コメディ・ライト小説(新)

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君は愛しのバニーちゃん【完】
日時: 2024/09/24 01:36
名前: ねこ助 (ID: tOcod3bA)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13998


小説大会2024・夏 金賞🥇ありがとうございます✨



★まず初めに★


R18ではありませんが、下ネタ満載のラブコメになります。
やたらとパンチラが出てくる青年漫画のような作風を意識した作品の為、苦手な方は回れ右してください(^^;;



別名義でラブコメ・ミステリー・ホラーなど、その時の気分で色々と執筆しています。

ラブコメに関しては(君バニもしかり)箸休め的な感覚で、何も考えずに自由に執筆しております。
なので、読者の方にも何も考えずにサラッと読んで笑って頂ければと思います(^^)v




★あらすじ★


パンツにおっぱい!!! ……最高かッ♡♡♡

【下心満載のチャラ男家庭教師(21)✖️純真無垢な中学生(14)】


今日もピッチリと七三に髪を固め、ダサ眼鏡の仮面を被って下心満載で家庭教師に勤しむ。
そんなどうしようもない男の、おバカな初恋奮闘物語——。




昔からモテ男でチャラ男な瑛斗は、大学でもその名を知らない人はいない程の、超がつくほどの有名人。

合コンに行けば百発百中、狙った女は逃さない。
落とした女の人数は数知れず……。



そんな百戦錬磨な瑛斗(21)も、ついに本気の愛に目覚める!!!

そのお相手は……

なんとまさかの、中学三年生!

天使のように愛らしい美兎を前に、百戦錬磨の瑛斗も思わずノックダウン。

パンツやおっぱいの誘惑に時々(いや、結構毎回)負けつつ、今日も瑛斗は純愛を貫く……っ!!

だってそれが、恋ってもんだろ!?

ちょっとエッチな、男性目線のラブコメ!

だけど——
そこにあるのは、紛れもなく純愛(下心有り)なんだ!




◆目次◆

1)これは、純愛(下心あり)物語>>01
2)ライバル、現る>>02
3)グッジョブ、山田>>03
4)レッツ、いちご狩り!>>04
5)お願い……先っちょだけ!>>05
6)江頭◯:50>>06
7)パンパンでパイパイ♡>>07
8)夕日に誓って、零した涙 >>08
9)ついに、ゴールイン!?(仮)>>09
10)給水・夏の陣2020>>10
11)悪魔、再び>>11
12)闘う男、スーパーマン>>12
13)それは綺麗な、花でした♡>>13
14)ハイセンス波平、輝きを添えて>>14
15)おっぱい星人、マシュマロン>>15
16)これはつまり、“愛”の試練>>16
17)腰振れ、ワンワン>>17
18)感動の名シーン(童話ver.)>>18
19)殺人級、サプライズ>>19
20)君の名は。>>20
21)それすなわち、愛の結晶>>21
22)イエス♡マイ・ワイフ>>22
23)滾るシェンロン、フライアウェイ>>23
24)これぞ、愛のパワー♡>>24
25)おまけ>>25
26)あとがき>>26

ep4 レッツ、いちご狩り! ( No.4 )
日時: 2024/08/03 20:41
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)





「なぁ、なぁ〜。最近、瑛斗ってやけに付き合い悪くね? 前は合コン三昧だったくせに、もう二カ月は行ってないよなぁ……。お陰様で、俺も枯れる一方だよ……」


 恨めしそうな顔を見せながら、首を直角に曲げて俺の顔を覗き込む健。まるで、壊れたブリキの玩具だ。


「なんだ……健、知らないの? 瑛斗はね、今本気の子がいるから無理だよ」

「なんだよ、チクショー! やっぱ、彼女がいるのかよっ!」

「いや……。まだ、彼女ではないらしいんだけどね?」

「えっ!? あの瑛斗が、狙った女とまだ付き合ってないとかっ! そんな事あんの!? えっ! 大和やまと、その女見たことある!?」

「いや、『うさぎちゃん』って名前しか知らない」

「……あっ! その名前! 俺もこの間聞いたっ! おい、瑛斗! 誰だよ、その『うさぎちゃん』て!?」


 興味津々といった感じで、俺を見つめる健と大和。


(……そんなに見つめたところで、お前らに会わせる気なんて微塵もないけどな)


