コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】
日時: 2014/07/14 20:27
名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)

 初めましての方は、初めまして! お会いできて感動です!
 こんにちはの方は、こんにちは、平素はお世話になっております!
 お久しぶりの方は、お久しぶりです、元気になさってましたか??

 てなわけで、一匹羊です。
 某学生掲示板での挨拶を華麗に使いまわしてみました。このサイト久しぶり。
 
 
 一途な愛って素敵。
 一生懸命って素晴らしい。

 それだけで走り出した物語です。
 稚拙な文章ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

>>3
幕間

>>4>>6>>8>>11>>13

第一章「淡い思い出と」


訪問してくださった方
(超感謝です!!!!!)

朔良様
蛟様
いろはうた様
マリアンヌ様

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Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.33 )
日時: 2014/07/04 21:10
名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)

♪マリアンヌ様♪

 スミレはかわいい子供です(キリッ
 文章はひたすら書けば上達していくかと。羊もまだまだ修行中ですので、精進していきます!

Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.34 )
日時: 2014/07/08 21:15
名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)

 そんなわけで現在。私と夕星さんはアパートの前に立っていた。夏の日差しはじりじりと強く、焼けてしまいそうだ。帽子は持ってないので、服装はキャミソールにショートパンツだけ。ラフかつ外に出れば日焼けは必至の格好だ。いいもん小麦肌健康女子目指すもん。
 夕星さんは私の家に来たときと同じ服装。それ以前にこの人何も持ってきてなかったし。私は、すでに吹き出てきている汗を拭いながら彼にたずねた。

「何処から探しましょうか?」
「……とはいえユキは引っ越したんだろ。ここら辺探すのは意味ないぞ」
「もしかしたら、近場に引っ越したのかもしれないじゃないですか。何にせよ情報です。情報を集めましょう。まずは近隣の散策です」
 そうだな、と頷いた夕星さんと並んで歩き始める。

 あれ、そもそもユキさんはどんな容姿なんだろう。私にそっくりだと夕星さんは言っていた。化け猫である夕星さんが恋している(と見て間違いないであろう)のだろう彼女も、当然妖怪もしくは猫である可能性が高い……私猫ってことはないだろうから……よ、妖怪そっくりですか。ちょいと凹みますよ。
 何勝手に凹んでいるのだろう、と自分でも突っ込む。いやでも私一応女子なのに、うら若き乙女なのに、妖怪って……。
 だめだ。無限ループになりかねない。何か話題を振って……。

「夕星さん、あの」
 振り返り声をかけると、私の少し後ろを歩いていた夕星さんは、微妙な顔をした。まるで、何処かが痛んだような。どうしてそんな反応を、と思う間もなく彼は口を開く。
「自分で名乗ったのに悪いんだが……夕星とは呼ばないでくれるか」
「え……は、はい。分かりました」
 理由を知りたいとは思うが、そんな辛そうな顔をされてしまっては詮索できない。
「じゃあ何て呼べば……うー……渾名でも付ければ良いですかね?」
 首肯で意を示す夕星さん。しかしそうなると今度は渾名を考えなくてはいけない。私はない頭を捻る。
「……ネコスケ」
「いやなんでだ」
 口をついて出た言葉に、夕星さんが唖然とした後呆れ気味に突っ込む。
 しまった。つい化け猫であるということから考えちゃったよ。この人は、夕星さんが人間でないなんて私は知らない、と思ってるんだった。あわてて私はフォローする。
「ね、猫っぽいじゃないですか、髪ふわふわしてるし猫目だし」
「だからってネコスケはないだろう。逸れたときはどうするんだ? まさか大声でネコスケーと呼ばわるのか?」
「そこまで考えてませんでしたすみません」
 高速で謝りに移行。私ってホント馬鹿(パクリ)。一方ネコスケ、じゃなかった、夕星さん、違う……彼は、この地域ではよくある言い回しなのか……? などとよく分からないことを呟いている。
「うー! じゃあ何て呼べばいいんですかもう!」

「いや、もういい。夕星でいい。そう呼べ」
 自棄になって逆切れする私に、あきらめムードで夕星さんが返す。
「……え? いいんですか?」
 あんなに辛そうだったのに。
「いいんです、だ。俺の我侭だったよ。悪い」
 夕星さんが薄い唇をうっすらと笑みの形に曲げる。
 そのどこか哀愁とか切なさだとかをのせた笑みに、私は思わずうっと言葉に詰まってしまう。相変わらずの顔面偏差値。男の子慣れしていない私はドギマギ。

