コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~
- 日時: 2016/01/16 20:59
- 名前: 逢逶 (ID: I.inwBVK)
- 参照: http://www.uta-net.com/user/poplist.html
おはようございますorこんにちはorこんばんは
逢逶(あい)です。
二作同時進行で参ります。
応援よろしくお願いします!
*First Season EPISODE*
episode0 >>1 episode10 >>11
episode1 >>2 episode11 >>12
episode2 >>3 episode12 >>13
episode3 >>4 episode13 >>14
episode4 >>5 episode14 >>17
episode5 >>6
episode6 >>7
episode7 >>8
episode8 >>9
episode9 >>10
*First Season END* >>18
*Second Season EPISODE*
episode0 >>19
episode1 >>20
episode2 >>21
episode3 >>22
episode4 >>23
episode5 >>24
episode6 >>25
episode7 >>26
episode8 >>27
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.17 )
- 日時: 2015/12/22 11:53
- 名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)
episode14
title 戻れない
母は…、
冷たかった。
太陽のような微笑みがもう見られないのかと思うと苦しい。
目の前の母を見ると再会という言葉を使うにはあまりにも場違いで。
永遠の別れ。
「どうして、早く来てくださらなかったんですか…」
「…知らなかったの」
「違う!私が言いたいのは…、どうして面会に来てやらなかったのかということです」
「…来れなかった、わけじゃないけど」
「…医師として、遺族の心の傷を拭うのは大事な仕事です。…ですが、」
言いたいことはわかってる。
私を責めたいわけじゃ無いんだろうけど…。
「すいません。それに関しては全て私が悪いから」
私は泣き崩れた。
私が悪い。
「私は…っ、あなたのお母様が好きでした…っ」
「え…」
「あなたのお母様は…早くにあなたを産まれて、苦労もしただろうけど…、あなたのことを話す時は目がキラキラしてて…。どれだけお母様が自分を気にかけていたか、あなたは気付いていましたか…?!」
「うるさい!」
私は叫んだ。
驚いて後ずさる先生。
「…すいません、取り乱しました。私は診察に行きます…」
私は霊安室を出た。
涙は止まらないのに心はどんどん渇いてゆく。
おぼつかない足取りで病院を出た。
葬儀は誠が準備してくれる。
青空が私を見下ろす。
道端には黄色い花が咲いている。
小さい子供とその祖母らしき人が手を繋いで散歩している。
その光景を見ると、世界は面白いくらいに綺麗なんだと思う。
私は傍観者だけでなく対象物でもある。
汚いものが無ければ輝かないのだ、この世界は。
道路の端でしゃがみ込む。
腰が痛い。
それに、きもちわるい。
腰の痛みに加え、突然の吐き気と気だるさ。
「はぁ…っ」
病院はもう遠く。
どうすることもできずに倒れ込んだ。
そのまま意識を手放した。
…さんっ、…織さん!
はっ、と目を開ける。
どこ…?
「起きましたか?」
「なんで…?」
どうして…
…成瀬さんがいるの?
「路上で倒れてたので。…あ、ここはStreamの別荘です」
別荘…?
ベッドから立ち上がろうとしたけど、頭がぐらっと揺れて、咄嗟に成瀬さんに抱きつく形になってしまった。
この状況は気まずい。
そう思い、離れようとすると成瀬さんの腕が私の背中にまわって抱き締められた。
「えっと…あの…?成瀬さん?」
「会いたかった…っ」
ぶわわっ、と涙が溢れて…。
成瀬さんの胸に顔をうずめる。
成瀬さんは私の頭を優しく撫でる。
「織さん…、何があったか話してもらえますか?」
からだを離して真剣な目で私を見つめる成瀬さん。
誰かに助けて欲しくて、全て話す覚悟を決めた。
今日だけじゃなく、昔のことも。
義父母から子供を産めと言われていること。
誠が母の状況を伝えてくれなかったこと。
でもそれは…、私の責任であること。
そして、誠が愛してくれないこと。
本当に全て話した。
話し終わると、成瀬さんは私を再び抱きしめた。
「辛かったですよね…。話してくれてありがとうございます。もう、泣かないでください」
「うん…」
「俺なら…」
「え?」
「俺、初めて会ったあの日から…、」
私はそこまで聞いて耳を塞いだ。
これ以上聞いたら、戻れなくなる。
成瀬さんは私の手を掴んで言った。
「織さんが好きです」
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.18 )
- 日時: 2015/12/22 12:32
- 名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)
First Seasonが終了しました!
