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ムニキス
日時: 2015/02/10 17:27
名前: はるたろう (ID: VNx.OVCe)

登場人物→>>1(協力・優斗@捨駒になりたい)
ムニキスの用語集>>12

序章・ヘンケイ>>5>>7
一章・グンタイ>>10>>11>>13>>14
?章・ワルモノ>>15
二章・オウゾク>>16>>17>>23>>24
———シュウメイ>>27>>28>>29>>30
?章・タカキチ>>31
三章・タベモノ>>32>>33>>34>>35
———トオリマ>>36>>37>>38



オリキャラ様、ありがとうございます。

リン>>2(ちほりん様より)
アーク>>6(黒い月様より)
イオ>>20(ルイ様より)


こんな駄文に目をつけて頂き、誠にありがとうございます。土下座を通り越して地面に頭をつけてブラジルまで届きそうなくらい頭を下げております。次は靴を舐めようかな。

それでは。ムニキスの世界へどうぞお入りください。

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Re: ムニキス ( No.31 )
日時: 2015/01/29 19:16
名前: 捨駒 (ID: v8ApgZI3)




怖くなって瞼を閉じると、暗くなって怖い。
眠たくなって寝ようとすると、なんだか胸が騒ぐ。

あの月のように白くなってしまった己の毛髪に、これから先起きないであろう兄弟の血を塗り、あの頃の黒さを戻そうとした。

ふと、思い出す。

ある日であった。
己の耳元で何か、暗い闇が囁く。

——名前が無いのだろう?

俺は……であった。
出来損ないの兄に代わってつけられた。

でも、サダメというものは時には残酷で、やはり兄が……になる。
俺はそれが悔しくて、泣いていた。

——なら、名前が無いのも当然だ。

違う。

——兄に名をとられるトハナ…

違う。

——血を使え。さもなくば、父の様には強くなれない。

己の肉体、血液、細胞、何もかもがその時騒いだ。
限界を越えられる気がして、全てを壊す。

思い通りにならないのなら、自ら変えていくのみ。

死にたくなければ、戦わなければならない。



その誇り高き血統、いつまでも絶やすこと無く。



Re: ムニキス ( No.32 )
日時: 2015/01/30 17:19
名前: 捨駒 (ID: f/YDIc1r)



テントはいつもの断崖絶壁。いつもと何も変わらない風景にも、少しだけ違うところがあって、掘立小屋に建物が変わっているのである。

いつもは、はだけたYシャツとジーンズだったトシゾウの格好も少しだけ変わり、その上から黒い革製のコートを羽織っている。
タカトラは相変わらずタンクトップに明細柄のマントであった。もう少し身嗜みを整えなさいと、あの口調でリュウケンに言われたらしいがこのままでいくらしい。

後は女…イオであったが、

「うぃー!さびぃゼェ…オ?なんだ、お前…そのままで行くんカヨ…見てるこっちが寒ィよ。」
「アンタには関係無いよ。レオンはずーっと、ちんちくりんの軍服のままじゃあ無いの?」

初めて会った時の服装の上にシャツを着ただけの格好であり、一応注意したレオンであったが、レオンのリミッターはすぐに外れるのである。

「テンめ!いいやがっテェ…ぶっ殺すぞコラァ!!」

「レオンさん、また騒いでますね。」
「そうだな。」

優雅と言ってはいけないが、静かに紅茶を飲む二人と黙ってタカトラに見惚れる一人。

「アンリさんって、お洒落ですよね!」
「ああ。可愛いよな。」

聞いていたのか聞いていなかったのか分からないまま、コウとアークは会話を続ける。そのあとに、紅茶を盛大に服の上にぶちまけてしまったアンリの反応で、二人は顔を見合わせて笑った。

トシゾウは留守であり、タカトラには話し相手がいないのか、大きな手には似合わない本を読んだまま固まって動いていない。

今日だけはムニキスの事は忘れられると思っていた。



Re: ムニキス ( No.33 )
日時: 2015/02/04 19:19
名前: はるたろう (ID: ylrcZdVw)


「ッ!おい!タカトラ!」
「タカトラさーん!大変ですよー!」

鳥が狂ったように泣き叫び、無に還された土地から飛び立っていく。
その音と同時に入ってきたのが、トシゾウと少女・リンの声。

「…女子…よし、トシゾウから話せ。」
「ムニキスがまた起こった。今度は大剣を背負ったガキ。他の仲間は見てねえらしい。

「次、女子。」
「えっと、魔法が使えるようになってた!朝起きたら…えーと、エメラルドスプラァァアッッツシュゥウッ!」
「…花〇院かよ。」
「え?」

リンの声の後に外で金属音の様な、爆発音の様な音が聞こえた。

慌てて外に出て断崖絶壁を覗き込んでみると、一面が焼け野原に変わっていた。
ムニキスまでとはいかないが、植物以外が綺麗サッパリと無くなっていた。

あんぐりと口を開けたアークにリンは得意気に笑み、空へ高々とピースをした。

「分かった。その…荷物は、お前の村の近くでまた起こったのか?」

「いや。私は魔法が使えるようになったから。」
「壊滅したのは…隣国。つまり、イエスの所だ。」

「イエス…?」

「おっと、黙っててスマンな。」

「いや…」

頭を押さえ、俯いたアークは

「何か…覚えているような…いないような…微かに、感じるのは。」
「イエスですか?僕も…聞いたことがあります。」

コウとアークは首を傾げたまま、テントへと消えていった。

大国だった隣国を一発で潰すムニキス。着々と勢力を伸ばしていっている。
その恐ろしさに怯えながら、アンリは息をすった。


Re: ムニキス ( No.34 )
日時: 2015/02/06 20:56
名前: 捨駒 (ID: CVGC9rYr)



