コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【後書き更新】ネオンソーダの泡達のポップ 【完】
- 日時: 2013/04/05 16:39
- 名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: uM8899vc)
>ぱちんぱちんと消えるモノほど、
>何かを残していくものなんだぜ
れとらです。
放置してたのを開いてやりました。
ネオンなポップなしゅわしゅわな話←
訳分かんねぇよ。
まあ、頑張ります。
目次 登場人物 >>6
0 >>1
1 >>2,>>3
2 >>4,>>5,>>7
3 >>8,>>9(2行まで)
4 >>9,(●の後から)>>10,>>11,>>12,>>13
5 >>14,>>15,>>16,>>17
6 >>18,>>19,>>20,>>21
7 >>22,>>23,>>24
8 >>25,>>26,>>27
9 >>28,>>29,>>30
- Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.7 )
- 日時: 2013/03/26 09:36
- 名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)
「貴方たちは、私に、入ってほしいのですか」
気付けば、こんなことを口走っていた。
生意気な後輩だと、思われたかもしれない。
でも、それは、私が思ったことの全てで。
気になったから、この部屋に入っただけだということは、言わなかった。
「それは勿論です」
先輩なくせに、敬語を使うことはケイの意義なのか。
「此処にはギターがいないしね」
可愛らしい童顔とは裏腹に、きつい口調のマイ。
「君はきっと、センスがあるよ」
何の根拠も無く、笑ってみせるダイ。
この頃の私は、彼らの事を何も知らなかった。
●
また来ます、とそう一声掛けて部屋を出てきた。
体が心臓になったような、そんなドキドキの余韻がまだ身体に残っている。
でも、私には、人前に出ることは正直まだ出来なかった。
「軽音楽、ね」
そこらへんにあった小石を蹴って自転車小屋へ向かう。
西棟の左側にある自転車小屋には、彼らの音楽は聞こえてきた。
凄くいい音なのだ。本当に。
けれど、何かを伝えるような音楽は、生まれてない。
完全下校まであと数十分。
「(彼らはいつまで、その音を奏で続けるのだろうか)」
- Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.8 )
- 日時: 2013/03/27 14:42
- 名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)
「レ、……佐倉さん」
あの出会いから数日後、廊下でケイに呼び止められた。
一度「レイ」と呼ぼうとしたかのような言い方に、すぐにバンドの人だと思った。
なんですか、と振り向いてみればやっぱりケイで。
探し回ったのかは知らないが、息が絶え絶えだ。
「あの、なんですか?ケイ、先輩」
「ダイ、が呼んで、ます。西棟のあの場所で」
あの場所、というのは勿論旧音楽室だろう。
僕は、その、後で行きます。
そういって、ケイは立ち去っていた。
背の高いケイは、見かけによらず小心者なのかなと思った。
- Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.9 )
- 日時: 2013/03/27 15:34
- 名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)
例の場所に着くと、イヤホンで音楽を聴きながら瞑想しているように目を瞑るダイが居た。
あの頃からの記憶が甦ったようで少し、怖くなった。
●
「あたしね、クリスマスにね、プレーヤー貰うんだ♪」
クラスでは音楽プレーヤーが流行っていて、当時の私の親友もクリスマスに貰うと話していた。
ブームの火付け役はクラスの中心女子であった立夏で、誕生日にプレーヤーを買ってもらったと、皆に自慢していた。
徐々にそれは、女子、男子と広まっていって、持っていないほうがおかしいという風にまでなってしまった。
持ちたいとも思わなかった私は、親にせがむこともなくのうのうと過ごしていたんだけれど。
そして、あれが起きる。
「ねえねえ、明日さ、市営団地の皆でプレーヤーの曲とか見せ合わない?」
立夏が冬休みの過ぎたある日、そう言い出した。
私も市営団地の3階に住んでいたので、その会合には参加しなければなかった。
最大の問題は、私がプレーヤーを持っていないことで。
同じ3階の健斗も、4階の親友・奈緒も、5階の智香も皆持っている。
何かが起きる気がして、不安だった。
- Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.10 )
- 日時: 2013/03/28 13:49
- 名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)
遊びの場所は、市営団地の前の公園だった。
奈緒と共に足を運ぶと、もうメンバーは揃っている。
皆、手には赤、桃、青、黒などの色とりどりのプレーヤーが納まっている。
「あ、奈緒ちゃん!玲加ちゃん!早くー」
うん、と走っていけば、奈緒も片耳だけイヤホンを付け、また音楽の話になる。
「あ、奈緒ちゃんのやつ水色なんだー」
「立夏のはピンクかー。立夏らしいね」
「俺は断然黒!」
「健斗っぽいー」
私は話についていけなくてただ、ボーっとしていた。
その時だ。私が流行というものがとても大事だということを知ったのは。
「玲加のは?」
最上階に住む絵梨奈が、私に言ったのだ。
絵梨奈のものは結構高いゴールドで、皆の目を惹いていた。
- Re: ネオンソーダの泡達のポップ ( No.11 )
- 日時: 2013/03/28 14:14
- 名前: れとら ◆8Odabd9tcI (ID: MGsyo9KU)
「え、私持ってない……」
そう言った時、皆は嘘、と目を丸くしたり、まじで、と声を漏らすような反応をした。
立夏はとても優しく、右耳のイヤホンを私に貸してくれ、音楽を聞かせてくれたりした。
奈緒もそうだった。
けれど、底意地が悪かったのは絵梨奈だ。
「えー?今時持ってないの?玲加もう12歳でしょ?」
12歳で持っていないのは普通じゃない、なんて誰が決めたんだ、と思った。
そんな言い方やめなよ、と立夏は絵梨奈をなだめるけど、それでも絵梨奈は止まらない。
健斗も、智香もおい、とかちょっと、なんて言ってるけど、絵梨奈の口は元気に動き続ける。
「玲加さ、前から思ってたんだけど、音楽ってなるとノリ、悪くなんない?」
「それに、皆が話してると笑顔消えるし」
「ホント、あたしこういう子、嫌−い」
次々と並べられていく私への中傷。
仕舞いには、他の皆まで罵り始めた。
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