今回は更新結構早いかな?
私は受験生でして、これから大変な時期なので更新頻度は低くなるかと思います。
First Seasonは〝すれ違う舞岡夫妻〟〝惹かれ会う成瀬と織〟この二つ重視で、物語を展開しています。
Streamというアイドルグループは某人気グループAがモチーフです。
メンバー紹介をしておきたいと思います。
27歳。成瀬 海(ナルセカイ)
26歳。影山 秀(カゲヤマシュウ)
25歳。笠間 陽(カサマハル)
24歳。有明 愛(アリアケメグム)
24歳。時田 努(トキタツトム)
人気No.1の若手です。
では、Second Seasonもよろしくお願いします!
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.19 )
- 日時: 2015/12/23 14:38
- 名前: 逢逶 (ID: 0exqyz.j)
episode0
君の涙を無駄にはしない
どうしてもっと早くに出会わなかったのだろう
君は一人で大きなものを抱えて
俺なんか到底理解できないことばかり
俺だってそれなりの苦労はしてきた
デビューして五年たっても一行に売れる気配がなくて
レコード会社には契約を切られて
同じ事務所の他グループのファンからバカにされて
ライブには空席がたくさんあって
十年目でようやく仕事をたくさんいただけるようになった
the SOUNDsは前のレコード会社に解約されたStreamを拾ってくれた
誠さんにはとても感謝している
だけど君を傷つける誠さんは許せない
ねぇ、誠さん
そんなに大事にしないなら
俺が奥さん貰っていっちゃいますよ?
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.20 )
- 日時: 2015/12/24 15:54
- 名前: 逢逶 (ID: XQp3U0Mo)
episode1
title いたくない
「子供も産めないのに誠さんの後ついてまわってねぇ」
その言葉に顔を伏せた。
今日は家に義父母が来ている。
母と別れて早一ヶ月。
無事に済まされた葬儀ではあるけど宙にふわふわ浮いているようにイマイチ実感が湧かなかった。
成瀬さんに告白されても何を言えば良いのか、というより何も言いたくなかった。
確実に惹かれている。
だけどそれを言葉にするには様々な障害があって。
今、義父母が私の悪口を言っていたところで、彼には届かない。
「ちゃんと子作りしてるの?」
「…してるけど」
「もう三年目でしょ?…織さん、もしかして体質的に子供を産めないんじゃないの?」
リビングで堂々と繰り広げられるその会話を買い物からこっそり帰宅した私が聞いていることを、誰も知らない。
「やめてくれ、母さん。子供はしばらくはいらない」
「どうして?」
「母さんは孫がそんなに欲しい?」
「孫はいらない。でも跡継ぎがほしいわ」
「…そんな愛を持たない子供が幸せになれるわけない。俺みたいにね」
「どういうことよ?!」
「まぁまぁ、落ち着きなさい」
「あなたは誠が言っていること理解できるっていうの?!」
「そういうわけではない。誠の気持ちはよくわかる。…事実、私も自己嫌悪の中生きてきたからな。しかしなぁ、誠。お前の考えは子供ができたらきっと変わる」
「ふっ。子供に洗脳されるのか」
「違う」
いたたまれなくなって私は家を出た。
行く当てもない。
でも家にいてもおかしくなるだけ。
街をふらふらと歩く。
どんっ、
前から来た集団とぶつかってしまった。
「すいません」
「すいませんじゃねぇよ。…お?つーか可愛いじゃん」
あっという間に囲まれて逃げようにも逃げられず慌てるばかり。
通行人は気付いても助けてくれないし。
「おい」
誰かの低い声が響いた。
私は驚いてビクッと肩を揺らす。
「…この子、俺らの連れなんで」
私は誰かに優しく腕を掴まれた。
顔を上げるとそこにはStreamがいた。
手を掴んでいるのは、影山さん。
影山さんの後ろに成瀬さんを見つけ目が合ってすぐに逸らす。
「…おい、おめぇら調子乗んなよ?!」
相手はマスク姿のStreamが誰かわかっていないようで、喧嘩をふっかけようとする。
「あんたらみたいなのが、俺らに敵うと思ってんの?」
影山さんがマスクを下げると、相手は真っ青になって一目散に逃げ出した。
