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*10*
前作のカオスヘッドな僕らを見てくれた人ならわかると思うんですが
相変わらずキャラが変な人しかいない。
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〈こいとside〉
美祢さんがコマリさんに話をつけてくれたおかげで、うちは無事(?)彼女の協力者として家にお邪魔する権利を得た。
ゴーストのキメラである自分は、たまに頭の中に知らない女の人の声が響くことがある。
これが多分、恋愛の神様・オオクニヌシノカミなんだろう。
魂が2つあるからと言って、人格がチェンジしたりすることはない。
たとえば急に背中から羽が生えたり、後光が差したりとか。ノンノン。
基本的には、今喋っているこの人格がメイン。あとは特殊能力的な感じで、神様のチカラを使わせてもらってるだけだ。
(……オオクニヌシノカミ?)
〈なんぞ〉
美祢さんとコマリちゃんが買い物に出かけたのを機に、うちは心の中で相棒に問いかける。
静かで凛とした声音で、オオクニヌシノカミは応えた。
んもう、口調が固いなあ。
神様だからとはいえ、いつまでもそんな冷たい態度じゃ嫌われるよ。
(なんで、うちの身体に入ろうと思ったの?)
〈何か問題でも?〉
生まれつき、オオクニヌシノカミ(長いな。これからはクニたそって呼ぼう)と意思疎通ができてたわけじゃない。
中学1年生で死ぬまでは、うちは普通の人間の女の子だった。
動くことと歌うことが大好きで、アイドルに憧れていてね。
中学校では演劇部で頑張ってたの。
努力をすることを苦痛とは感じなかった。必死に練習して四か月後には、マシな役を貰えるようになって、先輩も同級生も褒めてくれて。好きな人も……できて。
『一緒にアイドルのライブ行こうね』って約束したんだ。
でも。うちの夢は叶わなかった。うちの人生が終わったからだ。終わったはずだった。
――終わらせたはずだった。
(なんでうちを助けたの)
〈アレしか方法がなかったからじゃ。あのままではお前は、奴に吸収されていた。悲惨な最期を遂げることになってしまったんじゃぞ〉
悲惨な最期か。
でも、わたしは彼と一緒にいられるなら、どんな運命でも受け入れるつもりだったよ。
〈こいと。お主のその言い方はまるで、『お前さえいなければ死ぬことができた』と言ってるようなものじゃよ。勝手に自己完結するのはやめたらどうじゃ。お前には嘘が似合わん〉
「………」
〈それに、会いたい相手がおると聞いたが。それはもうよいのかの? 月森のおなごに協力するとか騙っておったが、わらわはもっと別の理由があるとみて踏んでおる〉
「……」
〈お前はそ奴に会うために、月森コマリを利用する。違うか?〉