コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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樹海のエアガール【完結Thank you!】
日時: 2015/12/05 08:45
名前: シロマルJr. (ID: TM1He8zT)

初めまして、シロマルJr.であります!
今回のこの小説が、僕の初投稿の作品になりますっ!完全に趣味でやっているので、正直言って文章力は皆無に等しいです。なので、皆様なるべく温かい目で見て頂けると幸いです・・・。


<登場人物>
未空マナミ( ミソラ マナミ)
樹海高校一年生の、本作主人公。深緑色の長袖ワンピースと、木の形の髪飾りが特徴。極度のメンドくさがり屋で、厄介事を何よりも嫌う。学校では決して目立つことの無い、まさに空気の様な存在である事を理想としている。キャラクター作りが趣味。

ソラマナ(そらまな)
マナミの前に突然現れたソラマメ。性格は、マナミと正反対で、とにかく積極的で好奇心旺盛、おまけに生意気。何のために、何をしに彼女の前に現れたのかは一切不明。マナミが作成したツイッターのアイコンキャラによく似ている。


星茂流(ホシ シゲル)
マナミのクラスメートでとなりの席。茶髪で髪を立てている。とにかく陽気でお調子者。いつも冗談を言って、クラスの笑いを誘っているが、最近では何かに酷く怯えているらしい。

久遠綾(クドウ アヤ)
マナミ達の中学時代のクラスメート。155センチ程の小柄で山吹色のショートヘアが特徴的。当時は、誰にでも明るく活発に振る舞い、クラスを通り越して学校の人気者だったが、1年前に、事故で亡くなっている。

吉丸澪也(ヨシマル レイヤ)
マナミのクラスメートで学級委員。イケメンで、クラスメートからの信頼も厚い優等生。マナミはその爽やかな表情に、何か裏があるように感じているが・・・。普段はメガネを掛けている。

早乙女凛花(サオトメ リンカ)
マナミのクラスメート。副学級委員で正義感が強い。藍色の髪とポニーテールが特徴的。特技は空手で、その実力は全国レベル。中学の時の大会で優勝した事もあるというが、何故か空手部に所属していない。マナミの唯一の友達の一人。

亮,健人,正志(リョウ,ケント,マサシ)
三人とも一年A組。澪也と特に仲の良い三人組。澪也の裏の顔を知っている。

未空勇樹(ミソラ ユウキ)
マナミの弟。樹海中学二年生。控えめな性格で、自分の意見を上手に表現できない。最近、誰にも伝えずに一人でどこかへ出かけることが多いらしい。霊感が強い。


目次
プロローグ メンドくさい事 >>01
1. 「空気」とは? >>02
2. 行方不明 >>03
3. 疑惑 >>08
4. いつもの広場に >>11
5. 動揺 >>12
6. 中学時代 >>16
7. 三度目のニュース >>17
8. どうしてこんなこと >>18
9. 級友の逆襲 >>25
10.綾と勇樹 >>26
11.私の話 >>27
12.樹海 >>28
13.夢か現実か >>29

エピローグ1.いつもと変わらぬ日常 >>32
エピローグ2.「未来」>>35

コメント返し >>05>>07>>10, >>15>>21, >>24, >>31>>34
茶番タイム、番外編らしきもの >>13, >>22

時間のある時に頑張って投稿したいと思います。そのため、少し話が空いてしまうかもしれませんので、その辺はご了承した上でお願いします。お楽しみに〜!

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Re: 樹海のエアガール【コメント募集中!】 ( No.15 )
日時: 2015/11/15 20:11
名前: シロマルJr. (ID: TM1He8zT)

ブルーオーガーさん

いえいえ、暇だったので書いてみたんですが、喜んでくれてたら嬉しいです!
これからのマナミ達の活躍に期待してあげてくださいね!まぁマナミはメンドくさがっているかもしれないけどww
ブルーオーガーさんもどんどん書いちゃってくださーい♩
こっちもどんどん、もう少しソラマナの出番を増やしてあげたいと思いますw

Re: 樹海のエアガール【コメント募集中!】 ( No.16 )
日時: 2015/11/16 23:28
名前: シロマルJr. (ID: TM1He8zT)

