コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~
日時: 2016/01/16 20:59
名前: 逢逶 (ID: I.inwBVK)
参照: http://www.uta-net.com/user/poplist.html

おはようございますorこんにちはorこんばんは

逢逶(あい)です。

二作同時進行で参ります。
応援よろしくお願いします!


*First Season EPISODE*
episode0 >>1 episode10 >>11
episode1 >>2 episode11 >>12
episode2 >>3 episode12 >>13
episode3 >>4 episode13 >>14
episode4 >>5 episode14 >>17
episode5 >>6
episode6 >>7
episode7 >>8
episode8 >>9
episode9 >>10

*First Season END* >>18

*Second Season EPISODE*
episode0 >>19
episode1 >>20
episode2 >>21
episode3 >>22
episode4 >>23
episode5 >>24
episode6 >>25
episode7 >>26
episode8 >>27

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Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.22 )
日時: 2015/12/28 20:34
名前: 逢逶 (ID: mvR3Twya)

episode3
title 感情

「送ります」

「すいません」

夜中で一人で帰る自身はなくて、車に乗せてもらうことにした。
運転は時田さん。
私は後部座席に乗り込み、隣には成瀬さんがいる。
というのも、あれから手を握ったまま離してもらえていないからである。

「…海、遠慮とかないの?」

影山さんが助手席から振り向いて繋がれた手をじっと見る。

「ん?もう好きだって知ってるんだから遠慮しなくていいじゃん?」

「でもな…。…まぁ、いいや」

よくないよ?!助けてよ!照れるじゃん!


誰も助けてはくれず…。



そのまま家に到着した。

手を離さなければいけないんだけど、名残惜しくて繋いだ手に少しだけ力を入れてみた。

「織さん…」

成瀬さんがあまりにも切なそうな顔をするからなんだか悪い気がして、手を離す。

「送ってもらってありがとうございました」

車から降りようとドアに手をかけると、右腕を掴まれた。


「海」

時田さんの低い声が響く。
私の体はその声でびくっと震えるのに、成瀬さんは全く微動だにしない。

「…帰ります」

まっすぐ目を見て伝えると離してもらえた。
ドアを開けて車を降りる。

「ありがとうございました」

深く礼をする。
家に向かう途中涙がこぼれてきそうで夜空を見上げ歩いた。


「織さん!辛かったら言ってくださいよ?!」

窓を開けて叫ぶ成瀬さん。
誠に聞こえたら、そう思えるほど余裕もなくて。

「…っ」

涙をこらえるので精一杯だった。



ねぇ、優しくしないでよ。
好きになっちゃうじゃん。

ダメだよ。
成瀬さんには明るい未来があって。
私は足を引っ張るだけ。

私がもっと強かったなら、誠を捨ててでも成瀬さんの胸に飛び込んでた。


でも、成瀬さんの未来と私の家庭を壊す勇気はない。






今日、私は確かに気付いてしまった。

後戻りできない感情に。










成瀬さん、あなたが好きです。

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.23 )
日時: 2016/01/06 21:02
名前: 逢逶 (ID: mvR3Twya)

