コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 『R−18』
- 日時: 2018/12/15 23:21
- 名前: 彩都 (ID: okMbZHAS)
カァカァ、カラスの鳴き声を聴きながら、海辺の近くの崖に立っていた上半身裸の少年の髪が靡く。
少年は大きく深呼吸をして、大きな海を見渡す──遠く遠くの奥、そこには綺麗な国、『ニホン』が存在していた──そして少年は一言、呟いた──
「──俺が、『このセカイ』を潰さないと──」
そう呟きながら、後退した──その崖には九つの綺麗な木の棒が刺さっていた──その木の棒は若干濡れていた──
『R−18』 第十部 開幕──
始めましての方は始めまして、何時も彩都の作品を読んでいる方は感謝します。
彩都(サイト)と申します。
今作で八作目です、まぁ、何とも小説のスレを作っては一ヶ月一回のみ更新とか、呑気にやってます。
さて、今作は名前が危ういですが、気にせずお読み下さい、そんな描写無いし。
まぁ、本音を書けば、『18歳未満の少年少女しかいない孤島』の物語ですね、なので『R−18』。
後、コメントはその章が終わったら、書き込んで下さい。
それでは本編をお楽しみ下さい──
第一部 書くかなぁ?
第二部 ありますよ。
第三部 存在します。
第四部 無い訳無い。
第五部 半分終了か?
第六部 折り返しか?
第七部 多分終盤か?
第八部 何か消える。
第九部 九割終了か?
第十部 回収多いな。 ←今ココ
第十部 『選択過多少年』
↓
第十部 第一部 プロローグ 過去と今を行き来する『モノ』 ←今ココ執筆中
↓
???
第十一部 有る訳無い
目次みたいな何か
>>0
親記事に決まってるだろ、何書いてんだこのアホスレ主は。
>>1
物語に対しての初レス、この更新で色々決まるか。
>>2
新キャラが出ました、たったそれだけですね。
>>3
物語は、少しずつ進む……
>>4
アキナちゃんは強いんだぞ!
>>5
彩都さんはあまり七草粥は好きでは無いです。
>>6
新名所、桜崖、落ちても安心。
>>7
西の地区長、登場、西のどの地区かは不明。
>>8
今回は戦闘回、何で戦闘を書いているんだろう? 自分的にはプロローグでは戦わない様にしているのですが……
>>9
戦闘終了&アキナの伏線を貼る、一体アキナは何者なんでしょう? 気付いてくれると嬉しいですねぇ。
>>10
アキナの小話、これで前回の投稿分の伏線は回収出来たか……?
>>11
勝手に決まる物語。
>>12
椎名の地区の地区長、ロバート・ダニエル・ジェームズが登場、実は『=』とか使いたかったけど、よく分からなかったから、『・』でご誤魔化しました。
>>13
さぁ、物語も中盤戦ですね、十夜とアキナは別行動に。
>>14
キャラのバーゲンセールですね、どれだけ新キャラ出せるだろう?
>>15
遂に登場、『能力』、どんな説明なのか? 後、全員紹介したいのに文字数が足りな……
>>16
やっと全員出し切る事が出来ました、さぁ、次回から、やっと物語が動き出します。
>>17
ん? あんまり本編が進んでいない……? 後、やっとアキナ登場。
>>18
原理さん、アンタって奴は……嘘でしょう!?
>>19
遂に十夜にバレてしまうアキナ! 一体どうなる!?
