コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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輪廻転生——時を越えた恋心——【3/22更新】
日時: 2014/03/22 09:45
名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: WCPibcIC)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=24475

     桜咲く春、君に出会い   太陽輝く夏、好きになり

     紅葉舞い散る秋、告白し  雪降る冬——君を失った。


     これは——平凡な少年と、非凡な少女と、日本に伝わる伝説を廻る


          ——優しい恋の物語——



               *

初めまして(の方が多いかな?)緑茶と申します!
今まで二次映像で書いていたのですが、そちらの作品が完結いたしましたので、新しい作品を書くことにしました!(前の作品は、上のURLから行けます)

亀更新ですが、よろしくお願いしますm(__)m


【目次】

*プロローグ >>1
*1* >>2
*2* >>7
*3* >>8
*4* >>9
*5* >>13
*6* >>20
*7* >>23
*8* >>26
*9* >>31
*10* >>33


【キャラ紹介】 >>3
【用語紹介】 >>4

【参照数】
100突破 >>10
200突破 >>17
300突破 >>20
400突破 >>25
500突破 >>32


《お客様》
朔良様
shadow様
カナタ様

《special thanks》
わちや様

《2014.1.1 始動》

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Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/28更新】 ( No.19 )
日時: 2014/02/02 16:55
名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: HWQyDP4e)

カナタ様

嬉しいお言葉、ありがとうございました!!

更新頑張りますo(`^´*)

Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/28更新】 ( No.20 )
日時: 2014/02/04 20:39
名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: UKb2Vg8d)

*6*

 放心状態で家に帰った僕は、すぐさま二階にある自分のは部屋のベッドにダイブした。
「はぁぁ……」
 大きな溜め息を一つ吐き出して考える。
 簡単に答えてはいけない問題だったから、檜扇さんには「考えてさせてほしい」って言って帰ってきたけど……まさか僕のことを好きだなんて、思ってもいなかった。
 燐の話によると、僕は表情があまり表に出ないタイプらしいし、物事には基本無関心な性格なのも自覚している。だから、こんなにつまらない僕のことを好きになってくれる人がいるなんて、考えたこともなかった。
「…………」
 檜扇さんが嫌いな訳では無い。可愛いし、マネージャーの仕事も良くやっているし……好きか嫌いかで言ったら好きだ。
 でもその『好き』は、きっと友達としての『好き』で、恋愛としての『好き』では無いと思う。
「どうしようか……」
 付き合うにしても、断るにしても、曖昧な感情で返事をしてしまっては檜扇さんに失礼だと思い、真剣に考える。すると、ふと桜の笑顔が頭に浮かんだ。
「……もし檜扇さんと付き合ったら、桜と会いにくくなるのか……?」
 それはそうだろう。特定の誰かと付き合ったら、積極的に異性に会いに行くのは気が引ける。でもそれは嫌だ、と、すぐに答えが出た。だが、その答えが出た理由は分からなかった。

          *

 そろそろ夕食だ、と、母さんに呼ばれたので一階へ向かうと、そこには夕食の準備をする母さんと、テレビを見ている姉さんがいた。
「ただいま、姉さん」
「お帰り。……シケた面してるわね。どうしたの?」
 二歳年上の日花姉さんは、肩にかからない位の髪を揺らしながら振り向いた。
「ん……」
 こういう事は母さんより、姉さんの方が良いと思った僕は、思い切って口を開く。
「あのさ、姉さん」
「何?」
「人を好きになるって、どんな事だろう?」
「…………」
「……? 姉さん?」
 下を向いて黙りこんでしまった姉さんの顔を覗き込もうとすると、
「…………ふ……」
「ふ?」
「ふふふ……あはははは!! まさかアンタから『人を好きになるって、どんな事?』なんて言葉が聞けるなんて……ふふ……何事にも無関心なアンタが!!」
 相当ツボに入ったようで、姉さんはずっと笑っていた。
「別に良いじゃないか。それで、さっきの質問だけど」
 さすがにイラッとしたので少し低い声で答えを催促すると、姉さんはようやく笑うのをやめて考え始めた。
「んー。……ずっと傍に居たい、会いたい、って感情を持ったら、その人を恋愛対象として好きって事じゃない? あたしもあんまり分からないけど」
「…………、ありがとう姉さん」
 姉さんとの話に区切りがついた時、
「ごはんよ〜。こっち来て〜」
 母さんに呼ばれた。僕らはすぐに移動した。