「……史上最強に可愛い、天使だよ」

「……えっ!? お前が、天使とか言っちゃうわけ!? 俺のエンジェルを、バカ呼ばわりしたお前がっ!?」


 チラリと二人を流し見れば、さも驚いたような顔をさせている健。大和はといえば、それは面白そうにニヤニヤとしている。


「へぇ〜。随分とご執心なようで。……で、いつそんな子と出会ったの?」


(フッ……。そんなに聞きたいなら、聞かせてやろうじゃないか。あの、天使が舞い降りた穏やかな午後の日のことを……)


「あれは……満開に咲き誇っていた桜が見るも無残に全滅した頃の、ある日の午後だった……」

「なんだよ、そのナレーションみたいなの。……しかも下手すぎ」

「煩い! 黙って聞けっ!」




 ——あの日。
 バイトでやっているモデルの仕事がドタキャンになり、大学に行く気にもなれなかった俺は、そのまま真っ直ぐ自宅に帰ることにした。

 その日は何の気まぐれか、いつもなら絶対に通らないはずの道を歩いて帰っていた俺。いや、無意識に導かれていたんだと思う。
 普段なら絶対に歩かない時間帯に、絶対に通らない道のり。あの時は気付けなかったけど——。

 あれはきっと、運命だったんだ。

 ふと、何気なく通りがけに公園を覗くと、天使のような無邪気な笑顔を見せる、それはそれは可愛い女の子がいた。立ち漕ぎでブランコに乗る姿は、羽を広げて天を舞う天使のよう。
 俺は吸い寄せられるようにして天使へと近付くと、そこで、雷に打たれたかのような衝撃を受けた。


『キャーーッ!!! 大丈夫ですかっ!!?』

『……えっ!!? 何この人!!? 今、自分からぶつかって来たよね!!?』





「……いや、それただブランコにぶつかっ——」

「煩い! 黙って聞けっ!」





 地面に寝転がる俺を心配そうに見下ろすその姿は、まさに地上に舞い降りた天使。


『あ、あの……。大丈夫、ですか……?』

『やめなよ、美兎っ! この人、絶対危ない人だよ! ……格好だって、ホストみたいだしっ! 変な因縁つけられるよ!?』

『で、でも……。倒れてるのに、放っておけないよ……』

『放っときなよ! 勝手に自爆してきたの、この人だしっ! 怖すぎっ! ……しかも、なんか笑ってるし! キモッ!』


 なんだか酷い言われようだったが、そんなこと俺にはどうでも良かった。ただ、目の前に広がる光景に酔いしれていたんだ——。


(なんて最高な、アングル……)


『……パン……ッ』

『ぱん……?』

『……!? 美兎の持ってる、パンじゃない!? 早く、それ渡して行こっ!』


 天使の持っていたパンを奪い取ると、俺に向かって雑に投げつけた堕天使——改め悪魔。そのまま天使の腕を取ると、足早に俺の元から去っていく。
 一人残された俺は、その場から動くこともできずに、ただジッと、先程見た残像を眺めていた。

 パンツ越しに見えた、うるわしの天使を——。





「パンツが良かっただけじゃねーかよ!」

「……ちげーわっ!」

「いや……今のお前の話しからは、パンツへの熱意しか感じられなかった」

「っざけんな! 俺の純粋な気持ちを、みくびるなっ!」

「……まっ。パンツなんて、腐る程見てきただろうし? 瑛斗にしたら、どーでもいいよな、そんなの」

「……おいっ!! うさぎちゃんのパンツは別格だ!!!」

「やっぱパンツかよ……」

「ダァーッ!! ちげぇーつってんだろ!?」


 俺の純粋な気持ちを全く信じようともしない二人に、呆れて溜息が出る。


(俺は純粋に、うさぎちゃんに恋してるんだっつーの!)