>>20
バレたから適当になりました、えぇ。
>>21
二日目開始、そして此処で大きい伏線を張る、さぁ、最終回で明かす設定になりました……忘れていなければいいですが。
>>22
今回は名前ネタ、完全に作者が悪いですね、名前は……誰だよ作者? ……彩都なんだよなぁ。
>>23
今回は他のキャラを掘り下げてみた、霜月を書くのが楽しかった。
>>24
他のキャラが久し振りに登場、完全に作者はキャラを忘れている模様。
>>25
名前ネタ、再臨、まぁ、面白いから、やらかしました、えぇ。
>>26
段々と集まっていきますねぇ。
>>27
プロローグなのに、葉月奪還編が始まります。
>>28
謎のキャラ登場、周防君、地味に入力めんどくさい名前。
>>29
今度の新キャラは二人です、おまけに兄妹です。
>>30
妹の名前を設定していないので、困りながら書きました。
- Re: 『R−18』 ( No.1 )
- 日時: 2016/07/16 13:35
- 名前: 彩都 (ID: 4IM7Z4vJ)
『R−18』 第十部 『選択過多少年』
第十部 第一部 プロローグ 過去と今を行き来する『モノ』
少年は目に闘志を燃やしていた、その理由は簡単だ、『このセカイを壊す』為に燃やしている──
少年の名は『十夜 日下部(とおや くさかべ)』──少年少女隔離施設通称『R−18』北地区 ユキタニ地区に住んでいる少年。
何時も右手には木の棒の先端に鋭い石を挿して細い紐で巻いている旧石器時代さながらの槍を持っている。
体は何時も傷が絶えない、それ程何時も怪我をしていると言う事だ──
服装は、何時も上半身裸の半ズボンだ、そして冬は長ズボンにTシャツの格好だ、今は夏の暑い時、七月だ──そして今の十夜は上半身裸の格好だ。
「ふあぁ〜あ……さて、これからどうしようか? ご飯も食べたし、戦う相手が居ない……」
そう呟きながら十夜は今居る場所──木の棒が九つ刺さっている崖に座っている──から振り向く──そこに広がる光景は『少年少女が楽しく暮らす光景』だった──
これが……この孤島の風景、そしてこの子等の笑顔を破壊する存在が俺……
十夜は下に俯きながらこの島の事を思い出す──
島の名前は『R−18』──正式名称は『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』だ──元々誰も居なかったこの孤島を改造して、俺や俺より小さい子達が住める様に政府が改造した島──無残に存在する地形や隆起、それを遊び場として少年少女は遊ぶ──そしてこの孤島に存在するのは、『18歳未満の少年少女のみ』! 18歳以上の『大人』は居ない──!
そもそも何でこんな孤島に俺等少年少女が閉じ込められているかと言うと、俺よりもっと大人な人間──御爺ちゃんとかそんなレベルの時代の事だった。
昔も昔、その時代の総理大臣が言ったらしいんだ、『大人と子を区別して隔離施設に入れたら性犯罪は無くなるのではないか』と──
そうして出来たのが『R−18法』、今の少年少女隔離施設の元になった物だ──当時結構な反感を買った法律だったが、何とか施行する事が出来た、そして17歳以下の少年少女は隔離施設──最初は島ではなく、刑務所の様な場所だった──に連れて行かれた──学校は団体で行く事になった。
すると少年少女の誘拐や性犯罪がめっきり無くなったのである、これで安心したニホンは今度は孤島に暮らさせる事にした──孤島なら貧弱な少年少女も急勾配な坂や、隆起した土地での暮らしで強くなって欲しい、との政府の考えだった。
そしてその法律は段々と悪意を帯びていった──今度は赤ちゃん迄もがこの法律の中に入らされたのである、これは流石に親御さんも怒ったが、『大事な息子娘を誘拐されたくは無いでしょう?』という政府のセリフに黙る事しか出来なかった──
だから十夜も赤ちゃんの頃からこの島育ちである。
そして少年少女が隔離されて、何も変わらずに今に至るという事だ──今迄に色々なニンゲンがニホンで戦ってきたけれど、この法律は変わらなかった──だから、今度こそ俺が潰そうと考えているのだ──
そう思いながら俯いた顔を上げた、すると、其処には一人の白いワンピースの少女が立っていた──名前は──?
「アキナ、安芸菜 朝倉(あきな あさくら)だよ、十夜お兄ちゃん?」
あぁ、そうだ、思い出した、アキナか……でも何でこんな辺鄙な場所へ?
