐらいはさせて」
すると二人の前に先ほどの羽ばたいて出てきたドラゴンのモンスター、ドレイクが降り立った。何をするつもりなのかと不安になったが、ドレイクは二人を襲う気配を見せず、首にぶら下げているカンデラの蓋を開いて光を放った。光はオニキスを照らすと、彼女の傷をまたたく間に回復させる。
「暖かい、力がみなぎってくる・・・」
「そうか、俺達を助けてくれたんだ・・・」
オニキスが全快したのを見届けると、ドレイクは空を飛び立っていった・・・。
続く・・・。