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作者: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 25ページ)
関連タグ: メイドウィン小説SEASON3 ウマ娘 たぬき要素有り オリキャラ
*18*
【第三話】
……かくして、トレセン学園生徒会の3人とそのトレーナーが揃い、改めてプロジェクト・シンギュラー開始の為にトレーナーを探すことにしたのだが……
「……にしたって、ウマ娘と深く結ばれてるトレーナーなんてなぁ」
「そんな都合の良い話があるわけないよねぇ……」
たくっちスノーは苦笑いしながらそう言い、西園寺もそれに続く。
そしてシンボリルドルフも珍しくそれに同意するかのようにため息をついた。
「……」
そんな中で一人だけ、黙りこくったまま俯く者が居た。
「溶岩どうした?資料なんか見て」
「俺は精神論は詳しくない、そういうものを考えるよりは目に見える実績から判断した方が手っ取り早い」
「まぁ確かにそうかもしれんが…」
溶岩の言葉にたくっちスノーは賛同しつつも、どこか煮え切らない表情を浮かべていた。
「いや、その……強いやつ、まぁ覚えはあるけどよ、正直入れたくないなっていうのが……」
「そうか、それでこの五月雨灰作という男は……」
「は!?あ、あ、灰作!!?」
「そいつもリストに含まれてんの!?」
「この学園全てのトレーナーが候補になっているから含まれてないものはいない」
「嘘だろ……」
溶岩の答えにたくっちスノーは頭を抱え、西園寺も絶句する。
そこに、今まで無言だったシンボリルドルフが口を開く。
その顔には若干の焦燥感があった。
それもそうだ、シンボリルドルフもあの灰作の事を知っていた、いや…あの件のことを考えれば無理もない 。
「……その人が何か?」
「ああ……お前達はまだその時トレーナーじゃなかったから知らないのも当然か」
「まだトレーナーが居なかった頃の我々も背筋が凍ったからな」
「一体何なんだ、その男は」
「灰作トレーナーは……」
シンボリルドルフはその先を言い淀んだ。
流れを察して…たくっちスノーが代わりに答えた。
「エグゼ杯の時よりも更に前だから……そりゃ知らんやつもいるか、あの事件の事」
「事件?」
「あいつの担当はアグネスタキオン…名前くらいは聞いたことあるだろ、ここで一番…いや、一番じゃないかもしれないが問題のあるやつ」
「アグネスタキオンか」
「タキオンなら私も知ってます」
「彼女は確か……実験台になるトレーナーを常に募集していると聞きました」
「それもあるが……この間ヤバかったのはアレだ」
曰く…アグネスタキオンはこれまで数多くの薬品を制作していたが、そのうちの失敗作を灰が勝手に飲んでしまい、体中の穴と言う穴から血を吹き出して倒れた事があるらしい。
そして、そのまま病院送りになったとか。
他にも、それらの薬を詳細も分からず他のトレーナー達にばら蒔いたとか……
「ちなみに俺も、その時飲料水扱いで飲まされたうちの一人」
「よく生きてましたね」
「流石に俺でも死ぬかと思ったがな…」