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花と太陽  遂に完結!!長らくお世話になりました。
作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM  (総ページ数: 33ページ)
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*19*

Episode16【大好きって事が幸せ。】

 もう、迷わない。悩まない、苦しまない。
その決心をくれたのはいつだって、いつだって綾瀬君だった。

―――フラれるとか怖いとか関係ない。ただ、『大好きって事が幸せなんだ』って解ったもの。

君と初めて会った時、運命だって思った。
唯一、私の暗い孤独な世界に太陽が現れた。
温かくて優しい光を持つ綾瀬君が。
運命とか奇跡とか信じようとも思わなかった。でも、これは運命であり奇跡だと言っていいと思う。
「あの!!一緒に帰りませんかっ!!?―――というか、帰りましょうっ!!」
「――は?え、高嶺??」
部活終わりの綾瀬君に私は無理やり一緒に帰るように言う。
すると。
驚いたように目を丸くしてから、フッと笑って穏やかに私を見つめた。
 ドキドキドキ……。
不意打ちずるいなぁ、汗と胸の鼓動が止まらない。
というか、二人っきり……。
沈黙が痛くてたまらないのは何故だろう??

 『頑張れ。』

頑張らなきゃ、応援されているんだ。
傷つけてしまった藍君の為にも、ちゃんと伝えるんだ。
「―――えっと。今は今しかない、次に同じような状況になってもそれは今じゃないんだと三沢光晴も言ってます。」
何を言っているんだろう……。と思いながらも私の口は閉まらない。
綾瀬君も勿論のことながら、目を丸くして静かに聞いてくれている。
「だから、私も頑張りたいと綾瀬君に言うべきことをちゃんと伝えますっ!!」
 ドクン。
脈を打つ音、心拍数がやけに生々しく私の耳に響く。
恥ずかしい。
「……綾瀬君の事が好き……で。」
「ストップ!!!!」
口を押さえつけられ私は驚く。
私の事を見つめた綾瀬君は耳まで真っ赤にしている。
 嘘だ、嘘だよ。
「――初めて会ったあの時からずっと好きです。大事にします、俺と付き合って下さい。」
耳まで真っ赤に染めた綾瀬君は手を恥ずかしそうに差し出して私の事を見つめている。
答えなんかもう決まっている。
「――こ、こちらこそよろしくお願いしますっ!!!」
涙が溢れ出してくる。
嬉しくて信じられなくて夢でも見ているかのようにふわふわした感じで。
「間違えたことがあるんだけど。」
「へ??」
な、何。まさか、私の事が好きじゃないとか??

「―――好きじゃなくて高嶺の事が―――大好きだ。」

 カッ、と耳まで赤くなった私に、綾瀬君が笑う。


――――今日も平和でいつも通りの時間が過ぎる。
今までいなかった大好きな人が恋人となって、友達が出来て、昔あんなに孤独だった私が今じゃ満たされていて幸福になっていて。
 恋人になったんです。なんて言ったら喜んでくれるだろう人が沢山いて。
さて、まだそのことを知らないお友達は、これから言ったら喜んでくれるかな?なんて想像すると楽しくなってしまう。


 私は、太陽に陽だまりのような彼に照らされながら今日を生きていく。
沢山の人に囲まれながら、仲良く、楽しく―――。

 


fin

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