コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Enjoy Club  =第1章完結=
日時: 2013/06/23 07:18
名前: 友桃 (ID: KZXdVVzS)
参照: http://www3.plala.or.jp/banisingukyanon/

あるとき、世界に謎の薬品がばらまかれた。
数年後、不思議な能力を身につけて生まれてきた子供達。彼らは仲間を求めて、ある結社に集結した。
彼らと接触した女子高生・亜弓は、結社内の混乱に次第に巻き込まれていく——

ファンタジー&シリアス要素ありのラブコメです!




クリックありがとうございますm(__)m

はじめまして、友桃(ともも)です^^
初投稿です>< 長編になるのですが、ちょっとずつ更新していきたいと思います。

よろしければ読んでみてください^^


*参照はHP(Enjoy Club保管場所)です。このスレのものを修正したやつを、縦書き改行無しバージョンで載せていくのでよろしければのぞいてみてください。※ただいま更新止まっております


*たまに記事のNo.飛んでいるところがありますが、残りの返信数を増やすために必要ない友桃のコメントを消しただけなので気にしないでください^^



〜お客さま〜
・花見さん ・かれーらいすさん ・十六夜さん ・貴也さん 
・勿忘草さん(亮さん、扉さん) ・咲さん ・gojampさん ・詩音さん 
・セピアさん ・杏樹.さん(真白ちゃん・そふとくりーむさん) ・ハッチしゃnさん ・ARMAさん
・遮犬さん ・ひろあさん ・白桃さん ・ゆかさん
・aguさん ・皐月凪さん ・(朱雀*@).゜さん ・奈々☆さん
・ 蘭*。*さん ・山口流さん ・トレモロさん ・紅蓮の流星さん
・或さん ・ (V)・∀・(V)さん(十六夜さん) ・もちもちさん ・夜兎さん
・むーみんさん(椎奈さん) ・未来さん ・ゲコゲコさん ・てるてるさん
・こたつとみかんさん ・星ファン★さん ・そらねさん ・希蘭さん
・Eternalさん ・羅希さん ・霧雫 蝶さん ・あらびきペッパーさん
・抹茶.(小豆.)さん ・野宮詩織さん ・、璃瑚. さん ・ののさん
・友美さん ・亜美さん ・蜜姫. さん ・ネズミさん
・月読 愛さん ・紗夢羅さん ・黒揚羽さん ・優香さん
・ぱちもんさん ・Lithicsさん ・苺莢さん

読んでくださってうれしいですv ありがとうございますm(__)m



〜登場人物紹介〜

・友賀 亜弓 Tomoga Ayumi……主人公
・荒木 恵玲 Aragi Ere
・紫苑 風也 Shion Kazaya

・ウィル=ロイファー
・有希 白波 Yu-ki Shiraha
・棚妙 水希 Tanadae Mizuki

・芝崎 功 Shibasaki Kou
・月上 有衣 Tsukigami Yu-i
・三和 伸次 Miwa Shinji
・蓮田 夜ゑ Hasuda Yoe

・谷田 津波 Tanida tsunami
・沢田 美久 Sawada Miku
・幸崎 静音 Ko-saki Shizune
・町田 美沙 Machida Misa
・小松 幸道 Komatsu Yukimichi

・大崎 影晴 O-saki Kageharu
・天音 Amane
・天銀 Amagane


〔後半から登場or2章メイン登場〕

・篠原 扇 Shinohara Ougi
・安藤 園香 Andou Sonoka
・富永 春妃 Tominaga Haruhi
・神崎 迅 Kannozaki Jin

・風香 Fu-ka
・友賀 葵 Tomoga Aoi


*あだ名>>48



〜目次〜

<第1章>

プロローグ >>0

第1話『謎の闇組織E・C』
(1)>>1 (2)>>2 (3)>>3 (4)>>5 (5)>>6 (6)>>10 (7)>>11 (8)>>13

第2話『金髪のキミにひとめ惚れ』
(1)>>25 (2)>>30 (3)>>40 (4)>>46 (5)>>49 (6)>>50

第3話『我ら、麗牙光陰——』
(1)>>57 (2)>>58 (3)>>64 (4)>>70 (5)>>81 (6)>>86 (7)>>88,>>89 (8)>>98 (9)>>104,>>105 (10)>>108

