コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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  聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中>
日時: 2015/11/07 19:01
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: /GGwJ7ib)

 恋とは即ち闘争である。









こんにちは!
村雨と申します(・ω・)
今までコメライ板で短編を書いてきたのですが、訳あって長編も書こうと思い立ちました(
シリアス描写等入ると思いますが、基本的にゆるーい感じで読んで頂ければなあと思います。
尚、下ネタやパロディがちょくちょく登場しますが、ネタということでどうか悪しからず……

今作ではヒーローっぽい男の子とヒロインっぽい女の子の二人の視点で綴っていきます。
1〜2レスごとに話者が交代になるかと。

コメントやアドバイスは大歓迎です!
コメント頂いた方の小説には極力感想を書きにいきますのでっ




【目次】


Chapter 1
<そうだ、合コンに行こう>
>>1 >>4 >>7-8 >>13-14 >>18 >>21-22

登場人物紹介 >>27

Chapter 2
<One Step, One Emotion>
>>30 >>34-35 >>38




【お客様】

氷優。さま
蒼さま
奏楽☆彡さま
夏目 織さま
悠。さま
紬さま
ゴマ猫さま
朔良さま

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Re:   聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中> ( No.38 )
日時: 2015/10/10 21:24
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: /GGwJ7ib)




 文化祭の朝。校門をくぐると大きなアーチが設置されていた。ダンボールを繋ぎ合わせて色紙を貼っただけのものだけど、高さが三メートルほどあるのでそれなりの威圧感を感じた。「第四十二回山が丘高校文化祭」と書かれたその周りに、色とりどりの風船が連なるように取り付けられている。昨日私が下校するときはまだなかったのに。少し歩を進めると幾つかの模擬店が並んでいて、チョコレートの甘い匂いがした。チョコバナナでも作っているのだろう。何人かが買い物袋を持って、早足で横を通り過ぎていく。学校はいつもよりせわしなく、華やいでいた。

 下駄箱を過ぎてすぐのところにパンフレットが平積みにされてあった。一部手に取ってぺらぺらとページをめくる。「体育館企画」と書かれたところで私の手は止まった。

「2−6 クラス劇 9:15〜10:00」
 二年六組。速水くんのクラスか。体育館で全校集会が行われた後すぐだ。見ようかな。

「なーに見てんの、めぐちゃん!」
 髪に息が掛かる。振り返ると、マリナがいた。これは面倒臭いことになりそうだ。私はさりげなくパンフレットを閉じる。
「いや、別に?」

「ふうん」
 マリナがつまらなさそうに声のトーンを落とす。そして彼女の視線は、パンフレットの山に注がれた。

「あ、今日のパンフ置いてあるし」
 そうして彼女はパンフレットを読み始めた。これはまずいな。案の定、しばらくしてピンクのネイルを光らせているその手は止まった。

「ほら! H氏のクラスが劇やるんだって! 知ってた!?」
 私は曖昧に返事をした。知ってるよ、と心の中で呟く。

「てゆーかこれってこの後すぐじゃん!」
 心の中を見透かされたみたいでどきりとする。

「あーそうなんだー。へー」
「ちょ、何その感じ! 彼氏のクラス劇があるっていうのに!」
「彼氏じゃないから」
「あ、ごめん。『未来の彼氏』ね!」
「気が早いってば」

「じゃあ、めぐちゃんは見に行かない系?」

「それは……」
 別に、他の予定が入っているわけではない。家政科の出し物であるクラス展示は昨日までに準備が終わっているし模擬店を出すわけでもなく部活もやっていないので、今日は一日お客さん気分で楽しめばいいのだ。それに。
 私は速水くんの顔を思い浮かべる。初めてメールアドレスを交換した男子のことが気にならないはずはない。

「……折角だし、行こうかな」

Re:   聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中> ( No.39 )
日時: 2015/10/12 14:36
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: /GGwJ7ib)




