コメディ・ライト小説(新)

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カオスヘッドな僕ら【連載終了】
日時: 2022/10/17 18:15
名前: 夢兎 (ID: gzz.lbul)
参照: www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=18233

 「なにがどうしてこうなった…………」


 ****

 こんにちは。夢兎、またの名前をむうと言います。
 簡単なプロフィール! 高2女子、以上!

 ちょっと個性強めの妖怪幽霊たちが繰り広げる、怪異コメディです。
 怖い要素は(多分)ないので、楽しく見て下さると嬉しいです。


 おかしな仲間に翻弄されながらも成長する(かもしれない)主人公。
 そして彼らとの出会いは一体何を生むのでしょうか?
 カオスヘッドなキャラたちが繰り広げる怪異譚、始まります(いつ終わるかは分かんない!←)

 【注意】
 ●私情により未完の作品です。(ここ大事)
 ●完結小説の一覧に登録しましたが、未完です(二回目)
 ●荒らしや中傷行為はご遠慮くださいませ。
 
 【キャラクター】>>11 
 出てこないキャラもいますがお楽しみに! ちょくちょく追加予定。


 【単語紹介】>>49
 本編の中で出て来た単語や設定を、詳しくまとめたページです。
 コメディなのにやたらと用語が多い物語ですスミマセン。

 
【Special Thanks】

・美奈様>>15 りゅ様>>46 閲覧をしてくれた皆様。
 又とあるサイトでアイディア参考をさせていただいた皆様。


 【感謝】
 2021年夏☆小説大会にてコメディ・ライト版 銅賞入賞。
 感謝ぁぁぁぁぁぁ(涙)>>40にコメントを記載しました。

 【その他作品】
 ろくきせシリーズ↓
 〈鬼滅の刃 会話文短編集〉
 〈鬼滅・花子くん 短編集続編 六人の軌跡〉
 〈ろくきせ恋愛手帖〉
 
 ********************

 【目次一覧】

 一気読み>>01-
 ↑ここからすべてお読みいただけます。

 ★キャラクター別情報File★
 百木周&百木朔>>22 クコ>>25 紗明>>31 栗坂八雲>>40
 

 □第1章 リスタートする人生>>01-12
 
 第1話「僕が死んだ理由」>>01
 第2話「クコと言う名の少女」>>02>>03
 第3話「やらかしてしまったので」>>04
 第4話「栗坂八雲」>>05>>06>>07>>08
 第5話「黒札と白札」>>09>>10
 第6話「そして物語は始まる」>>12

 □第2章 札狩life始めました!>>13-50

 第7話「デスメタルでアタック!」>>13>>14
 第8話「僕たちの非日常」>>17-20>>23-25
 第9話「カオスヘッドな僕ら」>>26-28
 第10話「僕たちの作戦会議?」>>29>>30>>33
 第11話「刺客」>>34-39 >>41
 第12話「秘められた力」>>42-48
 第13話「室長室にて」>>50

 □第3章 from天界管理局!

 第14話「ネートル室長を探せ」>>51>>52>>54>>55
 第15話「お説教、みたいな」>>56>>57
 
  ………………………………

 ※あとがき的な>>58
 
 

 
 ☆記録ログ☆

 2020年7月下旬 スレ立て、執筆開始
 2020年9月上旬 2カ月間の休載後、再び執筆開始。
 2020年9.22 イメージ曲を選曲。
 2020年9.23 キャラ紹介作成。
 2020年9.24 改稿作業完了。
 2021年2.08  高校合格。再び執筆開始。
 2021年9.04 我、帰還也。(三カ月間来なかったってマジか)
 2022年3.02 我、またまた帰還也(お前どんだけ失踪するんだ)
 2022年10.2 連載再開。
 
 




 
 
  

Re: カオスヘッドな僕ら ( No.33 )
日時: 2021/03/31 19:19
名前: むう ◆W6/7X9lLow (ID: mkn9uRs/)


