コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】
- 日時： 2018/05/13 17:29
- 名前： 山下愁 ◆kp11j/nxPs （ID: 6quPP6JX）
- 参照： http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=300
皆様は、学生生活を如何お過ごしでしょうか。
屋上で雨乞いをしたことはありますか？
学校の7不思議を全て解明した事はありますか？
調理実習で誰かが暗黒物質的なクソマズ料理を作ったことはありますか？
そんな現実では「ありえない」の一言で片づけられてしまうような学生生活を覗いては見ませんか？
さあ準備は整った。
始業を告げる鐘を鳴らせ。
————彼らの混沌とした日常が始まります。
***** ***** *****
我ながら意味の分からねえポエムを書いたと思います。笑えよ。笑えばいいだろ（ヤケ
ゴホン、気を取り直して。
こんにちこんばんおはようございます。スレ主の山下愁です。
ええ、このコメディライト板では何度目の出現でしょうね。数えてみてください。——いえ、やっぱいいです。
この物語は上記URLにあります『偶像劇企画』でご協力していただいた皆様が登場します。その数30名!! ありがとうございます!!
おっと、「お前に偶像劇など書ける訳がねえだろカス」と鼻で笑う声がどこからか聞こえてきますが無視しましょう。ええハイ。
さてと。この話を読むにあたって守ってほしい規則がいくつか。
その１ 現実ではありえない学生生活を送る個性豊かな生徒たちによるカオスな偶像劇です。まあ当然フィクションですので絶対に真似はしないようにしましょう。言わなくても分かりますよね？
その２ なるべく皆様のキャラを丁重に扱うつもりではありますが、中には雑に扱うキャラもあるかと思います。物語上に必要な演出なので、参加者の皆様はご了承ください。
その３ キャラ崩壊があるかと思います。原型は留めようかと精一杯こちらの方でも努力をいたしますが、もし万が一キャラが崩壊してしまった場合はごめんなさい。土下座させてください。再現率を重視する読者様・参加者様方は閲覧注意です。
その４ 誤字・脱字はなるべくこちらで見つけて直していく所存です。ですが直っていなかった場合はご指摘していただけると助かります。
その５ 作者は社会人ですので言い訳になりますが遅筆です。申し訳ございません。
その６ 荒らし・誹謗中傷・パクリはおやめください。なお、2次創作する場合は山下愁に申し出てください。
カキコで小説を閲覧するにあたって最低限の規則を守っていただければ幸いです。当然守れますよね？ 守らねえよバーカなんて言ってあっかんべーする人なんていませんよね？
よし、ならよかった。
それでは始まります。皆様が少しでも楽しめるような小説を書けるように尽力いたしますので、よろしくお願いいたします。
***** ***** *****
プロローグ>>01
4月!!「桜の木の下には死体が埋まっているってほんとかな？」>>02
5月!!「クラスに馴染めない？ そんなもんテンションでどうにかなるでしょ!!」>>68
6月!!「運動部の祭典である体育祭は、文化部にとって地獄でしかない」>>87
7月!!「プール掃除って意外と楽しいよ、やってみる価値あるよ!?」
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お客様
大関様 アーリア様 HIRO様 はる歌世様 冬野悠乃様 Orfevre様 モンブラン博士様 俊也様 メデューサ様 purplemoon様
羽音様 オルドゥーブル様
***** ***** *****
暇つぶしSS一覧
LINEネタ>>33 >>34 >>41 >>45 >>54 >>60 >>70 >>74 >>78
榮倉桃馬【夕焼け小焼けで帰りましょう】微ホラー世にも奇妙風味>>76
八雲優羽【放課後ゲーム】>>86
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NEWS!! 小説カキコ2016年夏 小説大会にて管理人・副管理人賞を受賞いたしました。ありがとうございます。
