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第10話「決死の救出!放さない永久の人」パート1
とある砂漠にある渓谷。その崖の場所で誰かが泣く声が聞こえ、こだましていた。
「助けてーっ!誰か、門人、皆ーっ!」
ガーネットは両手両足を鎖につながれて捕らわれていた。必死で逃げ出そうとしたが、鎖は地面に固定されていて、とても逃げ出せなかった。
「ははははは、もっと泣け!もっと叫ぶがいい!」
どこからか声が聞こえて来た。真正面を見ると、ヴァーミリアン達五人の親衛隊がガーネットの方へ歩いていた。
「あんた達、目的は何なの?!」
ガーネットがキッと睨んで言うと、セルリアンが捕らえている訳を話した。
「お前をこうして捕らえておけばあの小僧がのこのこと助けにやってくるだろう」
「あいつはあんたを気に入ってるみたいだからねえ。あんたはそいつを誘い込むための餌ってことさ」
ビリジアンが憎たらしくなるくらいのクズな顔で言った。
「そう、あんたを捕まえておけばその少年はここへやってくる」
「そして、あたし達の張り巡らした罠に自分から飛び込み、バケツを掘るのさ」
ミルキーが言うと、グレイが笑ってことわざを言う。
「グレイ、それを言うなら墓穴を掘るでしょ・・・」
だがすぐにミルキーに間違っていることを指定される。
「ふふふ、つまり、お前をここに捕まえていればあの小僧はお前を助けようと一人でやってくるだろう。そして我々の罠にかかり、お前の目の前であの世行きになるのだ」
ヴァーミリアンは素晴らしい計画だろうと、不敵な笑みをした。
「卑怯者!あんた達の思い通りには絶対にならないんだから!」
ガーネットは親衛隊を睨んで叫んだ。
「ふうん、捕まっているくせに随分強気だね、それだったらそれでもいいさ?」
グレイが鋭い爪のついた手でガーネットの顎を掴んだ。ガーネットは苦悶の表情をする。
「その生意気な可愛い顔を傷だらけにしてあげるよ。あいつが二度とあんたに情が湧かないようにね!」
鋭い爪を振り上げて、ガーネットを切りつけようとする。
「待て!」
その時、誰かの声が聞こえた。
「え?」
「ふん、狙い通り、餌に食いついたようだな・・・」
ヴァーミリアンがほくそ笑む。親衛隊が振り向くとそこにいたのは、
「ガーネット、助けに来たよ!」
「え、うそ、門人・・・、門人、来てくれたの!」
守りたい存在が自分の目の前にいる、それを見てガーネットは嬉しさがこみ上げようとしたが、現状にすぐに気付く。
「門人、逃げて!これは罠よ!来ちゃダメ!」
「黙ってな、小娘」
グレイが彼女の口を塞いだ。
「その手を離せ!」
「ふふふ、勇ましいことを言う。だがお前の命もこれで終わりだ!」
ヴァーミリアンが口笛を吹いた。すると崖からサーベルタイガーとガチサーベルタイガー、更に火の玉とアカポチャ、アカモトオークの大群が少年を取り囲んだ。
「!!!」
門人が廻りを見るとモンスターの群れに囲まれていたのが解った。
「門人!」
「さあ、見てるんだね。あんたの大好きな人が、目の前で死んでいくのをねえ・・・」
ビリジアンが嘲笑っていた。親衛隊の面々もこれで終わりだと勝利を確信していた。
「そうだ!」
門人は何かを取り出した。それはシオンからもらった紫の水晶だった。モンスターの大群が一斉に襲いかかって来た。門人はすぐにそれを掲げた。
紫の水晶は妖しく光ると、水晶から何かが出て来た。
「ぴぎいいいいいいい!」
モンスター達が吹っ飛ばされる。水晶から出てきたのは、紫色の無数のムチだった。ムチはしなやかに動いてモンスター達を吹き飛ばしていった。
「な、何?!」
「何てことなの?!」
「く、こんな手を持っていたとは・・・」
セルリアン、ミルキー、ヴァーミリアン達は動揺する。
「あたし達も来たわよブヒン!」
上を見上げると、アカオークとその仲間達が立っていた。彼等は一斉に崖から降りて、親衛隊の前に現れ、門人と一緒に対峙する・・・。
続く・・・。