6.中学時代

「・・・もしかして勇樹君、綾ちゃんと話してたんじゃないの?」
凛花の発したその言葉は、私の心にずーーんと響き渡った気がした。
彼女の言う綾ちゃんとは、おそらく久遠綾の事だろう。それ以外考えられなかった。
久遠綾、彼女は私の、いや、私達の中学時代の同級生だ。もう忘れてるかもしれないが、私の通う樹海高校は、高校と共に中学校も一緒にある。だから樹海中学校を卒業したら、必然的に附属の樹海高校に入学する事になるからね。
・・・すると急に、私の脳内に中学時代の日常の一角が思い浮かんだ。

ーーキーンコーンカーンコーン・・・6時間目の授業の終わりのチャイムだ。
「ねぇマナミ、今日この後時間ある?」
たった今話したこの女子こそ、久遠綾である。山吹色のショートカットに、ゆるいパーマをかけていて、大きな目が特徴だ。
「今から皆で、どこかでお茶しようと思うんだけど。ある程度人数は誘っといたから、マナミが来たら一応10人になるんだ。ね、一緒に行こうよ!」
綾はこのように、明るく活発な性格であり、誰にでも分け隔てなく話しかけていた。その持ち前の明るさと可愛らしい容姿で、クラスの女子からも、男子からも、さらには学校中の人気者だった。身長は155センチと、中学生にしては低めだが、彼女の存在感は、クラスの誰よりも大きかった。まさに私と正反対である。
「・・・行かない」
だけど彼女の事は、言っちゃ悪いが正直嫌いだった。理由はもちろん、メンドくさい事を嫌う私にとって彼女は、少々邪魔な存在だからだ。だから今もこうして、誘いを断ったのだ。
「えー?行かないの?しょうがないなー、それじゃあたし達だけで行こうか」
そう言って、綾とその他クラスメートは教室を出て行った。その中には、澪也や茂流も一緒にいた。
「マナミちゃん?行かなくてよかったの?」
凛花が私のそばに寄ってくる。凛花、心配せずともこれでいいのだよ。これで私は、何事もなく1日を終える事が出来るのだから。
その後は特に、何も起こる事はなかった。そう、その日は。

そして、日にちは8月7日、土曜日。夏休みに入っていた。
私達は当時、中学三年生だった。普通ならこの時期中3は、夏期講習だの宿題だのフライアウェイだの、色々忙しいのだが、私達はそのまま附属の高校に入るから、受験がどうこうわめかなくていいのだ。附属ってこういう時便利だよね。
その日、私達はクラスの皆で(私はほぼ無理やり)新宿に遊びに行った。もちろん、綾に凛花に澪也、茂流もいる。クラス外の人間も何人かいた。確かA組の亮、健人、正志だっけ。澪也と仲が良かった。
「さあ皆!今日は思い切りはしゃぐよー!!」
それに続き、皆が「おー!」と盛り上がる。彼女のムードメーカーぶりには、本当に感心する。まあ、別に羨ましくはないけど。
私達はその日、皆が思い思いに楽しんだ。私にとっても、不思議といい具合に羽を伸ばせたと思う。その場にいた全員、心から楽しそうだった。
ーーが、しかし、事件は起きてしまった。
それはその日の夜8時。もうすっかり暗くなっていた。あれほどにぎやかだった皆が、今ではしんと静まり返っている。その中の何人かは、心配そうな表情を浮かべていた。
ーーそう、綾が行方不明になってしまったのだ。
「・・・綾ちゃん、どうしたんだろう?今澪也達が探しに行ってるけど、連絡も全然取れないし・・・」
凛花も心配そうにしていた。しばらくすると、澪也が、その後から茂流、亮、正志、健人の順に戻ってきた。しかし、綾の姿は見えない。
「・・・綾ちゃんは?」
「見つからなかった。本当どこいったんだあいつは・・・」
凛花が質問し、澪也がそれに答える。本当にヤバい感じになってしまった。
私は正直、彼女は嫌いだ。でも、いないとこんなにも寂しいものなのか・・・。なぜかものすごく焦っているのが、自分でもよく分かった。
「・・・とりあえず、今日はもう遅いし帰るか?あいつのことだ。そのうち帰ってくるだろう」
茂流の意見にみんな「そうだな」と同意する。その日はそこで解散となった。