episode4
title キラキラ

最近誠は私と目を合わせようとしない。
なにかやましいことでもあるのだろうか。

仕事に向かう誠の背中を見送る。


一人の家でできることと言えば家事くらいで、余計な感情を吹き飛ばすように集中した。


気がつけばお昼時。


お腹が空いているわけでもないからいつもお昼は食べない。

汗もかいてきたし少し休もう。
ソファーに座ってテレビの電源を入れた。


あ、Streamだ。
いつかのバラエティー番組の再放送。
司会者は昨年芸能界を電撃引退して世間を騒がせた…誰だっけ?
ゲストは今より少しだけ若いStream。

『まずは、丸裸クエスチョン!』

司会者のタイトルコールで、観覧のお客さんは拍手をする。
Streamも楽しそう。

丸裸クエスチョンは視聴者から受け取った質問に答えるというコーナーらしい。

『では一つ目の質問です。メンバーと付き合うなら誰と付き合いますか?』

『うわー、難しい〜』

と、頭を抱える影山さん。

『これ真剣に答えなきゃダメだからね?』

一方、有明さんは楽しそう。


『俺決まった!』

一番最初に決まったのは笠間さん。
そのあとは有明さん、影山さん、時田さん、成瀬さんの順で決まった。

私はすっかり番組に夢中になっている。
答えを予想しながら前のめりで言葉を待つ。

『じゃあ、笠間さんからね』


『俺は努と付き合いたいです』

へぇ、意外。
正反対って感じの二人なのに。

『なんでなんで?』

『すごい甘えん坊なんですよ。それが可愛いですね』

『気持ち悪いわ笑』

すかさず時田さんがつっこむ。

「あははっ」

え、今…。
久しぶりに声を出して笑った…。

私って笑えるんだ。
なんだか嬉しくてまたテレビに目を向ける。

『次は有明さん』

『はい。俺は秀と付き合いたいです』

なんかわかるかも。

『どうして?』

『俺ゆるゆるなんですよ、プライベートが。秀はきっちりしてるので任せられるかなと思いました』

うんうん。
そんな感じがする。

『次は影山さん』

『はい。俺は陽と付き合いたいです』

へぇ。
これまた意外。

『ほうほう』

『記念日とかを大切にしてくれそうですね』

優しいもんね、笠間さん。

『次は時田さん』

『はい。俺も陽と付き合いたいです』

モテるなぁ、陽さん。
時田さんも選んだってことは、両想い?

『どうして?』

『明るくていいですよね』

うんうん。

『次は成瀬さん』

私はどきりとして、うつむいた。
別にそこに成瀬さんがいるわけでもないのに。


『俺は努と付き合いたいです』

『それはどうして?』


『好きだって言ってくれそうだからですね』


え?
あまりにも真剣な表情の成瀬さんがおかしくて。

「あはははっ」

笑いが止まらなかった。




最高にキラキラしていた昼下がり。

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.24 )
日時: 2016/01/06 21:01
名前: 逢逶 (ID: mvR3Twya)

episode5
title 誰も知らない

『だから会おうって』




「あなたと会う気は無い」


もうこの返事を何度したことだろう。
電話の相手は私が二度と思い出したくなかった人。


『俺は…、お前が好きだから』

「うるさい!」

私は腹が立って電話を切った。



十年前。

私は高校二年生に進級した。
新しいクラスで友達もたくさんできて、とても充実した毎日を送っていた。

ある日の放課後、カラオケに誘われた。
私は一度家に帰って準備をしてから向かった。

待ち合わせ時間より早く着いてしまい、店の前でみんなを待っていると、誰かに声をかけられた。

振り向くとそこにはクラスの人気者の、吉田貴弘(通称タカ)がいた。

「もしかして今日、誘われた?」

「うん、タカも?」

「おう」

「じゃあ、一緒に」

「…つーかさ、ドタキャンしない?」

「えー?」

「いいから行こう」

タカに手を引かれゲームセンターに行ったり、店を回ったり…、とても楽しかった。
その日からタカと二人きりで遊ぶことが増えて、いつしかタカを好きになっていた。
半年後、タカが告白してくれて付き合うことになった。
タカはモテるから嫉妬の目で見られることも少なくなかったけどタカがいればそれで幸せで。

あっという間に三年生になった。

あれは梅雨の頃。
激しい吐き気と頭痛に襲われた私は、すぐに薬局で妊娠検査薬を買い、試した。
思い当たることはあって、もちろん相手はタカなのだけれど結果が出るのが少しだけ怖かった。
やはり、妊娠していた。
未成年で不安定な私が子供を無事産んで育てられるか不安だった。
震える手で必死に携帯を手に取り、タカに電話する。

妊娠したことを伝えると、タカはこう言った。




「俺の子供じゃないよな?」


その言葉を聞いた途端、私の中のタカが崩れ去った。
私は両親と話し合い、中絶を決めた。
もし電話した時、一緒に育てよう、と言ってくれたら中絶していなかっただろうか。

私は高校を中退した。




誠に出会って恋をして。
子供を急かされるのは仕方ない。
だって私の過去を誠は知らない。



タカ以外誰も知らない。

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.25 )
日時: 2016/01/07 11:57
名前: 逢逶 (ID: z5Z4HjE0)

episode6
title 偶然


「誰からだ?」

私はとんでもないミスを犯してしまった。
誠に怒鳴り声を聞かれてしまったのだ。

「別に…」

「別に、ってどういうことだよ」

誠には言えない。

「…なんでもないから」

誠は私の手から携帯を奪った。

「見るぞ」

止めることができなかった。
助けて欲しい。

私を愛していないとしても。
同情でもなんでもいいから。


助けて。



「この番号誰?」

「…元カレ」

「…学生時代のか?」

「…はい」

誠は大きくため息をついた。
そしてそっと私に詰め寄り、抱きしめた。

「相手はなんて?」

「…私が好きだって」

「そっか。…あのなぁ、別れる時はきっぱり別れなきゃダメだ」



私に説教するの…?
確かに別れは曖昧で。
でも確実に終わってた。

私はあの時どうにもできなかったんだよ…?


