コメディ・ライト小説(新)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

片恋.・。*平行線の恋模様*。・. 【*第20話 更新*】
日時: 2020/06/12 22:41
名前: Aika (ID: XWWipvtL)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12215

.・。*Prologue*。・.




――恋をすると、 毎日がドキドキして
ワクワクして…キラキラした楽しい気持ちでいっぱいだと思ってた。



でも。



あたしの、人生初めての恋は。
そんな綺麗なものじゃなくて―――。





切なくて、 苦しくて、 もどかしくて―――。






どうして、 君を好きになってしまったんだろうって何回も後悔した。
いっそ、 嫌いになりたい。
そう感じたことだって、何万回もあったと思う。



だけど。




そのたびに。




君の笑った顔が頭をよぎって。






好きって想いが溢れて止まらなくなる。








誰か、 教えてください。







―――好きって…どうしたら、やめられるの――?







―片恋.・。*平行線の恋模様*。・.―

更新start!
→*H30.3.29.Thursday*

.・。*お客様*。・.

♭てるてる522様
♭蜜柑わたあめ様
♭みかんさいだーくろーばー様
♭夜桜様



<<目次>>

登場人物紹介>>1

*1章*報われない片想い*

第1話>>2第2話>>5第3話>>6第4話>>11
第5話>>12第6話>>13第7話>>14第8話>>15
第9話>>16第10話>>17第11話>>18

*2章*叶いもしない恋模様*

第12話>>19第13話>>20第14話>>21第15話>>22
第16話>>23第17話>>26第18話>>27第19話>>28
第20話>>29






Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.15 )
日時: 2018/08/31 04:09
名前: Aika (ID: UPSLFaOv)

Episode8:嫌いなはずなのに。




「だー!むっかつく!」

お昼休み。
いつも通り、あたしは親友の芽生と一緒にお弁当を広げていた。

―――とある、先輩のことを愚痴りながら。


「なに?…また、皆瀬先輩?」

毎日の日課みたいな感じで芽生は、半ば呆れた様子で聞いている。

―――だって…いらつくんだもん。


「ほんっと…朝練の時もちょっかいかけてきてさ…マジで、いらつく!」

やけ食いみたいな感じでお弁当のおかずを口の中に押し込んでいると。
芽生が、不意に口を開いた。

「なーんか…最近、 皆瀬先輩の話ばっかだね」

―――その言葉に箸が止まる。

え―――?

言葉の意図が分からなくて。
あたしがキョトンとしていると。

「―――前までは、 達也先輩の話ばっかだったのに」

芽生のそんな言葉に。
あたしは、 何も返すことができずにいた。

「――芽生?」

芽生が要するに何が言いたいのかよく分からなくて。
呆けた顔で芽生を見ていると。

芽生が楽しそうな顔でからかうように聞く。

「―――皆瀬先輩と達也先輩…どっちが好きなの?」



予想もしなかった質問に。




「げほっ…なっ!なに言ってるの、芽生!」




むせこんでしまうあたし。
そして、 反論する。




「―――あんな、性悪でチャラそうな先輩のことなんか好きなわけないじゃん!あたしが好きなのは―――」



そうだよ。
あたしが、 好きなのは―――。





中学1年のあのときから。
ひとりだけだ。





その気持ちは今でも変わらない―――。
変わらない、 はずなのに。






なぜだか、 あたしは…その続きを言えなくて―――。





「……っ………」






もどかしい気持ちでいっぱいになった。





「―――好きなのは?」






芽生が楽しそうな顔であたしを見つめている―――。





―――キーンコーン…。

そこで、 予鈴が鳴って―――。




「―――残念。予鈴鳴ったから、 いこっか」



芽生がそこで話を中断してお弁当を片付けて立ち上がる。

あたしは、 なぜだか…このとき、ホッとしていた。





どうしてだか。




いま―――。












好きな人を考えたとき―――。







浮かんだのは…達也じゃなくって。








むかつく、 嫌いだと思っていた先輩の顔で―――。







「―――ほんと…なんなの、 アイツ」







誰に言うでもなく…1人、 呟いた声は喧騒のなかに消えてしまった―――。







Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.16 )
日時: 2019/03/02 00:42
名前: Aika (ID: ix3k25.E)