 「……ふんふん、ああ、OKOK。ちゃちゃっとやるから、うん」

 日にちは変わり、一週間後のある日のこと。八雲家から徒歩10分程度の場所にある【きらら駅】。その構内にあるクレープ店の前に彼らはいた。

 中学3年生くらいの背丈の、男の子と女の子の組み合わせだった。

 女の子の長い黒髪は高い位置でツインテールにしてある。
 今時流行りの短いスカートと、ブランド物の裾がふわっとなった黒地に猫のプリントがされたパーカー、丈の長い紺のソックスのファッション。
 前髪はこけしかと思うほど綺麗に短くそろえられていた。

 男の子の方は、学校の制服なのだろう。
 白いカッターシャツに、ほどよくアイロンの行き届いた黒いズボン。


「……どうだった、連絡取れた?」


 男の子が、電話を切った女の子の方に視線を向けた。
 女の子は男の子と目が合うと、いたずらっぽく頬に人差し指を当てて微笑む。


「バッチリだよ。だからキョーちゃんも心配しなくて大丈夫」
「……そう。それならいいや」


 キョーちゃんと呼ばれた男の子は、満足そうにニッコリ笑う。
 笑うとえくぼができる彼の優しい表情が、女の子は好きだった。


「ウチらって結構仲良さげ?」
「知らないけどそうなんじゃないの。御影みかげとは付き合い長いしね」
「まぁね~」

 二人は並んで構内を歩いていく。
 傍から見れば、二人はお似合いのカップルのように見えたかもしれない。
 しかし彼らの関係は、そんな簡単な言葉では表せないものだった。

 男の子—佐倉享介さくらきょうすけと女の子—御影月菜みかげるなの付き合いはまだ浅く、出会って2カ月にも満たない。中学は別々、幼馴染でも、習い事で一緒なわけでもない。


 でも彼らは、『ある目的』でコンビを組んでいる。


「ほんと嫌になっちゃうよね。パディほったらかして姿消すなんてさ、悪魔もよくやるよね」
「……御影が使えないんじゃないの。そもそもコスメ系YouTuberなんて、数カ月もすればネタもお金も尽きて、そのうち飽きるのが落ちなんだよ」


 お金の関係で買えなかった苺クレープが並んでいるショーケースから未練がましく離れた月菜は、享介が怒らないのをいいことに愚痴を言いまくる。
 享介はそんな彼女を別に咎めたりしない。うるさいなくらいは多少思うけれども、「この頃の女子はみんなそうだし」と父親的な精神状態になるタイプだった。


 月菜は最近人気の中学生YouTuber&ティックトッカ―で、大手人気YouTuberともコラボ動画を上げてるほどの実力家だが、メディアに疎い男子代表キョーちゃんにはそのすごさがいまいちわかっていない。
 いつもこうやって鼻であしらわれるが如し。


「それまでに沢山ネタ集めてフォロワー増やすもんね」
「もうすでに50万突破の人間が良く言うよ。だいたいなんで君がこんなことやってんのさ。ただのじゃじゃ馬? それともエゴ? かっこつけ?」


 亨介はかなり口が悪い。本人は自覚がないが、その静かな攻撃は徐々に乙女の心をえぐっていく。 
 月菜は肩眉をひそめると、たいして悪びれていない男をギッと睨んだ。


「……あんたには関係ないでしょ。そもそもウチは今の状況に満足してるしね」
「………僕らは黒側だよ。それ分かってる?」


 諭すように、低い声で亨介が告げる。反対に、月菜はニンマリと口角を上げる。彼女は何か特別な考えがあるときや、質問の答えが分かったときなど、こういう顔をよくするのだった。


「札狩たちの敵……ヴィンテージQ班。グループコード名『ゼノ』。ウチらはヴィラン(敵)」
「……ま、札狩も、よもやヴィンテージの中に人間がいるとは考えないだろうね」


 



   


Re: カオスヘッドな僕ら ( No.34 )
日時: 2021/04/05 20:40
名前: むう ◆W6/7X9lLow (ID: mkn9uRs/)