「お兄ちゃん、もうお昼ご飯の時間だよ? お姉ちゃん達から『呼んで来て』って言われて、島中走り回ったんだからね!」
そう言われてアキナを見る、息切れ一つしていない驚異的な肺に少し驚きながらも、俺は言う。
「もう、そんな時間か、俺も早く行かないとな──行こうかアキナ?」
「うん」
そう言いながら手を繋ぎながら、俺は『自宅』へと帰った、まぁ、集合家族と言った所か──
二人は『自宅』へと向かう──『自宅』とは、一人では生きていけない子の事も考え、17歳、もしくは15歳以上の男女が親代わりを勤める家の事だ、その家には20人以上居る家もある──そして十夜は家長『ユキタニ』が仕切る家の人間だ──そして少し進んで、『ユキタニ』が居る家へと向かう──そして数分で家に着く、まるで海の家を髣髴とさせる様な室内に家長『ユキタニ』は仁王立ちで大声を荒げていた。
「おいおいぃ! 十夜が来ていないんだから食べるなぁ!」
するとアキナがか細い声で言う。
「十夜お兄ちゃん、来たよー?」
「おおぉ、そうか! 何をやっているんだ十夜!? 待っていたんだぞ! 少しは早く帰ってきたらどうだ!?」
「あぁ、はい、すんません……」
「全く……早く食べるぞ! 頂きます!」
家長『ユキタニ』のい怒号に小さな子や俺と同い年位の子は大声で『頂きます!!』という、やはり、この自宅は怒号がよく似合う──
家長『ユキタニ』、名前は『椛 雪谷(もみじ ゆきたに)』、16歳の女性である、頭には何時も三角巾を着けている白エプロンの女性だ、名前の通り『ユキタニ地区』を統治する女性だ、そしてこの家の家長でもある。
そして俺は『ユキタニ』の特製ご飯を食べる──うん、今日も美味い……!
そしてご飯を食べ終えて、あの木の棒が刺さっている崖で俺は呟く──
「俺が『このセカイ』を潰さないと……!」
そう呟きながら大きく深呼吸をする──
これは少年のニホンへの反抗の戦いである──
- Re: 『R−18』 ( No.2 )
- 日時: 2016/08/13 16:08
- 名前: 彩都 (ID: Btri0/Fl)
「うっぷ……やっぱり大盛ご飯二杯は多過ぎたか?」
十夜はそう言いながら自分の右手を口に近付ける、今は吐きそうで堪らない、それもそうなのだ、ユキタニ地区で食べる前に他の地区でもご飯を食べていたのだ、流石にユキタニの大盛ご飯を拒否する事も出来ず(拒否をしたら殴られて、もうご飯が食べれなくなる可能性もある)に何とか我慢して胃にご飯をかきこんだ。
そしてパンパンになった腹部を見て、十夜は思う。
「流石に食い過ぎだ、少しは動いて消費しないと──」
十夜は自分の部屋で鋭い石が刺さった槍を持って、外に出た──
『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』、島のサイズは鹿児島県、喜界島(きかいじま)とほぼ同サイズの島である、米や野菜はニホンから送られてくる物も多いが、個人個人ならぬ、個島個島で勝手に栽培している物もある。
人参や大根は自分の地区の庭で作っていたりする、たまに米自体を栽培している地区も存在する。
自分には無い野菜、もしくは米が切れた場合は、野菜や米を持っている地区と物々交換したりしている。
そして『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』は四つに分割する事が出来る、東西南北に分けられる、十夜の居るユキタニ地区は東に位置している。
地区といっても、一つだけでは無い、一つの方角に約10個程の地区がある、基本、一つの方角の地区はあまり他の方角の地区には行かない。
何故行かないのか? それは簡単だ、『その地区によってルールがバラバラ』なのだ、例えば、『A地区』の人が『B地区』の人に恋をして、結婚をする事になった、だが『B地区』のルールでは、『二十歳を超えないと結婚出来ない』というルールがある、そんなルールがあるので、『A地区』、『B地区』の人は結婚出来ない、と言う様なルールがあるので、他の方角の人はあまり他の方角に手出しや関わりが少ないのだ。
