コメディ・ライト小説(新)

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君は愛しのバニーちゃん【完】
日時: 2024/09/24 01:36
名前: ねこ助 (ID: tOcod3bA)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=13998


小説大会2024・夏 金賞🥇ありがとうございます✨



★まず初めに★


R18ではありませんが、下ネタ満載のラブコメになります。
やたらとパンチラが出てくる青年漫画のような作風を意識した作品の為、苦手な方は回れ右してください(^^;;



別名義でラブコメ・ミステリー・ホラーなど、その時の気分で色々と執筆しています。

ラブコメに関しては(君バニもしかり)箸休め的な感覚で、何も考えずに自由に執筆しております。
なので、読者の方にも何も考えずにサラッと読んで笑って頂ければと思います(^^)v




★あらすじ★


パンツにおっぱい!!! ……最高かッ♡♡♡

【下心満載のチャラ男家庭教師(21)✖️純真無垢な中学生(14)】


今日もピッチリと七三に髪を固め、ダサ眼鏡の仮面を被って下心満載で家庭教師に勤しむ。
そんなどうしようもない男の、おバカな初恋奮闘物語——。




昔からモテ男でチャラ男な瑛斗は、大学でもその名を知らない人はいない程の、超がつくほどの有名人。

合コンに行けば百発百中、狙った女は逃さない。
落とした女の人数は数知れず……。



そんな百戦錬磨な瑛斗(21)も、ついに本気の愛に目覚める!!!

そのお相手は……

なんとまさかの、中学三年生!

天使のように愛らしい美兎を前に、百戦錬磨の瑛斗も思わずノックダウン。

パンツやおっぱいの誘惑に時々(いや、結構毎回)負けつつ、今日も瑛斗は純愛を貫く……っ!!

だってそれが、恋ってもんだろ!?

ちょっとエッチな、男性目線のラブコメ!

だけど——
そこにあるのは、紛れもなく純愛(下心有り)なんだ!




◆目次◆

1)これは、純愛(下心あり)物語>>01
2)ライバル、現る>>02
3)グッジョブ、山田>>03
4)レッツ、いちご狩り!>>04
5)お願い……先っちょだけ!>>05
6)江頭◯:50>>06
7)パンパンでパイパイ♡>>07
8)夕日に誓って、零した涙 >>08
9)ついに、ゴールイン!?(仮)>>09
10)給水・夏の陣2020>>10
11)悪魔、再び>>11
12)闘う男、スーパーマン>>12
13)それは綺麗な、花でした♡>>13
14)ハイセンス波平、輝きを添えて>>14
15)おっぱい星人、マシュマロン>>15
16)これはつまり、“愛”の試練>>16
17)腰振れ、ワンワン>>17
18)感動の名シーン(童話ver.)>>18
19)殺人級、サプライズ>>19
20)君の名は。>>20
21)それすなわち、愛の結晶>>21
22)イエス♡マイ・ワイフ>>22
23)滾るシェンロン、フライアウェイ>>23
24)これぞ、愛のパワー♡>>24
25)おまけ>>25
26)あとがき>>26

ep1 これは、純愛(下心あり)物語 ( No.1 )
日時: 2024/08/03 20:32
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)




「そんなこと言わずにさ〜! お願いだから、来てくれよ〜! 入学以来、3年連続でミスターコンに選ばれてる”亜帆あほ大のミスターイケメン”こと、”チャラ王子 瑛斗えいと”の名前で合コン取り付けたんだからさ〜。瑛斗が来なきゃ、流れちゃうんだって! ……頼むよ〜っ!!」

「だぁーかぁーらぁーっ! 予定あるっつってんだろ!?」


 あまりのしつこさに、若干イラッとしながら大きく溜息を吐く。


(朝からもう、何度目なんだよこの会話)


