コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 年増化け猫と依無し少女 【感想大歓迎】
- 日時: 2014/07/14 20:27
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
初めましての方は、初めまして! お会いできて感動です!
こんにちはの方は、こんにちは、平素はお世話になっております!
お久しぶりの方は、お久しぶりです、元気になさってましたか??
てなわけで、一匹羊です。
某学生掲示板での挨拶を華麗に使いまわしてみました。このサイト久しぶり。
一途な愛って素敵。
一生懸命って素晴らしい。
それだけで走り出した物語です。
稚拙な文章ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
>>3
幕間
>>4>>6>>8>>11>>13
第一章「淡い思い出と」
訪問してくださった方
(超感謝です!!!!!)
朔良様
蛟様
いろはうた様
マリアンヌ様
- Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.18 )
- 日時: 2014/06/27 21:12
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
あ。うん。ここ、ゆめだ。
そんなことをぼんやりと考えた。
黒とか紫で構成された空に赤い星のような何かが散りばめられている。私の視点はずいぶんと低く、空も倍高く感じるような気がした。
これが夢だとわかるのは、これまで幾度となく見たものだからだ。この奇妙な世界。相当小さいころから見ているこの夢は、見るたびに姿を変える。空の下は繁華街みたいな場所なのだが、最近鮮明に頭に残ったものがぼやけた建物の中に鮮明に浮き上がったりしているのだ。何でこんな夢をたびたび見るのかはわからない。もしかしたら小さいころにあったことかもしれない。小さいころから何度も姿が変わっていっているならば、この空の色でも不思議がない。
そんな鮮明な思考とは他に、『わたし』はぼんやりと考える。
じゃあ、あのおばあさんはどこだろう……
見渡した視線の先に、案の定彼女はいた。
おばあさんは、絶対に変わらないものだ。どんなに風景がかわっても、おばあさんは変わらず現れる。
ぐしゃぐしゃの輪郭は、子供がクレヨンで描いた絵のような印象を受けるのに、おばあさんだと分かる不思議さがあった。
もし、これが私の絵ならそのまま頑張っていれば個性的な絵描きになれたかもしれない。
ちいさな『わたし』におばあさんは語りかける。
途切れ途切れに聞こえるそれは、何かを諭しているように思える。
あなたは誰ですか? どうして私の夢に出てくるの? この夢はどこの夢なんですか?
私は必死で彼女に聞こうとする。
なのに私の体は従順な態度でおばあさんの話を聞いている。
心の中で叫ぶ。けれど、口からは何も声は出てこない。
ふいに手が握られた。柔らかな手。手を引かれておばあさんから離れていく。
あぁ、もう終わってしまったのか。
これもお決まりのことだった。必ず私は『誰か』が迎えに来て連れて行かれる。
あなたも、いったい誰なの?
顔を見ようとするけれど、『わたし』は、おばあさんに名残惜しそうに手なんか振っている。
反対側、さらに上のほうを向かなければ見えない、お迎えの顔は見えるはずがない。
今回も何も分からなかったなあ。
そんなことを考えながら、背中を押される感触を感じた。
私は現実に帰っていく。
毎度のことながら、不思議な夢だったな。
あぁ、そうそう。帰ったらまた、現実感のない出来事が待っているんだった……。
浮遊感とともに私は現実へと帰ってきた。
- Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.19 )
- 日時: 2014/06/28 17:49
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
瞼越しに光が差している。この具合だともう正午くらいだろうか。蝉のサービス精神全開! といわんばかりの鳴き声が、やけにはっきりと響いていた。
「……なぁ」
低い声が耳朶に触れる。
誰だろう? う〜ん、今は夏休みですよ〜。一人暮らしなのにそんな早起きしろなんて殺生な……
「って誰!?」
がばり、と飛び起きる。私は一人暮らしのはずなのに、誰の声よ今の!? まさか不審者!?
「……誰だとはご挨拶。そんなに俺は印象に残らなかったか、スミレ」
「あ……す、すいません、寝起きなので」
金の瞳でむっとした様子の視線を向けてくる青年に平謝りする。
そうだ、この人がいたんだった……。とドギマギする。というか、さらりと呼び捨てですか化け猫さん。これがイケメンって奴か。あれ? 妖怪かな?