※最近我が家のパソコンの調子が悪く、タブレットからの投稿となります。読みにくいかもしれませんが、ご容赦ください。
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- 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.107 )
- 日時： 2018/03/26 11:45
- 名前： 山下愁 ◆kp11j/nxPs （ID: 7WYO6DME）
現状の説明をしよう。
可哀想なことに、騎馬戦の凄惨さを知らない初心な一年生は二年生と三年生に瞬殺されて、あっという間に退場と相成った。弱い者いじめである。
そして残った二年生と三年生の戦いであるが、まず三年生がファンタジー世界かと見紛うほどの立派な騎士鎧に身を包み、さらに騎馬を形成する生徒は何故か馬の被り物をして馬役に徹しているという始末。中には自作したのか、木の枝に新聞紙を巻きつけて槍を作っている生徒もいた。今年は武器の携帯を禁じられているはずなのに、さっそく規則を破っている。規則などあってないようなものだ。
一方の二年生の方だが。
こちらは「普通の騎馬じゃ相手には勝てねえ!!」ということをようやく理解したのか、はたまた馬鹿の発想か、肩車をして一騎とみなす作戦に出やがったのだ。武器の形態は様々であるが、中でも最もやばい奴は最上・八雲ペアの持ち出してきたウォーターガン（ダイアモンドも切れる特別製☆）だろうか。絶対に人に向けてはいけない武器で脅しにかかり、さらにその後ろから忍び寄った菊川・三野上ペアが三年生をハリセンで仕留めていくというなんともえげつない作戦が決行されたのだった。
結論から言って。
もう混沌とした状態である。
「はーっはっはっはっは!! 三年生よ、テメェらの鎧などこのウォーターガンがあれば一発で吹き飛ぶぜぇぇぇぇ!!」
「やーさん、それ首も一緒に飛ばないかな？ デュラハンみたいにならないかな？」
「首無しライダーは池袋を走るモンだろ？」
真顔で返してきた菊川柊の頭を、問答無用でハリセンでぶっ叩いた紘。自分は正常な感覚の持ち主だと信じているのだが、もうなにを信じていいのか分からないでいる。
長門に担がれている優羽はウォーターガンの銃身を振り回しながら、
「大丈夫、これ水入ってねえから。弾がなけりゃ撃てねえものと同じよ、同じ」
「意味ないじゃん」
「脅しに使ってるだけだって」
「弾丸がないって気づいて近寄ってきた場合はどうするのさ」
「風圧で対抗するんだよ」
ほーらこんな風に!! と優羽は遠慮なく仲間の二年生集団に襲いかかっていた騎士鎧装備の三年生へウォーターガンをぶっ放した。
弾丸の代わりとなる水が入っていないが、銃口から放たれた暴風が騎士鎧の額にかろうじて引っかかっていたハチマキを吹き飛ばす。あえなく脱落!! 残念!!
紘は常識外れな目の前の光景に、あんぐりと口を開けるしかなかった。逆に柊は「すげー!!」と目をキラッキラ輝かせていた。
「どやァ」
「ひっぱたいていい？」
「なんで!?」
どや顔を見せる優羽の顔面へ、紘がハリセンを振りぬいた。パァンッ!! という音が炸裂する。
優羽は「ご褒美です!!」という訳の分からない悲鳴を上げ、長門は長門で「美少年攻め、いい!!」などとガッツポーズをしていた。ネタが降ってきたか。
「今の俺たちは昔の俺たちじゃないんだぜ!! わはははははは無敵じゃぁぁぁあ!!」
「ねえちょっと、菊川だっけ。投げないでね。僕を砲弾みたいに投げないでね？」
「やーさんじゃねえんだからそこまでできないよ。無理無理」
「美少年攻め……『ねえいいでしょ』って小悪魔っぽく……次の夏コミは決まりだぜ!!」
混沌の中心にいる馬鹿四人（正確には馬鹿三人と巻き込まれたただ一人の常識人）は、三年生を次から次へと退場させていく。
「あいつら反則使ってるって分かってんのかな」
「いやもう反則っていうか、俺たちも十分反則だろうけどさ。まず騎馬をなしていない時点で」
ダイアモンドも切断可能なウォーターガン（弾丸なし）を振り回す銀髪の馬鹿と、それに付き合うハリセン装備の可哀想な少年の肩車組を眺めていた宇野響と榮倉桃馬は遠い目で言う。
彼らもまた二人で肩車を組んでいたのだが、まあ二人も二人でちょっと反則なことをしていた。
特殊メイクである。