——見えた…

「チョコ齧ってる暇があったら…タタッキレ…と、な。」

大剣に話し掛ける少年の姿はあまりにもおかしい物である。
手についたチョコを、大剣の切れる所に這わせてはニヤリと笑んだ。

アンティーク調の双眼鏡のレンズを外し、古びた袋に入れてコウの首を引っ掻く真似をする。

「待ってろよォ…姉ちゃんに首持ってってやるんらからなァ…」

呂律の回らない舌を手に近づけ、軽くキスをした。




アンリは何かが来ることを悟った。

確信では無いが、拠点を移す準備を整わせた隙だらけの自分達を狙うはず。

タカトラか、あるいはトシゾウ、コウ、レオン、アーク…女達まで容赦なく消すムニキスをどう彼等に伝えるか。

——嗚呼…前の時もこうだった。
——コウが現れた二日前、隣国でのムニキスが起こった二日前も…

力が無い己をどれだけ恨んだらいいのか。
血が出るほど己の手を握り締める。小指を立てて紅茶を啜る、少々は鼻につくコウを睨み付けた。

何かが違う。コウだけは守り通したい。

「…コウさん…少しお時間を。」
「?なんですか?」

「…信じなくとも…ええい!どちらでもいい!!避けて!」
「ハァッ?!って、うわっ!!」

アンリの蹴りに耐えきれず木箱の椅子は音を立てて崩れ落ちる。

「ッ?!どうした!アンリ!!」

「タカトラ様。隠し通しておりました。…次は左です!説明してる暇はありません。避けてください!」

所々冷静に考えつつ遠くを見つめる。

——見つけた!
——あの反射するレンズ…

「リン様!あの光をエメラルド…なんやらです!」
「そおい!どっこらショットォオ!!」

レンズが粉々になるのが肉眼で確認できると、アンリはため息をつき、後ろを振り返る。

「馬鹿だねェ、実に馬鹿だよォ!!姉ちゃんのオヤツはお前にしてやんよォオ!!!」

頬のトランプのダイヤの刺青。
金髪の髪、誰もが認める絶世の美少年の容姿。

彼こそがまさしく、

「キラル…別名『光の暗躍者』…」

「せーかいだよ。…眼鏡サン。」


Re: ムニキス ( No.35 )
日時: 2015/02/06 21:28
名前: 捨駒(二回連続更新) (ID: DTjsowAk)



思いっきり矛盾しているとは思わないでいただきたい。

光の暗躍者。光を司る大剣を持ち、夜な夜な実の姉のタベモノを探す。
血に塗られた大剣は、どこを持っても鋭く切れる。
しかし、その剣を操ることができるのはある血統のもののみ。

「それがこのキラル様よぉ!!なんてったって、僕様の血は固まるからな…腕から離れねえし…使いやすいんよ。」

固まった手のひらを広げて細い指だけを動かして見せた。

「僕様はあの王族を殺ったァ…姉ちゃんもアイもソードもヨツバモ…ミーンナ幸せにナレタノダヨ…」

「お…おい、キラ…キラル!ガキンチョ!」

「あーん?なんだよ…殺しえや…ろう…カ…」

トシゾウが叫んだときにはもう遅かった。

敵ながら美しい顔が真っ二つに裂け、そこから暗い闇が現れた。

テレビ番組等でよくある、モザイク。そのモザイクの様にキラルの切り口に闇が集まり、大剣までをも飲み込んだ。

「あ…あ…姉ちゃ…あ…」

「貴様ァ、このイエス様に逆らうからよ。だから逃げろと言った。我は話を聞かない奴とこの白いブーツのジッパーを汚される事が嫌いだ。」
「あー!助ケロヨ…助けてェ!!」

空間から生えたといってもいい腕はキラルの顎を掴み音を立てて破壊させる。

「貴様はどちらにも当てはまるのよ。だから気に食わん。」

パチン

そう聞こえた瞬間にはもえ跡形もなく消え去った。

後にはそっと瞼を閉じたままのイエスだけ。何やら微笑んでいることは放っておく。アンリもどうやら何が起こったのか分かっていないらしい。

「…フン。なんだあのヘナチョコ野郎は。我の前ではゴキブリよりも弱かったぞ。まだゴキブリの方が骨があるぞ。」

鼻をもう一度鳴らしたイエスは、アンリを見ると少し考えた後にその場から消えた。

なぜ消えたのか…その質問はなぜ朝がくるのかと同じくらいのレベルの質問である。その答えは当分聞けやしないことだけが、分かった。



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