Episode9:雨のなかで―――。






授業も上の空で気づけば放課後―――。


『皆瀬先輩と達也先輩…どっちが好きなの?』


芽生のさっきの言葉が頭から離れなくて…
ずっと、 反芻している。


―――変わらない。



今だって、 あの頃と変わらない気持ちがたしかにあたしのなかにある。


達也が…大好き―――。


そう思っているはず、 なのに。



「なんで…こんなに、もやもやしてんだろ」




やめやめ!
もう、あれこれ考えるのは止めよ。

あたしは、心のなかで首を横にふりながら難しく考えないようにした。
今日は、珍しく午後練が休みの日だしとっとと帰ろ。

そう思い、 下駄箱に行った矢先…。




「嘘だろ…」



外は、 いつの間にか大雨が降っていて、傘なしでは帰るのが難しい状態―――。



「最悪…」



こういうときに限って、 傘持ってきてないんだよな―――。
もういいや。走って帰ろ。


そう思い、 足を踏み出したとき。




「―――おい」




後ろから差し出された傘に…ビックリして。
振り返ると。



そこには。





「―――風邪、 ひくぞ」





見知った…同じ部活で同じパートの先輩の顔。
いちばん顔を見たくなかった先輩の顔にガッカリして。
あたしは、いつもみたく憎まれ口をたたいてしまう。





「―――なんで、 先輩なんですか」
「は?」






中学生の頃に、 傘を差し出してくれたのは―――。




達也だったのに。





期待していた人物じゃないからか、いつもよりもイライラしながら、あたしは皆瀬先輩に向かって言う。





「―――いいです。濡れて帰るんで」
「はぁ!?こんな雨で、馬鹿言うな」



断るけど。なおも、引き下がらない先輩。
放っておいてほしいのに。
なんで、 そっとしておいてくれないの?


その事にたいして余計、苛立ちを感じながら。
意地になって、強い口調で言い返す。




「いいからっ!もう、 放っておいてくださ―――」
「無理」



言葉を遮られた。



続けて、 口にした言葉は。




信じられないひとこと。





「―――なんでかわかんねーけど…お前のことは放っておけない」




真剣な瞳で、 まっすぐにあたしのことを見る君にあたしは、なにも言い返せなくて。


イライラしていたのも忘れて呆けてしまい

言葉を失う―――。




「―――だから…黙って傘に入れよ」




いつもの先輩は…顔を見れば憎まれ口ばっかり言うくせに。
今日は、なぜだかいつもよりも優しくて。



調子が狂う―――。



結局、 先輩の気迫に負けてしまい。
一緒に帰ることになってしまった。





お互いに会話なんかなくて。
雨音だけが鳴り響いていて―――。



達也と帰ったあの雨の日が脳裏にフラッシュバックしてくる―――。


なにか、 会話しなきゃいけない。
そう思うのに。



何を話したらいいのか、 わからなくて。



さっきから、そんな悪循環が頭の中で起きている。



そんなとき。

曇天の薄暗い雲が
鋭く光ったと思ったら。



―――ゴロゴロッ…。




勢いよく雷の音が聞こえて―――。




「ギャッ…」



ビックリして、 思わず先輩の腕を掴んでしまった。


それから、ハッとして我にかえって。



「す…すみません!すぐにはなれま―――」


怒られると思って…とっさに離れようとするけど。
その手を先輩はなぜだか離してくれなくて―――。



「あの…せんぱ―――」


言いかけたとき。


―――ドサッ…。



スクールバックと傘が勢いよく落ちて。




気づいたら。




――――あたしは、 先輩の腕の中に閉じ込められている形になっていた―――。







Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.17 )
日時: 2018/10/13 15:13
名前: Aika (ID: iLRtPlK2)

Episode10:それぞれの。






雨の音が鳴り響くなか―――。

あたしを抱き締める手は
とても温かくて…。



「―――せん、 ぱい?」



問いかけると。
不意に先輩はハッとして。
勢いよくあたしを離して距離をとる。



そして、 赤い顔で



「―――俺…何して…」



口に手を当てながら慌てた様子でそう呟いていた。
あたしは、 何も言わずただ先輩の顔を見つめていると。


「ごめん!」



大きな声でそう言い、 先輩は走り去っていく。
あたしは、先輩が置き去りにしていった傘を拾い…その場から歩きだす。

―――まだ、 鼓動はドキドキと小さく高鳴っていた。



なんで?





