コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~
日時: 2016/01/16 20:59
名前: 逢逶 (ID: I.inwBVK)
参照: http://www.uta-net.com/user/poplist.html

おはようございますorこんにちはorこんばんは

逢逶(あい)です。

二作同時進行で参ります。
応援よろしくお願いします!


*First Season EPISODE*
episode0 >>1 episode10 >>11
episode1 >>2 episode11 >>12
episode2 >>3 episode12 >>13
episode3 >>4 episode13 >>14
episode4 >>5 episode14 >>17
episode5 >>6
episode6 >>7
episode7 >>8
episode8 >>9
episode9 >>10

*First Season END* >>18

*Second Season EPISODE*
episode0 >>19
episode1 >>20
episode2 >>21
episode3 >>22
episode4 >>23
episode5 >>24
episode6 >>25
episode7 >>26
episode8 >>27

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Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.12 )
日時: 2015/12/22 11:56
名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)

episode11
title 絶句

「はぁ…」


あの後すぐに帰って行った影山さん。
交代するように帰ってきた、誠。

私は小さく息をもらす。
痛み止めの錠剤を飲んで痛みは治まったのだけれど、今考えると薬は飲まないでおいた方が良かった。
行きたくない。


「織、もう出よう」

「はい」

「今日は重要な日だ。何があっても抜け出すなよ?」

「はい」



家を出て、車の助手席に座る。


「織…。今日は本当に大事な日だから、抜け出すなよ?」

妙にしつこい。

「…わかってますから」

「なら…、いいんだ」


車はそのまま発進する。
私は頭の中で誠の言葉の意味を繰り返し考えていた。

都心近くの高層ビル、the SOUNDsの本社が見えてきた。
高層ビルが立ち並ぶ中、一際大きな建物。


「じゃあ、行こう」

「…はい」


車を降りて、本社内を歩く。


会場は最上階。
暗くなってきて、夜景が眩しい。
もう何度も来ているのにちっとも慣れやしない。


エレベーターに乗る。
誠の後ろ姿を見るだけ。

普通の夫婦らしいことなんて何もない。
恋人同士で、一生私を騙してくれればよかったのに。

「織…」

突然誠が振り返る。

「はい、なんですか?」

「ごめんな」

そう言うと誠は私の顔の横に手をついて唇を寄せた。
優しいキスに頭が回らない。

唇を離すと誠は私をぎゅ、と抱きしめた。

丁度、エレベーターの扉が開いた。
誠は私の手を握り歩き出す。

私に対して愛があるのではないか、そう思えた。


会場に入る時にその手は離されてしまったけど、付き合っている時の淡い感情が蘇ってきてすっかり成瀬さんのことは忘れていた。


「失礼します」

年配の社長さんが五人揃っていた。
社長さん達は慌てて立ち上がり、誠に深く礼をした。

「本日はお集まりいただきありがとうございます。早速、会議となりますがご都合の悪い方はいらっしゃいませんか?」

「いいえ、始めましょう」


「では、失礼します」

縦長のテーブルに用意された料理。
その前の椅子に座る。

「折角の料理ですので、食事しながらお話でもできれば」

「お気遣いどうもありがとうございます」


「今日はよろしくお願いします」

乾杯も終わり、食事しながらの会議が始まった。
内容はそこまで堅苦しくはなく、今後の方針についての説明が主だった。


三時間私は話を聞くだけ。

とても大変だけどなんとか耐え切った。


「今日はありがとうございました。ではまた後日」

会場を出ると誠が私の手を強く握った。


「ごめんな、携帯…、見ていいよ」

携帯の電源はoffにするように車で言われていた。
前に飲み会で抜け出してしまったからだ。


電源を入れると、メールが二件。
それは、母の主治医からだった。

「え…」


内容を見て絶句した。








〝お母様が危篤状態です。すぐに来てください〟

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.13 )
日時: 2015/12/22 11:51
名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)

episode12
title 走る

誠は放心状態の私の手を引いて車に乗せた。

私はやっと理解した。
瞬間、誠を睨みつける。

「知ってたんでしょ?!知ってて黙ってたんでしょ?!」

「…ごめん」

「ごめんって何?!私なんてどうでもいいんだ?!お母さんが死ぬことより会議の方が大事だから、だから絶対に抜け出すなって…携帯の電源を切っておけって言ったんでしょ?!」

「ごめん、織」

「謝ったって帰ってこない!お母さんは帰ってこない!」



そう、帰って来ないんだ。
とめどなく溢れる涙の理由は簡単。

メールは二件来てたんだ。

〝最善は尽くしましたが、助けられませんでした〟


お母さんが一人で死んだ。
結婚してから一度も会えていない母。
せめて最後だけは見届けたかった。

違う、悪いのは誠だけじゃない。

どうして時間がある時に会いにいかなかったのだろう。
確かに距離は遠かった。
だけどそれは問題じゃない。
夫を早くになくした母。
たった一人の娘にも会えず、闘病していた。
今日、一人で死んでしまった。

誠のせいじゃない。


私のせいだ。


「誠、ごめんなさい。怒ってごめんなさい。私がお母さんに会いに行く許可をください」

「俺が悪いんだ。ごめん。…チケットはとっておくから。明日行ってこい」

「…ありがとうございます」



誠の横顔はいつもより暗くて。
私のせいだと思うと胸が痛い。

こんな私なんか離婚してくれたっていいんだよ?