 〈月菜side〉


 ヴィンテージ。それは、札狩をよしとしない者たちのグループのことである。
 AからQ班までに分かれており、それぞれ3~4人の組織で秘密裏に活動している。
 
 昔は『あっちの世界の人』たちだけだけでコンビを組んでいたようだけれど、最近は人間の協力者バディを見つけて、共に仕事をすることが多い。
 ウチとキョーちゃんにも専属のバディがいて、指示は大体その子からもらっている。最も、こちらは人間なので、できるのはターゲットとの接触とか情報収集がメインなんだけど。

 ウチがなんでそんな仕事をしているのかはまだ伝えることが出来ない。
 ただ、今の生活に飽き飽きして、という理由が一つある。
 中学1年生になったと同時に始めた、メイクテクニックを紹介する動画投稿。バズるために何かしたとか、そう言うことでは全くないのだけど、不思議と登録者数が日々右上がりしている現実。キョーちゃん曰く『漫画でよくある天才タイプ』らしい。

 何か予習をするとか、そういうことは何一つしていないのに要領の良い奴。
 それからはもう芸能界入りと言うか、毎日がとにかく忙しく、はっきり言って前の生活に戻りたいとも思う。

 ……でも、ウチがこんなことをしている理由はもっと別で。



「あーっ! きょーるなちゃんたち、待ってましたぁ♪」


 駅の構内の、使用中止のトラテープの目立つ階段の陰に、キョーちゃんと一緒に滑り込む。
 先に来て待っていたウチの雇用者が、八重歯をのぞかせて妖艶に笑った。

「……あんたさぁ、一カ月も連絡ないとかマジで怒るよ」
「あー……あのね、色々あったんですよ。ジュジュとの顔合わせとか、あっちの執務室にいるユンファンとか、フリルとの連絡とかぁ」

 人名みたいなものが聞こえてきて、ウチらは首を傾げた。
 ま、それはいいとして、と彼女はポンと手を打って、


「では、第2回、Q班連絡調整会議を始めまーす! 司会のプリシラ・ローズベリです!」
「………QRCってまだ2回目なんだ……一回目ってなんだっけ」
「……さあ。いつもフツーにスタバでお茶して解散だったし」

 Q班連絡調整会議‐略称QRCは、今後の活動の方針を決めたりする会議のことで、月一回この場所で行っているのだけど、まともな活動は実は今日が初めてだ。

「ということでまずはルナルナの仕事なんですが……ある方とお友達になってもらいますね」


 シアは小脇に抱えたバインダーから資料を抜き取ると、折り目を丁寧に開いてウチの前に突き出す。そこにはターゲットの似顔絵と現住所、出身中学校名と年齢が書かれていた。



『東京都S区北11番地 に居候 
 百木周ももきちか 男 15歳 天海てんかい学園付属中学校出身』

 
「へぇ、天海付中……。成績いいんだぁ。キョーちゃんどこ中だっけ」


 確か天海学園付属中学校は私立で、偏差値が70くらいあって、入試での合否の境目がかなり厳しいと噂だ。
 この百木って子、つまりすごいできるんだ。
 勉強はかなりヤバめのウチからしたら、毎日拝んでも足りない。

「………桜ヶ丘学院」
「え、桜ヶ丘って、天海の姉妹校の? 偏差値同じ位だよね?」
「そうだけど何?」


 ………う――――わっっっ。
 そうだけど何ときたよこいつ。
 ウチは心の中で盛大に舌打ちをしてやった。これだから困るんだよな。


「つ、つまりウチはこの子と会えばいいわけね」
「そうなりますねぇ」
「……僕は?」


 仕事が割り振られていないキョーちゃんが、試すような目でシアを睨んだ。
 その視線の鋭さに少し気負わされながらも、シアはテキパキと仕事を教えていく。

「キョーちゃんは、引き続き潜入調査ですねぇ。と言っても普通にご自分の学校へ行き、黒札をこっそり人間に貼るだけの作業ですが、アナタは上手ですので」
「……まあね。シール貼るのすっごい好き」

