コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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生まれた星が悪かった!
日時: 2015/10/15 19:39
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


おてんばで活発な和国の姫・メイリィ。
王子の婚約者候補としてやってきたレイジュ王国では、正直王族から迷惑がられてるけど気にしない!

だが、そんな彼女に思わぬ事態が!!

ってカンジの話ですが、そこまでドロドロしておりません(ちょっとダークかもしれないけど)!
元気なお姫様がめっちゃ奮闘したり、助けてもらったり、迷惑おかけしたりすると思います!しっかりラブコメ要素いれちゃいます!

あたたかーーく見守ってください!

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Re: 生まれた星が悪かった! ( No.1 )
日時: 2015/10/17 06:51
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


第1話「嫁いだ国が悪かった!」



この王国にやってきたのは私が9歳のとき。
海を隔ててお隣のレイジュ王国に、王子の次期婚約者候補として訪れたのだ。


もちろん初めは従者も何人かついていたけれど、いつの間にか彼らは姿を消したのだった。
右も左も分からぬ新境地で、私はこれからどうしようかと不安になった。

そのとき、今は亡き祖母の言葉を思い出したのだ。

『———笑っていればなんでも乗り越えられる。笑顔は勝利を意味するの。いかなる時でも相手にスキを見せないためには・・・笑顔を絶やさないこと』



笑顔でいること——

相手にスキを見せないこと———

祖母からの教訓は私の心に強烈に響いた。そして、勇気をもらった。
祖母の言葉を胸に、私はおよそ7年間この王国でがんばって・・・・・・・・




・・・がんばりすぎた・・・・・・・・・?????






「メイリィ様!!そこは私どもが掃除いたしますのですぐに降りてきて下さいィィ!!」

半分怒り顔のベテラン掃除婦が、王宮の廊下の柱によじ登っている着物姿の少女に大声で言った。
少女の名はメイリィ———。そう、私であーーる。おほん。


ベテラン掃除婦のブラッタさんはかなりの高所恐怖症だ。
天井のほこりをとても気にしていたみたいだから、代わりにやってあげようと思ったんだけど。
私こう見えて、木登り超得意だし。

そしたら今度は、近くの部屋の扉が開き、私がちょっと(本当にちょっとね?)苦手にしている大臣が出てきた。


私は内心「うげっ!」と嫌な気持ちになったと同時に、大臣の顔が強張るのが分かった。


「ポ、ポルメリア様ー!!何をなさっているのですか!!」
「見たらわかりませんかー?天井の掃除をしようとしてますけどー?」
「なぁッ!…それは掃除係の仕事ですよ!あなたがすることではありません!」
「いえいえ大臣さん。私はここに長く住まわせてもらってるんですよ?感謝の気持ちを込めて掃除をするのが当然じゃないんですかぁ?」
「ぐぬぬッ・・・」


何か歯切りしている。あれ、なんかおかしいことでも言ったのか??
明らかに私を憎んだ形相なんだけど。まあ、いっか!!!


「しかしッ……!やはり和国の姫様であろうお方が、そんなはしたない行動をするのはいかがなものかと思われます!おい、監視ども!すぐに姫様を降ろせ!」


近くの監視員たちに命じる大臣。
そうすると、仏頂面の監視員たちがゾロゾロと私のほうへ押し寄せ無理矢理にでも柱から引き離そうとする。
ええい!それならこっちだって立ち向かってやろう!!

「おらおらおらおらららら!!!」

勢いたっぷりに百烈拳ならぬ百烈キックを披露した。
監視員たちもさすがに表情を変えて、ヘタに近づいたら顔面に蹴りをくらうことを躊躇った。

「どうだぁ!」


満面の笑みで勝利を勝ち得た高笑いをしてみせると、その隙に監視員たちに取り押さえられる。


「よし、そのまま部屋に帰しにいけ!」

「そ、そんなぁぁぁ」

「メイリィ・ポルメリア様、9時になりましたら王族に関する歴史の勉強ですのでお忘れなく」

「えぇぇぇ…大臣さーん。・・・こうなったら窓から逃げよう」

「聞こえておりますよ?」

「おほほほ。寝言ですけどー?」



お互いに温度差のある笑顔を浮かべて、自然と視線をそらした。



(あ〜〜やっぱりあの大臣さん、にーがーて!!)