 俺には今から、大事な用があるのだ。いい加減に諦めて欲しい。

 
「瑛斗ぉ〜! お前、最近付き合い悪すぎだろ〜! ……今日の合コン相手はスッチーだぞ!? ス・ッ・チ・イー!」


 スッチーがなんだというのか。目の前のたけるをチラリと見れば、それは必死な顔で懇願している。


「スッチーなんて、興味ねーよ」

「ぅぐっ……。バカ野郎! 俺のエンジェルに謝れっ!」

「何がエンジェルだ、バーカ」


 ウンザリとした顔で軽く睨みつければ、それは悔しそうな顔をして食いしばる健。


「引く手数多の瑛斗には、俺の気持ちはわからんだろうよ……っ! もう……っ何年、枯れてると思ってるんだー!! バカ野郎ぉーー!!」

「……んなの、知るかっ」


 絡みついてくる気持ち悪い健を払いつつ、カバンから携帯を取り出して時間を確認する。


「あー……ヤバッ。もう、こんな時間か」


 ポツリと小さく声を漏らせば、すかさず健が口を挟む。


「おいっ! 用ってまさか……っ。デートじゃないだろうなぁ!?」

「ちげーよ。……って、顔近ッ!? 一々くっつくなよ、気持ち悪ぃなっ!」


 半泣きの健の顔を掴んで押しやれば、グイグイと更に近づいてくる健。その顔は見るも無残に潰れ、不細工極まりない。
 黙っていれば、そこそこのイケメンなはずなのだが。健に女ができない原因は、こういうところにあるんじゃないかと常々思う。


「……っじゃあ、なんの用だよ!?」

「カテキョだよっ!」

「ハァッ!? カテキョだぁ!? ざけんなっ!! カテキョと合コン、どっちが大事なんだよっ!!」

「カテキョに決まってんだろっ!!!」


 そんなの愚問だ。なにをどうしたら、合コンの方が勝るというんだ。


「おま……ッッ!? バカか、お前ッ!? 合コンだろッ!! 普通、合コンだぞ!?」

「お前の物差しで測るな! 今の俺は、カテキョに燃え(萌え)てるんだッ!!」

「嘘つけッ! お前が勉強に燃えるわけないだろっ!!」

「煩いッ!! 俺は今すぐ、うさぎちゃんに会いに行くんだっ! 離せッ!!」

「うさぎちゃんて何だよ!? やっぱりデートか!? ……デートなんだなっ!? この裏切り者ぉーーッッ!!!」


 不細工極まりない顔をグイグイと寄せ、俺に向かってギャーギャーと喚きちらす健。


(あー……。うるせー。だからそーゆーとこな、お前に女ができない原因)


 尚も必死に合コンへと誘う健を他所に、今しがた来たばかりのラ○ンメッセージを確認する。


【今日ね、瑛斗先生に見せたいものがあるの! ヒントは〜、とっても可愛いもの♡ それじゃ、また後でね! お楽しみにぃ〜】


(あぁ……。それは、君のことだね? うさぎちゃん……)


 携帯片手に鼻の下を伸ばすと、もう片方の手元をチラリと見る。するとそこには、やっぱり潰れた顔の不細工な健がいて……。あまりの不快さに、チッと舌打ちを打つ。


(……散れっ! 不細工めっ!)


 顔を掴む手にグッと力を込めれば、「い゛だい、い゛だいっ!」とこれまた不細工な声を上げる。


(可愛いうさぎちゃんが、俺を待ってるんだ……っ! お前に構ってる暇はない!)


 痛い痛いと喚く健を無視して更にミシリと力を込めると、口直しと言わんばかりに右手に持った携帯を眺める。
 そこに表示されたメッセージを改めて確認すると、これから始まる至福の時間を想像しては、鼻の下を伸ばしながらニヤリと微笑んだのだった——。





◆◆◆





 ギャーギャーとしつこく喚く健をなんとか撒いた俺は、その足で公衆トイレへと駆け込むとカバンの中身を漁った。
 引っ張り出したのは、クリーニング返りの爽やかなブルーのストライプシャツ。ド派手なTシャツを脱ぎ捨てそれを羽織れば、パリッとノリで固められた襟元と袖がいい感じにキッチリ感を演出してくれる。
 