そして後日、生徒に向けて学校から緊急招集が伝達された。私は、妙に胸騒ぎがして、嫌な予感がしたのを覚えている。
ーーそして、その嫌な予感は的中した。
「えー皆さん、今日はとても残念なお知らせがあります。・・・心して聞いてください」
当時の私の担任が言った。私には、少し感情をこらえているように見えた。
「・・・昨日の新宿付近の広場で・・・久遠さんが亡くなっているのが見つかったそうです。昨夜に彼女の両親から、娘がまだ帰っていないと連絡があって、警察が捜索したところ・・・久遠さんの姿が遺体で見つかったそうです・・・」
そこで話は終わった。クラスの皆は、ひどく落ち込んでいた。涙ぐんでいる者もいた。私は突如、周りから人が消え去ったような感覚に襲われた。


回想はそこで終わった。今私達は、その広場にいる。
「・・・でも、復讐ってなんの事だろう?勇樹君や澪也達とも関係ありそうだし・・・」
そう、さっきからそれが気にかかっていた。綾の死と何か関係があるとは到底思えな・・・
ーーまさか!?
ふと思い出した。勇樹が澪也達にいじめられていたのを。あれは勇樹が澪也達の見てはいけない物を見てしまい、澪也達は、口止めのために勇樹をいじめていたとか?・・・そういえば、勇樹もさっき、いつもと違って言葉に詰まることなく、自分の意見もしっかり言っていた気がした。気になる事は山ほどあったが、
「とりあえず・・・今日は帰ろう?もう8時だよ?」
「あ、うん・・・」
ソラマナの一言で我に返る。慌ててスマホの電源を入れると、時刻は8時20を過ぎていた。もう帰らなければ。
「じゃあ、またねマナミちゃん」
「・・・うん、じゃあね」
そう言って凛花と別れた。帰ったらしっかり勇樹に謝らなくちゃいけないな。このセリフも何度目か分からないけど。
「早く帰らないと、ママとパパに怒られちゃうよ?早く早く!」
ソラマナポケットから顔を出して言う。無茶言うなよ。さっきさんざん走ったからもう体力は残ってないし。お前は本当に楽でいいよね・・・
心で悪態をつきながらも、私はなるべく全力ダッシュを意識していた。

そして私は明日、予想外の事実を知ることになる。(仮)


Re: 樹海のエアガール【コメント募集中!】 ( No.17 )
日時: 2015/12/01 14:37
名前: シロマルJr. (ID: TM1He8zT)

7.三度目のニュース

ーーバタッ!
私は慌てた様子で、玄関のドアを開けた。
「あらマナミ、おかえり。勇樹なら帰ってきたわよ。探してくれてありがとう」
ママが飛び出してきた。本当だよ、大変だったんだから。
「勇樹、出かけるときには、父さんか母さんに伝えろって言わなかったか?」
リビングで、勇樹がパパに怒られている。当然だよ。こんな時間まで外にいるんだから。あと、うちの門限は夏の間は7時まで。その約束を破ったんだもん。
「とにかく、今日はもう寝なさい。疲れてるだろうし、明日行ったらもう夏休みなんでしょ?あと1日の辛抱よ」
そうだった、あさってから夏休みだったんだ。すっかり忘れてた。どうせ休むんだし、1日くらいオマケで休ませてくれてもいいのに。
「夏休み?いいなあ、私も休み欲しい〜!おいマナミ、私に夏休み半分よこせっ!!」
・・・いや無理だろ。何言ってんのアンタ。なんで私が夏休みの半分をアンタなんかにあげなきゃいけないのよ。本当に生意気な奴・・・。
「じゃあお休み」
私はいつも通り挨拶をした。まあいい、明日学校に行ったらもう休みなんだ。
「おうマナミ、勇樹を探しに行ってくれてたんだな。ありがとな。助かったよ」
パパが私に気付いて言った。説教はもう終わったんだろうか?
ーーそして私はベッドに入っていた。まただ、また勇樹に謝リ忘れてしまった。やはりあの事が気になる。綾と勇樹の事だ。あの二人、いや、実際は勇樹だけだったんだけど。
ーーまさか、凛花の言う通り勇樹があの場所で、綾と話していたというのか?いや、あり得ない。彼女は死んだんだ。生きている人間と話せるわけがない。幽霊にでもなったというのか?いや、あり得ない。非科学的だ。
ーーだめだ。これ以上考えても答えは出ない。
そう結論を出し、私は眠りについた。