「……で、たまたま運良く親同士が知り合いで、家庭教師をすることになったんだ?」

「バーカ。運良くじゃねぇよ。運命な、う・ん・め・い!」

「あー、はいはい。……で? いつ会わせてくれるの? 『うさぎちゃん』に」

「は? お前らに会わせるわけねぇーだろ!」

「はぁ!? なんでだよー! 『うさぎちゃん』のお友達、紹介してくれよ〜!」

「ふざけんなっ! いちごのパンツは、俺だけのもんだっ!」

「は……? いちご? え、高校生ってそんなパンツ履くの? なんか萎えるわぁ……」

「バカ言え! フル勃○だろっ!」

 
 神聖なるいちごのパンツの良さがわからないとは、なんと哀れな健。


(俺なんて、想像するだけで今にも昇天しそうだわっ! ……まぁ、それも美兎ちゃん限定でなんだけど)


「じゃ、俺もう行くわ」


 美兎ちゃんの顔を想像するだけで、思わず顔がニヤケてしまう。


「……あー。今日もカテキョ?」

「そっ。レッツ、いちご狩り!」

「いちご狩りって……。カテキョだろ」


 ルンタッタ・ルンタッタとスキップで走り去る俺の背に向け、呆れ顔の大和は小さく溜息を吐く。その横で、「やっぱ、パンツじゃねぇかよ」と小さく呟いた健の声は、俺の耳に届くことはなかった。


ep5 お願い……先っちょだけ! ( No.5 )
日時: 2024/08/03 20:50
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)





(あぁ……。なんて幸せな時間なんだ……。叶うものなら、この時間が永遠とわに続きますように……)


 夕暮れ時の公園で、山田と戯れている美兎ちゃんの姿を眺めながら、一人ベンチに座ってうっとりとする。
 それはもう、だらしなく鼻の下を伸ばしながら。


(可愛い、可愛い、マイ・ワイフ……♡ ふふふ)


 山田を飼い始めてからというもの、こうして一緒に散歩に出かけるのも、数えること早5回目。
 これまでは、【学力向上】という目的の【カテキョの時間内】でしか一緒にいられなかった俺達。

 山田が来たお陰で、こうして新たな至福の時間を手に入れることができた。それには本当、感謝してもしきれない程に感謝している。
 こうして、擬似家族ごっこを思う存分脳内で堪能できるのも、全部山田のお陰だろう。

 ——だがしかし!


(……クソッ!! 調子に乗りやがってっ!! 山田めっ!!)


 細長いジャーキーのような【おやつ】をもらった山田は、ついでと言わんばりに、美兎ちゃんの可愛いお口までペロペロと舐めている。


(っ……俺も、ペロペロしたいッ!!)


 いつまでも舐め続ける山田に嫉妬の炎を燃やしていると、いつの間にかその光景に釘付けになってしまった俺。その呼吸は徐々に荒くなり、小さく上下に肩を揺らし始める。血走った瞳はギンギンに光り輝き、ついにはフーフーと音を鳴らし始めた鼻息。
 座っていたベンチからフラリと立ち上がると、ロックオンした美兎ちゃんのお口めがけてフラフラと歩み寄る。


(お、俺も……俺も……っ!)
 

「み、美兎ちゃん……っ!! 俺もっ……!! 俺も欲しい……っ!!」

「……えっ?」

「お願いっ!! ちょっとだけっ!! ……ちょっとだけでいいからっ!!」

 
 興奮状態の俺は、ほんの少しだけ残った理性をかき集めて、『ちょっとだけ』と懇願する。それはもう、とんでもなく血走った瞳と荒い鼻息で。


「え……っ!!? で、でも……っ!」

「……お願いっ!! 先っちょだけ!! 先っちょだけだから……っ!!! ねっ!!?」


(そのお口、ペロペロさせてくれっ!!!)