そして私は、案の定自分の部屋に帰されてしまった。


「監視員さんも大変だねー!はいこれあげる!あめちゃん!」


あめがたくさん入っている大きなビンを監視員さんたちに向けると、少し困ったような顔をされた。

……なんでこの王宮の人たち……こんなにバツの悪い顔をするんだろう。

そう思いながら、「はい!はい!」と無理矢理彼らのポッケにあめを入れた。


「じゃあ、今日も一日はりきっていこーっ!ばいばーーい!!」


にこやかに手を振りながら、自室のドアを閉めた。

ドアの背を向け、次に私が見たのは“窓”である。



「メイリィ、いっきまーーーーす」



助走をつけて窓まで猛ダッシュし、遠くに広がる空に向かって勢いよくジャンプした!



————縛られるのはごめんだ!  私は自由にいきまーす!

Re: 生まれた星が悪かった! ( No.2 )
日時: 2015/10/17 17:22
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)

第2話「選ぶ相手が悪かった?」



「ここ最近の、というより———ここ数年のポルメリア様の素行と言いますか…悪化しすぎではございませんか」

王宮の中の大広間で、大臣たちなど王家の者が集まって座談会をしている。
その中で毎度のことながら話題にあがるメイリィ・ポルメリア。


「王国の将来を担う人物は、礼儀を知っているべきだと思うのです」
「ごもっとも」
「廊下を走る、窓から飛び降りる、大声で話しかける———。以上の行動は幼稚です」
「ごもっとも!」
「王国の未来を受け継ぐ王妃の人物像としては———ほど遠いと思われます!!」
「ごもっともです大臣!!!!」

拍手喝采の嵐。家来たちは何度も頷きながら、「同意見です」と言わんばかりの表情を浮かべる。
メイリィに日ごろから迷惑している王家の者たちは、このように定期的に彼女に対する意見のぶつけ合いをしているのだ。
当然、メイリィ自身はそのことを知る由もない。

それを先頭に立って指揮しているのは、大臣のガージスである。
メイリィをもっとも煙たがっていると言っても過言ではない男だ。

なんせ、彼女がこの国へやってきた当初からあまり気に入った様子ではなかったのだ。


「まあしかし…まだ婚約者候補です。彼女が将来、王家を背負っていくという可能性はまだまだ微弱…」

「それに王子は今———」



———場面かわって王宮の庭園。

四季にそった季節の花や植物が植えられており、遠くから見るだけでとても絵になる風景だ。


「まあ、ディオラ王子がいらっしゃるわ」
「なんて素敵な青年なんでしょう」

他所から訪問しに来られた王族の奥様方が、頬を染めながらそう口に出した。
レイジュ王国第2王子であるディオラは、それはそれは眉目秀麗でその容姿から異性に絶大な人気を誇っているのだ。
性格もとても、優しくて誠実で見た目も中身も完璧な青年である。


メイリィはこの王子の婚約者候補となっていた。


コスモスの花をじっと見つめるディオル。
するとそんな彼の背後から、一人の少女が現れる。


「ディオラ様」


澄んだ少女の声。ディオラは瞳孔を見開かせ、クルリと自分の背後を振り返った。


そこに立つのは、淡いピンク色のドレスを身にまとった、とても可憐な少女だった。
薄い金髪で、カールのかかった腰まであるロングヘア。
目は綺麗な紺色で彩られていた。
少女が醸し出す穏やかで柔らかな雰囲気。人懐っこい笑み。


ディオラは少しばかり頬を赤らめながら、「マリーネア」と彼女の名をささやいた。


「今日は王宮のほうへお呼びいただきありがとうございます」
「大したことではないのだが、君に…この花を見せたくて」
「え?あら、コスモス…もう咲いているのですね」
「あぁ、数日前に家来から聞いて、ぜひ花が好きな君に見せたくて」
「まぁディオラ様。なんてお優しいお心なんでしょう。こんな私のために」

自然とマリーネアまで頬を紅潮させる。
二人の間に流れる何とも青春な雰囲気。

マリーネアはレイジュ王国にある造船会社社長の一人娘であり、ディオラとは同じ学校に通っていたのだ。
二人は美術の時間に共通の趣味の話で意気投合し、いまでは週に1度会っているほどだ。


「でもディオラ様…私より先に、見せるべき方がいらっしゃるのでは…」


申し訳なさそうに、でも少しだけ寂しそうに、マリーネアはそう問うた。
その瞬間、二人の間に何とも言えない気まずさが流れる。
しかし、ディオラは取り繕うように笑顔を見せた。


「マリーネア、誤解しないでくれるかい。この花は本当に———」

「あっ!王子さんだ!王子さーーーーーーーん!!!!」


ディオラの言葉をかき消したのは、彼の婚約者候補メイリィ・ポルメリアだった。
のんきであまりにも能天気すぎるメイリィの声。


マリーネアはディオラの顔を見て、びっくりした。
穏やかで誠実といわれた王子の顔に———青筋が立っている。

少しばかり口を引き攣らせながら、いまにも崩れかけそうな微妙な笑顔で声の主に振り返るディオラ。


そこに立つ、自分の婚約者候補———。
しかし、明らかにマリーネアのときと表情が違っていた。


Re: 生まれた星が悪かった! ( No.3 )
日時: 2015/10/19 19:38
名前: あずさん (ID: uWXzIoXb)