だが十夜はそれを望まない、望むのは『全ての方角の皆が楽しく一つの釜の飯を食べて、同じ家の屋根の下で眠る事』だった、だがそんな望みが叶う訳も無く、十夜は少しでも実現させる為、少しでも他の地区に顔を出したりしていた。
そしてたまにご飯を奢ってくれたりもしてくれた、そしてたまたまユキタニの前に少しだけだが大盛ご飯を一杯食べていたのだ。
なので、結果的に大盛ご飯を二杯も食べる事になるのだが──
「さぁ、今日は誰と戦おう……?」
そう一人ごちながら十夜は周りを見渡す、だが人はあまり居ない、すると十夜の名を呼ぶ者が現れる。
「おーい、十夜〜? 今日はどうしたんだ〜?」
そう言いながら上半身裸の褐色の少年、『椎名 轟(しいな とどろき)』が十夜に声を掛けてきた。
「あっ、椎名、お前こそどうしたんだ? 今日は外に出ているなんてなぁ」
十夜がそう言うと、椎名は笑いながら親指を海に指す。
「それはうちの地区長さんが、『今日は浅蜊と蜆のどっちかの味噌汁が飲みたいなぁ』って言って、二人の準地区長の女性が躍起になって、今から海で潮干狩りさ」
溜息混じりに椎名が言うと、十夜も同じ気持ちになる、椎名の地区長はイケメンなお兄さんだ、更に準地区長の女性は二人共椎名の地区長が好きな恋敵なのだ、そりゃ、カップルになりたいから躍起になるのも仕方無いが──
「流石に自分でやった方が努力点が貰えるかもしれないのになぁ……地区長は二人の気持ちに気付いてるけど、自分等を扱き使っているから評価は低いんだよねぇ、それに気付くのは何時なのかなぁ?」
そう言いながらせせら笑う椎名、十夜も軽い笑いで済ましておく。
「これ以上道草も食ってられないからまた今度な、またな十夜」
「あぁ、また今度、闘おうぜ?」
十夜が槍を持ち上げると、怖い笑顔を作り出す椎名。
「あぁ……そうだなぁ、次は俺が勝つぜ? 次を楽しみに待っているよ」
「あぁ、俺だって楽しみにしている、次こそは連勝してやる」
「俺も次こそは勝ちたいね」
少しの言い合いをして、椎名は走って海辺へ向かった──アイツもアイツで大変だなぁ、そう思いながら十夜は槍を持って、『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』の島内を走り回った──
「うーん、結局、闘う事も出来なかった、だが走り回ったから少しは体力がついたかな?」
そう呟きながら今日の活動は停止する事にする、残りは晩御飯を食べて寝るだけだ──するとアキナが僕に近付く。
「どうしたんだ、アキナ?」
「んー? それは簡単だよ、お兄ちゃん、私と闘って?」
衝撃的な言葉が聞こえて、十夜は驚く。
「アキナ、それは本気か? 痛いかもしれない、。死ぬかもしれないんだぞ?」
十夜は言葉で威嚇する、だがアキナは諦めない。
「私だって、強くなりたいんだ、だからお兄ちゃん、少しはこの地区の力にならせて?」
「……お兄ちゃん以外でも頼れる人は居るだろう? 他のお兄ちゃん、お姉ちゃんにしなよ……」
十夜はそう言って、アキナから離れて、晩御飯を食べようと準備をする──アキナの顔が少しだけ泣きそうになっているのを十夜は見て見ぬ振りをした──
- Re: 『R−18』 ( No.3 )
- 日時: 2016/09/17 16:31
- 名前: 彩都 (ID: 69bzu.rx)
寝室──
一体どういう事だろうか? いきなりアキナが『お兄ちゃん、私と闘って?』だなんて……意味が不明だ、だが、アキナにもユキタニの力になりたい、という事の解釈で良いだろうか? いや、それは間違っているかもしれない、アキナは……アキナは『地区戦争』の意味で、『お兄ちゃん、私と闘って?』と言ったかも知れない。