 驚いた顔をみせる美兎ちゃんの肩を掴むと、必死の形相で美兎ちゃんを見つめる。その姿は、もはや『真面目な家庭教師』の面影などなく、完全に『ロリコン変態野郎』に違いない。
 この場にもし警察がいたとしたら、間違いなく『変質者』として逮捕されている。そう思うぐらいには、今の俺の必死さと顔はヤバイ気がする。


「っ……。そんなに、言うなら……。うん、わかった」


(……!!? マ、マジかっ!!!!)


「ホ、ホント……っ!!!?」

「……うん。ちょっと……だけだよ?」


(グハッ……!!!! ……ヤ、ヤベェ
 。危うく、死ぬとこだった……っ。まだ、ペロペロもしてないのに……)


 恥じらうような素振りを見せる美兎ちゃんが可愛すぎて、フラリとよろけるとダメージを受けた胸元をグッと抑える。


「じゃあ……。お手」


(……ん? これは、何プレイ?)


 唐突なその言葉に多少の疑問を感じながらも、美兎ちゃんに触れるチャンスをみすみす逃すはずもなく……。目の前に差し出された小さく愛らしい手に、自分の右手を素直にそっと乗せてみる。
 その状態でチラリと美兎ちゃんを見てみれば、ほんのりと赤く頬を染め、はにかむような笑顔をみせている。


(ウグッ……! か、可愛すぎかっ!!)


 その表情はとても愛らしく、ずっと見ていたいとすら思ってしまう。


(これは……っ! アレだな!? 【焦らしプレイ】ってやつだ!!)


 今すぐペロペロしたい気持ちを抑えつつ、まんざらでもない【焦らしプレイ】に鼻の下を伸ばしながら、暫しの間堪能することにする。

 見つめ合う二人の間には何の障害もなく、ただ、幸せな時間がゆっくりと流れてゆく……。いまだかつて、こんなにも長い間美兎ちゃんと見つめ合ったことがあっただろうか——?


(あぁ……。マジで、時間よ止まってくれ……)


「はい、ご褒美」

「へ……?」
 

 目の前に差し出されたジャーキーを見て、間抜けな声を小さく漏らす。


「犬用だから……。ちょっとだけだよ?」


(えっとー……。えっ? あ、あれ……っ? ひょっとして、俺の言ったこと……ちゃんと、伝わってなかったり……する……?)


 勢いで言ってしまったということもあり、冷静さを取り戻してしまった今となっては、もう一度ちゃんと伝えるなんてことはできない。今思えば、中学生相手に相当ヤバイ発言をしていた気がする。
 なにより、こんなに純粋な笑顔を向けられてしまっては……。

 結局訂正することもできぬまま、俺は差し出された犬用ジャーキーをペロリと一口舐めたのだった。


 

江頭◯:50 ( No.6 )
日時: 2024/08/04 05:50
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)





「お散歩、楽しいね〜。山田さんっ」


 公園からの帰り道、俺の隣で天使のような微笑みを向けて山田に話しかける美兎ちゃん。
 そんな美兎ちゃんの声に反応した山田は、ポテポテと歩きながらも美兎ちゃんを見上げる。それはもう、嬉しそうにプリプリと尻尾を振りながら。
 

(そりゃ嬉しいだろうよ! なんたって、美兎ちゃんが名付け親だからなっ!)


