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宮廷物語〜試練時々恋愛〜
日時: 2013/08/21 20:57
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

初めまして。音です。
初心者なので、変なところもたくさんあると思いますが、頑張って行きたいと思っています。
感想等、いただけたら嬉しいです。

暗くするつもりは無いのですが、初めの方に暗めなところが多々あります。……が、そこメインではありません。
他は、面白くなるようにつとめていますので、よろしくお願いします。

*目次*
お知らせ >>169  2013/8/12 更新

登場人物紹介 1>>1>>17>>20
登場人物イメージ>>31

序章 1.2.3>>2-4>>9
第一章 1>>10>>16>>21
第二章 1>>27>>32>>34>>43>>46 6.7.8>>51-53
第三章 1.2>>72-73>>76>>81
第四章 1>>110>>119>>134>>136>>144
第五章 1.2>>173-174

ルト 1>>11>>13>>15
エリ 1.2>>23-24>>149
ショウ 1>>25>>61>>63
カエ 1>>26>>66>>145

〜参照200記念番外編〜
○この番外編の説明>>87
カナエ×ショウ Ⅰ>>88>>92>>97>>100 Ⅴ.Ⅵ>>103-104

〜参照500記念番外編〜
○この番外編の説明>>150
♪カナエ×ルト Ⅰ.Ⅱ>>155-156>>161
☆エミリ×ショウ Ⅰ.Ⅱ >>167-168

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Re: 宮廷物語? ( No.11 )
日時: 2013/05/17 22:46
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

ルト *1*

 俺は、カナエの幼なじみ兼執事だった。
 だけど、あり得ないくらい泣き虫で、カナエや年下のカエにまで、迷惑をかけていた。

 それでも、楽しく暮らしていた。

 カナエ達のお父様が亡くなって、新しいカナエ達の父親が来た。
 その人は、カナエ達に暴力をふるった。

 カナエは、カエとカコを守っていた。
 そして、カエもカコとカナエを守っていた。

 俺は、その時も『怖い』と言って、両親にくっついていた。

 ある日、俺は、カナエとカエが喧嘩をしているところを初めて見た。

 そして、カナエが怒鳴るところも初めて聞いた。

『姉様は、あいつにあんなことされてなんとも思わないのかよ?』

 手を強く握って、怒りを抑えているカエ。その手は震えている。

『あいつなんて言ったら駄目。レスタ様にも何か事情があるんだよ』

 カナエはニコニコと、朗らかに笑っている。いつも通り、に見える。

『カナエはいつもそればっかりだ! 私が二人を守るから。とか、私なら大丈夫とか、レスタ様も辛いんだとか!
 大丈夫な訳ないだろ! 俺は男だから、女の子を守ってあげなきゃいけないよってお父様が言ってた! 実際、俺よりカナエの方が弱いんだから。なのに、なのに、お母様がかわいそうだっ!』

 カエは、遂に怒りが爆発したみたいで、怒鳴りはじめた。最後の方は泣きそうだ。
 俺は、それを見ても止めに行く勇気が出なかった。

『カエ、なんでお母様がかわいそうなの?』

 カナエはキョトンとしている。

『あんな奴っ——』

 カエは一瞬、どう表現すればいいか迷ったように、目を泳がせた。

『最低だ!』

 最低。という言葉を今までで一番大きく叫んだカエ。

『ちゃんと、質問に、答えて。カエは、レスタ、様の、表情、よく、見たことある……?』

 やばい。と思った。カナエが途切れ途切れ話す時は、キレる直前なのだ。いつもは、そこで皆でなだめていたから、カナエのキレた様子を見たことがない。
 ただ、今回は喧嘩だ。カエがなだめる訳がない。

『見る訳ないだろ! あいつの顔なんて!』
『カエ、黙って……』

 ここは、俺が止めに行くべきだと思った。だけど、臆病な俺は、カエにあんな風に怒鳴られたら嫌だ。とか、カナエにも怒られるかもしれない。嫌だ。とか、くだらない理由でその場から動けなかった——違う。動かなかった。

『はあ? なんでだまんなきゃいけないんだよ!? あいつなんて——』
『黙れって言ってんでしょっ! レスタ様はお母様のこと、本当に好きなんだよ!? 見ててわかんないの!? お母様には絶対に暴力をふるわないでしょ? それに、レスタ様はいつもかなしそうな顔してる! 本当は私も痛いけど、お母様は痛くないからいい……』

 カナエは、カエの言葉を遮って一気にまくし立てた。

『意味わかんねぇよ!』

 今思うとかなり幼い発言で、はっきり言うと俺もあまり意味が分からない。だけど、いつも静かでニコニコしているカナエが、自分の思いを人に話すことは少なかったから、カエも言い返せなかったんだと思う。

 カエは部屋を飛び出して行った。

Re: 宮廷物語? ( No.12 )
日時: 2013/04/12 22:44
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

ふらふらとさまよっていたら、
すてきすぎる小説に出会ってしまった・・・Σ(゜□゜ )

はじめまして(ぺこり

にしても、なんと流れのわかりやすい話でしょうか!!
この読みやすさやばい・・・
ぜひとも見習いたい!!


