コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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生まれた星が悪かった!
日時: 2015/10/15 19:39
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


おてんばで活発な和国の姫・メイリィ。
王子の婚約者候補としてやってきたレイジュ王国では、正直王族から迷惑がられてるけど気にしない!

だが、そんな彼女に思わぬ事態が!!

ってカンジの話ですが、そこまでドロドロしておりません(ちょっとダークかもしれないけど)!
元気なお姫様がめっちゃ奮闘したり、助けてもらったり、迷惑おかけしたりすると思います!しっかりラブコメ要素いれちゃいます!

あたたかーーく見守ってください!

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Re: 生まれた星が悪かった! ( No.9 )
日時: 2015/10/24 19:10
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)



第7話「サルとの友情」


家来たちに取り押さえられ、連れてこられたのは城から少し離れた野原に中に立つ古ぼけたレンガ造りの塔。
私の刑が決まるまで、ここで監禁生活を送れということらしい。


塔の中に入ると、そこから螺旋階段を上って最上にある部屋に連れていかれた。
鋼鉄でできた大きな扉が何年も開けていないせいでギシギシと音をたてて開く。

「え!きたな!」


つい声が漏れた。バッと家臣からすごい睨まれたけど、本当に汚いんだもん。
部屋の広さはまあ普通だけど、クモの巣が張り巡らされているし土ぼこりがひどすぎる。
一歩進んだだけで、小麦粉を落とした時のようにボワッと砂が舞うのだ。


「もうちょい良い物件なかったんすかー!?こんな場所で生活してちゃ明日には死んじゃうんだけど!」


と、文句をぶつけてみたけれど家臣は黙ったまま。はいはい、もういいですよ。


「ここで大人しく過ごすのだぞ」

「さあそれはちょいと約束できねえですな。歌っちゃうし踊っちゃうし何するか分からないよ、私?」


ペロッと舌を出して挑発してみると、家臣はムスッとした顔で私を見た。
そして思いっきり背中を押されて、部屋に中に入れられると、そのまま鋼鉄の扉を閉められた。


バタンッッ


予想以上に大きな音で扉は閉まった。まるで、もう一生開かないかのように————。
そして、家臣たちの足音が遠のき、沈静な空気が流れる。


急に静かになってしまった。



「やぁまいったまいった!まさかこんな仕打ちがくるなんてなぁ!」


アハハハといつもの調子で笑うが、どうも長続きしなかった。
とりあえず口元は笑ったままだったが、心の中までは笑えなかった。


「は…ハハ…。えー死んじゃうのかなー私…。ハハ…・・・もし死んじゃったら…ママたち悲しむだろうな」


脳裏に浮かびあがる家族の顔。
涙なんて絶対に流さない。こんなところで負けてたまるか。

だけど———————


涙腺が緩みそうになった、その時だった。


「アイ!!」


「ん!?あい?」


バッと前を見た。


「アイ!!」


「よっす!」と言いたげな顔で、そこに小猿が一匹立っていた。
何とも愛らしいその姿に、急に私の顔がほころんだ。


「猿だ!!えー、和国でしか見たことなかったけど…この王国にもいたんだ!!」

興味津々になって、その猿の頭をたくさん撫でていると、たちまち笑顔を浮かべる猿。なにこいつ可愛い!


「待って、というより、なんでこんなとこに猿が?」

「アイ!」


そう言って猿が指さした方向には、猿が自分で作ったと思わしく小さな木造の椅子があった。
そこに座って自信満々に腕を組む猿。


「ここに住んでんの!?」

「アイ!」

「ずっと?」

「アイ!」

「え、でも…食事は?」

「アイ!」

そう言って、またまたどこかを指さした。その方向を見ていくと、部屋の隅っこのほうに直径30cmほどの穴があった。


「なるほど…そこから外に出て食料を持ってくるんだ。へえ、そういう生活スタイルがあるんだ。すご」

部屋の中を一周見渡した。

窓際におかれたボロボロのベッド。奥のほうにはバスルームと思わしい部屋があった。
とりあえず中を一通り見て見ると、トイレもあったしキッチンもあったし、それなりに生活していけるようだ。
しかし、何といっても汚すぎる。


「ねえ!えっと…オサル!って今日から呼ぶね!あのね、オサル。私も今日からここで暮らすことになったんだ!自己紹介するね、メイリィ・ポルメリア!16歳。よろしく!」


手を差し伸べると、オサルは利口で、パッと掌を出した。
私とオサルはギュっと握手をして、友情を築いた。

オサルはすごく優しくて賢い小猿だった。
外から採ってきた木の実や木苺を分けてくれた。

数時間ほどして、私とオサルは完璧に意気ピッタリの親友同士になっていた。


「よかったオサル。あなたがいてくれたから、ちょっとは気持ちが楽になった…いや逆にすごい楽しくなってきた!」

私がバンザイと手をあげると、オサルも一緒のポーズをとった。
それが素直にうれしくて、いつまでも笑っていた。


「ひひひ…必ずここからは脱出するよ。そして願わくば和国に戻ろう!人生レッツエンジョイ!」



くよくよしている場合じゃない。むかつくこともあるし納得いかないこともあるけれど、まずは覚悟を決めないとね。この現実をとりあえず受け入れよう。


自分、笑顔を絶やすんじゃないぞ!気張れ!!