 何度も何度も、愛おしそうに『山田さん』と呼んでもらえる山田に嫉妬をすると、悔しさから溢れ出そうになった涙を堪えて天を仰ぐ。


(ちくしょ〜! っ……俺だって、美兎ちゃんに名付けてもらいたかったわ! せめて、『瑛斗先生』じゃなくて『瑛斗』って呼ばれたい……っ)


「瑛斗先生。いつもお散歩に付き合ってくれて、ありがとう」

「いいよ、いいよ。どうせ暇だしね。散歩くらい、(山田抜きでも。いや、むしろ抜きで!)いつでも付き合うよ?」
 

 無邪気に微笑む美兎ちゃんの姿を見て、その天使のような愛らしさに瞬時に癒された俺は、鼻の下を伸ばすと顔を綻ばせた。


「……あのさ、美兎ちゃん。『瑛斗先生』って呼び方、ちょっと長いじゃん? だからさ、その……。もうちょっと、略すとか……さ? 違う呼び方にして欲しいなって……」
 
 
 美兎ちゃんから視線を逸らすと、しどろもどろになりながらも勇気ある提案をしてみる。
 決して長ったらしい呼び名とは言えないのだが、これを機に『瑛斗』と呼んでもらえるようになれれば。そんな淡い期待を胸に、ドキドキと鼓動を跳ねさせる。


「……ぁっ。うんち」


(……!!! えっ!? うんちっ!!?)
 

 驚きにグリンッと勢いよく首を動かすと、美兎ちゃんのいる方へと視線を向けてみる。
 すると、何やら一点を見つめたまま立ち尽くしている美兎ちゃん。その視線を辿ってみると、後ろ足をプルプルと震えさせて力んでいる山田がいる。


(なんだ、山田の糞か……。ビビった。……俺の名前、『うんち』になったかと思ったわ)

 
 いくら美兎ちゃんから名付けてもえるとはいえ、流石の俺でも『うんち』にはヒヤリとした。
 ホッと胸を撫で下ろすと、山田の側に腰を下ろした美兎ちゃんの姿を静観する。


「えっと……。呼び方、だよね? ……うん、わかった。じゃあ、『先生』って呼ぶねっ!」


 クルリと後ろを振り返った美兎ちゃんは、俺に向けて無邪気な笑顔を見せると、再びその視線を山田へと向けた。


(エッッ!!? まっ、まさかの、そっち採用!!!?)


「いやっ、あの……。『先生』だと、学校の先生と同じじゃん? だから、名前がいいかな〜? なんて……」

「名前?」

「……う、うん」


 思ってもみなかったまさかの【降格宣言】に、山田のうんち処理中の美兎ちゃんの背中に向けて即座に軌道修正を始める。

 
「だから、さ……。俺のことは、えガ——ッ!!!?」


(グおぉぉおーーッッ!!! いっっ、てぇぇぇえーーーー!!!!)


 あまりの痛さに、その場でうずくまると悶絶する。


「あっ……。ごめんなさぁ〜い」


 ケバケバしい香水を身にまとった女は、まったく悪びれた様子もなくそう告げると、恋人らしき男に腕を絡ませてその場を去ってゆく。

 
「……っ、ちゃん(と前向いて歩きやがれ、クソがっ!)……っ!」


 声にならない声を懸命に振り絞ると、余裕で20cm程はありそうなピンヒールを履いた、ガッツリと背中の開いた服の女の背に向けてガンを飛ばす。
 あれはどう見たって、凶器以外の何物でもない。ズキズキと痛む左足がなによりの証拠だ。


「エガ、ちゃん……?」

「……え?」


 ポツリと呟くようにして落とされた声に視線を向けてみると、キョトンした顔をする美兎ちゃんが俺を見つめている。
 その左手には、取れたてホヤホヤの山田の『うんち』が入ったビニール袋を握っているが……。そんな姿でさえも、愛おしい。
 

(あぁ……。俺の可愛い、うさぎちゃん……)


 左足の痛みも忘れて口元を綻ばせると、目の前の美兎ちゃんを見つめて鼻の下を伸ばす。


「……うん、わかった。『エガちゃん』って呼ぶね!」


(エガちゃんて、誰……?)