第4話『あなたのために……』
(1)>>111,>>112 (2)>>120,>>121 (3)>>130 (4)>>136 (5)>>147 (6)>>152 (7)>>157 (8)>>166 (9)>>172 (10)>>180 (11)>>184 (12)>>188

第5話『不確かなもの』
(1)>>212,>>213,>>214 (2)>>256 (3)>>268 (4)>>285 (5)>>291 (6)>>306 (7)>>332,>>333 (8)>>346,>>347 (9)>>357,>>358,>>359 (10)>>370,>>371

第6話『衝撃のとき
(1)>>397 (2)>>413,>>414 (3)>>425 (4)>>447,>>448 (5)>>474,>>475,>>476 (6)>>486,>>487 (7)>>518,>>519,>>520 (8)>>534 (9)>>557 (10)>>568 (11)>>576 (12)>>599 (13)>>627,>>628 (14)>>648 (15)>>696,>>697,>>698 (16)>>708,>>709,>>710

第7話『友を取り巻くモノ1』
(1)>>721 (2)>>726,>>727 (3)>>750,>>751 (4)>>784,>>785 (5)>>798 (6)>>813,>>814 (7)>>870,>>871 (8)>>>889,>>890

第8話『友を取り巻くモノ2』
(1)>>893 (2)>>901,>>902 (3)>>905,>>906 (4)>>910,>>911,>>912,>>913,>>914 (5)>>918,>>919 (6)>>923,>>924 (7)>>926,>>927 (8)>>931,>>932 (9)>>934 (10)>>936

第9話『混乱の夜明け』
(1)>>940,>>941 (2)>>945 (3)>>949 (4)>>955,>>956

エピローグ>>962

*初めて来てくださった方、できれば目次から行かないでコメも含めてよんでほしいです><
途中でキャラのプロフィールと絵がでてくるんで^^ てか某友人の書いたキャラ絵、神なんでv←



〜企画〜

≪第1回キャラ人気投票≫ 2010.8.27〜
 結果>>225

≪第1回シーン人気投票≫ 2010.923〜
 結果>>511

≪☆お客様方の小説紹介☆≫
第1弾 返信300突破記念 2010.9.25 >>304
第2弾 参照2000突破記念 2010.10.11 >>460
第3弾 参照3000突破記念 2010.11.18 >>661

≪返信400突破記念*E・Cラジオ*≫ 2010.10.6〜
NO.1 亜弓&恵玲 >>422
NO.2 恵玲&風也 >>495
NO.3 ウィル&白波 >>587
NO.4 亜弓&風也 >>676
NO.5 水希&茜 >>852

≪返信500突破記念 =キャラQ&A=≫ 2010.10.17

≪参照4000突破記念 =キャラ誕生秘話=≫ 2010.12.9
NO.1 >>743 NO.2 >>748


≪ Enjoy Club名言集*。* ≫ by杏樹.さん  2010.9.25・26・28
杏樹さんがつくってくださいましたーv
ネタばれになるんで本編一通り読んでから、ぜひご覧になってください^^♪
杏樹さん本当にありがとうございました!!!

第1弾>>317 (友桃コメ>>319
第2弾>>338  (友桃コメ>>341)
第3弾>>362 (友桃コメ>>364


≪E・C(1章)紹介文≫ by ARMA3さん 
>>992 2013.1.27


≪Christmas Short Story≫ 2010.12.19
>>773,>>774

≪Happy Birthday≫
・5月…… (朱雀*@).゜.さん
・11月17日……杏樹.さん >>654

みんなでお祝いしましょ♪


*2010年冬・小説大会 コメディ・ライト小説大賞受賞。
*2011年夏・小説大会 コメディ・ライト小説銀賞受賞
みなさま、ありがとうございましたm(__)m

*2011.5.4 第一章完結





=Enjoy Club=



第1章




—プロローグ—



——熱い


 燃えるように、煮えたぎるように身を焦がしていくモノは、先程注入した薬品か、はたまた我自身の高揚か……。体内に何か不可視の力がみなぎってくるのを、今全身で感じている。
 目の前の金属の台に置かれているのは、たいていの科学者が用いているだろう多量の実験器具。その透明なガラスには幾色もの液体が沈み、わずかな振動で波紋を描いている。その隣には、青白い液の残った注射器が無造作に転がっていた。
 興奮に身を震わせる私の隣に、線の細い少年が音もなく歩いてきて足を止めた。