Re: 生まれた星が悪かった! ( No.10 )
日時: 2015/10/26 19:36
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


第8話「姫の知らぬところで色々動き始めてんだと、さ」



「よかったでございますね、マリーネア様。これでもう嫌がらせは無くなります」

ガージスがニッコリ笑ってみせる。マリーネアは、どこか遠慮深く笑みを浮かべるだけだった。
あまりにも突然すぎる展開に、頭の中が整理できないのだ。


「ですが…本当にメイリィさんがあんなことをやったのでしょうか…」

ほんの少し疑心を抱くマリーネアに、すかさずガージスが言葉をかける。

「本当ですとも。写真を見ましたでしょう?あれがれっきとした証拠なのですよ」

まだどこか信じにくい部分もあるが、どうにか納得するマリーネア。
横に立っていたディオラはそんな彼女を心配そうに見つめ、そっと肩に手をおいた。


「君が心配することはない。何も悪いことをしていないんだから」

穏やかな笑顔。優しい言葉。マリーネアの不安はゆっくり消えていき、ディオラに笑顔で向き直った。
ガージスはおだてるように、「お二人は本当にお似合いでございますね」とつぶやく。
たちまちディオラとマリーネアは互いの頬を赤くして恥ずかしそうにしたが、拒むことはなかった。



「一件落着しましたので、お二人はどうぞごゆるりと庭園でお散歩の続きをしてください。私はまだやるべきことがありますゆえ」
「まだやるべきこと?」
「あぁ。王子は気になさらないでください。大したことではございませんので。どうぞお二人は戻られてください」
「分かった。それじゃあ遠慮なく」


そう言って、マリーネアと肩を並べて歩いていくディオラ。
そんな二人と逆方向に、ガージスは足を運んでいく。


そうして彼がやってきたのは、王宮の護衛官たちが集う広間へ。

「あ、これはガージス大臣!」

パッと椅子から立ち上がり一礼する護衛官たち。


「そう堅くならないでくれ。実は君たちに頼みたいことがあるのだが」
「何でしょうか」
「実は、王子の元婚約者であるメイリィ・ポルメリアが王国の反逆を目論んでいたとして、刑が決定するまで王宮の外にある塔で監禁している」

驚いた表情を浮かべる護衛官たち。
口々に「姫が?」「王国の反逆?」と言葉が飛び交い騒然としてたが、長と思わしき男が一喝して黙らせる。


「そこで、君たちに塔の付近で監視を頼みたい」
「監視?ですか?」
「まあ正確に言えば、脱走しないよう見張ってもらいたい」
「脱走?姫がですか?」
「あの者を甘くみてはいけない。手につけられんほどの暴れ馬みたいな奴だ。どんな手を使って脱走するやも分からん」
「まあ。大臣がそう言うのなら…。そうですねぇ…ロッカ!」

男に名を呼ばれて、護衛官たちの間から出てきたのはロッカだった。


「この中では一番優秀な人物です。ネズミをも逃さぬ防衛力を持つこのロッカなら大丈夫でしょう」

男がベタ褒めするため、ガージスも満足して「ならば頼んだぞ」と快く了承した。
ロッカは口元に笑みを浮かべ、「力の限り尽くします」と深々と頭を下げる。



(メイリィ様がこの王国を潰そうとしていた…ということか)


脳裏に浮かびあがるのは、あの時笑顔でリンゴをくれた姿。


(なんとも言えないなぁ)


どうも腑に落ちない気持ちを抱きながら、大臣が部屋を出ていくのを見送った。

Re: 生まれた星が悪かった! ( No.11 )
日時: 2015/10/28 19:18
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


第9話「優しさと偽り」


メイリィが塔に監禁されて、最初の一日が始まる。
そんな中、清々しい気持ちで目覚めたのは大臣のガージスだった。

「こんな静かで心地のいい朝は久しぶりだな」

だいたい毎朝、ある特定の部屋からガチャガチャした物音が聞こえたり、廊下をバタバタ走る音が聞こえたり、大声が聞こえたりと目覚めの悪い日々を過ごしていた。
それが今日から平穏になるのだと考えるだけで、ガージスの喜びは収まらなかった。