第3話「どうやら私が悪かった!?」


窓から脱出すべく飛び降りたら、ちょうど庭の真ん中にディオラ王子がいるのを見つけた。
とりあえず挨拶をしようと全速力で彼のもとに近づいていったら、あらら・・・すんごい微妙な笑顔を浮かべられてしまった。


「やあ・・・メイリィ」
「おはよー!!やぁ今日もいい天気ですなーわははは!」
「そうだね。ところで、なんで裸足なんだい?」
「ん?あー、今さっき部屋の窓から飛び降りてきちゃったから!」
「え・・・」


王子の顔から笑顔は消え、あきらかに驚愕していた。
今気づいたけれど、王子の隣にはマリーネアさんがいた。


「部屋って、メイリィ・・・君の部屋3階じゃなかったか?」
「うんそうだよ?やあ、着地した瞬間なんか足がジンジンでね〜!」


おかしそうに笑っていると、自分一人の笑い声しかないことに気づく。
目の前の二人を見ると、言葉を失っているようだった。んー?なんか変なこと言った?まーいっか。


「それより王子さんとマリーネアさんどうして二人でいるの?」


私の投げかけた質問に、ディオラ王子が突然咳き込んだ。マリーネアさんも何か冷や汗かいてるし。


「コホッ・・・ゴホッ、あっ・・・いや、彼女は王宮に所用があってだな、偶然会ったんだ」

王子さん、目が泳いでるけど大丈夫か?「ふーん」と納得しながら、マリーネアさんに視線を移す。
なんかすごく申し訳なさそうに目線を下げていた。


「おろろろ?マリーネアさん元気がない?もしや王子さんがひっどーいこと言ったのかな〜?」

冗談のつもりでちょっと挑発すると、王子さんが少し怒りながら「そんなわけない!」と言い返してきた。
「・・・誰のせいだと・・・」小声でなんか言われたような気がしたけど、空耳かな?


「それより王子さん!!10月だよ10月!!秋じゃないですかー!紅葉狩り一緒にいこーよー!!」


王子さんの腕にしがみついてお誘いをした。

「も、紅葉狩り?」

怪訝そうにしながら、さりげなく腕を離された。

「うん紅葉!たぶん和国でしか見られないかもしれないけど、赤い葉っぱでそれがお山にたくさんあって綺麗なんだよ!これが!ねえ行こうよ!」


必死にお願いしてみるが王子さんは少し困った表情。そして、どうしてかマリーネアさんのほうを気にしていた。
なぜマリーネアさんの表情を伺っているのだ・・・?


「けれどメイリィ、俺もいろいろと忙しくてだな」
「え〜!まだ王子さんと一回もデートしたことないんだし、いいじゃないすかぁ!」
「で、デート!?」

王子さんがびっくりして目を見開いた。あれれ?また変なこと言った?

「そんな驚かなくても。婚約者なんだし」

当然のようにそう言うと、王子さんがみるみる表情を暗くしていく。
そして、マリーネアさんまで表情を曇らせていた。


なんか———空気壊しました?



「そういえばメイリィ、和国から大量のリンゴが届けられていたよ」

王子が急に話を切り替えた。けれど、その言葉に私の目はかなり輝きを増した。

「え!え!本当!?それきっと父さんたちだ!!きゃー私の大好きなリンゴを!うれしー」

一人で盛り上がっている最中、二人が顔を見合わせて苦笑いしていたなんて気づきもしなかった。


「じゃあ私今すぐそれ見てくる−!手紙入ってるかも!!」

ばいばーい!と言いながら二人を残して、頭の中はリンゴだらけのまま走り去る。


王子はため息をついた。


「すまないマリーネア。君の傷つくことをしてしまって・・・」
「えっそんな・・・お気になさらないでくださいディオラ様!」
「まったく・・・どうして昔からあんなにはしたないのだろう。礼儀やマナーの勉強もどうせサボっているんだろうな・・・」
「でも、メイリィ様はメイリィ様の良さがきっとありますから・・・」
「マリーネア、こんな時まで他の人のことを考えてあげるとは・・・やはり君は清らかな心を持っている」
「そんなことありませんよ」

にこっと笑うマリーネアの笑顔は、とても柔和で見ている者を癒してくれそうだった。
ディオラは完全に癒されていた。そして気持ちも、もうとっくに・・・。



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