 以外に子供っぽい一面に、ウチは目を丸くした。
 と言うのも、この前彼に「シールってなんか子供心くすぐるよね」と言ったら「へぇ」と返されただけだったのだ。

 「へぇ」だったのに! なにが「シール貼るのすっごい好き」だ!
 あの冷めた目はどこへやった! 
 まぁキョーちゃんはこういう人間なのはこれまでの付き合いで分かっている。


「じゃあシアは? なにするの?」


 ウチらに指図をするのが仕事ではないと前に聞いたが、彼女が他に何をやっているのか、上司はいるのか、肝心なことは何一つ知らない。
 これまで明らかになったのは、『ヴィンテージ幹部』という肩書と名前のみ。
 つまりコイツが、このヴィンテージを牛耳ってる、いわばラスボスなのだ。
 まぁ幹部と言う話だから、その上はいるんだろうけど。




「私ですかぁ。そうですねぇ。カラオケですかね」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 柄にもなく、キョーちゃんが大声を張り上げる。
 




「何ですか? 悪魔の世界にもカラオケの概念はありますよぉ」
「へぇ、なに歌うの?」



「中島み〇きの『糸』ですね!」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


 今後はウチが答えを張り上げる羽目になった。

Re: カオスヘッドな僕ら ( No.35 )
日時: 2021/04/12 18:59
名前: むう ◆W6/7X9lLow (ID: mkn9uRs/)

 〈朔side〉

 それからさらに一週間後。
 札狩に参加すると言っても毎日悪霊と戦うわけではないので、最近はほぼ自分の時間を有意義に使うようにしている。その中で得られた情報などをチカたちと共有し、計画を立てるつもりだ。

 と言うのも俺はまだ生者だし、今年は受験生なので、おちおち学校を休んでなんていられない。学力がもともとそんなに高くないうえ、下手したら私立に『転ぶ』かもしれないが、やってみなきゃまだ分からない。

 俺の通う中学は公立のK中学。全校生徒は600人程度で、公立だから偏差値なんてないのが当たり前。でもその分高校へ進学する際にかなり背伸びをしなければいけなかったりして、かなり心身共に疲れてしまう。

 今日も、俺は三年生対象の進学模試終了の疲れで背中を丸めて帰っている。
 国語とかマジで意味が分からない。せめて問題文をラノベなんかにしてくれれば、いくらでも感想は書けそうな気がする。時間配分だってきちんと決めることができるだろうし、第一問題の書き取りなんかはアニメのキャラ名だけでも十分な勉強になると思う。最近は難しい漢字のキャラが多いから。

 バカな考えを頭に浮かび上がらせながらガラケーをいじっていたものだから、ある人から不意に声をかけられた時は、思わず喉の奥から変な声が漏れた。


「……ちょっと聞きたいんだけど」
「ひゃっふぅぅぅぅぅぅ!???」

 突然肩に手を置かれ、俺は目を白黒させる。ドクドクと暴れ回る心臓を服の上から抑えて振り返ると、声の主は気まずそうに笑った。


「……驚かせるつもりじゃなかったんだけど……勝手に驚いたからこっちも驚いたし」
「…………はぁ」

 あ、この人嫌いなタイプだ、と真っ先に思った。
 歳は同じ位。白いカッターシャツの胸元には、地元で有名な難関私立中学「桜ヶ丘学院」の刺繍がほどこされていた。


「……何か用ですか?」
「……あ、まあね。あのさ、僕桜ヶ丘学院の生徒なんだけど、天界府中に仲良しの友達がいて、百木周って言うんだけど、そいつ事故で亡くなったらしいから、家に挨拶に行こうと思って……」


 ………チカの友達?
 こういうのもなんだけど、チカが家に友達を連れてきたことはまだない。友達と呼べる人がいないと前に自分でそう言っていた。


 もしくは、チカが恥ずかしがって言っていないだけで、仲良しの友達がいたのだろうか。
 


「……百木周は俺の兄ですが」
「やっぱりね。……顔似てるからそうだろうと思ったよ」
「つかぬことをお聞きしますが、あんたのお名前は?」


 俺はロリ(ユルミス)と(不本意ではあるが)契約を結んでいる。そのため、短時間なら悪魔の術が使えるようになっている。実際悪霊に狙われた経験のある俺に、ユルミスは『近づいてくる人は誰でも敵だと思え』と口酸っぱく忠告していた。