堂前妃がビクビクおどおどしながら「と、特殊メイクなら演劇でやったことありますので!!」と声をひっくり返して宣言して、そうしてできあがったのである。
あの、四季の劇団に出てきそうな、あの、その、獅子王みたいな感じの……である。
「ちなみにこれってキング誰だろうね」
「さあ。誰かやってんじゃねえかな」
ぼんやりと混とん状態にある騎馬戦の戦場を傍観する二人の横を、猪とミーアキャットの被り物をした誰かが、「ハクナマタータァァァァ!!」と絶叫して騎士鎧の集団に威嚇していた。レッサーパンダか。
「あれ誰」
「野島と、あれ猪の方って誰だっけ。ちょっとよく分かんねえ……」
「この調子だと来年ももっとすごいことになりそうだね」
ふわふわとのんびりそんなことを言う桃馬に、響はやはり遠い目をしながら「ウン、ソウダネ……」と応じるしかなかった。
なお、この騎馬戦は無効試合と化したのは言うまでもない。
- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.108 )
- 日時： 2018/04/11 11:50
- 名前： 山下愁 ◆kp11j/nxPs （ID: 7WYO6DME）
それはある時、唐突に訪れた悲劇だった。
「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!!」
数学の授業中のこと、教室の隅からホラー映画の出演者ばりの悲鳴が上がった。
声の主は吉田莉音。彼女は急に自分の席から飛びあがると、素早く反対の教室の隅へと逃げ出した。その目には軽く涙が浮かんでいる。
「えー、ちょっとどうしたの？ 空さんなんか悪いことした？」
教鞭をとっていた担任兼数学教師の王良空華は、チョークを片手に逃げ出した吉田莉音へ問いかける。
涙を浮かべた彼女が叫んだのは、問題児ばかりを詰め込んだC組の生徒たちを凍り付かせる一言だった。
「ご、【自主規制】!!!!」
それはあのチャバネで油でギトギトしていて平べったくて触角が二本生えた、人類の天敵たるあの虫の名前だった。せめてものヒントとして、ゴだけは残しておく。
途端、教室中は阿鼻叫喚の地獄と化した。女子はこぞって悲鳴を上げて席を立ち、男子でさえも危険と判断したのか諸悪の根源から距離を取る。
「ちょ、オイ!! 誰かゴ【自主規制】が平気な奴っていねえのかよ!!」
春川俊樹混乱した様子で叫ぶが、さしもの問題児集団でも「我こそは!!」という生徒はいないらしい。全員揃って視線を逸らした。
「つーかテメェ行けよ!! 男だろ!!」
「春川に頼られている!! しかし男でもゴ【自主規制】だけは無理なのごめんなさい!!」
愛しの春川俊樹に頼られて嬉しい菊川柊だが、彼にもできることとできないことがあるのだ。
別になにをされた訳でもなく、噛む訳でも毒を持っている訳でもないのに、この嫌われようである。やはりゴのつくチャバネの嫌われっぷりは凄まじい。
と、ここでクラスの誰かが気づいた。
——学園で最もお馬鹿で騒がしい男が不在であることを。
「うーい、空ちゃん先生すんませんでした。実は冷蔵庫の奥に封印されていたヨーグルトが姉貴特製『化学式で作ってみたよーぐると☆』だったもので胃の調子がおかしくてぇ」
なんの疑問も持たずに教室の扉を開けて入ってきた銀髪碧眼の馬鹿は、やべえやべえとヘラヘラ笑いながらそんな言い訳を披露した。が、クラスの全員のただならぬ様子を察知してけげんな表情を見せる。
「どしたの？ お化け？」
「ゴ【自主規制】だって」
銀髪の生徒——八雲優羽と普段から行動を共にしている梓啓香が、ゴ【自主規制】のいるだろう地点を指で示して言う。
一瞬で状況を理解したらしく、優羽は「なるほど」とポンと手を打った。
「だいじょばない、問題だ」
「やーさん、ゴ【自主規制】ぐらい素手でいけるでしょ？ いけるよね？ 頑張ってよ」
「それやったら確実に俺クラスからハブられるじゃん。やだよ、友達ゼロ人更新なんて」
いや、できるんかい。クラス全員の総ツッコミが心の中で行われた。
銀髪の馬鹿は一度廊下に面して設置されたロッカーを漁り、なにか透明なものを取り出してくる。ビニール袋越しに捕まえるのかと思いきや、彼が持ち出したのは、
牛乳瓶。
……よく中学の時に見た牛乳瓶である。クラスの思考回路が一時的に止まった。
「よーしゃしゃしゃ、セリヌンティウス。おいでセリヌンティウス。よーしゃしゃしゃ」