「さ、さてと! それじゃあ、改めて、夕星さん。ユキさん探しを続けましょうっ」 
 不覚にも赤くなってしまった頬を隠すように声を張り上げる。
「近場の捜索というのは、どれだけ効率よく動けるかが勝負なんです。幸いここには二人います。手分けしましょう」
「さっきから思ってたけど、お前捜索のプロかなんかなのか?」
 私はその言葉に渋面を作る。よく迷子になる幼馴染がいるだけですよ、とアホ面を思い浮かべながら答えると、なるほど苦労人かという目で見られた。あら不本意。事実だけど。
「じゃあ俺はあっち側に行く」
「それなら私はこっちで。手始めに三時間後、ここ集合にしましょう。聞き込みメインでお願いします」
「おう。じゃあ三時間後」
 それぞれにぎやかな商店街、端正な住宅街に指を向けた。
 三時間後は五時半だ。時計を確認する。
 じゃあ三時間後、と声を交わし私たちは別の方向へ足を踏み出した。


 住宅街には、結構顔馴染みの、おばさん、おじさんがいる。小学、中学での知り合いネットワークも万全だ。暫く聞いて回れば少しは何か掴めるかもしれない。
 そんな考えもあって私がこっち側を選んだのだけど。
「……なんで早速雄大に出会うの……」
「失礼だぜ、高橋。そんなげんなりした顔すんなよ」

 憤慨した様子で腰に片手を当てて、片手で携帯を持っているこいつは、例の幼馴染、雄大。高校生になってやけに背がにゅるにゅる伸びて、大人っぽくなった。外見のみ。
 昔はすーちゃんすーちゃんと纏わりついて来ていたのに、中学生になってから急に苗字で呼んでくるようになった。何でだろうと聞いてみたら、恥ずかしいからと宣う。そんな繊細なタマか。その癖遠慮なく私を頼ってくる。要するにアホっ子だ。いい奴ではあるけれど。
 ちなみにここは雄大の家からは遠く離れている上、店もなければこいつの友達の家もない。つまり。

「迷子?」
「うん。助けて、駅どっちか分からねーんだ。今道聞いてるんだけどさっぱりで」
 だから携帯を持っていたのか。誰か知らないが電話相手に同情する。この方向音痴の案内はさぞや骨が折れるだろう。そして、何度も骨を折られてきた私は、無邪気なまでのSOSに頭を抱えた。この町で生まれ育ったくせに何でまだ迷ってるの……?
「雄大。駅はあっちだよ。逆」
「ぬわにぃ!? え、嘘マジ?」
「マジマジ。何でこんなところ来ちゃったの?」
「近道の開発を」
「失せろ」
 割と本気で言う。苛烈な睨み付。
「今日ならいける気がしたんだ」
「気合で方向音痴は何とかならないよ」
「いや、望月の家に行こうと思ったんだけど」

「え」
 その名前が出たことにびっくりしてしまう。杏奈と雄大が遊ぶなんて、珍しいな。というか初めてかもしれない。電話先は杏奈か。
 雄大のことだから自分から誘ったんだろうな。
 杏奈、きっとすごく嬉しかったんだろうな。
 心待ちにしてるよね。
「……駅まで案内してあげるよ。こっちこっち」
 夕星さんには悪いけど雄大を案内することにした。人助けです、いやホント。
 雄大が心底嬉しそうな顔になる。
「さんきゅー! これに懲りて次からは分かる道で行くぜ!」
 笑顔で言う雄大。分からない道って自覚はあったんだね。雄大はさっそく携帯に向かって事情を説明し始める。私はなんだか微笑ましいような気持ちでそれを眺めた。

「スミレ」
 そこで、名前を呼ばれた。
 この声は、あれ、何で。
「夕星さん!? あれれ、どうしてこんな所に!」
 案の定、声の主は化け猫さんだった。
「ちょっと渡すものができたんでな。意外と近くて助かった」
 暑いのに汗ひとつかいていない夕星さん。
「渡すもの? なんですか?」
 そこで、袖を引かれた。

 
「高橋。この人誰?」




 マズイ。

Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.35 )
日時: 2014/07/08 21:19
名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)

一休み。 羊タイム。

2014・夏 オリジナル小説大会が、ついに! ついに始まりまして御座います!! とはいえ、羊のような未熟者では入賞は難しいでしょうが……。ですが! 期間中、さらにさらに! 気合を入れて頑張っていきますので、宜しくお願いいたします! コメント大募集です。

……ところで。






2時間近くかかったテキストが全部消えたときの喪失感ぱないですねFOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOもうヤケクソじゃいFOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!

Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.36 )
日時: 2014/07/12 17:26
名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)

『あ、この人はね、ちょーっと驚くかもしれないけど、今日会って同居することになってさらに人探しを一緒にしてる夕星さんだよ! 化け猫だよ! でもいい人だから安心してよね!』



 なんて、言えるはずがなく。

 無論同居しているということは伏せなければならないだろう。となると、この人のことをどう説明すればよいものか。ご近所さん、というのは残念ながら使えそうにない。ただでさえ狭いこの町は、幼い頃から鍵っ子で外を走り回っていた私たちには、最早庭と大差ないのだ。まぁ雄大はその庭で迷っているわけだが。つまり、住人は全員顔見知り。目立つ風貌をしている夕星さんがここらに住んでいたとして、雄大が知らないはずがない。よってこの言い訳は使えない。

 ならば、私のアパートに引越してきた人だといえば。一緒に連れ立っていたのは、町を案内していたということで……いやだめだ。あのアパートは現在全部屋が埋まってしまっているのだ。全員が普段滅多に家にいないだけで。そして、アパートの近くにも人家はない。そして、雄大にはそのことを言ってしまっている。
 これもアウトか……! 

 仕方ないとはいえ雄大を騙そうとしていることに心がちくりと痛む。が、それを振り払いさらに考えていく。

 そして、私は『親戚のお兄さんがここら辺に引っ越してくる予定になっているので、近くを案内することになった』という理由をでっち上げた。実はもう近しい親戚がいないということは、この際秘密にしておく。
 怪訝そうな視線を向けてきている雄大を私は見やり、如何にも本当のことのように笑顔を作る。そして、「あぁ、実は」と切り出した瞬間。


「あぁ、スミレの友人か」


 涼しげな声が空間を割いた。




 雄大、私と二人揃って声の主——夕星さんの方を向く。
 すると、化け猫さんはこともなげに。




「故あってスミレと同居することになった、夕星だ。以後よろしく頼む」





 最大級の爆弾を落とした。








 

Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.37 )
日時: 2014/07/12 17:44
名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)

刹那の静寂。
 それに終止符を打ったのは、雄大の叫び声だった。
「っはあああああああああああ!? え、ええ、ええええええええ!? いや、あの、……嘘だろ高橋!? エイプリルフールには4ヶ月は遅れてるぞ!?」
 体ごと私のほうに向きなおしたかと思うと、私の両肩をがしりと掴んで揺さぶる。男子の力に翻弄されながらも、私はほうほうの体で雄大に答えた。
「……本当だよ。いろいろあったんだ、うん」
 冷静なような答え方だが皆さんご存知だろうか人は自分の容量を超えた出来事が起こるとフリーズつまり思考停止に陥るということをちなみに今の私の中は嵐を越えて台風レベルだ因みに今年来た台風はノグリーとかいう韓国語でたぬきという名前がつけられているらしいおよそ台風らしくない名前だがそうなんだから仕方ないってもんでしょうあはは……死にたいぃい……。

 
 一方、私と比べればよっぽどまともな思考能力を残しているらしい雄大は、私の言葉にうっへえええええ!? と素っ頓狂な声を上げた。
 そのまま目を白黒させていたかと思えば、ぐるんとあっちを向いたりこっちを向いたりとなぞの挙動を繰り返している。……やっぱり、こいつもまともじゃないかもしれない。

 唯一涼しげに私たちを見ている夕星さん。その目は、何だか面白がっているような色さえ浮かべている。
 ……いや、爆弾放り込んだのあんたでしょうに!? 何とかしてくださいな!! の意をこめて、私は精一杯アイコンタクトを試みる。が、返ってきたのは、小首をこてんと傾げるという、やけに可愛らしいアクションのみだった。肝心なところで鈍い妖怪だ。

 と、そこで雄大に掴まれたままの肩がぐいっと引っ張られた。痛みに目を眇めながら雄大のほうを向くと、訝しげな瞳をした彼は、ちょっとこっちこい、とだけ言った。そのままぐいぐい引っ張られる。
 今度は私が、目を白黒させる番だ。何をしたいのかまったくわからない。

「は、ね、雄大、何? ちょ、痛いよっ」
 昔は私が引っ張る側だったのに、いまや力では私は雄大に遠く及ばないんだ。当たり前だけど。
 雄大は、何も言わず夕星さんから見えない位置まで、私を引っ張っていく。

「っ何、考えてんだよ、粋玲!? あいつ知らない奴なんだろ!? 危険すぎんだろが、馬鹿か!! お前のいないうちに箪笥漁られて、遺産の入った通帳取られてハイサヨナラってことも有り得るんだぞ!?」
 こんなに怒鳴られるんなんて、いつ以来だろう。
 ずいぶんと久しぶりで、私はその剣幕にびくりと竦む。言っていることも、雄大にしては驚くほど正論だ……なんて、そんなこと言っちゃだめだね。雄大は本気で心配してくれてるんだから。
「…………うん。うん、分かってる。ありがとう雄大。……私もさ、こんなの、おかしいって分かってるよ。どうかしてるって思う。でも、求めちゃったんだ。誰かに縋りたくなっちゃったんだ。私が」

 絶対どやされると思った。それくらい乱暴な理屈、いやただの駄々だった。

 でも、それを聞いた雄大は、何処かを刺されたような顔をしたのだった。


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