コメディ・ライト小説(新)

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死神と、少女と。
日時: 2019/07/26 01:47
名前: 赤ずきん (ID: 1CRawldg)

あたたかい。
赤い。
あたたかい。


血がとまらない、血がとまらない。

とまらない血が、私の手を染めていく。
睫の先についた血が、月までも赤く見せていた。


赤く染まった月。



「ぅああぁああぁああぁああああぅぁああああぁぁぁぁああ!!!!!!!!!」


誰かの泣き叫ぶ声がする。


痛い、痛い。









「愛してるよ」

Re: 死神と、少女と。 ( No.9 )
日時: 2019/07/29 20:37
名前: 赤ずきん (ID: 49hs5bxt)



「ん…」

目を覚まして最初に見えたのは白い壁だった。
…天井のようだ。

「あ!!ありす!起きた!?」

起き上がろうとすると金髪美女に抱きつかれ、再び身体が寝かされていたであろうベッドへと戻される。

「誰?」

「大丈夫だった?ごめんね?昴が変なの嗅がせたせいで気を失ってたんだよ?」

「ぁ…」

その言葉を聞いてぼやけていた思考回路が働き始める。

「あの…あ、あなた達は」

「僕等は君の味方だよ」

「…」

【誰なのか】
聞く前に返答されその言葉を飲み込んだ。

「そう…です…か」

「うん!あ!そ~だ!覚えてないもんね!自己紹介しなきゃね」

金髪美女は素早く立ち上がりありすへと手を差し出す。

「僕は梓。よろしくね」

『覚えていない』という言葉に引っ掛かりがあったが、あまり気にせずありすは梓の手を取った。

「それでね!あそこのソファで怠け者のように死んで…寝てるのが塁で、無駄に身体がでかいやつが佑磨。それからヘッドフォンしてる引きニートみたいのが昴だよ」

自分以外の紹介に若干棘があるのは、気のせいではない。

「塁さん、佑磨さん、昴さん、梓ちゃん」

「それでね、ええと………もう…さ、触れていいよね?」

梓がありすへと手を伸ばす。

「え」

その手は一直線に頬へと到達した。
急に頬を撫でられ身体が震える。

「ずっと会いたかった。会いたかった、ありす」

数秒、見つめ合う二人。綺麗に光る金色の瞳。
ありすの身体は、まるで蛇に睨まれたかのように一瞬にして固まった。

「あ…」

梓の顔が徐々に近づくと同時に、部屋全体に声が響いた。

「梓」

低く小さな声。


「なぁんだ……起きたの、塁」

梓はつまらなそうにありすからあっさりと離れた。

「…」

塁の視線は自分が呼び掛けた梓ではなく、ありすへと向けられている。

「おい、芋女」

「え?い、いも?」

「お前のことだ」

塁は気怠そうにありすへと指を指した。

「お前は今日からここに住む。住むにあたって3つのルールがある」

「住むって…それにルールと言われても」



「1.泣くな
 2.騒ぐな
 3.大人しくしていろ。以上」



「あの…?」

「返事」

睨む塁。睨まれるありす。
例えるならば、睨む蛇。睨まれる兎…否ハムスターのよう。

「は、はい…」

ありすはこの二文字を声に出すだけで精一杯だった。

Re: 死神と、少女と。 ( No.10 )
日時: 2019/08/04 16:31
名前: 赤ずきん (ID: w93.1umH)


「にしても、ちっせーな」


急にありすの前に立っていた佑磨は、鋭い目で見下げる。

身長差があるせいか、上からの圧がすごい。
ありすの危険信号が激しく点滅し、身構える。


「ふふっ…ありす震えてる~カーワイっ♪」

梓がありすを抱き締める。

…違和感。
華奢に見えた身体は、見た目に反してしっかりと筋肉がついていて女の子の身体にしてはゴツゴツとしていた。

「ねえ…くっつきすぎじゃない?」

「っあ!ちょっと!」

視界が素早く横に引っ張られる。

「…す、昴く…っ」

「…」

引っ張った犯人は昴だ。
それにしても、喋らない。
いや、さっき『くっつきすぎじゃない?』と喋ったのでこの場合は【口数が少ない】と訂正しておこう。

「あの…み、皆さんお顔立ちがおきれいですね?あ、これはイマドキでいうイケメンというものなんでしょうか?あ、でも梓ちゃんは女の子だから…えっと…私、そういうのには疎くて、その…この場合高めの声で叫ぶのが普通なんですよね?きゃーっ!…な、なんちゃって」