 満面の笑顔を向ける美兎ちゃんを見つめながら、とろけた顔のまま暫し考える。
 

(…………。あ……、俺? ……いや、俺の名前……瑛斗だけど……)


 そうは思ったものの、美兎ちゃんの無邪気な笑顔を前にすると、そんなことどうでもよくなってくる。
 結局のところ、美兎ちゃんから名付けてもらえるなら、俺は『うんち』だって何だっていいのだ。それぐらい、うさぎちゃんLOVEだってことには、自分でも気付いている。

 嬉しそうに山田の頭を撫でる美兎ちゃんを見つめながら、新たな名前を授けてもらったことに喜び、健達に自慢してやろうとほくそ笑む。





 ——その後日。
 ことの経緯いきさつを自慢げに話す俺に向かって、散々『江頭○:50』と弄ってきた健達。
 美兎ちゃんにお願いして、結局『瑛斗先生』に戻してもらったことは、言うまでもない。



パンパンでパイパイ♡ ( No.7 )
日時: 2024/08/04 06:01
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)




 嬉しそうな笑顔を見せる美兎ちゃんを見つめながら、俺は携帯越しに顔面をとろけさせた。

 一学期末のテストの点が良かったご褒美として、今、俺は美兎ちゃんと動物園に来ているのだが……。これは、紛れもなくデートと断言してもいいだろう。
 

 ——記念すべき、初デートだ!


 触れ合いコーナーでモルモットと戯れている美兎ちゃんの姿を眺めては、一人によによと鼻の下を伸ばす。


(モフモフとコラボとか……っ! 最強だなっ!)


 ここぞとばかりに携帯で盗撮しまくっていると、突然振り返った美兎ちゃんに驚き、慌ててメールを打っているフリをする。


「——瑛斗先生は、どっちが可愛いと思う?」

「えっ……!? そりゃ勿論、うさぎちゃ——」


(……あっ。ヤベッ)


 慌てていたせいか、思わず心の声で答えてしまった俺。何事もなかったかのようにニッコリと微笑むと、再び美兎ちゃんに向けて口を開く。


「右の子……かな?」

 
(こんなモフモフの毛玉より、美兎ちゃんの方が何億倍も可愛いよ……っ!)


 そんなことを思いながら、美兎ちゃんの腕に抱かれたモフモフを指差す。


「……でも、やっぱりどっちも選べないくらいに可愛いねっ!」

「そうだね」


(俺は安定の、美兎ちゃん一択だけどね♡)
 

「……! 美兎ちゃん。一緒に写真、撮ってあげようか?」

「うんっ!」


(ウオォォー!! ……俺ってば、ナイスアイデアだぜっ!!)


 これで、可愛い美兎ちゃんの姿を堂々と撮影することができる。そう思うと、心の中でガッツポーズを決めながら歓喜の雄叫びを上げる。

 その後、鼻の下を伸ばしながら思う存分に美兎ちゃんの姿を連写しまくったことは——言うまでもない。





◆◆◆





 本来の目的であったパンダの展示ブースへと移動してきた俺は、先程撮影したばかりの写真を携帯越しにスライドさせた。


(あぁ……! か、可愛い……っ♡ 可愛すぎだよ、美兎ちゃんっ!!)


 モフモフの姿など、ほとんどが見切れてしまっている写真達を眺めては、鼻の下を伸ばしてだらしなく微笑む。


『——それでは、お待たせ致しました。パンパンの入場です!』

「瑛斗先生っ! 『パンパン』が出てくるって!」

「…………。うん、楽しみだね」


 それにしても、パンダの赤ちゃんの名前が『パンパン』とは……。パンダからとった『パン』だか何だかは知らないが、もはや安直を通り越して卑猥ひわいにしか聞こえない。
 さっきから、美兎ちゃんが『パンパン』と口にする度、俺の頭の中には『パンパン』の妄想が膨らむばかりだ。勿論、それはパンダの『パンパン』という意味などではなくて、もっと大人の方で——。


(……グハァーッ!! 美兎ちゃんと、今すぐにでも”パンパン”してぇ〜ッッ!!!)


