コメディ・ライト小説(新)

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妖戯れ
日時: 2019/04/05 09:20
名前: 天使のような悪魔 (ID: nsrOqY/c)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12331

                 妖探偵事務所活動記録

最初に断っておくが『妖探偵事務所活動記録』だなんて格好つけて書き出しているが探偵事務所公認というわけでわない
(春夏秋冬部長に提案してみたがあっさり却下された)
ただ僕が個人的にたらたらと不思議な世界について 否、僕がただ妖と戯れるだけだ
それでも僕の話を聞いてくれるのであれば僕は嬉々として語ろうと思っている

第1話
札切ふだぎり 璃空りくの妖戯れ】
未公開

第2話
春夏秋冬ひととせ 一年ひととせの妖戯れ】
>>12

第3話
犬神いぬがみ 駒理こまりの妖戯れ】
投稿中

第4話
霧野きりの 切子きりこの妖戯れない】
未完成

第5話
柏崎かしわざき 波戯なぎの戯れ】
未構成

Re: 妖戯れ ( No.18 )
日時: 2018/10/07 16:14
名前: 天使のような悪魔 (ID: nsrOqY/c)

一階の部屋の掃除
これが今僕に与えられている開店前の仕事だ
洗濯などの雑用もしていたのだが、それはどっちかというと「探偵社の仕事」ではなく「探偵社のお世話」だと思われるのでカウントしない

応接室 キッチン 玄関

漏れなく隅々まで清潔にすること
それが一日の最初の仕事だ
いつも通り玄関 キッチンの掃除を終えて応接室に掃除用具を持って移動する
いつも通り誰もいない応接室に入る
掃除に入る僕を除けば約一ヶ月間誰もここに入っていないことになる
毎朝毎朝掃除する必要はないんじゃないか?と疑問に思うが佐藤さんの言いつけなので仕方ない
僕は馴れた手付きで棚を掃除する
最初は馴れない作業だったがすでに一ヶ月近く経っているので効率良く掃除する
佐藤さんや春夏秋冬部長にビシバシ指導されたのは昔の話だ

そんなことを思いつつ次は机を拭く

ゴトンッ

何か石のようなものが液体を撒き散らしながらカーペットの上に落ちた

ウオッと声を上げて驚いた
よく見るとそれは灰色の湯呑みであった

Re: 妖戯れ ( No.19 )
日時: 2018/10/08 15:33
名前: 天使のような悪魔 (ID: nsrOqY/c)

湯呑み?
ああ昨日誰かが片ずけ忘れたのだろう
いや、でも溢れたお茶(恐らく)はまだ温かい、というか熱い
まるでさっきまで誰かがこの部屋に居たかのようだ

「ん? 誰だ 御前は」

と正面から声を掛けられた
顔を上げれば、そこには変なジジイが座っていた

洋室である応接室には不釣り合いな和服姿 
髪は生えておらず後頭部がやけに膨らんでいる 
腫れているといってもいいかもしれない

『っうわああああっ!』

僕は叫び後ろに飛び上がる

瞬間、僕は後頭部を本棚に強くぶつける

『いってええ』

というかだっせええ
僕はその場にうずくまる
が僕に対する物理的攻撃はそれだけでは済まなかった
固定されていない本棚は大きく揺れ、僕の方へ倒れ込んできたのだ

『ひっ』

僕は本棚の大きさ、そして詰まっている本の量に絶句する
死ぬ時は本に押しつぶされて死にたい
本好きの人間はそう言うそうだがこの光景を見れば流石にそうは言えまい
僕は目を閉じる
呆気ない人生だったなぁ

本棚は僕へ倒れ込んで  こなかった

へ?
まさか僕の真の能力が目覚めたのか⁉︎

『そんな訳ないだろ』

と僕のくだらない茶番に突っ込みを入れてくれたのは札切先輩だった
てか声に出してないのによく突っ込んでくれたな‼︎
じゃなくて札切先輩は片手で軽々本棚を支えてくれていた
おお!
あなたは天使ですか⁉︎
一生付いてくっす 兄貴!