 いつものように夕食を取る。父さんは仕事の関係で帰りが遅くなるので、夕食は基本三人だ。
「ねぇ、梗」
「何、姉さん」
「何でさっきあんな質問したの? ……もしかして、好きな人でも出来た?」
「え!? どういう事!?」
 さっきの話を知らない母さんは、いきなりの話で分からないようだった。
 姉さんがさっきの話を簡単に話すと、
「そっかぁ……」
 と、ニヤニヤしながらこちらを見てきた。
「……、ごちそうさま」
 僕はすでに食べ終わり、空になった食器をシンクの中に入れて、母さんの視線から逃げるように部屋に向かった。

 家に帰ってきた時と同じように、ベッドに寝転がりながら姉さんに言われた事を考える。
「……傍に居たい、会いたい……か……」
 それはまさに、桜に対して僕が持っている感情と同じだった。
 今まで桜と会う度、話す度、思っていたことは、全部姉さんが言ったことに当てはまっているようだった。

 もしかしたら、僕は——

          *

 次の日——夏休み初日——

 僕は部活で学校へ行き、準備をしている檜扇さんに声を掛けた。
「話あるんだけど、ちょっと良い?」
「う、うん」
 昨日檜扇さんに告白された場所まで来て、口を開く。
「昨日の話、嬉しかった。……でもゴメン。檜扇さんとは付き合えない」
「…………理由、教えてくれる?」
 檜扇さんは下を向きながら、やっと聞き取れる位の声で言った。
「好きな人が、居るんだ」
「そっか……じゃ、仕方ないね」
 ははは、と檜扇さんは泣きそうな顔で笑った。
「ゴメン。……僕みたいなヤツを好きになってくれてありがとう」
「うん。……桔川君、その好きな人にフラれないよう、頑張ってね」
「ああ。本当にありがとう」

 僕より良い人を見つけて、僕より幸せになってほしい。

 上手く慰められない僕は、ただそれを願うことしか出来なかった。

Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【2/4更新】 ( No.21 )
日時: 2014/02/11 20:59
名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: 19azOdVu)

【お知らせ】
!参照300突破!

こんばんは(*^^*)
参照300突破しました!! 更新遅いのに読んで下さった皆様には本当に感謝しています!

小説の下書きストックが無くなりそうで、また遅くなってしまうと思いますが、それでも気長に読んで下さると幸いです。

これからもよろしくお願い致します!
緑茶でした。

《2014.2.11》

Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【2/4更新】 ( No.22 )
日時: 2014/02/11 20:11
名前: shadow (ID: JzVAb9Bh)




参照300突破おめでたいですね@@
檜扇さん、、、まあそういうこともあるよ。
更新気長に待ってます@

Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【2/4更新】 ( No.23 )
日時: 2014/02/11 20:57
名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: 19azOdVu)

*7*

 檜扇さんとあんなことがあったのに、まるで何事も無かったかの様に部活は始まり、終わっていった。
 檜扇さんは少し無理をしているような笑顔で作業をしていた。もっと良いことが言えなかったのかと、口下手な自分を恨んだ。

「集合!!」
 柳部長の鋭い掛け声で、皆素早く集まった。
「明日は本番だ。今までの努力を存分に発揮して、より高い所を目指そう。集合は八時。学校の門前にバスが止まっているから、それに乗って会場へ行く。くれぐれも遅刻するなよ。……では解散!」
「お疲れさまでした!」
 一礼した後、当番である僕は片付けに走る。すると横から燐が寄ってきて、興奮気味に口を開く。
「いよいよ始まるな、大会!!」
「ああ。だけど、レギュラーは全員先輩達だから出れないぞ? ベンチの隅で応援だ」
「分かってるけどよ、中学入って初めての公式戦じゃん! 出なくてもテンション上がるだろ?」
「……まあな。中学の公式戦見るの初めてだから、どんなレベルか楽しみだな」
 そんな期待に胸を膨らませながら、夏の大会の火蓋は切って落とされた。

