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第3話「参上、ゴブリン三兄弟!」パート2
「ぷっ、何それ、だっさいブヒン!」
「くだらない・・・」
「あはは、何そのチーム名、笑えるーっ!!!」
ゴブリン兄弟の名乗りをアカオークとミドリオークはケラケラと笑って、アオオークは冷めた顔でそっぽを向いて吐き捨てた。
「何い!」
「俺達の名乗りのどこがださい?!」
アオゴブリンはびっくりした顔をした。アカゴブリンはキッと睨んでカッコ悪いと言われたことに腹を立てた。
「そもそもねえ、センスからしてどうかしてるのよブヒン!」
アカオークは剣を振りかざしてアカゴブリンに斬りかかった。アカゴブリンはすぐに槍でこれをガードした。
「こ、この野郎!急に襲ってきやがって!」
「ふん、あんた達はどう見ても気に入らないのよ、ブヒン!」
「ぐ、弟達!」
「おう、兄者!」
「兄貴のピンチだ、助けるぜ!」
アオゴブリンとミドリゴブリンが槍を取ってアカゴブリンの援護に回った。アオとミドリのオークもすぐにアカオークの援護に回る。
「このまん丸ブタ、槍で刺して丸焼きにしてやる!」
アカゴブリンはアカオークの剣を弾いて槍で叩きに出た。
「ブッキーっ!まん丸ですってーーーーっ!レディに向かって何て態度よブヒーーーっ!」
アカオークは鼻息を噴射して怒り狂った。剣を矢継ぎ早に振り回してアカゴブリンに切りかかった。アカゴブリンは慌ててこれを避けていった。
「うわあ、凄い怒ってるね・・・」
「一応、あのナリでも女性ですからね・・・」
門人が言うと、シオンはため息を吐いてオーク達の戦いを見守っていた。
「ほらほら、どうだい!」
ミドリゴブリンは連続突きに出てミドリオークに迫って来た。
「ふっふ〜ん、そんなの聞かないわよブヒ〜ン」
ミドリオークは盾でこれを防ぎながら前進して、隙を見て剣で突きに出る戦法を取った。
「あ、あの〜、本気でやっちゃっていいのかな・・・」
アオゴブリンは突然、自信なさげに震えると、アオオークは剣を華麗に振るって切りかかった。
「おわ?!」
アオゴブリンは不意打ちをされて転んでしまった。
「油断するつもりかと思ったけど・・・、そうでもない腰抜けねブヒ・・・」
「な、何をーーーっ!」
アオオークがクールに言うとアオゴブリンはムキになって槍で突進してきた。そして三体のオークとゴブリンはつばぜり合いの状況になった。
「くうう、やるわねあんた達!」
「そっちこそ!だが俺達が勝つ!行くぞ弟達!」
「「任せた兄者!」」
ゴブリン三兄弟は力を合わせて全力の衝撃波をオーク三姉妹にぶつけた。
「ブヒーーーン!!!」
オーク三姉妹は吹っ飛ばされて地面にぶつかった。
「おらおら、もっと行くぜ!弟達!」
更に彼等はスキル「くらわせろ」を発動して、それぞれの属性、火、水、草の衝撃波を飛ばしてオーク達にダメージを与えた。ダメージを受けたオーク三姉妹は地に膝をついてしまう。
「くうう、好みじゃないだけあって、憎らしいくらいやってくれるじゃないの・・・!」
アカオークは何とか立ち上がって拳を握って歯ぎしりをした。
「お姉さま、大丈夫?!」
「ええ、これぐらいでやられるほど、アタチはやわじゃないわよ」
ミドリオークが心配すると、アカオークは毅然に振舞った。
「うわあ、あのゴブリン達、強い!」
「このままじゃ、オーク達が!」
ガーネットが助太刀に出ようとし、門人も石版の力を引き出そうとする。その時だった。
「おいらに任せるにゃ・・・」
突然、門人達の前に最初の牢獄で立ちはだかった、しにたてにゃんこが現れた。
「あの猫は・・・」
「どうしてあたし達の味方を・・・?」
「今は言わなくていいにゃ、おいらが回復してあげるにゃ」
しにたてにゃんこはスキル「せめてかいふくだけは」を使ってオーク三姉妹を回復させた。
「ブヒーーーン!力がみなぎって来たわよブヒーン!」
「ゲゲ、こんな展開ってありなのかよ!」
ゴブリン兄弟達が狼狽していると、オーク三姉妹は剣で衝撃波を飛ばしてゴブリン兄弟を攻撃、
「しまったーーーーっ!」
「兄者ーーーっ!」
「このおいらがーーーーっ!」
吹っ飛ばされたゴブリン兄弟は吹っ飛ばされて戦意を喪失した。
「やった、ゴブリン達をやっつけたわよブヒン!」
「貴方、中々やるじゃないブヒ!」
ミドリオークはしにたてにゃんこの頭を撫で回した。しにたてにゃんこはとても嬉しそうだ。
「ありがとう、でもどうしてあたし達に?」
ガーネットがどうして助けてくれたのかを聞いた。
「そうだにゃあ、そこにいる彼から不思議な力を感じてにゃ、ついていきたいと思ったのだにゃ」
「俺に?」
「そうにゃ、だからおいらも旅のお供に加えてくれにゃ」
しにたてにゃんこは浮いた体をクルンと回して仲間にして欲しいと言った。
「門人、折角だから連れて行こうよ」
「そうだね、彼のお陰で助かったわけだし、よろしく頼むよ」
「やった、ありがとにゃ」
しにたてにゃんこは大喜びして、門人達の廻りを回って加入してもらえたことを喜んだ。
「ちょっと待った!」
すると敗れたゴブリン兄弟達が門人達の所に来た。
「あんた達、また来る気!」
オーク姉妹が剣を向けると、ゴブリン兄弟は待ったをかけた。
「違う、俺達も仲間にしてくれないか?」
「仲間に?」
門人が言うとアカゴブリンは強気な感じでこう言った。
「お前が強いのが解った。俺達ゴブリンは強い奴の味方だ。だから俺達は強いお前に従う!と言う訳だ」
「おいら達を仲間にして損はないと思うぜ」
ミドリゴブリンも胸を叩いて言う。
「どうするかな?」
「アタチは反対よ!ゴブリン達は狡くてせこくて卑怯で信用のおけない奴等よ!そいつらを信用しちゃダメよ!」
「でも、ああして頭を下げてるわけだし、信じてもいんじゃない?」
アカオークは信用ならんと鼻息荒く言ったがガーネットは情から仲間にしてやろうと門人に言った。
「うん、アカオークの言葉もあるけど、今は仲間は多いほうがいいし、彼等も加えてあげよう」
「決まりだね、門人!」
「やったあ!」
「これからよろしくするぜい!」
ゴブリン兄弟は小躍りした。アカオークはやれやれと呆れつつも門人が変わりつつあることを感じ始めていたのだった・・・。