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カオスヘッドな僕ら【連載終了】
作者: むう  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: コメディー 未完結作品 妖怪幽霊 現代ファンタジー 天使 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*2*

 お久しぶりです。竜宮城から戻ってまいりました、むうです。
 多分この話を全部覚えてる人は少ないと思います。
 約2カ月ぶりの更新ですが、二次創作の方もこちらもよろしくお願いします。
「いや、放置したんじゃないんかいな!」「気分で乗り切るタイプなんです」

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 クコのパンチが見事、クリーンヒットし、紗明と言われていた女の子は道路上で仰向けになっている。
 僕が出来ることと言えば、自動車の通行の邪魔にならないようにキョロキョロと右左右左。
 そして、車が通らないタイミングでずりずりずりーっと女の子を歩道に移動させる。


 幸い、この道路は空き地に面していたので、空き地の芝生に寝かせておく。
 パリピ女子、紗明は一体何だったんだろう。
 最近の流行りとしては、何と言うか物凄く痛いのだけど。


 「痛いんだよクコ………お前もうちょっと手加減しろよなぁ、アイムベリーアングリー」

 
 と、女の子の背後に黒い靄が浮かび上がる。
 それは徐々に人の形に変化し、数分後にははっきりと実像をとらえた。



 「…………………………………痛い」


 それが、彼に対する第一印象だった。
 今時の、寝癖でぴょんぴょん跳ねた髪は金髪。羽織っているジャケットにはドクロマーク。
 身に着けているベルトやら腕時計やらは、やたらゴテゴテとしていて、多分絶対お高い。
 うちのママが「あんなオモチャごときに10万円っ? フッwww」と鼻で笑ってたやつだ。



 ………えーっと、あなたは?
 っていうかあの、紗明っていう名前の女の子はなんなの?
 尋ねると、金髪のウザい少年はキョトンと首を傾げた。


 「は? 紗明は俺だぜ?」
 「………は?」
 「その通りや百木くん。コイツの名前は紗明(さあき)。ウチの悪友の死神や」


 は?? 
 この人、死神なの?? 
 その髪で? その服装で? その性格で? 
 死神の鎌とか、そういうのないから分かんなかった。


 「あー、最近は死神業界もけっこうグローバル化していってっから、鎌のかわりはこれでやってる」
 「スマートフォンじゃんッッッ!!!」


 紗明が見せつけて来たのは、服装と同じくゴテゴテとした装飾のカバーがついた、アッ〇ルの携帯。
 ホームボタンを押して、待ち受け画面を堂々と見せびらかしてくる彼。

 画像は、真っ白な画面に「アイスっておいしいですよね。」と書かれてあるだけのもの。
 この人のメッセージ性がいまいちよくわかんない。


 「これでゲームとかもやってんだ。この服装は、デーモンコロシアムの『カルマ』をイメージしたんだ」
 「デーモンコロシアム知ってんだ? 僕もそれ大好き! カルマかっこいいよね」

カルマって言うのは、デーモンコロシアムというゲームの主人公だ。
 スラッとした細身の体なのに、敵の攻撃を簡単そうに裁き、相手の脳天に剣を振りおろす。
 そして、『勝負は……ここからだぜッッッ』というセリフが超絶かっこいいんだよね。

 「お、お前分かる? そういやお前レベル何?」
 「えーっと、45」
 「低すぎだろ。俺200。まーでもやってんなら嬉しいわ。またあとで友達申請しとくな―」
 「え、いいの? ありがとう」


 ワイワイキャッキャと盛り上がる僕たちの横で、クコが般若のような顔をしていた。
 はっと我に返り彼女を見ると、クコは「あはははは」と愛想笑いを返す。
 そしてそのあと、ずいっと距離を詰めてきて、彼女はムッとして叫んだ。


 「何やってんの!? そんなにゲームがしたいんなら行ってらっしゃい!」
 「いや、違う違う違う違うっ」
 「紗明もどんだけ地上の生活にハマってんねん。これは遊びとちゃうねんで!」


 どうやら、紗明は死神だと言うことも忘れそうになるほど人間界での生活が日常化してしまったらしい。
 その髪型や服装も、多分新宿などの都会を練り歩いた結果だろう。
 

 うん、変な人しかいない(⌒∇⌒)


 
 

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