 動物園も、なんだってこんなに卑猥な名前を名付けたのか……。そのお陰で、俺の頭の中は美兎ちゃんとパンパンとセ○クスしている妄想でピンク一色だ。
 流石に、中学生相手に本気で手を出そうだなんてことは思っていないが……。もし、仮に……万が一にでも——。

 美兎ちゃんが誘ってくるなら、俺はいつだってパンパンOKだ。


(そこは……アレだ。うん。男として? 女に恥をかかせるわけには、いかないし……な? ふふふ♡)


 一人、そんな妄想を膨らませては、鼻の下を伸ばして怪しげに微笑む。

 それにしても、いつの時代もパンダの赤ちゃん人気とは不動のようで、その勢いは凄まじい。周りを見渡せば、『パンパン』目当てで集まった人達で溢れかえっている。
 まぁ、そのお陰で美兎ちゃんとも密着ができると思えば……。この群集も息苦しさも、そう悪くはない。


「……美兎ちゃん。パンダ、見える?」

「うーん……。見えないよぉ〜」

「ここからの方が、見えるかもよ」


 そんなことを言いながらさり気なく肩に手を回すと、自然と俺の方へと抱き寄せる。


「あっ……。ふぅ……っん」



 ———!?!!?!



(ファッ……ツ!?!!?!)


 人混みに押されて思いの外密着する形になってしまった美兎ちゃんは、その苦しさからか、俺の胸にしがみつくとなんともなまめかしい声を上げた。
 その不意打ちに、ビクリと肩を揺らした俺はその場でピタリと動きを止めた。


「……あっ! 『パンパン』見えたっ! 『パンパン』可愛い〜!」
 

 パンパン、パンパンと無邪気な笑顔を見せながらも、卑猥な言葉で容赦なく俺の耳を攻め立てる美兎ちゃん。

 
(ま……っ、まさか、これは……っ! 言葉攻めっ!!?)


 ズキズキと痛み始めた股間を前に、一人その場で悶絶する。


(俺……っ。ホントは、攻めたい派だけど……!! うさぎちゃんになら、攻められたっていい……っ!!!)


 未知なる刺激にフラリとよろけると、危うく昇天しかけてなんとか堪える。


(……ゥグッ! あっ、危ねぇ。……俺にはまだ、やることあるんだ……っ!)


 ——そう。
 先程からずっと気になっている、この謎の物体の正体を突き止めるという任務が。

 密着した身体から確かに感じる、このプニプニとした柔らかい感触。
 これは、間違いなく——!


(美兎ちゃんの、おっぱい……っ♡)


 そうは思うものの、ちゃんとこの目で確認してみないことには……。まだ、確証が得られない。
 そう思って、チラリと下に目を向けてみる。



 ———!!?!!?!!



(グオォォオーーッッ……!!!? ヤ、ヤベェ!!! し、死ぬ……っ!!! マジで俺、死ぬっ……!!! よっ、ようこそ、おっぱいっっ!!!!)


 そこにあったのは、小ぶりながらもクッキリとした谷間。これは——!


 間違いなく、お♡っ♡ぱ♡い♡だ♡


 尋常じゃないぐらいに血走った瞳をガン開きにさせると、穴が開くんじゃないかってぐらいに目の前の谷間を凝視する。


(パンパン人気……っ、マジすげぇ!!! ……っ『パンパン』! ”パイパイ”、ありがとう……っ!!!!)


 心の中で、『パンパン』に向けてそんな感謝をする。


「……瑛斗先生っ! 『パンパン』、可愛——!!? ……キャーーッッ!!!? 瑛斗先生っ! は、鼻血が出てるよ……っ!!?」


 俺の方を振り向くなり、慌てふためく美兎ちゃん。何やら鞄の中身をゴソゴソとさせると、そこから取り出したティッシュを俺の鼻目掛けてズボッと突き刺す。
 少しばかり雑な気もしなくはないが、これも天使からの愛ある介抱かと思えば、鼻の奥に感じた激痛など気にはならない。何より、俺の可愛い天使ちゃんから愛ある介抱を受けながらも、視界には魅惑の”パイパイ”が広がっているなんて……。

 確かに動物園に来たとばかり思っていたが、どうやら俺は、天国に迷い込んでしまったらしい。
 ここはまさに——そう!


