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【後書き更新】ネオンソーダの泡達のポップ 【完】
日時: 2013/04/05 16:39
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: uM8899vc)

>ぱちんぱちんと消えるモノほど、
>何かを残していくものなんだぜ

れとらです。
放置してたのを開いてやりました。

ネオンなポップなしゅわしゅわな話←
訳分かんねぇよ。

まあ、頑張ります。

目次  登場人物 >>6

0 >>1 
1 >>2>>3
2 >>4>>5>>7
3 >>8>>9(2行まで)
4 >>9,(●の後から)>>10>>11>>12>>13
5 >>14>>15>>16>>17
6 >>18>>19>>20>>21
7 >>22>>23>>24
8 >>25>>26>>27
9 >>28>>29>>30

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Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.17 )
日時: 2013/04/01 11:50
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)


8歳と12歳だった私達の時は経ち、奏都と私は、12歳と16歳になった。
奏都は歌うことも奏でることも諦め、とうとう声も出なくなった。
ストレスが声帯に影響するタイプだと医者は言ったが、私は知っていた。
前に、奏都がハサミで喉を潰そうとしていたことを。
それは未遂で終わったものの、奏都は代わりに手首の傷を重ねていった。

奏都は、もう、1年半声を出していない。
奏都は、もう、1年半外へ出ていない。
奏都は、もう、傷つける手首もなくなった。

そんな奏都と、もう、2年は会っていない。

              ●

そんなことを一通り吐けるだけ吐き出すと、もう出る言葉も無い。
そして、ケイも話し出した。

Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.18 )
日時: 2013/04/01 12:05
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)
参照: 重くてごめんなさい。いじめとか書いちゃった・・・


[kei side]

中学生だったあの頃、僕は学校に行っていなかった。
10歳だった奏都はまだ頑張って外の世界に居た。
やることも無くて、僕は毎日学校の奴らが来ない公園の滑り台でふて寝していた。

『10:29』と表示する携帯を握り締めて、もう一回寝ようかと空を見上げる、と。
小学校の方から男の子が走ってきたのが見えた。

「(まだ学校だろ……。人のこと言えないけど)」

男の子もこちらに気付いたようで、近づいてくる。
悪質ないたずらと認識したのは、赤のマジックで殴り書きされた上履きだった。
外靴は誰かにやられて履いてこられなくなったんだろう。
例えば、捨てられたとか。

僕の実体験と重ね合わせていた。

Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.19 )
日時: 2013/04/05 11:22
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: uM8899vc)
参照: 重ッでも最後はハッピーエンドなんで!!!


「何、してんの」

彼は小さな身長で、僕を見下げている。
学校は、と言いたそうな顔に、お前は、と言いたくなる。

「そっちこそ」
「僕は不必要だから追放されたんだ」
「は?」
「音楽のグループ練習。僕だけ必要ないんだって」

いつの間にか僕の近くに座っていて、ランドセルの中を見ていた。
破り裂かれた教科書に、目も当てられない。
それは、デジャヴだった。
僕はそれを経験したことがある。
ある、あるんだ。

教科書が破り裂かれ、上履きは赤でペイントされた。
毎日の様に、机には大量のゴミが置かれ、椅子には画鋲までおいてあったりした。

「お前、辛くないの」
「辛いけど、お姉ちゃんの方が辛いはずだから」

その時聞いた話が、佐倉玲加の話だった。
彼を気遣い、音楽を聴かないで暮らしていた日々に来た落とし穴、ふたつ。
その姉を、弟は気遣い、外の世界にいるらしい。
可哀想な、姉弟だと、思った。

「それで、お兄さんの方は」
「いじめられて、登校拒否。家にいるのも嫌だから、此処にいる」
「僕と同じだ」
「お前、名前は?」

佐倉、奏都とか細い声で名乗った奏都は、本当に、自分の名前が嫌なんだ、と感じさせた。
近田圭という自分の名前を言ったとき、ジリジリとした日差しが、揺れた。

Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.20 )
日時: 2013/04/05 11:35
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: uM8899vc)
参照: 重ッでも最後はハッピーエンドなんで!!!


それからというもの、奏都はランドセルも持たずに僕のところに来るようになった。
奏都は、学校にも行かなくなった。
僕と奏都はどうでもいいことを話す、という仲になったが、それでもお互いの傷は消えない。

「自分を下げれば、傷つかなくて済む」

そう、奏都が言ったから、僕は今、敬語を使っている。


僕が受験勉強をし出してから、奏都とは会わなくなった。
そして、佐倉玲加と出会った。

これは、ある種の運命だろうか。


                ●

これが、僕と奏都の話だと、レイに話すと、驚きの顔を見せている。
そして、僕は言いたかったことの全てを話出す。

Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.21 )
日時: 2013/04/05 11:44
名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: uM8899vc)
参照: 重ッでも最後はハッピーエンドなんで!!!


「もう、縛られるのは辞めません?あなたが過去の自分の言葉で音楽に触れることを躊躇するのは望んでいないと奏都は話してくれましたよ、僕に」

静かな音楽室に、僕の声が響く。
いつの間にか、マイも来ていた様だ。
でも、と俯く彼女にもう一度だけ。
僕は、君達姉弟を、助けたい。

「あなたは、弟の気持ちとか反対に音楽に拒絶していた自分を。僕は、過去の絶望をまだ引っ張っている自分を。……マイも、あの頃の世界がまだ脳裏に残る自分を。ダイも、あの人の残像が残る心を持つ自分を。もう、手放しましょう」

そして。
マイはあの頃の世界を、吐き出した。


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