「くくく……あのわんぱく小娘をようやく潰せたぞ…これで私の計画も順調に進む」


次に浮かべたのは、強烈な悪い笑みだった。



ところ変わって、メイリィのいる塔。


「ふあぁ…よく寝たよく寝た!いやぁそれにしても背中が痛い。あと喉も痛い」

ボロボロのベッドの上で寝たせいで、思いっきり埃を吸ってしまったようだ。
とりあえずうがいをしようと洗面所のほうへ向かった。
蛇口の前に立ち、「この水道、いつから使ってないんだ?」と疑問に思いながらグッとそれを捻る。

ジャーと最初に水が出たとき、とんでもなく濁っていた。
それが徐々に透明へと変化していく。

「・・・うわぁ・・・いやいや!うがいだし!うん!」

三回ほどうがいをして、水の味に問題ないことを確認した。


「さあて、準備体操いってみよーう!!オサル!!」

ベッドの上で丸くなって寝ている小猿のオサルを呼ぶと、まだ眠そうにしていた。


「仕方ないなぁ。ほんじゃ、私だけでやっちゃいますか!」


一人でせっせと体操をしながら、昨日から嫌というほど見渡したこの部屋の中をまた見渡した。


「こりゃ掃除が必要だなぁ。雑巾この部屋にあるのかな?」

キョロキョロ周りを見ていると、突然コンコンとノックの音が聞こえた。


「ほーい!どちらさまでー?」
「あ、メイリィ・ポルメリア氏でいらっしゃいますか?」


聞き覚えのある声だった。

「そうですけどーぅ」
「王宮の護衛兼監視係のロッカと申します」
「え!?ロッカさん!!」

今すぐ見たくてドアノブを捻るが、ビクともしない。

「あぁ…こちらからしか開けることができませんので。ちょっとお待ちください」

そう言って、向こうの方から鍵を差し込む音が聞こえた。
数秒後、ギィィィと重たい石壁の音が鳴り響き、扉が開く。

「お待たせしました」
「やっほーロッカさーん!おはよー!!」

思いっきり飛びつこうとしたけど、ロッカさんが何かお膳のようなものを持っていたのでストップした。

「朝食をお持ちしました」
「朝食?」
「といっても、王宮にいた時よりだいぶ質素ですが」

そう言って、お膳をベッドの近くにあるテーブルの上におく。
メニューはサラダとスープ、パンとジャムだった。
王宮で食べていたものより色合いがだいぶ落ちているし、ボリュームもない。
しかし、一流のコックさんが作っているだけあって味はよさそうだった。


「ありがとうロッカさん。準備体操して、超おなか空いてたから助かったよー」
「それならよかったです」
「でも、なんでロッカさんが?」
「あぁ、それはですねー…。ポルメリア氏が塔にいる間、私がお守りすることになっていまして」
「私を?へぇー、悪いことして監禁されてる人をお守りするんだ」

無意識に口にした言葉に、ロッカが少し目を見開いたがまた平静を装った。

「まあ、立場上ですね。ここにいる間、あなたに困ったことが起きたとき私を呼んでくれたらいいので」

「さぁ冷めないうちに食事を」と、ロッカが促すとメイリィは素直に頷いて朝食をとった。


「ねえロッカさん、私が困ってたら呼んでいいって言ったよね?」
「いいましたよ」
「ならこの部屋汚くて掃除したいから今日一日、私に付き合ってね」
「え…掃除、ですか」
「うん!みんなですれば早く済むし」

そう言って、肩に上ってきたオサルと目を合わしてニコッとするメイリィ。


(…変に偽らなければよかったな。まあでも、今日ぐらいいいか。ここは王宮から離れているし)


ロッカは笑顔で了承する。

Re: 生まれた星が悪かった! ( No.12 )
日時: 2015/10/28 19:49
名前: ぱすてる∞ (ID: Q.pGZPl6)

また来ました〜。
ロッカさん優しい!ロッカさん家にひとり欲しいです。ww
あとオサルかわゆす。鳴き声がアイってとこ、かわゆす。うん、かわゆす。

あいかわらず面白いですん(*^^*)
文才わけてください。

これからも頑張ってくださいね!!

Re: 生まれた星が悪かった! ( No.13 )
日時: 2015/10/29 19:04
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


ぱすてる様


また来ていただきすっっっごく嬉しいです!
はいはいロッカさん速達で送りますね!(笑)
オサルのこと褒めてくれてありがとうございます!

文才とか全然ないですッ!逆に勉強しまくってます!(笑)
あ!ぱすてる様と思わしき小説を見つけたので今度見にいきますねー!

それじゃあ今後も更新頑張ります!


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