 ——続いて下半身。
 黒のダボっとしたサルエルから、ピッタリと足首でタックインされたベージュのチノパンに履き替える。首元までぴっちりとボタンの閉められたシャツを、チノパンにインすることも決して忘れない。
 脱ぎ捨てたTシャツとサルエルを雑にまとめてカバンに詰め込むと、代わりに取り出したのは整髪料のワックス。それを前髪に少量付けて綺麗に七三に分けると、その仕上げに余ったワックスを掌全体で上から撫でつける。
 
 時間にして、ザッと5分といったところか。慣れたものだ。


「……っよし。準備完了」


 鏡の前でカチャリと黒縁眼鏡をかけると、いい感じに真面目君へとチェンジした自分に向けてニヤリとほくそ笑む。


「待っててね〜。うさぎちゃ〜ん」


 左肩にカバンを掛けると、ルンタッタ・ルンタッタとスキップしながらトイレを出発する。
 通りすがりの人達が不審そうな顔を向ける中、そんなことお構いなしにご機嫌でスキップする俺は、白塗りの可愛らしい家の前へ着くと足を止めた。



 ———ピンポーン



『——はい』

「こんにちは、西条です」


 その可愛らしい声に脳内で顔をとろけさせながらも、勤めて真面目な顔を装い悟られないようにする。
 バタバタと足音が聞こえた、次の瞬間。俺の目の前にある玄関扉は勢いよく開かれた。


「瑛斗先生っ! こんにちは!」


(あぁ……! なんて可愛いいんだ……っ!)


 俺に向けて、無邪気な笑顔を見せる天使。
 そのあまりの可愛さに、昇天しかけてフラリと足元から崩れ落ちそうになる。


「早く、早くっ! 瑛斗先生にね、見せたいものがあるんだ〜! すっごく、可愛いんだよっ!」

「……っちょ。待って、美兎みとちゃん」

 
 ご機嫌な美兎ちゃんに急かされるようにして家へと上がると、そのままグイグイと腕を引かれて階段を登っていく。


(これは……っ! 愛の綱引き!?)


 その可愛らしい愛の綱引きを堪能しながら、チラリと目の前の美兎ちゃんを見上げる。
 階段を登る度にヒラヒラと揺れるスカートの下には、スラリと伸びた綺麗な生足。見えそうで見えない、なんともけしからん誘惑。
 これぞ、天使の誘惑というやつだ。


(……あと、もうちょっと……っ)


 無意識に前屈みになっていく俺の身体。


「瑛斗先生。……何してるの?」

「……ふえっ!?」


 一足先に二階へと到達した美兎ちゃんが、不思議そうな顔を向けて俺を見下ろしている。


「えっと……。ちょっと、首が痛くて……」


 パンツを覗き込もうとしていたなんて、そんなこと絶対に言えるわけがない。
 鼻の下を伸ばしながら首を傾げている俺は、ズレた眼鏡を直すと美兎ちゃんを見上げた。


「……えっ!? 大変っ! 瑛斗先生、大丈夫!?」

「大丈夫、大丈夫。ちょっと肩が凝ってるだけだから……」


 俺の嘘を素直に信じる美兎ちゃんに向けてヘラリと笑ってみせれば、心配そうな顔をしていた美都ちゃんが小さく微笑んだ。


「じゃあ、後でミトがマッサージしてあげるね?」

「……えっ。い、いいの?」

「うんっ!」
 

 満面の笑顔を向ける美兎ちゃんにバレないよう、小さくガッツポーズを作る。


(まさか、美兎ちゃんにマッサージをしてもらえることになるとは……)


 そんなことつゆ程も期待していなかった俺は、慈悲深くも神々しい美兎ちゃんに向けて蕩けた笑顔を見せた。


「……っ。ありがとう、美兎ちゃんっ!」


(あぁ……。女神様のように美しい、俺のうさぎちゃん! 本当は、股間が痛いんです。そう言ったら、股間もマッサージしてくれますか……?)


 そんなよこしまな考えを膨らませる俺を他所に、汚れのない笑顔を向ける美兎ちゃん。 

 俺は感動と喜びにキラリと一筋の涙を流すと、歓喜に震える笑顔で美兎ちゃんを見上げながら、それはだらしない顔をして鼻の下を伸ばしたのだった。



ep2 ライバル、現る ( No.2 )
日時: 2024/08/03 20:35
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)





「じゃ〜んっ! 見て、見てっ! 可愛いでしょ?」


 部屋に着くなり、満面の笑顔を俺に向ける美兎ちゃん。
 その腕には、仔犬を抱えている。


(これは確か……。パグ、とかいう犬だったか?)