 ””♡パイパイ♡パラダイス♡””


 美兎ちゃんからの懸命な介抱を受けながらも、一向に止まる気配のない俺の鼻血。
 パンダの赤ちゃんを見に来たというのに、結局『パンパン』の姿など一度も確認することもなく……。鼻の下を目一杯伸ばした俺は、それはそれはとんでもなく幸せそうな笑顔を咲かせる。

 視界に広がる、魅惑的な”パイパイ”。
 そんな素晴らしい光景をガン見し続けながら、俺は身体に伝わるプニプニとした柔らかい感触を、時間の許す限り、余す事なく堪能し続けたのだった——。


夕陽に誓って、零した涙 ( No.8 )
日時: 2024/08/05 00:48
名前: ねこ助 (ID: KuHgV/y.)





 ———ガタンゴトン


 ———ガタンゴトン




 楽しい時間というのは過ぎ去るのもあっという間で、夕陽の差し込む電車内で一人小さく息を漏らした。


(今日という日が、永遠に続けばいいのに……)


 名残惜しく感じながらもチラリと隣を見れば、そこには天使のように可愛い美兎ちゃんがいる。
 いっそ、このままお持ち帰りしてしまいたいところだが……。その欲望をグッと堪えると、車窓から差し込む夕陽に目を細めた。


(…………。やっぱこのまま、お持ち帰りしてぇ……)


 やはり、そう簡単に欲望は抑えられないらしい。だって俺、男だし。
 こんなに可愛い美兎ちゃんを前に、欲望を抑え込むだなんて……。到底、無理な話だ。

 ——だがしかし!
 相手は中学生。そんなこと、絶対にできるわけがない。


(——いや、待てよ……。美兎ちゃんの合意さえあれば、イケんじゃね……?)


 だけど、万が一にでも振られようものなら……。


(……っ俺。もう、生きていけない……っ!)


 そんな不毛な思考を巡らせつつ、勤めて冷静な顔のまま一人脳内で悶々とする。——と、その時。
 ポスンとした軽い重みを感じて、左肩に目を向けてみる。



 ———!!?
 


(……っこ、これは……っ! 噂に聞く、肩ズン!!?)

 
 俺の左肩にもたれて、スヤスヤと小さな寝息を立てている美兎ちゃん。そんな姿を見つめながら、俺の瞳は目一杯瞳孔を開かせた。

 
(こっ、これって……もしかしてっ!! 今夜お持ち帰り、OKサイン!!!?)


 途端に心拍数を上げ始めた俺の心臓。
 ズンドコズンドコと鳴り響く胸元をギュッと抑えると、徐々に荒くなる呼吸とともに「ヴッ」と小さく声を漏らす。


(ゥグッ……っ!! し、死ぬ……ッッ!!!)


「——あの……。大丈夫、ですか?」

「……大丈夫、です……っ。嬉しすぎて死にそう……な、だけなんで……っ」

「あ……。は、はぁ……」


 血走った瞳で必死にそう答えれば、右隣にいる見知らぬ女性は俺に向けて怪訝そうな顔を見せる。

 折角美兎ちゃんからOKサインがでたというのに、どうやら俺の心の準備の方がまだだったようだ。その悔しさに顔を歪めると、血走った瞳で必死に涙を堪える。


(次こそは……っ。次こそは、俺も覚悟決めるからっ……! それまで、待っててね……っ。俺の可愛い、うさぎちゃん……っ!!!)


 左肩に伝わる心地よい感触に酔いしれながら——俺は夕陽に向かってキラリと一雫、悔し涙を零すのだった。



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