「……」

 台上の液体を見つめる顔は冗談でも健康的とは言えず感情も感じられないが、よく見るとまだ幼いことが分かる。眠っていないのか、黒くくすんだ眼元をごしごしとこすり、彼は黙って私に視線を向けた。

「君のお陰だ。君が手伝ってくれたお陰で、ようやく完成した……!」

 この試みを始めてから8年という時が経過していた。寝る間も食う間も惜しんで、器具と薬品と毎日、毎日にらみ合い、無数に思えるほどの液体を調合し、実験をし、数値を示して再び薬品とのにらめっこ。長い、長い時だった。しかし何の組織にも属さない、2人というごく少数の科学者が8年で実験の成果を出す、ということは、あるいは幸運なことなのかもしれない。たった8年だった、というべきなのだろうか……。
 何にせよ、実験は成功したのだ。私の努力がついに実を結んだのだ!
 現実であることを確かめるように両の拳を力強く握ると、先程まで無言だった少年が、まだ声変わりしない声で囁くように言った。

「ぼく、……少しは“かげはる”様の役に立てた……?」

 彼の至極純な気持ちが伝わってくる。はっきりと頷いてやると、少しはにこりとするかと思ったが、ごく僅かにも表情は動かない。

 ——この子は今何を感じているのだろうか

 長きにわたる研究によって身に宿った、“透視”の能力。あらゆる障害物を無にし、普通視界に入るはずの無いはるか遠くにあるものをも見ることができる能力。しかしこの能力を持ってしても、人の心は、——彼の心は覗けない。


「——天音」


 私は少年の目を覗き込んで、そう呼んだ。

「私と同じ、能力者になろう。そしていつかはこの薬を世界中にばらまいて——……」

 試験管の中の色とりどりの薬品。それぞれが異なる性質のものであり、体内に入れたときにどのような能力を発するかは、今の段階では未知である。しかし、だからこそ、私は興奮するのだ。未知のものを追いかけたくなるのだ。

 天音が一番手近にあった、桃色がかった液体を手で示す。私は満足感に笑みを浮かべた。

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Enjoy Club 第1話『謎の闇組織E・C』(6) ( No.10 )
日時: 2010/08/18 17:37
名前: 友桃 (ID: 7hab4OUo)

 HR終了後、私は早速津波を連れて恵玲の所へと向かった。恵玲の席は窓際の前から2列目という、ど真ん中の席の私からしたら何ともうらやましい席だった。

「恵玲」

 近付いたところで声をかけると、彼女と一緒にその隣の席の子も驚いたように振り返った。真っ直ぐなセミロングの黒髪を耳の下で2つに結った、とても清楚で純粋なイメージの女の子だった。どうやら席が隣同士の2人で盛り上がっていたらしい。

 恵玲はこちらを振り返ると、私にはまず向けられない、実に可愛らしい笑みを浮かべて、隣の子を手で示した。

「あ、亜弓! この子、美久っていうのぉ。今日一緒に帰ろって話してたとこなんだぁ。いいでしょ?」

 ……声音まで、急変している。私と2人で話すときの、いかにも気が強そうな、そして若干冷めたような声は一切消え失せ、女の子らしいと言えばらしい、柔らかいものになっている。そして、語尾が伸びているのは……気のせいではないだろう。

 しかし私はそれぐらいでは驚かない。
 この子は昔からそうなのだ。私以外の子がいる場面では、自分の“強い”性格をめったに出さないのである。しかも悔しいことに彼女の面立ちからして、どちらの表情・しゃべり方も不思議と外見にマッチしてしまうのだ。

 というわけで、いちいち彼女の態度の変化に突っ込む気などさらさら無く、私は彼女の質問にもちろん笑顔で答えた。

「いいですよ。一緒に帰りましょ。……ところで、私も一緒に帰りたい人がいるんですけど——」

 一緒に連れてきた津波を視線で示す。
 恵玲も美久も、快く受け入れてくれた。




 “沢田美久”——。それが、恵玲が紹介してくれた子の名前だった。
 私達4人の中で格段に大人しく、どことなくふわふわした、例えて言えば子犬のようなイメージの女の子である。雪のような白い繊細な肌をしていることも、彼女の清楚や純粋といった第一印象のもとになっているだろう。