 一瞬、潰れた顔の健を思い浮かべる。

 
「……買ってもらえたんだ。良かったね」


 正直、こんな潰れた顔の犬になど1ミリも関心はなかったが、あまりにも嬉しそうに微笑んでいる美兎ちゃんの顔を見ていると、自然と口元が緩んでしまう。


(君の方が、そんな犬っコロよりも何億倍も可愛いよ……)


「『山田さん』って言うの! まだ三カ月なんだよっ!」

「え? ……山田さん?」

「うんっ! 『山田さん』!」


(それはもしや、この犬っコロの名前……?)


 それはつまり、フルネームにすると『柴田 山田』となるわけで。苗字に苗字という、なんとも珍妙な名前だ。
 だがしかし、美兎ちゃんから名付けてもらえるとは——!


(……っチクショー! 羨ましいっ! たかだか犬の分際で!)


 美兎ちゃんに抱かれた仔犬をチラリと見てみると、それは美味しそうにペロペロと指を舐めている。


(……クソッ! 山田めっ! 俺だってまだ、舐めたことないのにっ!!)


「瑛斗先生っ! 勉強が終わったら、後で一緒に山田さんのお散歩に行こうね?」

「……えっ? 散歩……?」

「うんっ! 初めての、お散歩デビュー!」


(……初めての、公園デビュー的な? それってつまりっ……! 山田が子供で、俺達は夫婦……!?)


 歓喜の雄叫びをグッと堪えると、美兎ちゃんを見ながら平静を装う。


「そうだね。じゃあ、早速勉強始めようか」

「は〜いっ!」


 素直に頷く美兎ちゃんを椅子へと座らせると、さっさと終わらせる為に『家庭教師』に徹する。本当は今すぐにでも美兎ちゃんとイチャつきたいところだが、可愛い美兎ちゃんの成績を落とすわけにはいかない。
 家庭教師をクビになってしまえば、美兎ちゃんとの折角の接点もなくなってしまうのだ。


(それだけは、阻止せねばっ! ……グぁーっ! でも、イチャコラしてぇ!!)


 そんな葛藤を心に抱きながら、チョロチョロと足元で動き回る物体にペロペロと足先を舐められては、人知れず身悶えるのだった。





◆◆◆





「気持ちよかったぁ~。ありがとう、美兎ちゃん」


 マッサージという名の至福の時間ときを終えた俺は、美兎ちゃんの方へと向き直ると口を開いた。


「美兎ちゃんも……凝ってない? お返しに、マッサージしてあげるよ」


 そんな事を言いつつ、実際には美兎ちゃんに触れたいだけだったりする。平静を装うが、伸びきった鼻の下が本心を隠しきれていない。


(んー……。どこをマッサージしてあげようか。やっぱり、まずは肩か? それとも腕? いや、足も捨てがたいなぁ……)


 暴走し始める脳内に、俺の顔面はもはや崩壊寸前。このままでは『真面目な家庭教師』ではなく、ただの『ロリコン変態野郎』になってしまう。
 なんとか必死に堪えるが、膨らむ妄想と共に鼻の下は伸びる一方。


(そ、それともいきなり……胸とかっ!? ……いやいやっ! 流石にそれは、マズいだろっ! いや、でも……)


 一人脳内で妄想を膨らませながら、期待に満ちた瞳で美兎ちゃんを見つめる。


「ううん、大丈夫。ミト、どこも凝ってないから」

「…………」


(あ……そうですか。若いっていいね……)


 無邪気な笑顔を見せる美兎ちゃんを前に、敢なく撃沈しガックリと項垂れる。


「瑛斗先生。山田さんのお散歩に行こっ?」


 美兎ちゃんからのデートのお誘いに、項垂れていた顔を勢いよく上げるとパァーッと笑顔を咲かせる。


「そうだねっ! デー……っじゃなかった。お散歩に行こうか!」

「うんっ! 楽しみぃ~!」


(グハッ……! 眩しすぎる……っ!)