くそっ、こんないたいけな少女を傷つけるなんて……俺には出来ないし、一生しない──十夜は布団で寝転がりながら頭の下に手を置いて考える。
教えたいのは山々、だけれど闘わせるのだけは厭なのだ、何故なら彼女がまだ幼いからだ。
まだまだ闘わせるのは早い、だから、だから十夜は闘わないのだ。
でもなぁ、来る時は来るのだ、闘わせないといけなくなる時期が来るだろう、その時迄待ってくれれば良いが──十夜はそう思いながら大きく深呼吸をする、するとユキタニが夜の見回りをする、そして十夜を見つける。
「おいおいおいおい、十夜、良い子は寝る時間だぞ?」
ユキタニがそう言うと十夜は言い返す。
「俺は良い子じゃない、喧嘩ばっかして、怪我しか作らないガキだ」
十夜がそう言うとユキタニは十夜の隣で寝転がりながら十夜を抱き締める、ふよんっと後頭部に柔らかいモノが当たり、十夜は焦る。
「おっ、おい! 姉ちゃん! 当たってるって!」
十夜は柔らかいモノから離れようと手や足を必死にもがく、だがユキタニは後頭部から抱き締めながら言う。
「良いんだよ、怪我しか作らなくても、怪我を作るのが男子、それを癒すのが女子なんだから──私だって人恋しい時だってあるんだ、少しは私の心の穴を埋めてよ?」
ユキタニがそう言うと、むすっとした顔で十夜は言う。
「……今日だけだぞ、今日だけだかんな!」
十夜はそう言いながら腕を組む、その行動にユキタニは少しだけ微笑みながら抱き締めながら十夜の頭を撫でる、いや、強く、ぐわしぐわしと頭皮と髪の毛ごと手で擦る、と表現した方が分かりやすいか。
「痛い痛い痛い! 痛いって、姉ちゃん!」
十夜が皆を起こさぬ様に小声で言っても聞いてくれない、完全に自分の世界に入っている、十夜は後頭部に当たる柔らかいモノと頭に走る痛みの両方を感じながら十夜は瞼が重くなる──視界が……段々と……暗く……くらく……
ハッ! と気が付いて目が覚める、隣にはユキタニが頭を撫でる(正確には擦り付ける)のを止め、後頭部に当たっていた柔らかいモノにも離されていた、外は少し薄暗いが、青かった、なので、今の時間は早朝というのが分かった、十夜は 目を擦って、強制的に目覚めさせる。
「今日は早いなぁ……さて、時間を潰そうか──何処へ行こうかな?」
十夜はそう呟きながら起き上がる、掛け布団はユキタニにかけてっと……十夜は布団をユキタニに掛けた後、寝室を出る。
次に蛇口を捻って、冷水を出す、今は七月なので蛇口から出る水も少し温(ぬる)い、なので少し無駄だとは思うが、水を出して数秒待つ、そして手を蛇口から出る水に突っ込む、ふむ、少し冷たくて気持ち良い、そして手で器を作り、その溜まった水を自分の顔をにぶつける──冷たい、一気に睡眠欲が吹っ飛んだだろう、そう思いながら自分の顔を洗浄する、ばしゃばしゃ、と自分の顔に何回も手で作った器の中の水をぶつける、そして完全にスッキリして目覚める、よし、これで寝る事は無いだろう。
十夜は次に旧石器時代さながらの槍を持ちながら外へ出かける、向かう場所なんか無いのに──
「…………」
十夜は無言になりながらバケツの中の水を木の棒が九本刺さっている崖の一本一本の木の棒に向かって水をかける、それを九回繰り返す、この『人達』の様に俺もなりたいなぁ──そう思いながら大きく深呼吸をした──
九本の木の棒──そこには『R−18法』を壊そうとした九人の少年少女の墓であった、簡易的な墓ではあるが、これも一応は立派な墓なのだ。
一本一本にその少年少女の名前が記されているが、今は時の経過によって消えかかっている、なので今はもう読めない木の棒の方が多いのだ。
もう少し深く掘っていれば良かったのだが──そんな過去の事は今更言ってももう遅いが──
自分も『R−18法』を壊せる様な人間になりたいなぁ……まぁ、こんな有名人じみた事は出来なさそうだけど──そう思いながら溜息を吐く。
