コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 輪廻転生——時を越えた恋心——【3/22更新】
- 日時: 2014/03/22 09:45
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: WCPibcIC)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=24475
桜咲く春、君に出会い 太陽輝く夏、好きになり
紅葉舞い散る秋、告白し 雪降る冬——君を失った。
これは——平凡な少年と、非凡な少女と、日本に伝わる伝説を廻る
——優しい恋の物語——
*
初めまして(の方が多いかな?)緑茶と申します!
今まで二次映像で書いていたのですが、そちらの作品が完結いたしましたので、新しい作品を書くことにしました!(前の作品は、上のURLから行けます)
亀更新ですが、よろしくお願いしますm(__)m
【目次】
*プロローグ >>1
*1* >>2
*2* >>7
*3* >>8
*4* >>9
*5* >>13
*6* >>20
*7* >>23
*8* >>26
*9* >>31
*10* >>33
【キャラ紹介】 >>3
【用語紹介】 >>4
【参照数】
100突破 >>10
200突破 >>17
300突破 >>20
400突破 >>25
500突破 >>32
《お客様》
朔良様
shadow様
カナタ様
《special thanks》
わちや様
《2014.1.1 始動》
- Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/14更新】 ( No.9 )
- 日時: 2014/01/22 00:01
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: YNzVsDBw)
*4*
桜が散り、緑が輝きだした五月——中学校生活にも慣れ、部活も本格的に始まった。
「は〜ぁ。勉強と部活の両立って難しいんだなぁ……」
「当たり前だろ」
燐が休み時間になる度に隣の席で愚痴をこぼすこの光景も、すでに日常と化してきている。
「勉強しなくちゃいけないのは分かっているけど、練習キツくて家帰ったら寝ちゃうし、土日も部活だからなぁ……」
机に突っ伏しながら愚痴を言う燐に哀れみの視線を向けていると、
「桔川君、堂本君!!」
廊下から声を掛けられた。
「お、檜扇さんだ!!」
燐は声を掛けてきた女の子——檜扇あやめを見付けると、すぐさま愚痴を止めて彼女の元へ歩いて行った。僕は気付かれないように溜め息を付きながら後に続く。
「どうかした?」
僕が訊ねると、檜扇さんは「えっと、ね……」と少し言葉を詰まらせながら要件を話始めた。
「今日の練習は外走るから、靴履いてグラウンドに集合だって」
「え〜ダルい〜」
「……燐はいつもそればっかりだな」
「堂本君、文句言わないで遅れずに来てね!」
じゃあね、と、要件を伝え終わった檜扇さんはスタスタと廊下を戻って行った。
檜扇さんが居なくなると、ぽつりと燐は呟いた。
「他の奴らにも伝えに行ったのかな? マネージャーも大変だよな」
「まぁ、サポート役って皆そうじゃないか?」
「だな。……でも、あんなカワイイ子にサポートされる俺らも幸せだよな!!」
ポーッとした顔で燐は言う。確かに檜扇さんはいつも明るくて、皆に優しくて……可愛いとは思う。けれど……
「お前、檜扇さんが好きなのか? 別に僕にはお前の好きな人なんて関係無いけど、ライバル多いと思うぞ」
「そこなんだよなぁ!!」
燐はズイッとこちらに近付き、どうしたものかと頭を抱えた。
「檜扇さんはいつも元気だし、カワイイし……恋愛対象として好きだけど……カワイイ分敵も多いんだよ! どうしよう!?」
「どうしようって言われても……お前が檜扇さんを諦めるか、当たって砕けるしかないんじゃないか?」
「砕けたらダメだろ!! ……お前は? 好きな人居ねーの?」
「……、僕は」
答えようとしたタイミングで予鈴が鳴った。燐は「後で聞くぞ」と言って自分の席に帰って行った。相変わらず騒がしい奴だ。
僕も廊下から席に戻り、天井を見上げる。
——僕はまだ人を好きになったことがない。
*
ある日の土曜日。
午前中に学校で部活を済ませた僕は、家への帰り道の途中であの公園に立ち寄った。ちょうどボールも持っていたから、少し練習することにしたのだ。
公園の中に入り、桜の木の前を横切る。二ヶ月前に来た時は満開だった桜の木には、青々しい葉が並んでいた。
木をチラッと見て通りすぎようとした僕は、もう一度木を——正解には木の近くのベンチを良く見た。そこには薄いピンクのワンピースに銀色のネックレスを着けた女の子——桜が座っていた。
じっと見ていると桜も僕に気付いた様で、こちらに走り寄って来た。
「梗君!! 久しぶり! 元気だった?」
「あぁ。桜も元気そうだな。今日も散歩か?」
そう訊ねると、桜は恥ずかしそうに笑いながら言う。
「うん。天気が良かったから。梗君はまた練習?」
「そうだよ」
「……練習、たくさんすることは良いことだと思うけど、身体壊さないようにね」
心配そうに言う桜に、僕は安心させるように薄く笑った。
「ありがとう、ほどほどにする。……じゃ、練習行くから」
「分かった。頑張ってね!!」
「あぁ。またな」
桜は、初めて会ったあの日と同じようにずっと手を振ってくれていた。
部活で疲れていた身体は、なぜかいつの間にか軽くなっていた。桜と少し話しただけなのだが……
その理由は、この時の僕には分からなかった。
*
「……姉貴」
「あ、若葉。どうかした?」
「またあの人間と話していたのか?」
「梗君のこと? ……少しだけね」
「……姉貴はあの人間が紫苑だと知ってて近付いたのか?」
「ううん。出逢いは本当に偶然だったんだよ。若葉も見てたでしょ?」
「どーだか。口では何とでも言えるぜ。でも、必要以上に人間に会うなよ。……俺は姉貴が悲しむ顔、見たくないから」
「ふふっ、ありがとう。若葉は本当に優しいね」
「……、別に。……そろそろ人間が多くなる時間だ。戻ろう」
「うん」
春の優しい風が吹き抜けた。桜の木の下には、もう誰も居なかった。
- Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/14更新】 ( No.10 )
- 日時: 2014/01/22 00:15
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: jBnjPLnI)
【お知らせ】
!!参照100突破!!