 文化祭当日。朝体育館に集合して全校集会が行われた後、すぐに僕たち理数科クラスの劇が始まる。
 劇はクラス全員参加が義務らしく、一人残らず何かしらの役割を割り振らなければいけない。ということで、部活展示の準備が忙しいといって練習にろくに顔を出していなかった僕にも、一応役割が与えられた。そう、「緞帳(どんちょう)を下ろすためのスイッチを押す」という役割が。

「よかったなー根岸! 頑張れよ」
 それを聞いた速水はがはは、と大げさに笑った。僕は何だか自分が情けなくなった。

 舞台袖では、部長が小道具係の男子数人と何やら話し込んでいる。僕は少し離れたところから彼の横顔を見た。同時に、一昨日言われたことが頭の中に浮かぶ。恋をしている、だなんて昭和の映画俳優が言いそうな臭い台詞だ。しかもその相手は二十七歳で、シングルマザー? 僕には理解できないな。

 緞帳の裏では、クラスメートたちが忙しそうに準備をしている。幕の上がっていない舞台では台詞の最終確認が行われ、大道具が次々と運び込まれていく。

 一週間ほど前に、僕は速水からクラス劇「ダブルスの少女ハイジ」の台本を借りて読んだ。書いたのは文芸部のクラスメートである。
 おてんばな少女ハイジがテニスに目覚め、友人のペーターとともに男女混合ダブルスでウィンブルドンを目指す。しかしわずか八歳の幼女である彼女はウィンブルドンに出場する資格がないことが分かり、一時は悲しみに暮れるが、おじいさんやクララの励ましによって来るべき未来に向けて自身の実力を磨いていくことを決意する……という筋書きである。ちなみにハイジ役もクララ役も男子だ。この劇は大丈夫なのだろうかと一抹の不安が胸をよぎった。

 九時十五分。
 大道具担当のクラスメートが緞帳を上げ、劇が始まった。五百ほどの客席はほぼ満席で、舞台上がまぶしいほどの照明に照らされる。野球部でガタイの良いハイジ役の男子がワンピース姿で登場した。

「今日は本当に気持ちの良い日……テニスでもやりたい気分ね!」

 僕は最後まですることがないので、舞台袖でひっそりと体育座りをしながら劇を見ていた。舞台袖はライトを消しているため薄暗い。

 速水は準主役であるペーターの役を演じていて、ほとんど舞台に出ずっぱりだ。ラケットを持って大げさな素振りをしては、白い歯を見せてお得意の爽やか笑顔を振りまく。
 一方の部長はというと、僕と同じように部活展示の準備が忙しかったはずなのに、舞台に出てヤギのユキちゃん役を完璧にこなしていた。彼の想い人である延木さんは、今客席のどこかにいるのだろうか。

 僕がいなくても、劇は何事もなく進行していく。自業自得とはいえ、虚しい気持ちになった。


「……そんなっ!? 私はウィンブルドンに出られないってこと!?」
 暗転した舞台で、スポットライトがハイジ一人を明るく照らす。もうそろそろ終盤か。つまり僕の唯一の仕事が近付いているということだ。大きく息を吸い込むと、頭が冴え渡るような気がした。

 直接照明が当たるわけではないけれど、確かに自分の出番がやってくる。緞帳を下ろすなんて、大切な仕事じゃないか。折角もらった役割なんだし、しっかりやらねば。スイッチを押すのは一瞬だけど、僕がいなければこのクラス劇は永遠に終わることが出来ないのだ。

 舞台上には十名ほどが彼女(彼)の周りを取り囲んでいた。
ハイジの、最後の長台詞が始まる。
「……でも、そうよね! ペーターやクララの言うとおりだわ!」

 僕は立ち上がった。三十分以上床の上で体育座りをしていたので、お尻が痛い。

「それに私、気付いたの。自分はまだまだ練習不足だって……もっと沢山練習して、いつかおじいさんみたいに立派なテニスプレイヤーにならなくちゃ」

 心なしか鼓動が速くなる。緞帳を下ろすスイッチに手を伸ばす。

「……だからその時まで頑張るわ! さあ練習するわよ、ペーター!」

 台詞が終わる。明るい曲調のBGMが流れ出す。僕はタイミングを見計らって、精一杯思いを込めてスイッチを押した。緞帳が天井よりゆっくりと下りてきて、会場から拍手が沸き起こった。その音は幕が下がるにつれて大きくなり、しまいには体育館全体を包み込んだ。

Re:   聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中> ( No.40 )
日時: 2015/10/21 16:28
名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)

 こちらの作品には初めてお邪魔させて頂きます<m(__)m>
 朔良です、お久しぶりです!