それもその筈、『R−18法』を壊そうとした九人の少年少女は遥か彼方の国、ニホンでは重罪に重罪を重ね、超極悪人の超大罪人の人間として扱われている、それ程この『R−18法』の法律は完璧で、抜け目が無い法律、だからだろうか? それは十夜には分からない。
そんな人間に十夜はなりたいのだ、その道がどれだけ過酷かは知らないが──
「……さて、水もやったし、俺も少しはこの島を歩こう、何か面白い発見があるかもしれない──」
そう言いながら十夜は崖から離れる、そして海沿いに向かって十夜は島の周りを歩く、新しい発見をするか分からないが、今は前に進みたかったのだ──少年の一歩は最初は小さかった、だが段々と今では大きくなった、だがそんな事は十夜は知らない──
- Re: 『R−18』 ( No.4 )
- 日時: 2016/10/15 12:00
- 名前: 彩都 (ID: HijqWNdI)
そして島の海沿いを一周するのも終盤を迎えた頃、目の前に一人の少女が構えを作りながら立っていた、簡単に言えばクンフーや格闘技での構え、この構えはレスリングに良く似た構えだった、そしてそんな構えをしているのは自分でも良く知る少女である、その少女はアキナだった。
「…………」
アキナは無言のまま十夜に向かって右手を前に出す、そして深呼吸をした後、腰を低く落とし、右足を思いっきり踏み込んで、前へ移動する、更にアキナのあまりの早さに十夜は少し判断を鈍ってしまう、そう、前へ移動してきたアキナの右手をそのまま両手で受け止めてしまったのだ、そして十夜のその判断で出来た隙をアキナは見逃さなかった、アキナはそのまま空いた左手で指先を下にして、腰を落として、十夜の空いた鳩尾に思いっきり左手の掌底を打ち込んだ、嗚咽、あまりにも重い一撃が十夜の体の中を駆け巡る、痛い、いや、重い、そんな痛覚と感覚が十夜の脳内に現れる、そして掌底の衝撃で十夜の体は少し浮いてしまう、そして空中に浮いた十夜は少しずつアキナから離れていく、両手で防いだアキナの右手も自分の両手から離れていく──そしてカランッ! と十夜がアキナの右手を掴む前に持っていた木製の石の槍が落ちる音がする、そしてその石の槍が落ちた音が聞こえた瞬間に目の前に居たアキナの姿は視認出来なくなる、えっ? アキナは何処へ行った──その瞬間、背中から謎の横殴りの風を感じる、まさか、まさかな? そんな筈は無い、『アキナが自分の後ろに居る』事等有り得ない! 十夜はそう思いながらゆっくりと頭を後ろに傾ける、十夜の背後には右手を後ろに縮めたアキナが居た、そしてアキナは十夜を左手で攻撃した時の様に腰をもう一度落とし、一気に右手で十夜の背中を貫く様に掌底を打ち込んだ──ドゴォッ! と今迄に感じた事の無い衝撃が背中に走る、十夜は我慢出来ずに口から唾液、唾、胃液を少しだけ吐き出してしまった、とんでもない衝撃が十夜の体の中で暴れる、こんなにアキナは強かったっけ……? 十夜はそう思いながら前へと吹っ飛んで行った、そして前に吹っ飛んだまま十夜は海にダイブしてしまう、ただ単に剣で刺されたり、槍で刺される事はあっても、ただの素手、特に掌底だけでこれだけ自分のダメージを与える事が出来るのか、十夜はそう思いながら何とか気を失わずに一人で泳いで陸地に上がる、そして大きく深呼吸をして、アキナが来るのを待つ、するとぴょんぴょんと跳びながらアキナが十夜の前に現れる、完全に嬉しそうな顔をしている。
そして十夜はアキナに対して、アキナの頭を掴んで、頭突きを与える、ゴォォォン、と頭の中で衝撃がリピートする、十夜もアキナも頭の中で衝撃が走る、そして二人は地面に四つん這いになって、頭の痛みに対し、悶絶する、頭を抱えている内に、十夜は一足先に頭の痛みが無くなる、そして十夜はアキナに対して半分怒りながら言う。
「いきなり何攻撃してんだ!? 死ぬかと思ったぞ、掌底の痛みで!」
十夜がそう言うとアキナが簡単に言う。
「島……育ちは、体が丈夫だから……死に難いけどね、いたたたたた……」