7月16日 金曜日
「マナミーーーっ!朝だぞーーっ!!」
・・・うるさいなぁ、なんて起こし方だよ。起こしたのはもちろんソラマナである。思ったんだけど、朝から元気よくとか言うけど、全員が全員朝起きた瞬間から元気でいられると思う?少なくとも私は絶対無理。起きるときくらい、自分のペースでいさせてくれないだろうか。
ーーとか、そんな事を考えながら、私は教室に入った。
なんだかいつも以上に騒がしい。いつもうるさい茂流も、今日は人一倍騒いでいる。原因は分かってる。明日から夏休みだからなんだろう。
「っていうか、それが超おもしれーのよ。C組の渡辺いるじゃん?あいつが俺の運んでた荷物を持ってってくれるって言ったから、俺は荷物を渡したわけ。そしたらあいつ、いきなり転ぶんだぜ?何もないところで。注意力無さすぎかよ!」
そう言って、茂流が大笑いしている。周りの仲間たちもつられて笑う。何がそんなに笑えるのやら。
「みんなおはよう。HR始めるから早く席ついてー」
すると、教室に森山が入ってきた。いつもの眠そうな表情で。
っていうか、この光景もう飽きたんだけど。いつも眠そうだし、1日くらい普通なシャキッとした感じで入ってきてくれないだろうか?
「おっはよー森ちゃん、今日も眠そうだな!」
茂流が口を挟む。こいつは本当にいつでもどこでもうるさい。
「・・・今日は、皆さんに誠に残念なお知らせがあります。心して聞いてください」
茂流の言葉には関与せず、森山は続けた。ん?何か同じようなセリフを耳にした事がある気がするんだが、気のせいだろうか?
「えー・・・この間、うちの学校の女子高生2.3人が行方不明になったと言ったな?」
「ああ、こないだっていうか昨日だな。森ちゃん、寝なさすぎて記憶飛んじまったんじゃねーの?」
茂流の一言で、クラス内は爆笑の嵐になっていた。こないだ?昨日?そんな事どうでもーー
「静かにしろ!!笑い事じゃないんだ!!」
急に森山が怒鳴りだす。普段、怒鳴る事はほとんどない彼の突然の豹変に驚いたのか、教室内は一瞬で静かになった。私には、彼が何か感情を抑えているように見えてならなかった。
「・・・その3人が、新宿近くの広場で、遺体で見つかった・・・」
森山のその一言で、私の心は凍りついていた。いや、私だけじゃないはず、きっとクラスのみんながそう感じていたはずだ。
それから森山は、そのときの状況を詳しく説明してくれた。やっぱり何かおかしい。
私は知らぬ間に、激しい戦慄を覚えた。

それから何時間か経ち、昼休みの時間になった。私はいつも通り、自分の席でぼんやりしていた。今は、凛花と話をする気力もなかった。
死亡した女子生徒は、A組の柴山 、大澤、長谷川という生徒だった。3人とも私の中学時代のクラスメートだった。それぞれ個性はあったものの、3人とも明るい性格だったので、綾ととても仲が良かったのが印象に残っている。
「ねえマナミ」
ふと、ポケットから声がした。見ると、ソラマナがこちらに顔を向けていた。
「死んだ3人って、綾とかいう生徒と何か関係あったの?」
「・・・一応仲は良かったけど、何でそんな事を聞くの?」
「・・・いや、なんとなく?昨日凛花と何か話してたじゃん」
そういえばそうだった。気になることの一つだった。だが、今は横の例のバカが怯えたように震えてるのも気になっていた。
ーー何やってんだ。
心でそう思っていると、そのバカに澪也が話しかけていた。
「・・・茂流?そんな震えてどうしたんだ?」
「澪也! 別に、何もねえよ・・・」
ここで、昨日勇樹をいじめていた集団の中にいた、澪也と茂流が頭に浮かんだ。あれは何だったんだ?何かの間違いだったと信じたいが・・・
「・・・あいつだ」
・・・は?どうしたんだよ?あいつって誰なの?
「行方不明になって死んだ柴田達も、きっとあいつに殺されたんだ。俺らがあいつを、綾を・・・」
「おい、あの話はもうやめろって言ったよな?忘れたとは言わせねえぞ」
ーー急に澪也の声が低くなり、表情も険しくなっていた。さっきまではしっかり優等生の顔だったのに、今では獲物のシマウマを狙う、ライオンのような目をしている。
「あ・・・わりィ」
それっきり、茂流が喋り出すことはなかった。明らかに様子がおかしい。やっぱりこの二人がーー
「マナミちゃん、ちょっといい?」
「・・・凛花、どうしたの?」
私はなるべく、いつも彼女と接するのと同じように聞き返した。
「あの二人、何かおかしくない?」
やっぱり、凛花も気づいてたんだ。昨日の勇樹の事といい、彼女の観察力は、本当にすごいと思う。
そう思ったところで、授業開始のチャイムが鳴った。
すぐに教師が入ってきて、何事もないかのように授業を始めたが、多分、ていうか絶対集中できないと思う。教師も生徒も。