動物大好きなムツさんのようにゴ【自主規制】を牛乳瓶の中に誘い込み（何故かセリヌンティウスと名付けられていた）優羽は捕獲に成功した。
牛乳瓶の中をガサゴソと元気に這い回るゴ【自主規制】を掲げて、馬鹿は言う。
「きゃっちあんどりりーす」
「開けんじゃねえぞンなところでェ」
嫌な予感を察知したらしいクラスで一番大きな生徒、大山田関太郎が低い声で唸る。彼ならやりかねないとでも思ったのだろう、その瞳には剣呑な光が宿っている。
しかし、優羽は否定した。
「いやいや、こんなところで逃がしたら怒るだろー？」
にやりとなにかを企むように笑った優羽は、持ち前の俊足を生かして教室を飛び出すと——
「A組に放牧してきた」
数分後、やり切ったぜとばかりの清々しい笑みを浮かべて戻ってきた優羽がそう宣すると同時に、遠くの方で甲高い悲鳴の大合唱が起きた。
C組連中は一斉に中指を立てると「ザマアミロ」と叫んだ。
- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.109 )
- 日時： 2018/04/25 15:12
- 名前： 山下愁 ◆kp11j/nxPs （ID: joMfcOas）
「なー、カンタ。オレオレ詐欺の対処法って知ってる？」
「いきなりナニ言い出すかと思えば」
以前ゴ【自主規制】をA組に放牧したことがばれてしまい、こっぴどくお叱りを受けた八雲優羽は、反省文を書いている時にお目付け役を命じられた大山田関太郎に話題を吹っ掛けた。
反省文の文面は「うるせえエビフライぶつけんぞ」のAAの落書きがされていて、関太郎は予備として押しつけられた作文用紙を優羽の顔面に叩きつけて書き直しを命じつつ、「で？」と話題を促す。
「いきなりその話題を吹っ掛けてくるってこたァ、テメェのところにかかってきたのか？」
「俺の姉貴が電話を取ったんだって」
顔に張り付いた作文用紙にシャーペンを走らせる優羽は、
「で、なんか俺が会社の金を使い込んじゃったから急いで二百万振り込まなきゃいけないらしくて」
「テメェって高校生だよな？」
「じゃなかったら学校通ってねえよ」
「いやテメェのことだから何回かダブってんじゃ」
「それってカンタのことじゃねえの？」
優羽が見せてきた作文用紙には『m9(^Д^)プギャー』の顔文字がでかでかと書き込まれていたので、彼の銀色の頭を鷲掴みにして机に叩きつけてやる。
額からドゴォ!! と勢いよく衝突したことで静かな教室に痛々しい音が響き渡り、優羽の悲鳴が痛々しい音を飾る。額を押さえてもんどりうつ優羽の後頭部へ、関太郎は数枚の作文用紙を乗せてやる。
「まあよく聞くのは家族の間で合言葉とかを決めておく対処法だな」
「やっぱりそっちが一般的だよな」
額からのダメージから回復したのか、優羽は作文用紙をくしゃくしゃと丸めた上で鼻をかみ、あろうことか関太郎に押しつけてきた。
鼻水塗れとなった作文用紙を優羽の顔面に叩きつけて、さらに丁寧にゴーシゴーシとこすりつけてやると、彼はじたばたと暴れながら痛みを訴えてきた。ちょっかいを出す方が悪い。
因幡の白兎のように顔の皮膚が赤くなったところでやめてやり、優羽は日本人にしては珍しい青い瞳に涙を浮かべながら自主的に作文用紙を受け取る。シャーペンを紙面に走らせるが、またふざけた文面でも書くのかと懸念したが、今度は普通に『ごめんなさい』を繰り返し書き始めたので黙っていることにした。
「俺の姉貴は違う方法で撃退してさ」
「へえ」
「『あらあらそうなの、じゃあ会社の上司にちゃんと報告してお仕置き「自主規制」をしてもらわなきゃね。妄想が捗るわぁ。感想を聞かせてね!!』」
「…………」
「カンタ、ごめん。可哀想なものを見るような眼はやめてくれる？ 傷つく」
自然と視線に憐れみを込めてしまったようで、関太郎は「悪い」と謝罪した。
クラスメイトである九十九瑞貴もそうだが、確か彼と一緒に行動を共にしている最上長門もまたそういう系統だと記憶している。さらに悪いことに、彼の双子の姉もまたそういう系統に属しているのだとか。
度々悪いことをする彼だが、本当にこの辺りだけは同情する。そしてまた、そのような言葉を受けることになってしまったオレオレ詐欺にも同情する。