「いや、そうなんだけれど……って違うよ! 何で辻斬りみたいな事をしたんだよ!? 危うく海の中で溺れる所だったぞ!?」
十夜がそう言うとアキナはシュンとしなしなになった野菜みたいに萎(しお)れる、そしてアキナは小さな声で言う。
「……だって、試したかったんだもん、自分の力を──そしてお兄ちゃんに特訓を教えて貰おうと、私だって戦える事を証明したかったんだもん!」
アキナはそう言いながら両手をガッツポーズしながら前屈みになる、はぁー、と十夜は呆れて、何も言えなかったが、一つ『疑問』が生じた、その『疑問』を十夜はアキナに向かって言う。
「なぁ、アキナ、少し聞いて良いか?」
「ん? 何お兄ちゃん?」
「ん? いやさぁ、『誰から今さっき俺に攻撃した時みたいな行動』を教えてもらったんだ? 何時の間に腰を落として攻撃とか、俺の後ろに回って掌底とかさぁ?」
十夜が不思議そうに言うとアキナは頷きながら言う。
「うんうん、やっぱりお兄ちゃんも気になるよね、私にこの行動、基、戦闘方法を教えてくれた人を? それは簡単だよ、家長『ユキタニ』だよ、ユキタニのお姉ちゃんが私にこの闘い方を教えてくれたんだ、『アキナは速さが自慢だ、相手の隙を突いて、思いっきり重い攻撃をしたら勝てるだろう』って、んでもって、腰を落としたり、掌底とかを教えてもらったよ、エヘン! 凄いでしょ!? 褒めて褒めてー?」
アキナは仁王立ちのまま顔を上に上げて両手を腰に当て、『自分は偉い!』みたいなポーズを取る、確かにあの攻撃は驚異的な威力で、もう少し忍者みたいな隠密系になった方が強い、と考えるが──アキナにとっては『前に出ないのは戦闘では無い』とか言いそうだ、影で攻撃する者、も少しは格好良いとは思えるが、アキナには隠しておこう、十夜はそう思いながらアキナに攻撃された場所に向かい、自分の石の槍を拾う、そしてアキナに言う。
「さぁ、アキナ、『自宅』に帰ろうか、ご飯を食べよう」
十夜の言葉に対し、アキナは言う。
「うん、分かった!」
アキナはそう言って、十夜の隣に移動して一緒に歩く──さぁ、次のご飯は何だろうな、十夜はそう思いながら、二人の歩幅は一緒の大きさになっていく──十夜は不意に空を見上げる、海に浮かぶ夕焼けが綺麗だった。
- Re: 『R−18』 ( No.5 )
- 日時: 2016/11/12 17:54
- 名前: 彩都 (ID: oN2/eHcw)
腹部を摩りながら、十夜はアキナと一緒に『自宅』へと帰った、すると家長であるユキタニがフライパンを片手に曲芸をしていた、フライパンの持ち手を上に投げて、もう一度持ち手を掴む、という技だ。
「おいおい……何危険な事をしているんだ、ユキタニさん」
十夜がそう言うと、十夜に気付いたユキタニが言う。
「何って、曲芸だけど?」
「そうじゃなくて……他の子が真似したらどうするんだよ、火傷するなんて分かりきっているんだけどなぁ……」
十夜が少し呆れながら言う、するとユキタニが言う。
「大丈夫だよ、『私は特訓したから出来る』って言っておけば、他の子は真似しないだろう」
「……そうか」
十夜はそう言って、寝室へと向かう。
「ん? どうしたんだ十夜? もぅ眠いのか?」
「えっ? あぁ、そうみたいなんだ、それじゃあお休み」
ユキタニの言葉を聞いて、返答する十夜、そして一人寝室に向かう──
「…………」
十夜は窓から見える夜空を見ながら思う、今日も夜空は美しいなぁ、と。
『少年少女隔離施設No.12 『R−18』』が立地している場所は夜空が美しくて有名な無人島を改造した、と聞いた事が有る、こんな夜空が無料で見れるなんて──今は幸せ者なのかもしれないな、大人の人はこんな夜空に対し、大金を叩いて見に来るのだ、ガキの自分が無料で見れている、これは結構な差だ、と十夜は考えて、深呼吸をする、空気が美味い、空気でさえ、大人は金を支払って、吸ったりするのだ、それに対し、『R−18』の土地って結構自分達に優しいのではないか? と思ってしまう、だが逆に考えて、『少年少女達を隔離している』と考えたら、それはそれで優しく無いな……と思ったその時だった、アキナが一人鍋の器を持って、現れた。