抱き締めたんだろう、 先輩は―――。





「―――わけ、分かんない」





雨の音だけがその場に静かに鳴り響いていた―――。




■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



翌日。
先輩に傘を返そうと思い、朝一番で先輩の教室に行くと。


「あー、皆瀬?今日は風邪で休みだってよ」


クラスメイトの人にそう言われた。
風邪で休み、か。


「分かりました」


それだけ言って先輩のクラスから出ていくと。

「あれ?…柚月?なんでここにいるの?」

偶然に、達也と鉢合わせをしてしまった。

「実は昨日、皆瀬先輩に傘を借りて返そうと思ったんだけど…いないみたいで」
「あー…アイツ、風邪って言ってたっけ」
「うん。だから、今日の帰り…先輩の家まで返しにいこっかな」

何気なくあたしがそう言うと。
不意に達也の顔が曇った。

「―――え?輝の家まで行くのか?」
「うん。ないと困るだろうし。お見舞いも兼ねていこっかなって」

言い終わる前に達也があたしの手から傘をとり。
ぶっきらぼうな感じで言う。

「―――俺が行くよ」
「え?でも―――」
「プリントとか届けるついでもあるし。俺が行く」

あまりの達也の強い口調にあたしは、何も言えなくなってしまい。

「―――わかった、 よろしくね。達也」
「おー。てか、そろそろホームルーム始まるから戻れ戻れ」
「そだね。じゃね!」

お互いに手を振り、別れる。







「―――はー。…何をムキになってるんだ、俺は」




達也が廊下でそう呟いた声は
あたしの耳には届いてなんかなかった―――。




Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.18 )
日時: 2019/02/04 02:26
名前: Aika (ID: PyqyMePO)

Episode11:思い出すのは、あの日の面影。





*.・輝 side・.*




「ゲホッ…ゴホッ…」


39度という高熱を久しぶりに出してしまい、学校は欠席。
絶対に昨日…雨にふられたせいだな。

しかも…。

熱があったとはいえ…



なんで、 俺はあのとき…アイツを抱き締めてしまったのだろうか―――。



「クソッ…アイツといると…調子が狂う…」



ボソッとそう言って目を閉じたとき。
部屋にチャイムが響き渡って。
慌てて起きてドアを開けると。



「よっ!風邪、大丈夫かー?」



見知った親友の顔があった。
一瞬…アイツが来たのかと思った俺はバカなのかもしれない。



熱で…ほんと、どうかしてるみてぇだ。




「あのさ…柚月から傘、預かったんだけどここに置いておいていいか?」


瞬間。
少しだけイラついた。

アイツ…達也に頼むぐらい、俺に会いたくねぇのかよ。
なんか、むかつく。

「―――おいー?なに、ムスッとしてんの?」
「別に。いいよ、そこに置いとけ」
「なんだよー、人がせっかく持ってきてあげたのに冷たい反応だなー。もしかして、俺じゃなくて柚月に持ってきてほしかった、とか?」


意味ありげにそう言う達也に少しだけ反応してしまう。
目線を向けると、 真顔の達也がいて。
真剣な顔で口を開いた。



「―――輝、さ。 柚月のこと、好き?」








思考が止まった―――。






俺が…アイツを?

そんなことがあるわけない―――――。




だって、 俺は―――――。







「――――それとも、 まだ…去年のこと引きずって」
「やめろっ!!!」



達也の言葉を打ち消すように俺は部屋中に響き渡る声でそう言っていた――――。




思い出したくもない…忘れたくても忘れられない、
俺の…苦い過去――――。




「ごめん。無神経すぎたな。今の質問は忘れて。ただ―――」
「―――ただ?」



一呼吸置いて…達也は鋭い視線で告げる。




「柚月をもし…お前が好きだと言ったときは…いくらお前でも渡さない」




そう言いはなって。達也は今日、欠席した分のプリントを俺に手渡して家から出ていった。



ひとり、取り残された部屋で俺は乾いた声で呟く。




「アホか…あんな、達也しか見てねぇような女…興味ねぇっつーの」



そうだ…俺が好きなのは――――。





『―――輝っ!』




思い出すのは…俺の名前を呼ぶ真夏の日差しに照らされて
風に揺れる綺麗な黒髪の女の子の姿―――。




「――――未練がましいな…。 星羅―――」








忘れたと思っていたのに。






俺は今でも…君の面影を探している―――。









Re: 片恋.・。*平行線の恋模様*。・. ( No.19 )
日時: 2019/02/08 02:22
名前: Aika (ID: PyqyMePO)