続きたのしみにしてます(^^)

Re: 宮廷物語? ( No.13 )
日時: 2013/05/17 22:49
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

ルト *2*

 俺は呆然としていた。

 カエとカナエは、普段全く喧嘩をしない。とても仲が良い。
 なのに、喧嘩をしていた。

 そのことにも驚いていた。だけど、カナエが怒鳴るのを聞いたことが一番驚いた。

 そして、自分を恨んだ。

 主人を守るのが、執事の役目だ。
 なのに、守るどころか両親にくっついて、怯えていただけだった。
 その結果、カナエやカエを追い詰めてしまった。
 悪いのは、レスタ様だけじゃない。自分も悪いと思った。

 まだ朝早く、外はとても暗かった。雨もザーザーと降っていた。

『……ぅ、うっ、うぅ……』

 その暗い中、カナエが泣いていた。

 今までカナエは、幸せそうな表情しかしてないというくらい、ニコニコしていた。
 その彼女が泣いていた。

『カナエ様』
『ふぇ?』

 カナエがこっちを向いた。さっきまで泣いていたのに、今は泣きそうな顔で笑っている。

 自分が、執事という役目を果たさなかったから——

 俺がもっと強かったら——

 泣き虫じゃなかったら——

『喧嘩しちゃった』

 普段に比べて、明る過ぎる様子で話し出したカナエ。

『うん』

 なんて声をかければいいか分からなかった。

『私、もう泣かない』

 カナエは決意したように無理して笑いながら言う。

 でも、

『カナエ様』

 それでも——

『私はもっと強く——』
『カナエ! ごめん。俺がもっと強かったら』

 ——そう。俺が強くなきゃいけなかったんだ。

 俺はカナエのだんだん涙声になっている言葉を遮って、ギュッと抱きしめた。
 強がるカナエを見るのが辛かった。自分のせいだということをさらに強く思った。

『カナエは強がんなくていいから。今だけでも、甘えて。誰かに頼って』

 それしか言えなかった。俺に頼って。なんて言いたくても言えない。

『ぅ。ぅ、ぅわあ!』

 俺はこの時、決めた。

『聞いて。俺、カナエを守る為に強くなってくる! だから、強がんないで』

 もう、カナエを泣かせない。と。

『う、ん』


その日、カナエ達は孤児院に行くことになった。

Re: 宮廷物語? ( No.14 )
日時: 2013/04/12 23:13
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

いろはうたさん
はじめまして!コメントくださってありがとうございます!
すてきすぎるなんて…/(//∇//)/
とても嬉しいです!
読みやすいとも言っていただけて、本当に嬉しいです!

続きも、もっと頑張らせていただきます!


なんか、ちょっと暗めになってますが、もうちょっと明るいお話になる予定です。

Re: 宮廷物語? ( No.15 )
日時: 2013/05/17 22:51
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

ルト *3*

 俺は、両親にも置き手紙だけを残して、誰にも言わず修行に出た。

 とても厳しいと言われている軍隊に入ることにした。

 訓練は、とても辛かった。最初なんか何も出来なくて、誰も居ない部屋のすみで泣いてしまったこともあった。

 ただ、カナエ達、特にカナエのことを考えると頑張れた。

 嫌いなものがあって夕食を残そうとした時に、カナエだったら『食べなきゃもったいないでしょ』とか言いながら、眉間にしわ寄せつつ食べるんだろうな。
 だけど、きのこ類だけはどうしても食べられなくて、皿のわきによけていたっけ。とか思い出して、結局、完食したりした。
 後で先輩に、『何ニヤニヤしてたんだ〜』って聞かれたっけ。

 カナエの表情、言葉、動作……。思い出すと可愛くて。
 そんなことを考えている自分がおかしくて。
 なんか分からないけど、元気になれた。



 俺は、努力の甲斐があってかまだ若いからか、4年で退隊することが出来た。

 4年がたち、心も身体も成長して、分かったことがある。

 あの夜、お母様が痛くないならいいと、カナエは言っていた。
 だけど、子供達が辛い目にあっていたら、お母様も当然辛かったはずだ。



 これからは、俺が皆を守る。


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