「どうしたんだ、アキナ? そんな鍋を持って……?」
「ん? お兄ちゃんが起きていたらお粥食わせろってユキタニが……」
そう言って、アキナは鍋の蓋を開ける、すると湯気が立っている、出来立てだったのか──十夜は仕方なく食べる事にした。
「もう……そんな事をしなくても良いのに……って、何気に春の七草粥かよ、今夏だぞ?」
十夜は文句を言いながら、器にお粥を入れて、冷ましながら食べる。
「どお? 美味しい? 私も手伝ったんだよ?」
「ほぉ、アキナがねぇ、何を手伝ったの?」
十夜が手伝った内容を聞く、アキナは威張りながら言う。
「聞いて驚け! 私は、『お粥を運んだ』事を手伝った!」
「味じゃねぇのかよ!」
手伝った内容に呆れる十夜、何でそれを『手伝った』なんて言えるのか……と十夜はそう思いながらお粥を食べていく。
「流石にそれは嘘だけどね? 七草を集めたり、お粥が焦げない様にずっと混ぜたりね?」
「何だ、少しは手伝ったのか……」
手伝った事に少し安心する十夜、そして夜空を見ながら十夜は呟く。
「なぁ……今日は綺麗な夜空だな」
「……? それがどうしたの? いたって平凡で普通な夜空じゃない?」
「……お前、情緒もねぇのな」
十夜がそう言うと、アキナは不思議そうに言う。
「何言っているの、お兄ちゃん? 何時も何時も毎日見ている空に対して、情緒のじの字も感じないよ」
「えっ? マジで? 色々な意味で薄情だなぁ……お兄ちゃんは考えるんだ、もしも火山の噴火等で、空が真っ暗になったら……ってね」
「そんなの有り得ないよ、火山なんかもうほぼほぼ無いんだよ? ニホンも、海外の方も──今では火山が起きる事が起きたら、マグマを回収する事で、噴火を抑えているんだから」
そう、人間はもう『噴火』という物に恐れなくなった、もしも噴火しそうになったら、マグマごと凍らせる、もしくはマグマを取り出して、噴火を止めたり出来るからだ。
だがそんな現実的な事を言われる事に驚く十夜、十夜はアキナに対して反論する。
「もしも、もしもだよ? 『海底の底にある火山が噴火したら』アキナはどうする? あっ、因みに火山灰で空が暗くなった時を想定してね?」
と、十夜は付け足してから言う、これなら流石に回答があるだろう。
「別に? どうもしないよ、それよりも、明日生きれるかって所に悩むなぁ……」
…………彼女は超現実主義でした、と心の中で呟きながら十夜は言う。
「お前に聞いた自分がバカだったよ、忘れろ、そして俺はもう寝るから、お休み」
十夜はそう言って、七草粥を食べ終わった後、布団の中に入って、寝息を立てる。
「ご馳走様、も無いのかよ」
と、アキナが一人ごちて、お粥が入っていた鍋を持って、寝室を出る、十夜は心の中で呟く。
(聞こえてるよ……アキナ)
そして朝になった、流石に腹部の痛みは無くなっただろう、と腹部を摩りながら十夜は朝ご飯を食べようと、居間に向かう、だが、居間には誰もいなかった、えっ? 何でだ? と思っていると、アキナが玄関か現れる、十夜はアキナに聞いた。
「あれっ? 皆は?」
と、十夜が聞くと、アキナは答えた。
「ん? 今日は遠足だよ? 忘れてたの? 私は忘れ物を取りに来ただけ」
えっ? あぁ……遠足ね、と段々と今日が何の日か思い出す。
「あぁー! 今日は遠足かー! 道理で今日は何か有ると思ったんだよ! 思い出させてくれて有難う!」
十夜は急いで『自宅』を出る、走って間に合うか!? と十夜は思いながら足を動かす、アキナは呆れながら言う。
「全く、お兄ちゃんは時間にルーズなんだから……」
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