Episode12:恋を忘れるには―――。




「あ…先輩」
「あ?…あー、 なんだお前か」

朝の登校中。
バッタリと、大きいマスクをした皆瀬先輩と鉢合わせてしまった。

先輩の顔を見た瞬間。
こないだの…雨の日の出来事がわたしの頭の中にフラッシュバックする―――。

バカみたい。
なんで、あたしがこんな奴に振り回されなきゃいけないんだろ―――。

心の中にそんな黒い感情があったからか、苛立ちながら言葉を返す。

「お前かって…朝から失礼ですねっ!風邪はもう大丈夫なんですか?」
「あー…まぁな。まだちょっと咳が出るぐらいだ」
「そう、ですか。それでっ、あのっ…」

あたしは…あの日…雨の日になぜ先輩があんな行動を取ったのか…何故か気になっていて―――。

聞こうとしたけど、 上手く口が動かなくって。


「な…なんでもないです」
「あっそ、 なら行くわ」


先輩はさして、気にした様子もなくスタスタとあたしから去っていく。

―――なんで…先輩はあんなにも普通にいられるの?
まさか、覚えてない…とか?

あの日から熱があったみたいだし。
その可能性はなきにしもあらず、だけど。
あたしだけが…覚えてるってなんかずるい。

モヤモヤとした感情を胸に抱えながらあたしは、学校までの道を歩いた。



□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


*輝 side*


「はー…俺、 普通…だったよな?」

下駄箱に着くなり、誰に言うでもなくそう言葉を漏らす。

「なんの話よ?」
「うっわ!!って…なんだ、夏希かよ」
「なんだって…ひどいなー、人が心配してたって言うのに。LINEしても全然返してくんないしさー」
「そーれは…悪かったよ」

クラスメイトでもあり、部活仲間でもある夏希にそう憎まれ口を叩かれる。
まったく…今日は朝からいろんな奴に皮肉なことを言われるなー。

「てかさー、輝って最近…同じパートの1年の女子と仲良くない?」

脈絡もなく、突然夏希からそんなことを言われた。
同じパートの1年って…

「おい…それ、上田のことか?」
「雨の日」

そのワードにギクリとする。
まさか、こいつ―――。

「―――――あの子のこと、抱き締めてたでしょ?」
「みて、たのか?」
「まぁねー、で?」

除き混むように見つめる夏希の瞳は冷たかった。
それから、問いかける。

「――――上田さんのこと、好きな―――」
「――――好きじゃねーよ」

聞かれる前に被せるように答えた。

それを聞いた夏希は嬉しそうな表情を見せる―――。

「そうだよねー、 好きなわけないよねー。だって」

それから、夏希はそっと耳元に口を近づけて言葉を紡ぐ。




「――――輝が好きなのは… 星羅ちゃんだもんねー」




そうだ。
俺が好きなのは… 今も昔も
ただひとり。




「輝の筋金の一途っぷりは、そう簡単には揺れないもんね。 けど、待ってて」
「?」





「絶対に…輝を振り向かせるのは、 わたしだから」
「夏希―――」
「星羅ちゃんなんて、すぐに忘れさせてあげる」


夏希の真っ直ぐな瞳が、俺だけを見つめる。

ため息をついて、俺はその言葉になにも答えず教室へと向かう。
背中からひどいーと言う夏希の声がこだました。
俺だって…星羅のことを早く忘れたい。
けど、そんな簡単なことじゃねーんだよ。


星羅以上に好きになれる人なんかいないんだよ。





恋の忘れ方があるなら、 誰か教えて欲しい―――。





そんなことを、このときの俺は感じていたんだ。







Page:1 2 3 4 5 6



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。