参照が100を突破致しました!! 更新スピードが遅くてまだまだ話が進んでいませんが、お付き合いして下さると嬉しいです!
読んで下さった方々、本当にありがとうございます!!
これからもよろしくお願い致しますm(__)m
《2014.1.22》
- Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/22更新】 ( No.11 )
- 日時: 2014/01/23 17:20
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
参照100おめでとうございます<m(__)m>
焦らしプレイだと思って更新待っておりますので笑
若葉さんが本当優しくて……!
素敵だなあと思ってました。
更新応援していますね!
頑張って下さい。
- Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/22更新】 ( No.12 )
- 日時: 2014/01/23 23:41
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: EFzJ4NBH)
朔良さん
ありがとうございます!!
焦らしプレイは嫌いじゃなi(殴
若葉については深いことは言えませんが、良いやつですよ〜
そのうち若葉の秘密も分かるはずなので、お楽しみに!
(過度な期待はしないで下さいね…( ´△`))
早く更新できるように頑張ります!!
- Re: 輪廻転生——時を越えた奇跡——【1/22更新】 ( No.13 )
- 日時: 2014/01/28 22:31
- 名前: 緑茶 ◆hjAE94JkIU (ID: D6FduTwT)
*5*
春の暖かい日差しは、あっという間に夏のギラギラとしたものへ変わった。早いことに、もうすぐ夏休みだ。
あれから桜とは、あの公園で時々会って話をした。その話の中で桜は、僕とは学区が違う為、隣の中学校に通っている事が分かった。道理で学校で見かけなかった訳だ。
他にも他愛の無い話をするのだが、僕はそれが楽しくて仕方がなかった。
いつの間にか公園には『バスケの練習に行く』のではなく『桜と話をして、ついでにバスケの練習をする』と目的が変わってしまうほど、桜と会って話をするのが楽しかった。
会いたい。少しでも声を聴きたい。
特定の誰かにそんな想いを抱いたことの無い僕は、この気持ちが良く分からなかった。
*
「よっしゃ〜!! やって来たぜ、夏休み!! 遊ぶぞ!」
「宿題あるし部活もあるから、遊べる日なんて一日も無いと思うけど?」
「そんなこと言うなよ〜」
終業式が終わって浮かれている燐を、いつものようにたしなめた僕は着替えの準備をする。
「燐も早く着替えろよ。部活遅れるぞ」
「……終業式の日ぐらい休ませてくれないのかなぁ」
「無理じゃないか?」
「だよなぁ。はぁ……」
燐は練習前には決まって『休みたい』とか『だるい』とか愚痴を言うが、いざ始まると練習はきっちりとこなすし、実力もあるのだから、初めて燐のプレイを見た時は驚いた。それを言うと調子に乗りそうなので言っていないが。
着替え終わって教室から出ると、廊下でばったりと檜扇さんに会った。
「あ、檜扇さん」
「桔川君に堂本君。早くしないと部活遅れちゃうよ?」
「へーい。行こうぜ、梗」
「ああ。……檜扇さんも早くしないと……」
「あたしは先生に呼ばれているの。話が終わったらすぐに行くよ」
「そっか。引き止めちゃってごめん」
「ううん、平気だよ。……それより後十五分で部活始まるけど」
「やべぇ!! 梗、急ぐぞ!!」
体育館までそれほど距離は無いが、ボール等の準備をしなければならない。
僕は燐と共に廊下を猛スピードで走り抜けた。だから
「…………」
檜扇さんがじっとこちらを見ていることに気が付かなかった。
*
部活の準備にはギリギリ間に合い、僕達はいつも通り部活を始めた。いつもより部活の時間は長かったのだが、動いたのはいつもの練習程度だった。何故なら——
「集合!!」
柳部長の掛け声で、皆は素早く集まった。
「これから夏休みの予定について話す。……檜扇、プリントを頼む」
「はい」
檜扇さんがてきぱきとプリントを配っていく。配られた人から順に目を通していった。
「七月二十九日から八月四日まで夏の大会がある。負けたら終わりのトーナメント制で、この大会が終わったら三年生は引退だ。いつも以上に気合いを入れて行こう。何か質問はあるか? ……無いなら今日はこれまで。解散!!」
「お疲れ様でした!!」
挨拶を済ませて帰りの準備を始める。片付けや掃除は当番制で、一週間で交代する。今週は僕の当番ではなかったので、さっさと準備を終わらせた。
当番に当たっていた燐に挨拶をして体育館を出たところで
「桔川君!!」
「……檜扇さん。どうかした?」
檜扇さんに呼び止められた。
「えっと……少し時間ある? 話したい事があるんだけど……」
「大丈夫だよ。何?」
「あ、あのね……」
「うん」
「え〜っと……」
「…………」
少しの間目を泳がせていた檜扇さんは、何かを決意したように大きく深呼吸をし、僕ときっちり目を合わせて言った。
「桔川君。……私はあなたのことが好きです。付き合って下さい!」
夏の夕日の中に立っている檜扇さんの顔は、今まで見たどの顔より赤く赤く染まっていた。
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