 そして極めつけは、その声。
 鈴の音のような耳に心地よい声で、

「あ、亜弓ちゃん…って、呼んでも…いい?」

なんて言うのである。
 その声を聞くだけで、心が癒されるような気がした。隣に並んで歩く津波とお互い目をキラキラさせて、「可愛い……」と2人同時に呟く。

「アタシ、こういう、なんていうか天使みたいな子初めて見た……」

 津波が放心したように言い、私と恵玲はそれはもう何度も大きくうなずいた。そんな私と恵玲に挟まれて、美久は激しく恐縮している。

 しかし、これでは全く話が進まないので、私は白い肌を桃色に染めて恥ずかしがっている美久に言った。

「その呼び方でも全然OKですけど、一応今まで“あーちゃん”って呼ぶ子多かったんで、どっちか呼びやすい方にしてください!」

 すると美久はどことなく嬉しそうに、「あーちゃん……」と確かめるように呟いていた。

 ちょうどその時、恵玲が携帯を開いて何かを確認し、

「そろそろ行った方がいいかなぁ……」

と独り言を漏らしたのである。またか、と呆れ半分な気持ちで彼女を見ると、津波ら2人にも聞こえたらしい。不思議そうに恵玲へと視線を向けた。

「恵玲、何か用事あんの?」

 津波の声にハッと携帯から顔を上げる恵玲。それから申し訳なさそうに眉を下げて、とても残念そうな声で、

「うん、そうなの。……ごめんね」

そう言った。そんな大きな目を伏せられて謝られてしまったら、こちらとしては引き止められない。
 私達は、また明日たくさん話そうと約束し、恵玲だけが途中の道を違う方向に歩いて行った。


 その後彼女と逆方向に歩いて行った私は全く気が付かなかった。



 彼女が、普通の人間ではありえない速さで路地を駆け、

 自分の身長の何倍もある家に飛び乗り、屋根伝いに進んでいき、



 そして——



 何の迷いもなく、ある組織の集会へと向かっていたのを—————


Enjoy Club 第1話『謎の闇組織E・C』(7) ( No.11 )
日時: 2011/08/10 21:59
名前: 友桃 (ID: AEu.ecsA)

————亜弓にさえ、言えない——……



 風を切る音がビュンビュンと耳元で響いている。周りの景色は、正確に把握するのが難しいほどに目まぐるしく変わり、自らの体は反動をつけるために爪先を地につける以外、大半は宙に浮いている。
 仮に自分の下に見える住宅街を誰かが歩いていたとしても、常人には早すぎて気付かれることはないはずだ。


 屋根の上を滑空する少女——荒木恵玲は、何度目かの反動をつけながら、唇を固く結んだ。




————大親友の亜弓でさえ、絶対に言えない
    あたしが今、どこに向かっているのか
    そこが、どんな所なのか
    そしてあたしが、どんな能力を持っているのか——……




 恵玲は、ある一軒家にたどりついたところで、ようやく足をとめた。茶色い屋根に、クリーム色の壁、門のところには綺麗な花々の咲いた花壇がある、上品な2階建ての建物だった。

 ためらいなくインターホンを押し、返事を待たずに玄関のドアを開ける恵玲。どうやら来訪を告げるためだけに押したようだ。
 中に入ると、恵玲は精一杯に可愛い声で正面奥のリビングに向かって叫んだ。

「ウィルくぅ〜ん!!」

 すぐに、リビングのドアを開け、1人の少年が姿を見せた。
 
 これがまたなんとも目を引く人物なのである。透き通るような銀髪に、アジアでは見られない独特の白い肌。そして女の子のように大きな瞳は、綺麗な蒼色をしていた。黒が基調の服を着ているため、肩下まで伸びた銀髪がよく映える。
 外見からわかる通り、彼は純粋な日本人ではない。イギリス人と日本人のクォーター。初めて会ったとき、彼は自分のことをそう言っていた。つまり、4分の1だけ日本人の血が流れているということだ。

 “ウィル”と呼ばれた彼は、にこりと可愛らしく微笑むと、彼に見とれてしまっている恵玲の元へと歩いて行った。

「おかえり。学校忙しいのにごめんね、呼び出して」
「ううんっ、全然大丈夫! ウィルくんに会えるもんっ」

 恵玲の直球なセリフにも、ウィルはちょっと困ったような照れたような笑みを返すのみである。その彼は、男性にしては背が低く、身長が低い部類に入る恵玲ともそれほど差がないくらいだった。