「…最低ですね」

「え?」

「私のことなんて何も知らないくせに!」

誠を突き飛ばし、家を出た。


「待て!織!」


タクシーに乗って、誠から逃げる。
〝何も知らないくせに〟だって。笑えるね。
大事なこと何も話してないのは私なのにね。


「お客さん、どこまで?」

「館川街行ってください」

当分家に帰りたくない。
お金も持ってるし、大丈夫。
誠はいつも財布を持ち歩くようしろ、と言っている。
だから今日も財布はポケットの中にある。




館川街には安く泊まれるホテル、食べ物屋が沢山あって、便利だ。
だからって来たことはない。



外は寒いしお腹も空いてきたから、居酒屋に入った。


「…あれ?織さん?」

「あ、こんばんは」


カウンター席には人気男性グループのchuuumがいる。
theSOUNDsと契約しているグループである。


「一人でどうしたんですか?」

「気分転換です」

「そうですか。よかったら一緒に飲みませんか?」

「はい、失礼します」

「もう少しで先輩も来るんですけど…」

「先輩…?」

「はい。Streamの成瀬さんと有明さんが」




こんな偶然ってあってもいいのだろうか…?


あなたは私が辛い時必ず現れる。

だから期待してしまう。









この気持ちを止める方法を私は知らない。

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.26 )
日時: 2016/01/16 19:15
名前: 逢逶 (ID: C6aJsCIT)

episode7
title 救い

会いたいけど…

やっぱりだめ。


そう思ってがたん、と立ち上がった時、




「あ!先輩こんばんは!」




彼らが到着した。


「私、これで失礼しますね」

「えー、飲みましょうよ。ほら、先輩も来たし」


中々返してくれない後輩くん。
焦ってしまってどうすることもできない。


「…え、織さん?」

あたふたしているうちに気づかれてしまった。
私は諦めて座り直す。
後輩くん達はにこにこで。
成瀬さんと有明さんの顔なんて見れたもんじゃない。

気まずい…。

有明さんが私の隣、成瀬さんが隣の隣に座る。



「よく会いますね」

有明さんがふふ、と笑う。

「そうですね」

私もつられて顔がほころぶ。

「誠さんは今日はお仕事ですか?」

「いえ、」

「ここら辺にはよく来るんですか?」

「いえ、」



「…何かありましたか?」


いえ、と答えればいいのだけれど弱った心がそうさせない。
有明さんが心配そうに顔を覗き込む。
成瀬さんはお酒を喉に流し込むように飲んでいる。

どうしようもなくなった、丁度その時携帯が震えた。


誠…?
携帯を見るとそれは知らない番号。

だけどさっき見た番号。



…タカだ。

「出ないんですか?」


そう言ったのは成瀬さん。
横目で私を見ながらまたお酒を飲む。

「すいません、失礼します」


立ち上がって外に出る。

タカとは終わらせる。
そう決意し、電話に出た。


「もしもし」

『織…、好きなんだ』

「私が妊娠してるってわかった時なんて言った?」

『…ごめん。でも好きだ』

「私結婚してるし」

はぁ、とため息をつく。

『でも、うまくいってないだろ?』


…なんで、知ってるの?


『今日、家の前にいたんだ。織が出て行くのが見えた。…今はアイドルと遊んでるんだろ?』



いや!

私は電話を切った。





怖い。
監視されている。

力が抜けてその場にしゃがみこむ。
助けて。
助けて。




助けて…!


「織さん!」



成瀬さんが私の方へ駆けてきた。



どうしてあなたは私が辛い時にいつでもいるの…?

もう…




…好きになっても良いですか?


私をさらってください。





私はぼろぼろ涙をこぼしながら成瀬さんに抱きついた。


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