阿呆のようなことを考えながら化け猫さん(そう呼ぶことにした、心の中で)を観察する。血色はいいし、声も健康そのもの。何だかよく分からないけれど、さっき起こっていた病気のようなものは治ってしまったらしい。
にしても、どうして私は眠ってしまったのだろう。
時計を見ると、あれから3時間近く私は眠りこけてしまっていたようだった。昨日はたっぷりと寝たし、元々一度起きれば寝付けない体質なのに、どうして……。
悪い予感のような、といえば聞こえのよい、何か嫌な感じ、を私は振り払って、慣れないことや驚くようなことがたくさんあったからだろう、と、勝手にそう結論付けた。
「……まぁいい。すまないな、看病してくれたのだろう」
機嫌を直してくれたらしい化け猫さんは、私にそういって頭を下げた。
「い、いえいえ、全然、そんな。救急車呼ばないでよかったんですよね」
「あぁ。ちょっと厄介なことになるからな」
そりゃ厄介なことになるでしょうよ! という突っ込みは心の中だけで炸裂させる。
…………あれ、なんで厄介なことってぼやかすんだろ。
あぁ、そっか。私は納得する。
この人は、私にまだ自分が人間でないことをばれていないと思っているのだ。自分から言うようなことでもない。それを知られることは恐怖になるだろうし、言わないほうがいいだろう、と私は彼の本当の姿を見たことを黙っていることにした。
気を取り直して、私は冷蔵庫に向かう。
そこには大分前に買ったスポーツドリンクがあった。ちゃんと冷やしてあることに安堵する。真夏の今、こんなものを放置しておけばもう腐っていただろう。
「これどうぞ。のど渇いたでしょう? いっぱい汗かいてましたから」
その言葉とともに、青年にスポーツドリンクを手渡すと、彼は驚いたような顔で私を見た後、それを突き返した。
「これはスミレが買ったんだろう。ただでさえ多大な迷惑をかけてしまったんだからこれ以上受け取れない」
意外と義理堅い人だ。
彼は脂汗をたくさんかいていた。水分補給をしなければならない。だが、こういうことは、誰かにしろといわれるまでほっといてしまうことが多い。このままここから出て行って、倒れてしまっりしたら、と考えるとどうにも目覚めが悪いのだ……というのは建前。買ったものをつき返されたことで沸いてきた意地で、私は言い返す。
「そんなこといったって、私もう買っちゃいましたし。これを一人で飲むのは持て余しちゃいます。突き返されるほうが私的には迷惑なんですけど」
すると、難しい顔をした青年は、ジーンズのポケットから何かを取り出して……え? 財布!? 現代社会に馴染みすぎでしょこの化け猫さん! よく考えたら口調とか全然古めかしくないし!
困惑する私に、1000円を差し出してくる。
「受け取ってくれ。余分なのは迷惑料だ」
そういうと、スポーツドリンクのふたを開けごくごくと喉を鳴らして飲んだ。
あぁ、飲まれちゃったらこれ受け取らないといけなくなっちゃったじゃん。策士だ。
私は渋々と、負けたような気分で1000円札を受け取った。
しばらく。
ペットボトルをすっかり空にした化け猫さんに、私は話しかける。
「もう気分は大丈夫ですか?」
「あぁ。邪魔したな」
凛と張った声を聞く限り、それは嘘じゃないだろう、と分かる。彼はこれからねどこに帰るんだろう。どこかは知らないけれど。
けれど、私はまだ、この奇妙な出会いを終わらせたくなかった。
「あの。帰る途中でまた具合悪くなったら大変なので、私、途中まで送っていきましょうか」
化け猫さんは、眉根を寄せて私を見る。
当たり前だ。そんなに長く人間である私といることはよくないのだろう。だが、と私は食い下がる。
「通りすがりの方に通報されると厄介なんでしょう?」
すると、化け猫さんは困ったような顔になった。
「いや……送ってやろうなんて言ってもらえて有難いとは思うけどな。俺、家ないから」
「……ええ? どうやって生活してるんですか」
「公園とか……公共の施設とか、ネカフェとかで泊まってるな。昼間はバイト」
「ホームレスかよ!」
しまった、思ったことが声に出ちゃった。でも、それって本当危ない。最近は物騒だし。
「…………ついさっきまであんなに死にそうになっていた人を、そんな生活に戻らせる気はありません」