 ウィルはそこでさりげなく恵玲の荷物を代わりに持っている。

「あ、ありがとう」
「リビングに運んでおくね。あと、ぼくの部屋で“みぃちゃん”が待ってるから、行ってきたら?」
「本当!? みぃちゃんもぅ来てるんだ。行ってくる!」

 ウィルの誘いに従って上の階に昇ろうとした恵玲は、階段に一歩足を踏みかけたところで、再びウィルを振り返った。ウィルが「何?」と目で問いかけてくる。

「今日は何か話があるの? 新しい任務?」

 彼女の問いにウィルは首を横に振る。嬉しそうな、華やかな笑顔を浮かべて、

「“影晴様”から入学のお祝いの言葉をいただいたから、伝えようと思ったんだ。それと、お祝いパーティー」

 恵玲の頬が一気に紅潮する。黒目をキラキラと光らせて、興奮した口調で言った。

「影晴様が!? あたしに!?」
「うん、あとみぃちゃんの中学入学に対してもね」

 と、そこで恵玲はまたも何かを思い出したように、表情を変えた。

「白波くんは!? もしかして今日来る? あたし、この前の任務からずぅ〜っと会ってないんだけど……」

 それに対しては、ウィルが苦笑いをもって答える。

「白波は神出鬼没なとこがあるからねー。集会にもほとんど来ないしさ。今日もどうかな〜」
「えぇ〜! せっかく会えるかもって思ったのにぃ」

 あっという間にしゅんとして落ち込んでしまう恵玲である。そんな彼女を見たウィルは困ったように笑って、階段の方を目で示した。

「それより今は、みぃちゃん、待たせてるよ」

 恵玲がハッとして顔をあげた。そしてすぐにむっとしたように、大きな瞳でウィルを睨む。

「もぅウィルくんてば、みぃちゃんみぃちゃんって……!!このロリコ〜ン!!」
「えっ、そんなんじゃ——」

 叫びついでにパタパタと階段を駆け上がる恵玲。最初は困ったような表情を浮かべていたウィルも、いつの間にか優しい笑みを浮かべていた。




————ここのことは、誰も知らない
    あたしたちだけ……
    人外の能力を持ったあたしたちだけの場所なの




「——闇組織E・C」




「——? どうしたの? 恵玲姉ちゃん」 

 心配そうに、セーラー服を着た女の子——みぃちゃんが声をかけてくる。

「ううん、ごめん。何でもないよ」



 つい声に出して言ってしまった。




————あたしたちの組織の通称



————“闇組織”




————知られてはいけない
    あたしが組織の一員だってこと
    赤の他人にも、学校の友達にも、そして……
    


    友賀亜弓にも————


Re: Enjoy Club ( No.12 )
日時: 2010/08/18 21:56
名前: 花見 (ID: 7GPkHSud)

またまた見に来ちゃいました!!

意外ですね〜。。。>д<
まさか恵玲ちゃんが・・・。

いつからだったでしょう・・・;;
これを亜弓が知ってしまったら・・・>皿<ムォー!

でも移動中に色々暗いこと考えてた恵玲が
ウィル君に会った瞬間に可愛くなっちゃうとか(笑)

「なぜだぁ!!」と思いました☆^^

影晴様・・・。
出てきましたねぇ・・・。

Enjoy Club 第1話『謎の闇組織E・C』(8) ( No.13 )
日時: 2010/09/16 22:04
名前: 友桃 (ID: pQfTCYhF)

 亜弓ら4人が共に帰路についている頃……
 紫苑風也は、突然現れたやたらと視線の熱い少女を前に途方に暮れていた——



 話を戻そう。

 “紫苑風也”といえば、ここらではちょっとばかり有名な人物である。

 “不良のたまり場・下橋のトップ”——

 その噂は2年ほど前から驚異的なスピードで広まっている。唯一救いと言えるのが、彼の容姿について把握している人は、比較的少数だということだ。ちなみにその少数とは、同じ下橋に集まる不良グループのメンバーと、他地域の不良たち、そして彼と同じ小学校に通っていた人達である。つまり、それこそ今のように堂々と桜通りを歩いていても、金髪であることに対して敬遠されるだけで特別な視線は受けないわけだ。

 では、なぜ彼の容姿が知れ渡らないのか……
 おそらくそれは、男性に使うには不適切かもしれないが、紫苑風也という人物がかなりの美人だ、ということがある。

 たいてい噂を流すのは、ライバルグループだ。そして噂の内容は、“悪い”ものが多いのである。これは、不良の間だけにとどまる話ではないだろう。
 何にせよ、彼の容姿についてはそうそう文句をつける点がない。噂として流す悪い情報がないのである。