Re: 樹海のエアガール【コメント募集中!】 ( No.18 )
日時: 2015/11/29 17:14
名前: シロマルJr. (ID: TM1He8zT)

8.どうしてこんなこと

ーー6時間目とHRの時間が終わった。
結局、1年B組の皆は、授業に全く集中できてなかった模様だった。私もその一人だった。
理由は決まっている。この学校の女子高生が行方不明になり、行方が分かった時には死亡していた事件があったからである。
ーーどうしてこんなことに・・・。
すると、「ピロリン」と軽快な電子音が鳴った。音の出所は、私のワンピースのポケットにあるスマホだった。
私はスマホを取り出し、メールの内容を確認した。そこには、誰が見ても驚くべき内容が書かれていた。

ーーRe: 未空マナミ

元気?
突然だけど、8月7日の夜8時に、緑広場に来てもらえる?
・・・何の日かって?まさか忘れた?そんなこと言わせないよ。
あの頃の3年C組の皆なら、嫌でも覚えてるはずだから。
じゃ、そういう事だからよろしく。

ーー以上がメールの内容だった。件名、差出人は書かれていない。一体誰からなんだろう?
私はしばらく、そのメールをじっと睨みつけていた。すると、
「は!?なんだよこのメール!?」
そう叫びながら教室に入り込んできたのは、学級委員の澪也と、お調子者の茂流だった。ちなみに今叫んだのはお調子者の方である。
「これじゃ誰が書いたのか分からねえよ」
澪也も言った。かなり動揺しているように見えた。彼がここまで動揺するのは珍しい。が、少しわざとらしく見えたのは気のせいだろうか?
「マナミちゃん、メール見た!?」
さらに、慌てた様子で凛花も教室に入ってきた。どうやら何人かには、私のと同じ内容のメールが届いているらしい。
私には、このメールの意味が分からなかった。

今日は早めに帰ろう。
そう思って、さっさと帰る事を決意したその時、
「・・・姉さん!」
背後から声が聞こえた。声の持ち主は、意外な事に勇樹だった。彼は息をぜえぜえ切らしながら、時代遅れの携帯電話を私に向けた。
「このメール・・・見た?」
勇樹の携帯には、私とほぼ同じ内容のメールが表示されていた。唯一違っていたのは、
ーーあなたの野望、一緒に叶えよう
メールの最後に、そう書かれていた事だ。野望とは何の事だろう?8月7日という日付も気になる。
「一回行ってみたら?緑広場に。何かわかるかもしれないよ?論より証拠って言うじゃん」
ーー冗談じゃない、私に何の関係があってそんなメンドくさいことしなきゃならないんだ。っていうか、そんな気になるなら自分で行ってこいよ。
・・・でも、今はそんなこと言ってる場合じゃない。
何が起きてるのかは全く分からないが、なぜかそんな気がした。
「・・・姉さん?」
私は、何分間そこに立っていたんだろう。何を考えていたんだろう。勇樹が私を見つめている、周りのみんなが、私を不思議そうに一瞥して去っていく。そして、私はひとつ決心した。
ーー8月7日、緑広場に行こう。それで全部終わらせよう。