          *

 ——翌日、大会会場——

 待ちに待った大会が始まった。この大会の試合数は、一回戦、二回戦、準決勝、決勝の四試合。一度でも負けたら終わりのトーナメント。一瞬たりとも気が抜けない。
「いよいよ初戦だ。気合い入れて行くぞ!!」
「おう!!」
 掛け声を掛けて、先輩達はコートに入る。僕達はハイタッチで見送った。

 試合開始三秒前——会場を静寂が包む。

 二秒前——皆の顔に緊張が走る。

 一秒前——まるで時が止まったような錯覚に陥り、


 そして、高らかに開始の合図が鳴り響いた。

 とたんに会場が割れんばかりの声援が飛んで行く。その声援は、とてつもない重さをもって僕らに降ってくる。
 ベンチに居るだけでもこれほどなのに、コートの中ではどれ程の圧力になっているのか、想像も出来なかった。
 だが先輩達は、そんな重さを感じさせないほどに動き回り、戦っている。コートを縦横無尽に走るその背中は、いつもより大きく、強いものに見えた。

 ボールがコート中を移動する。それに合わせてバッシュのスキール音が響く。
 選手達がパスとドリブルで繋いだボールは、キレイな放物線を描き、ネットを揺らす。
 終了のホイッスルが鳴り、歓声が轟く。——熱気溢れる大会初戦、僕らは無事勝利をあげた。

 続く二回戦。一回戦からの流れに乗って今回も勝利を掴み、準決勝への道が開いた。だが——
「悪い、皆。オレはリタイアだ」
「え……?」
 試合後のミーティングで副部長の華山先輩は、困った様に笑いながら言った。
「さっきの試合でボールをキャッチした時に手首を痛めてな……」
 うつむきながら右手首をさする華山先輩に柳部長は、
「そうか……ありがとうな、蓮」
 と、肩を優しく叩いた。そして僕達の方へ振り返り、緊張を含んだ声音で言った。
「準決勝までは三日間、準備期間として日にちが空いている。その間に蓮の抜けた穴を埋める代理メンバーを決める。皆、いつも以上に全力で練習に挑んで欲しい。……今日はこれまで。解散!」
「お疲れさまでした!」
 僕はサッと荷物をまとめると、控え室を出る。いつもの様に燐が後ろに続いて言った。
「まさか華山先輩が出られなくなるなんてな……秋明バスケ部には欠かせない人なのに……」
「部長と合わせて『秋明の二本柱』って呼ばれてた人だからな……でも、起きたことは取り返しが付かない。今は代理メンバーの事を一番に——」
「梗!!」
 名前を呼ばれて、燐と話ながら素通りしようとしたロビーを振り返った。そこには、淡いオレンジのTシャツにジーパンというラフな格好をした姉さんが立っていた。
「あれ? 来てたんだ」
「暇だったからね。準決勝進出おめでとう」
「ありが——」
 横にいた燐に引っ張られ、お礼の言葉は途中で途切れてしまった。
「おい、梗。この人誰だよ。もしかして……」
 燐の呟きを聞いた姉さんは一礼して口を開く。
「初めまして。梗の姉の日花です。梗がいつもお世話になっています」
「ど、堂本燐です。こちらこそお世話に……って、え!? お前姉貴いたの!?」
「言って無かったか?」
「初耳だから驚いてるんだけど!?」
 騒ぐ燐に薄い笑みを向けた後、姉さんは僕を見て言った。
「柳君と華山君ってまだ居る?」
「まだ控え室に居ると思うけど……どうして?」
「同じくクラスだから挨拶に行こうかなって」
「そっか。じゃあ先帰ってるから気を付けてね」
「うん。堂本君、梗の事よろしくね」
「任せて下さい!!」
 パタパタと走り去る姉さんを見送った後、僕は外へ出て空を見上げる。燐も同じように空を見上げた。空は夕方と夜の間の蒼色をしていた。
「なぁ、梗」
「ん?」
「どっちがメンバーに選ばれても、恨みっこ無しだからな」
「ああ。当たり前だろ」
 僕らは顔を見合わせて笑った。

 そして——準決勝への準備期間……もとい、代理メンバーを決める三日間の幕が開かれた。


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