「大丈夫ですか?」
「はい、ありがとうございます」
「織さん?」
「え…?」
「涙出てますけど?」
「…え、あっ、何でもないです」
「ちょっと店入りませんか?」
「…はい」
そうだ、ここだと目立ってしまう。
断るのが筋なんだろうけど、多分、無駄だと思う。
日も落ちて来ている。
近くの洋風居酒屋に入った。
すぐに個室へ通されるところが芸能人って感じがする。
なんとなく気まずいのだけれど、家にも帰りたくないし。
「織さん、あそこで何してたんですか?」
笠間さんが運ばれて来たビールを喉に流し込みながら尋ねる。
「家にいたくなくて」
「へぇ、不思議な人もいるんですね。俺は家が良いですけど」
と、芸能界きってのインドア派、有明さんが言う。
別に外に出たいってわけじゃないです、と言いかけたのを飲み込んだ。
「最近どうですか?旦那さんとは」
時田さんからの何気ない質問に答えられずにいると、成瀬さんが咳払いをした。
「どした?海ちゃん笑」
「いや、何でも」
「海は織さんのことが好きだからそういう話されたくないんだよ」
影山さんが怒りの混じった声で呟いた。
- Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.21 )
- 日時: 2015/12/27 21:48
- 名前: 逢逶 (ID: J/brDdUE)
episode2
title 反対
「…なぁんてな?笑」
影山さんは重い空気に気付いて笑って誤魔化そうとしているけど、目が完全に笑ってない。
私でもわかるくらいだから、メンバーは多分わかってる。
さっきの発言が冗談じゃなかったことくらい。
「もういいよ、秀」
成瀬さんが制止する。
私はたまらなくなって水を飲む。
「…ねぇ、秀。…海が織さんを好きって、なに?」
笠間さんの瞳が不安げに揺れる。
「秀じゃなくて海に聞けよ。好きじゃないならこの話はそれで終わり」
時田さんの言葉にみんながごくりと生唾を飲む。
「どうなの?」
「俺は、秀の言うとおり織さんが好き。それは織さんも知ってる」
…言っちゃうんだ。
動揺を隠すためにスカートをぎゅっ、と握る。
「お前、それがどういうことだかわかってんの?」
時田さんは成瀬さんの胸ぐらを掴む。
「わかってる。それでも好きなんだ」
成瀬さんの目には迷いがなくて、私に対しての気持ちの大きさを知った。
それがちょっぴり酸っぱくて甘くて、辛かった。
「社長の奥さんだぞ…?」
「…そんなの覚悟してる」
「じゃあなんで…!」
「俺だったら織さんを幸せにできる」
成瀬さんと一緒になれたらどれだけ幸せなのだろう。
でも…、壁が大きすぎるよ…。
「…そんな、織さんが幸せじゃないみたいな言い方…」
時田さんは成瀬さんから離れて呆れたように椅子に腰を下ろした。
「織さんは幸せなんですよね?」
有明さんは大きくため息を吐きながら言った。
どうしよう…。
幸せです、と言わなければいけないのに、そう言うことにより成瀬さんとの距離が遠くなると思うと口に出すことができない。
私は幸せではない。
羨まれるべき家庭に誠への愛を持って嫁いだものの、今は完全に失われ、子供を産もうという使命感だけが胸に残り、わだかまりを作っている。
「…どうなんですか?」
「…幸せなわけないじゃないですか」
私の返事が予想外だったのだろう。
成瀬さん以外は私の顔を凝視して、ぽかんと口を開く。
「織さん…」
「あーあ。織さん、そこは幸せって言っておかないと。…海が諦めてくれないですよ?」
笠間さんが笑顔で言う。
「…陽、なに笑ってんだよ」
影山さんは軽く笠間さんを睨む。
「…悪ぃ。でも、俺は海を応援する」
「そんな単純じゃ無ぇんだよ」
時田さんも笠間さんに怒っている。
そんな様子を見て、有明さんが笑いを堪えている。
「…愛も愛だよ」
「ごめん、ごめん。でも、俺も海を応援する。当たって砕けろ」
「砕けるかよ」
成瀬さんも強気になる。
私がいるってこと忘れてない?
「…つーか、そろそろ」
「あぁ。そうだな」
お開きかな?
立ち上がると、成瀬さんに手を握られた。
見上げると成瀬さんはにこっ、と笑って私の耳元に顔を寄せて囁いた。
「ここからは本気ですから」
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