 今彼は、両手をズボンのポケットに突っ込んで、固く唇を閉じ、どこか不機嫌そうな目つきで歩を進めていた。学校帰りなのか、とりあえず指定の制服を着てはいるが、ワイシャツは胸元まで大胆に開けられ、代わりにシルバーのネックレスが下げられている。学ランも上から羽織っているだけだ。髪型は、不良にしては地味なショートカット。歩くたびに首筋まで流れる金髪が揺れ、今にもサラサラと音が聞こえてきそうである。

 と、不意に足音が近付いてくるのに気付いて、風也は警戒心を強めた。

「——紫苑風也くん、だよねっ!?」

 声をかけてきたのは同じ風音高校の制服を着た女の子で、彼は内心息をついていた。
 とりあえず立ち止まるだけで返事をしないでおくと、彼女はアイドルを見るような、興奮しきった熱い視線でこちらを見つめてきた。

「あたしっ、あたし、美沙っていうの! 町田美沙! 同じクラスなんだけど……覚えてないかなぁ?」

 同じクラスと言われて初めて、風也はその女の子——町田美沙にちゃんとした視線を向けた。

 前髪パッツンの、黒髪ストレートでセミロング。目はぱっちりと大きく、顔立ち全体も、スタイルも……悪くない。自分の気持ちに正直に生きていそうな、そんな印象を与える子である。……ある、が——

 全く見覚えがなかった。

 まだ2日目でクラスメートを把握していないのは、当然と言えば当然なのだが。

「……2日目で顔なんて覚えてねぇよ」

 至極面倒くさそうに言うと、途端に町田が食いついてきた。

「声!!」
「——あ?」
「声もかっこいいね!! ねっ、風也くん、今でいいからあたしのこと覚えてっ」

 両手を胸元で握り、それはそれは迫真の表情で風也に迫っていく町田。対して風也は、この恐れを知らない謎の女に、むらむらと疑念がわいてくるのを感じていた。

「なんでそんな——」

「好きだからっ! 大好きなのっ。一目惚れしちゃったのぉ!! だから、ね、仲良くしよぉ」


 ……正直風也は目の前の少女に唖然としていた。


 ——……何なんだ、この女は……

 こんなにバカ一直線に告白してくる子は初めてである。しかも、この往来で、だ。
 からかっているのだろうかと眉をひそめた風也だが、彼女の目は心底本気のように見える。その熱い視線が痛い。



 ——興味がなかった。



 この子に限らず、学校の面々に。今日も行っただけ偉いと思う。……ずっと寝通しだったが。

「……悪ぃけど、他のヤツ探しな。もっといいのいんだろ」

 ため息交じりにそう言って彼女に背を向けると、突然ガシッと右腕をつかまれた。おそらく、つい手を伸ばしてしまったのだろう。しかし瞬間、皮膚が粟立ち、同時に頭にカッと血が上るのがわかった。

「何で風也くん、あたし——」

「離せ!!」


 ——……触るな……っ!!


 風也の冷たく鋭い視線が町田へと向けられ、同時に彼女の手は簡単に振り払われてしまった。呆然として彼を見つめる町田……。

 そして風也は何も言わずにその場を去っていった。




 取り残された町田を、遠く離れた所から見つめている人物がいた。
 ピカピカの学ランは上までボタンが止められ、びしっと完璧に着こなされている。
 しばらくの間、眼鏡越しに町田の後ろ姿を見つめた後、彼はきっちりとした足取りで駅の方へと歩いて行った。

Re: Enjoy Club ( No.14 )
日時: 2010/08/18 23:05
名前: 友桃 (ID: 7hab4OUo)


花見さん!!また来てくれるなんて本当にうれしいです……っ!!
まぢ神ww←


ウィルくん大好きな恵玲は、相手によってころころキャラの変わる子なんで(笑
てか相手によって変わるとか、改めて考えるとひどい子ですね(笑←←

名前だけ出てきましたけど、E・Cのメンバーにもう1人男の子がいるんです^^
その子とはどうなるのかな〜っていうのも、この先書きたいですね><!!

影晴はまたしばらく出ないかな〜笑


じゃあ今から花見さんの小説読みにいきまーす♪


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