「僕は佐倉亨介。ESSクラブに入ってて、たしか姉妹校同士の交流も盛んだよ」
「………百木朔です。どうも」


 ………佐倉亨介。表情はおっとりとしているが、その双眸からは僅かな敵意が感じられる。何者なのかは分からないが、取りあえずは警戒しておいた方が良さそうだ。

 俺はチカの弟だ。よって、兄を守る義務がある。こうしょっちゅう何者かに狙われる生活もどうかとは思うけれど、黒札の資格者になってしまった以上それはしょうがない。



「チカに友達がいたなんて知りませんでしたよ。ぜひ、家に来てください。きっとチカも喜びますよ」



 さて、……この怪しいお尋ね者は俺が代わりに担当しよう。バディの初めての仕事だ。またピンチになったらユルミスにでも声をかければいいや。


 俺は心の中で何度も頷き、亨介ににっこりとほほ笑む。
 これはあくまでも表面的な態度で、本当は睨んでやりたかったがあまり刺激はしたくない。


「……ところでさ、そのホッペについてるやつ、何? 最近のアニメグッズ?」
「!」

 恭介は両目を細めて言う。俺の肩が跳ねたこと、彼には分かっただろうか。


「流行りの最先端だよ。もしかして佐倉くん、知らないの?」


 と鎌をかけているふりをするが、自分は何を言ってるんだろう? とセリフの選択を間違えたことに内心冷や汗タラタラ。


「? どういう意味」
「最近流行ってるんだよ。デーモンコロシアムってゲーム知らない?」



 ………俺も知らないです、ハイ。
 チカが大好きで、普段全然ゲームとかしないのに、そのアプリだけインストールしてたからタイトルだけ知ってるだけで。いやむしろ、タイトルしか知らないや。


 よって、自分の偏見と直感と想像だけで語る流れになってしまう。きちんと筋道をたてて話すことができない俺は、背中から腰に向かって流れる冷や汗の冷たさに体を震わせた。


「そのゲームでは、登場人物はみんな痛いシールつけてるの?」
「そ、そうなんだよねっ!」

 ごめんなさい! ゲームの製作者さんごめんなさい!
 恭介の悪意のない質問が、俺の繊細な心に穴を開けていく。知ったかぶりという必死の攻撃を、純真という攻撃で防御している。



「つまり君、もしかして『シール貼ったら俺もこのキャラになれる』的な思考回路なんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・ち、チガウヨッ!?」



 彼の、毒舌—と言うのだろうか。
 人の観察するような、試すような視線や言葉選びが、俺は少し、いやかなり苦手だ。

 これからこの人を自分の家に連れて行くのか。持つかなぁ俺のメンタル。
 どうか壊れないでくれよ。そして頼むから何も起きないでくれよ。

 初対面の人を、いきなり敵扱いはしたくない。
 でも、この世界はどうやら俺(かチカ)中心にめぐるましく変化しているようで、そういう願いは大抵、人を困らせて喜ぶ神様によって、あっさりと裏切られるのだった。

Re: カオスヘッドな僕ら ( No.36 )
日時: 2021/06/17 13:55
名前: むう ◆W6/7X9lLow (ID: Wb6EMeB7)

 お久しぶりです。
 ………「札狩ライフ始めました」っていう章題なのに
 まだ一度もガチで戦っていないカオ僕メンバー……。
 こっから本気出します(むうが)

 ********


 〈八雲side〉

 キーンコーンカーンコーン
 私こと、栗坂八雲くりさかやくもは六時間目終了のチャイムと共に校門へと駆け足で向かう。

 私が通っている中学校は、駅前にある公立中学。
 部活にも入っていない私は、今日の夕方にやるアニメ『モンスター・モンスター』略して【モンモン】をリアタイするために、只今階段を三段跳びで降りている。

 モンスター・モンスターは、『少年ジャンク』っていう少年漫画誌で絶賛連載中の漫画が原作。
 学園もの×妖怪幽霊もので、オカルトマニアな自分は連載当初からずっと推している。
 それがなんと、アニメ化するなんて!