「…」

「すみません…」

とりあえず落ち着こうと混乱した頭のまま喋ったおかげで、電波のようになってしまった主人公を責めないであげてほしい。


「…飯」

「ご、はん?」

「うん、飯…作ってありす」

「それは大丈夫ですけど…」

不意にチラリと塁へ視線を向ける。

「……どうせお前に帰る家はないんだ…お前に出来ることといえば家事。住まわせてやるんだからそれくらいできるだろ」

静かに話す低い声が身体を蝕むような錯覚に陥る。

「返事」

「…っ」

何度も頷く
塁の『返事』という言葉にはどうも逆らえない。

この4人の中で一番【怖い】のかもしれない。

Re: 死神と、少女と。 ( No.11 )
日時: 2019/08/08 17:15
名前: 赤ずきん (ID: u5wP1acT)



「…」

五人分の食事を作り席につく。

「いただきます」

「いっただきまぁす!!」

ありすのあとに続き挨拶をしてくれたのは梓だけ。

他の三人は黙々と料理を食べ始めていた。

「芋女」

「はいぃっ!…っえ…」

塁に呼ばれたかと思うと次々とありすのお皿に乗せられる人参たち。

「…もしかして人参が」

「嫌いじゃない。芋女が汚ねぇ涎垂らしてこいつを見てたから分け与えてやっただけだ、喜べ」

断じてありすは見ていない。
涎も垂らしてはいない。

「塁さんって意外と可愛らしいんですね」

というより、子供っぽいと言った方が正解だろう。

「ひっ…」

ゆっくりと塁に睨まれたありすは、無意識に隣に座っていた梓の洋服の袖を掴んだ。

「あはは、ありすかわいい~」

梓は塁の睨みなどなんてことないようだ。
よしよしとありすの頭を撫でる。

「……」

すっかり怯んでしまったありすは梓以外の三人と同様に、黙々と食べることに専念した。

                  …†††…

「ごちそうさまでした」

食事が終わり食べ終わったお皿たちを片付けていると、佑磨がありすの横に立つ。

「あ、佑磨さん。もしかしてお手伝いしてくれるんですか?」

「んなことするわけねぇだろ」

一秒も待たず返事は返ってきた。

「…暴れんなよ」

「?きゃっ!!」

佑磨の言葉と同時に視界が上がる。
佑磨に片手で荷物のように抱えられていた。

「た、たたたたたた高いっ」

肩で抱えられている為、身長150センチのありすにとっては一気に視界が30センチ以上高くなったことになる。
しかも自分の足で立っていなく浮遊している感覚なので、安全装置の取り付けが甘いジェットコースターくらいには怖い。

それはもう、今すぐ下ろしてほしくて必死に暴れる。

「だから暴れんなって!!面倒くせーなっ!」

バタバタと暴れながらもついた先はリビングだった。

「あー!!佑磨、担いできたの?やーらしー…」

梓は手を口元にあててニヤニヤとありす達を見つめる。

「い…っ!」

乱暴にソファへ下ろされる。

下ろされたソファが柔らかい為、痛みはなかったものの反射的に『痛い』の頭文字を叫んでしまった。

「あんたの高い声…耳に響く…」

昴の耳にはいつの間にか耳栓が入っていた。

「す、すみません…ではなく!お皿を洗いたいのですけど…」

「言い忘れていたことがある」

塁の声に強制的に視線が四人へと向かう。
四人もありすを見つめていた。

何を言われるのか。
胸の前で両手を握りしめドクドクとうるさい鼓動を押さえつける。



「明日は学校だ」




「………は?」


予想外だった。

Re: 死神と、少女と。 ( No.12 )
日時: 2019/08/10 06:32
名前: たかつき (ID: WqhO9kPT)

面白いですね
応援してます 投票さして貰います

Re: 死神と、少女と。 ( No.13 )
日時: 2019/08/12 10:51
名前: コウ (ID: yWL.41qr)

なんだか楽しい展開になって来ました~
面白そう! リア的に無理なく頑張ってください!
投票で1票です。


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