気がついたら、言葉が口をついて出ていた。
「私の家に住んでください」
- Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.20 )
- 日時: 2014/06/28 19:43
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
「は?」
遠慮会釈なく怪訝そうな声を上げる化け猫さん。
一方私は、口を付いて出た信じられない言葉に、今更ながら恥ずかしさが込み上げてきていた。
が、出てしまった言葉は取り消せない。それに、なぜか取り消す気にもなれない。
「そのっ! ユキさんって人探すんですよねっ? それ私も手伝いますので! 一人より二人の方が良いに決まってますし、そうするんだったら一緒に住んだほうが絶対効率良いでしょう!?」
機関銃のように畳み掛けると、化け猫さんは気圧されたように目をぱちぱちさせた。が、強気に言い返してくる。
「そんなことできる訳ないだろうが。第一、それでお前にどんなメリットがある」
「私に似てておまけに同じ場所に住んでた人がどんなか非常に興味があります!」
「お前の親はどうすんだ!」
耐えかねたかのように声を張った彼に、私は勢いで答える。
「二人ともいませんっ!」
すると、刺されたような顔になって、化け猫さんは黙ってしまった。
今まで何度もされてきた、気遣うような空気。私はもう感覚が麻痺してしまったようで、それに何も感じなくなっている。
そこで、何となく気付いた。
たぶん、私は、この人に、妖怪としての興味だけじゃなく、依り所を求めているのだと思う。
親のいないこの広いアパートで、開いたのは空き部屋だけではなく、私の隣でもあるんだ。
どんなことがあっても、褒めてほしくても、悲しくても、楽しいことがあっても、今の私は、誇らしげに胸を張ることはできないし、泣いて胸を借りることはできないし、笑いあうことはできない。
子供のような駄々。依り所がほしくてほしくて。
こんな気持ち、化け猫さんには勿論言えない。ぐしゃぐしゃになった心の中身を整理しないまま私は化け猫さんの顔を見る。
「……実は、親が遺した財産ももう限界なんです。私働ける歳じゃないですし、誰かが稼いでくれたらうれしいなあって感じなんですけど。援助も一応受けてますけど、学費払ったりすると足りないなあ、なんて」
そして、駄目押しのように告げる。
「どうせコンビニご飯とかばっかりでしょう? 私、家事全般出来ますよ? 私は家事、あなたはバイト、二人でユキさん探し。両者に利益がありますけれど」
にこり。笑う。
がしがし。化け猫さんは頭を掻いた。
「……ルームシェアということか」
横文字!? と呆気にとられていると、彼は負けたよと呟いた。
「お前の世話になろう。俺の名はゆうつづ。夕方の星と書く。宜しく」
「…………っ! 純粋に玲瓏で純玲です! 宜しくお願いします!」
こうして、化け猫さんと私の奇妙なルームシェアが始まったのだった。
- Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.21 )
- 日時: 2014/06/29 20:18
- 名前: マリアンヌ (ID: BQ1ri7Nn)
初めまして!マリアンヌというものです
前々からになっていたのでやってきました!
全部読んだんですが、とっっても面白いです!
化け猫さん個人的に好きです><
続きまってます!
あ、駄文ですが私もコメディ・ライト小説書いてます^^
ほんっと駄文です文才分けて下さいお願いします←本気
- Re: 年増化け猫と依無し少女 ( No.22 )
- 日時: 2014/06/29 20:45
- 名前: 一匹羊。 (ID: 5qCSmirc)
♪マリアンヌ様♪
初めまして、こんにちは!
訪問ありがとうございます!!
面白いといって頂けて凄く嬉しいです! 化け猫さん意外にも今後キャラを増やしていく予定ですので、彼らも好きになって頂けるとよう頑張ります……!!
文才は私が欲しいです(切実)
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