「急がないとっ。うちのテレビちょっと電波悪いから録画とかも最近してないし……」


 トントントントントン


 ………ジ様!


「あぁぁぁぁあ、急げ急げええぇぇぇぇぇ!」


 ………ルジ様!


 トントントントントン


 もうなんなの~!? さっきから後ろで聞こえる甲高い声。
 いい加減ムッと来て振り向くと、宙にふわふわ浮いている彼と視線が合った。


「アルジ様! 話しかけてなのに無視って俺マジサッドで今絶賛cry(くらい)気持ちです」
「あーもうあんた今話しかけないで!」


 宙に浮かんで、右左に揺れているのは、私の相棒(?)の死神・紗明さあきだ。
 朝は酷く大人しいが、夕方の夕暮れ放送が鳴った瞬間に今のようにウザくなる、めんどくさい二重人格持ち。

 悪霊を退治する札狩ふだかりという職業をしていて、 強いことは強いらしいのだが、言動が言動だけに「コイツ絶対雑魚じゃん」とみんなが思っとる。

「ホワイ!? てゆーか待ってくださいアルジ様! 俺はマジで真剣な話を……」
「あーあー、帰ってからにしてくれる? 今日私急いでるけん」
「だってゴキブリの弟からメールもらッとんねん! これ、見ないとかマジでありえへんわ。マジでわっち泣きよるわ。マジでわっち……アルジ様………」


 マジマジうるっさい。あとなんで急に方言っぽくなんの。
 私は広島出身だからときどき広島弁が出るけど、あんたのその関西弁はなに!?
 てかあんた、大阪出身でも日本出身でもないじゃん!!


 紗明のすすり泣く声が、階段を降りるBGMと化すのがつらい。
 早く帰りたいのに、いつもこうして邪魔してくるので、帰りはよく遅くなる。
 うちで、百木周ももきちかことおモチくんとあんちゃんが待っとるのに……。


 はーっ。やっと一階についた。あとはこのまま、渡り廊下を抜けて校門を出るだけだ。
 たったこれだけの過程が、とても大きい迷路を脱出した時のように疲れを与えるのはなぜ。