8月7日 土曜日
月日が経ち、気づけば私は緑広場の真ん中に立っていた。勇樹はまだ来ていない。この広場の中央には噴水がある。広場のシンボルで、ライトアップもする。
今の時刻は午後7時45分。メールに書いてあった時刻の15分前だ。
「マナミ、何か心当たりがあるの?」
よほど不安げな顔をしていたのか、ポケットの中でソラマナが言った。実は、心当たりは全くない事もない。あの後私は少し考えた。なぜか他人事じゃなさそうな気がしたからね。そして、考えに考えた結果、ある人物が頭に浮かんだ。
綾の事だ。この事はどうも彼女が関係してる気がしてならない。まぁ、これはあくまで私が心で思ってる事だから、ソラマナには分からないだろうけど・・・
「・・・もしかして綾の事?」
ーーなぜ分かった!?
前から不思議に思ってたんだけど、何かコイツ、人の心が読めるんだろうか?本当はソラマメなんかじゃなくて、もっと別の何かなんじゃないのか?
「・・・あのさソラマナ・・」
次の瞬間、私は全くの無意識で、ソラマナに話しかけていた。
「何?」
ソラマナは不思議そうに返事した。こうなったら後戻りはできない。面倒な事になる前に、一切合切聞き出してしまおう。
「前から気になってたんだけど・・」
そこまで言うと、「おーい!マナミちゃん!」別の声が聞こえた。声のした方を見ると、凛花が私の方に走ってきていた。その後からは勇樹も来ていた。
「お待たせ、待ち合わせ場所ここであってる?っていうか、待ち合わせって言っていいのかな?だって、誰からメール来たのか分かんないし・・」
そうだった。あのメールは差出人不明だったんだ。でもここで、もうすぐ全員集まる事は分かってる。もうすぐ全てが分かるんだ。多分。
「おーい、未空に早乙女ー!」
また違う声が聞こえた。そこには、澪也と茂流、さらにA組の亮、健人、正志も来ていた。これで、メールを受け取った全員が揃った。時刻は午後7時50分を過ぎていた。
「みんな、届いたメールだけど、どういう意味か分かったか?」
口を開いたのは澪也だった。いつもとなんら変わりない優等生の雰囲気だ。
「分かるわけないじゃん、差出人不明なんだもん。一体誰が書いたんだよ!?」
そう言ったのは茂流だ。きっとこの場にいる全員がそう思っているはずだろう。私もそう思っている。なかなか事が先に進まず、若干イラついていると、
「・・・あんたじゃないの?・・澪也」
ふと声が聞こえた。声の持ち主は、私の隣にいた凛花だった。その声は怒りに震えていた。
「はあ!?何で俺がこんな意味不明なメール書かなきゃならないんだよ!」
「だってそうでしょ!?あんた達が何やってたか、私知ってるんだから!ね、マナミちゃん!」
ちょ、勘弁してよ、私巻き込まないでよ。私を面倒事に巻き込まないで!
「・・何の事か、俺には全く分かんないんだけど?」
「そうだよ、澪也が何やったっていうんだよ!」
「とぼけないでよ!あんた達のせいで、勇樹君がどれだけ辛い思いしてきたと思ってるの?あんた達がいじめてたんでしょ?澪也、茂流、あと後ろの3人で。いつまでも優等生ぶってんじゃないわよ!」
何気にA組の連中の扱いがひどかった気がしたが、それはまあ置いておこうか。
「それで、メールで勇樹君を呼び出して、またいじめようとしてたんでしょ?まあ私達にメールが届いたのは、痛いミスだったわね。どうせあの日、綾ちゃんを殺したのだって・・」
「おい、あの話はするんじゃねえよ」
「ほら、本性出した。それって私がやりましたって言ってるようなものでしょ?メールを送ったのがあんたじゃなかったら、他に誰がやったっていうの!?」
凛花がそう言ったところで、長い口論は終わった。争い疲れたのか、誰も一言も喋らない。結局、メールは誰が送ったんだろう?

ーーーあたしだよ。

そうそう、そいつが送って・・・え!?
どこからか声が聞こえた。その高めの声から、今この場にいる人間とは考えにくい。
「誰だ!?」
茂流が叫ぶ。皆は慌てて声のした方を見上げた。それは、噴水のてっぺんを示していた。
そこには、うっすらと人影が座っているように見えた。だんだん人影がハッキリしてくる。そして、噴水のライトアップで、その実体が完全に見覚えのある人物になった。
「な・・、ありえねえ、どうしてこんな・・」
「・・嘘でしょ?何で・・」
155センチ程度の小柄な体格、山吹色でゆるくパーマをかけた短い髪、大きな目、その姿はどこからどう見ても、久遠綾に違いなかった。
「みんな来てくれたんだ。私の事覚えてる?」
久遠綾がそう言った。私はそっとスマホを起動した。現在時刻は、たった今午後8時になっていた。












Re: 樹海のエアガール【コメント募集中!】 ( No.19 )
日時: 2015/11/22 13:28
名前: あかり ◆9dYLE8z3D6 (ID: .k4fGJqC)

こんにちはー!昨日は私のスレッドにコメントありがとうございました!

文章が読みやすくて、内容も面白しろいです!

自分のは会話だけだから、凄いと思いました!

これからも更新頑張ってくださいねー!


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