 一気読みさせて頂きましたー!
 何度もクスっと笑ってしまいました……笑
 日常のちょっとした出来事って何気に笑えますよね〜

 朔良は速水君&愛ちゃんが好きです!
 速水君が「野獣」だと聞いて愛ちゃんが襲われるのではないかと思いましたが、そのあたりは紳士的なのかーと好感度がまた上昇しました。

 速水君のクラス劇! どういう展開になるのか期待度がうなぎのぼりでございます←

「スリムダンク」やら「ダブルスの少女ハイジ」など、ちょこちょこ面白味を入れてくる村雨さんが憎いです!笑
「スリムダンク」読んでみたいです笑


 更新頑張って下さい!
 楽しみに待っております

Re:   聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中> ( No.41 )
日時: 2015/11/07 19:01
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: /GGwJ7ib)

>>40
お久しぶりです! 朔良さまっ(゜ω゜)
おおおお返事が遅れてしまい本当に申し訳ありませんorz

一気読みありがとうございます(
この小説のメインは恋愛モノなのですが……ちょこちょことしたネタをつぎ込むことに楽しみを見出している村雨です←
面白いと思って頂けたなら幸いです!

速水と愛が好きですか! ありがとうございます(ノ)ω(ヾ)
そうですねー、襲うところまでは至らなかったようです(

近頃更新が滞っていてすみませんorz
ごゆるりと待っていただけたらなあ、と思います(^ω^`)

Re:   聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中> ( No.42 )
日時: 2015/11/07 21:37
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg (ID: lV5SbBSQ)







 こんばんは。そしてご無沙汰しています、はるたです。
何と、村雨さんの新作にこんなにも出遅れてしまうなんて……こ、これは切腹ものですね。

  恋とは即ち闘争である。
うわぁぁぁぁ、昔好きだった人が運命的に高校一緒だったのに、その人が同じ中学から一緒に来て仲の良かった友達(女)と一緒に下校していても何も感じなかった私をどうか許してください。闘争、そうですね、そうだったんですね。私はことごとく好きな人が私の友達を好きだったのでもうそれでいっかな的なニュアンスでいたんです。これからは恋=闘争 っていう認識でいきます。

 両親がいない子供、私の昔の知り合いに同じような子がいたのでその子のことを思い出しました。その子の両親は二人ともが他に好きな人を作って出て行ったそうです。静斗くんととても境遇が似て、きっと静斗くんも辛いんだろうな、なんて考えてしまいました。
 高校生で合コンとかするものなんですかね。私のところは田舎だったのでそんな話を聞いた覚えは……というか私は地味子だったのでお誘いはなかったのですね、うん。
 愛ちゃん、なんて可愛いのでしょうか。私も高校はほぼ女子高だったので共感です。周りに男がいないのが当たり前の状況、見渡せば女子、女子、女子。え、男子ってどこにいるのなんて思っていました。あれですよね、共学でも科によって女子の比率とか男子の比率がだいぶ違いますからね。きっと愛ちゃんとは仲良くなれそうです。

 え、スリムダンクとか普通笑いません?大爆笑ですよね? 
出てきた瞬間、口元抑えて笑いこらえていたというのに、そのうえ設定も「スリムになることを決意したぽっちゃりの主人公がバスケ部に入部する、青春ダイエット漫画」って。もう笑いどころしかないじゃないですか。どうしてくれるんですか←

 これからも更新楽しみにしています。
 頑張ってください。


 


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