「それで? 用事ってなに? 聞いてやるけぇ言うてみ」
「アルジ様の方言ってめちゃくちゃ萌えますね! もうワンテイク行ってみます?」

「………………さっさと要件をいえ、このダボっっっっ!!!」


 ふーふーっ 
 顔を真っ赤にして怒り狂う私に、流石にやりすぎたと感じたのか紗明の表情がしゅんと萎れる。
 
 口をとがらせて、指先をもじもじさせて。
 時々ちらちら顔色を窺ったりなんかもしてると、黙らなければ可愛いのにと思う。


「す、スミマセン………もうしません。もう……しませええぇぇぇん………」
「………なに? 要件」


 目いっぱいに涙をためる紗明にうんざりと返すと、紗明は手の甲で涙を拭って、


「ゴキブリのっ……ぐすん……弟からメールが来てっぐすん……なんか、アヤシ—奴がゴキブリの友達で、居場所を知りらしいから、万一の為に後付けてくれって……」

「おモチくんの居場所ぉ? なんでそんなこと気になるんじゃ」
「俺に聞かれてもアイドンノウですよ! 俺言っとくけどIQマジ低いんで! 舐めんといてください」


 低いのは分かるし舐める要素もないわ。
 うーんでも、確かに怪しいことは怪しいし……。うーん……。

 おモチくんの居場所が知りたいなら、そのままスマホとかで調べるほうが効率がいいと思う。
 なんでわざわざ、朔くんに近づいたんだろう……。

 朔くんは黒札の資格者。彼の周りにいる、無害な霊なんかも黒札の力で寄ってくる。
 そして、有害な悪霊なんかも黒札につられて集まってくるから……。


 相手は、もしかするとおモチくんじゃのうて、朔くんが狙いじゃないかいな?
 札狩のなかには、黒札が狩られるのをよしとしない輩もいるようじゃけえ。

 
 うーん。
 モンスターモンスターのリアタイは、悔しいけど諦めよ。
 後でまた見れるんだし、あんちゃんに頼んで録画してもらうことにしよう。


「よし紗明、行くよ」
「え、ど、どこですか!? ウェア!? ウェア・イズ・ドコ!?」


 アンタいっぺん英語の文法から勉強した方がいいよ。
 ウェア・イズ・ドコって……日本語訳したら「どこですどこ」になるし……。


 Q:Where is doko?
 A:知らんわ。


「その怪しいやつをつける。ほら、いつだったか見せてくれた透明化! それか飛行!出番!」
「………えー、でもあれ、クソ操作めんどいんすよ。マジだるいですって。やりたくね……」
「………さぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁきぃぃぃぃいい」
「ハイやります!! いますぐ!! すみませぇぇぇん!!」


 いつもこう。主様(と勝手に決めつけられた)の私が彼の尻を叩いてやるのだ。
 いやほんと、コイツ本当に強いのかなってなんども疑ったし、みんなそう思ってるでしょ。


 ……こいつ、本当の実力はかなりのもんよ。
 まぁ見といて。絶対驚くけん。


「……コードは!? A? B?」
「B! 出力50%、目的地は朔くんの背後!」
「りょーかいです!! ……久しぶりっすねこれ。行きますっっ。ウィーキャンフラァァイ!」



 紗明が私の体を姫だきする。姫だきってなんのことが分かんない人へ、お姫様だっこのこと。
 その状態で、バサッッと言う羽ばたき音。
 首の角度を変えて、音のした方を見やると、いつもは閉じている紗明の背中の羽が大きく開いていた。


 ……念のため言っとくけど、彼の羽っていうのは皆さまが想像したようなもんではなくて。
 天使の羽……クコさんみたいな立派なもんではなく、言うならば……。
 鴉の羽程度のちっちゃな奴が、たくさん集まってできた、飛ぶにはなんとも心配になるような、黒い羽だった。


「………マジで言ってる?」
「大丈夫っス、死神のパワー舐めんといてください。俺の術をいったん発動します、それをバァァンってバクハツさせて、その風力でグゥゥゥンと上に上がるわけっす。イーズィーっしょ?」



「完全能筋プレイやん」
 

Re: カオスヘッドな僕ら ( No.37 )
日時: 2021/09/04 17:39
名前: むう ◆W6/7X9lLow (ID: Iawl57mY)


 お久しぶりですっっっっっ。
 もはや失踪しすぎて誰か分かんなくなっている今日この頃ですねっ。
 二次創作(紙ほか)にてろくきせシリーズ書いてました、どうもむうですっっ。
 歌うたうのとお絵かきが好きですっ。歌い手志望ですっ(聞いてないわ)
(そして更新全然してなくてスミマセン! あれから筆が進まなくてですね……)
 
 今日ふと思ってここに来てみたらあらびっくり←
 こんなw こんなカオス満載&ちゃんとした戦闘シーン今だに一ミリもない&キャラ濃すぎの
 小説(と言えるのか?)が大会銅賞ってマジですか……!?

 いやほんと、びっくりだわぁ………。
 更新は亀並みに遅いですが、これからも応援よろしくまっ(何語)
 ※むうは元々テンションこんな感じです。


 あ、あと一つお知らせなんですが、紙ほか版の「ろくきせ恋愛手帖」の件でお知らせを一つ。
 ほんとーに申し訳ないんですけど、コラボ短編を削除して完結処理をして、ろくきせシリーズはこ
 れにて締めようと思います。

 会話文短編集閲覧数3000突破、続編閲覧数11000突破、すごい感謝してます。
 最近は学校とか、持病のメンタルヘルスの件でなかなか更新はできないですが、時々ふわりと戻ってきたりイラストぶん投げに行くので(ゑ?)見かけたらまたよろしくお願いします!
 
 
 追記:いやはやびっくりだよ))もうええわ


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