そのまま目を閉じた。






「織、好きだよ」

あれ…?誠ちょっと若い気がする。
抱きしめられる私。

「うん、私も」

誠は嬉しそうに笑って優しくベッドに私を寝かせる。





「織がいれば、他に何もいらない。大事にするから」

「…私も。誠がいれば何もいらない」




「結婚、しよっか」




はっ、とそこで目が覚める。
周りを見る。
家の寝室だ。
誠が運んでくれたのだろう。


夢はあまりにリアルだった。
付き合っている頃は幸せだった。

誠が隣で愛を囁き、二人で顔を赤らめる。

結婚した途端、まるでそれが嘘だったかのように…。
誠は私を視界に入れなくなった。

私は誰に愛されているのだろう。
今日、唯一私を愛してくれていた母は亡くなった。

愛してくれた母を一人で死なせた私。
愛をくれなくなった誠。

どっちがひどいの?

ねぇ、私は自分をいつまで嫌わなきゃいけないの?
疲れちゃった…。

もし世界が全て生まれ変わるなら、
きっと私はこの世にはいない。
私みたいな最低な人間は必要ない。


たとえば、両親の間に私じゃない子が生まれたとする。
それでも両親はその子のことを愛しただろう。
たとえば、誠と結婚するのが私じゃなくてお金持ちの令嬢だったとする。
きっとその人は義父母からも誠からも大切にされただろう。


それならいっそ、生まれて来なければよかった。


誠の背中は決して狭くはない。
でも小さく見えるんだ。
あまりにも距離が遠くて。
いくら走っても追いつけないんだ。






走るのをやめたら
あなたは私の方を振り向きますか?

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.14 )
日時: 2015/12/22 11:51
名前: 逢逶 (ID: XnbZDj7O)

episode13
title 想い

誠side

君を苦しめたいわけじゃない。
君の苦しそうな表情を見るたび、罪悪感がふつふつと湧いてくる。
君を苦しめたくなんてない。

俺は最低な男だ。

君が好きだ。
愛してる。
それなのに上手な愛情の表し方がわからない。

好きだ、と言えば君は笑うのだろうか?
両親から〝子供を早く作れ〟と急かされる、君。
泣きそうに俺を誘って、その誘いを断ったら…、君はもっと辛そうな顔をするのだろうか。
両親を止めたら、君は俺から離れて行ってしまうのだろうか。

君の幸せか、俺の自己満足か。

どちらか決められない俺はダメ夫。
金と地位があるだけの非道な人間。


君に謝らなければいけない。
許してもらえないかもしれないけど。

俺は君がどれだけお義母さんを大切に思っていたか知っていたのに、お義母さんの死に際に会わせてあげられなかった。
行かせたらもう二度と帰って来ないんじゃないかと思ったんだ。

君を手放したくなかった。

正直、会合なんてどうでもいい。
君をこの手の中にしまっておけるなら、今持っているものを全て捨ててもいい。



君と出会ったあの頃が一番幸せだったのかもしれない…。

当時、俺は両親への反抗が強く、次期the SOUNDs社長ということを隠して広告代理店に就職していた。

俺は女に興味なんてなかった。
近づいてくる女は山ほどいたけど魅力は感じない。
軽くあしらっていた。


「なぁ、誠…。俺、すげぇ可愛い子見つけた」

「あっそ」

目を輝かせている同期の安田。
どうせそうでもないんだろうな。

ランチの約束を取り付けたから一緒に来て欲しい、とそう言われ、仕方なく付き合うことにした。

「あ!いたいた!織さぁん!」

「あっ!安田さん!」

人混みをかき分け走ってくるその子に俺は一瞬にして心奪われた。

「舞岡さんも一緒なんですね!久しぶりに楽しい昼食になりそうですね!」

「そうだね!…こいつ無愛想でごめんね?どうも女に興味ないみたいで」

そんなことない。
肩までのゆるく巻かれた黒髪。
大きくて澄んだ瞳。
小柄で華奢なからだ。

全てが俺を高ぶらせた。

ランチの帰り番号を交換してしばらく連絡を取り合った。
社内で君を見つけると嬉しくなった。

しばらくして安田がフられた、と聞いた。

「お前も織さん好きなんだろ?俺のことはいいから…、早く告っちまえ」

「…」


俺はただ君だけを想って走り出したんだ。



告白した時の君の嬉しそうな顔。
今まで見て来たどんな物より美しかった。



好きだよ。

愛してる。


どうしたらこの想いは伝わりますか?

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.15 )
日時: 2015/12/21 02:16
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: hYCoik1d)
参照: http://www.kakiko.cc/mydesign/index.php?mode

最初、織さんと誠さんの夫婦関係が何だか切ない物で悲しくなってました←

お久し振りです、てるてる522です!!

初めから成瀬くんが登場して凄くドキドキ(?)しました(笑)


それからepisode14の誠sideも印象的で、流石逢逶さんだなとしみじみ思いましたw

続きが本当に楽しみです(>_<)
更新頑張って下さいね〜♪

byてるてる522

Re: T.A.B.O.O ~僕と君は永遠を誓えない~ ( No.16 )
日時: 2015/12/21 21:40
名前: 逢逶 (ID: Ft4.l7ID)

>>15

いつもいつもご愛読ありがとうございます!
お互い更新頑張りましょう!


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