でも札切先輩、本棚を支えただけじゃ中の本からの攻撃を防げたことにはなりませんよ
そのことに気ずいたのか札切先輩は

『あっ』

と声を上げる
その声が号令になったかのように本は僕に降り注ぐ
ハードカバーの物から文庫本まで大小様々な本が僕を殴る

Re: 妖戯れ ( No.20 )
日時: 2018/11/18 12:01
名前: 天使のような悪魔 (ID: nsrOqY/c)

『うげっ』

そんな締まらない声を上げる
いや、自分のドジで本棚に押し潰されそうになっていたのだから何方にせよ締まらないのだが

『大丈夫かい⁉︎』

札切先輩は心配そうな顔をして声をかけてくれる
恐らく今の僕の顔面は痣だらけなのだろう
でもまあ、僕は常人の倍以上の回復力があるからすぐに治るだろう
僕は既に治った痣の痕を見せ大丈夫だという事を伝えた

『そっか、そうだったね じゃあとりあえず散らかった本を片ずけようか』

そう言って札切先輩は足元に落ちている本を拾い集め始めた
つられて僕も本を掻き集めようとするが、一つ疑問に思っていることを思い出した

『あ、あの札切先輩、彼処に座っているおじいさんは誰ですか?』

訊かれた札切先輩はテーブルの方を見る

『うおっ!』

札切先輩もあの老人に気付いていなかったのか、僕と同じ反応を見せたが、
飛び上がり、本棚にぶつかるような愚行はしなかった
かわりに

『ぬらりひょんさん、いつからいたんですか?』

と其処にいる老人に声をかけた

Re: 妖戯れ ( No.21 )
日時: 2018/12/02 09:28
名前: 天使のような悪魔 (ID: nsrOqY/c)

『それで今回のどういった御用件で?』

札切先輩は向かい側に座っている和服姿の老人、いや妖の総大将〈ぬらりひょん〉さんに問う
するとぬらりひょんさんは茶で口を湿らせてから言った

「ところで、この町で行方不明者が急増していることはご存知かな?」

今回の依頼の前置きなのか、ぬらりひょんは質問に質問で応じた

『生憎、ウチにはテレビがありません...それに情報収集は駒理の専門分野なので』

「そうか…なら隣にいる御主は如何じゃ?」

え?突然僕に訊かれても…
それまで置き物の様に振舞っていた分混乱する
それに行方不明者の急増と言われても…

『殺人事件とかなら派手でニュースとかでよくやっているんですけど、行方不明者の急増は聞いたことがありませんね』

『ぬらりひょんさん、やっぱりその【行方不明者の急増】はなんらかの形で妖が関わっているのですか?』

札切先輩が話の続きを促すように訊く

「ああ、ただ町の治安が悪くなっただけなら良いのじゃが..」

いやどこも良くないわっ

「ここからは雨降り小僧からの伝聞になってしまうのじゃが、

Re: 妖戯れ ( No.22 )
日時: 2018/12/02 15:38
名前: 天使のような悪魔 (ID: nsrOqY/c)

或る日の暮れ方の事である

一人の雨降り小僧が桜の木の下で雨を降らしながら走り回っていた

その時、雨音に紛れ子供の悲鳴が聞こえたという

気になった雨降り小僧は悲鳴の出処を探した

音源はこの町の慢陽公園

この公園はだだっ広い癖に遊具が無い

柳の木が至る 所に植えてあり、昼間でも日の光が届かず一日中薄暗いままだ...確か...

小学生の時、真昼間に同級生達と肝試しをした記憶がある

それくらい暗く、人通りの無い、犯罪の起こり易い場所だったはずだ

その公園に二つの影があった

薄暗く顔は見えなかったそうだが、片方は背が低く、蹲っていた

恐らく、悲鳴をあげていた子供だろう

もう片方は背が異常なまでに高く「うふふ」と不気味に笑っていた


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