作文用紙いっぱいに「ごめんなさい」の文字で埋め尽くした優羽はシャーペンを机の上に転がして、「しゅうりょ〜」と情けなく宣言した。きっとまた書き直しを命じられると思うだろうが、その前に彼はきっと逃げおおせることだろう。
「カンタも気をつけろよ、オレオレ詐欺。最近のオレオレ詐欺はなんか変らしいから」
「どんな感じに変なんだよ。テメェの姉の受け答え以上にか」
「俺の姉貴はもう、論外だろあれは」
じゃ、お先に。
いつの間にか手早く荷物をまとめたらしい優羽が、風のように教室を飛び出していった。
一人取り残された関太郎も、もうお目付け役の仕事も終わったことだし帰るかと重い腰を上げると、
ぴりりりりりり。
静寂を引き裂くように、携帯電話の着信音が鳴り響いた。どうやら関太郎自身の携帯電話に着信が入ったようで、制服のポケットの中で携帯電話が振動している。
誰が一体電話をかけてきたんだと関太郎が電話に応じると、
『もしもし、俺だよ俺ぇ〜』
すでに半笑いの状況のオレオレ詐欺だった。
みし、と携帯電話が軋む音が聞こえたような気がしたが、通話に支障はない。関太郎はオレオレ詐欺相手に怒鳴りつけてやろうかと息を吸い込むが、
『やーさんでぇーす。驚いた？ 驚いた？』
「——アァ？」
思わず低い声が出てしまい、通話相手は『ひぇ!? ごめん悪ふざけが過ぎましたぁ!!』と叫ぶ。正直言って喧しい。
やーさん？
その渾名は、関太郎の知り合いの中でも一人しかいない。
「ヤァコ、テメェ今どこにいる？」
『え？ 近くのコンビニ。カンタが一人で教室にいて、なんか激しく独り言叫んでるからやべえってしゅーやんから連絡があって』
しゅーやん、とは菊川柊のことを彼はそう呼んでいる。
ちょっと待て。
関太郎の思考回路が停止する。背中から冷や汗が噴き出す。聞こえてくる下校を促すチャイムの音が、遠くに聞こえる。
「オイ」
『あい？』
「反省文を命じられたんじゃねえのか」
『命じられたけどバックレた。当たり前じゃん？』
非常識的なことをさも当然とばかりに言う辺り、やはりカキコ学園きっての問題児の名前は伊達ではない。
関太郎は机の上に放置されたままの反省文へと視線をやった。
反省文は確かに存在していた。文字もきちんと書き込まれている。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
文字が不揃いで、まるで恐怖のままに書き殴ったかのような乱暴な文字が作文用紙の上で踊っていた。
八雲優羽自身の文字を何度か目にしたことがあるので、彼がこんな汚い字を書くとは思えなかった。確かに彼の文字も癖が強くて、俗に汚いと言えるのだろうが、作文用紙に書き込まれた彼に似た誰かよりかは遥かにましだった。
だったら。
だったら、今まで関太郎が見ていた八雲優羽は誰だ？
『なーなー、カンタ。聞いてブツッ』
耳元で喧しく騒いでいた優羽の声が、唐突に途切れた。
電源ボタンを押してしまったのかと思ったら、違う。
通話は、繋がる。
『もしもし、俺だよ俺』
そこから聞こえたのは、先ほど電話口で喧しく騒いでいた少年の声と同じものだった。
- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.110 )
- 日時： 2018/05/02 23:36
- 名前： オルドゥーヴル ◆ZEuvaRRAGA （ID: 6MjU9.jk）
いつも読んでるのですが、久しぶりにお声をかけました
じわじわと進んでいくのを楽しんでます！
これからも応援してますよ〜
- Re: 【住民参加型】カキコ学園2年カオス組!!【偶像劇】 ( No.111 )
- 日時： 2018/05/13 17:26
- 名前： 山下愁 ◆kp11j/nxPs （ID: 6quPP6JX）
オルドゥーブル様>>
どうも、こんにちは、山下愁です!!
亀更新のくせにだらだらとこんなくだらない話にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
現実世界の状況に左右されがちな更新状況ですが、最後まで頑張って書きたいと思います。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
応援ありがとうございました!!
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