 天使のような笑顔を見せる美兎ちゃんに少しの罪悪感を覚えた俺は、ハァハァと息切れしながら動悸の激しい胸元を抑える。


(ヤバイ……っ。俺、死ぬかもしんねぇ……。そ、その前に……俺も美兎ちゃんのお口、ペロペロしたい……)


 俺の目の前で、美兎ちゃんの口を美味しそうにペロペロと舐めている仔犬。
 そのなんとも羨ましい光景を眺めながら、『山田さん』という珍妙な名前を授けられた仔犬に嫉妬の炎を燃やすのだった。


ep3 グッジョブ、山田 ( No.3 )
日時: 2024/08/03 20:38
名前: ねこ助 (ID: DAZ6H55z)





 キャッキャとはしゃぐ美兎ちゃんの背を眺めながら、その眩しすぎる光景に感嘆の息を漏らす。


(これが、天使のたわむれというやつか……?)


 外に出てからというもの、美兎ちゃんの関心はすっかりと『山田さん』が独占状態でいささか邪魔ではあるのだが。こんなにも可愛らしい光景を見せてくれるのなら、潰れた不細工な顔も少しくらいは大目に見てやろうだなんて寛大な気持ちになったりもする。


(……感謝しろよ、山田。いや……感謝するのは、俺の方か?)


 それにしても、さっきからヒラヒラと揺れ動くスカートは、今にも捲れ上がってしまいそうでヒヤヒヤとする。
 ラッキースケベは俺としては勿論大歓迎なのだが、他の野郎には1ミリたりとも見せたくはない。


(見んじゃねぇ……! 見たら、ブッ殺すっ!!)


 通りすがりのサラリーマンにガンを飛ばせば、青白い顔をして足早に去ってゆく。


「瑛斗先生っ! 早く、早くぅ〜!」


 満面の笑顔で振り返り、俺に向けてヒラヒラと手招きをする美兎ちゃん。
 天国へのご招待にいざなわれ、ドスの効いた顔から一瞬で破顔させるとフラフラと宙を舞うように美兎ちゃんの元へと近付く。


「お待たせ。美兎ちゃん(マイ・ワイフ)」

「もぅ〜! ちゃんと着いて来てね?」

「ごめん、ごめん。ちゃんと着いてくよ(一生)」


 イチャイチャしながら、一人脳内で家族ごっこに励む。


(……最高かっ!)


 残念ながら子供の顔は少しばかり不細工気味だが、美兎ちゃんとの子供だと思えば不思議と愛しさが込み上げてくる。


(お前、よく見りゃ可愛いな……)


 そんなことを思いながら足元を見れば、美兎ちゃんの足首をペロペロと美味しそうに舐める山田。


(……。……やっぱお前、ムカつくっ!!)


 幸せ気分は即終了。


(俺のハッピータイムを、返しやがれ……っ!)


 そう思ってガンを飛ばせば、ビクリと震えた山田が一気に走り出した。


「……きゃっ!」


 突然の出来事に、美兎ちゃんの手元から離れてしまったリード。
 首輪からリードを垂らしたまま、ダッシュで駆け抜けていく『山田さん』。


「ダメ〜ッ! 山田さんっ! 待ってぇ〜!」


 半泣きで『山田さん』を追い掛ける美兎ちゃんの横を通り過ぎると、俺は勢いよく仔犬に向かってダイブした。


(……っこの野郎。美兎ちゃんを泣かせるとは、いい度胸だな……)


 溢れ出る怒りを抑えつつ優しく抱き抱えれば、遅れて追い付いた美兎ちゃんが口を開いた。


「……瑛斗先生、ありがとうっ! 大丈夫!?」

「うん、大丈夫。はい、『山田さん』。もう、離しちゃダメだよ?」

「……っうん。ごめんなさい」


 未だ半泣き状態の美兎ちゃんにそっと『山田さん』を返してやれば、愛おしそうにスリスリと頬を寄せる美兎ちゃん。


(……うん。そのご褒美、俺が欲しかったわ)


 そう思って、山田に目を向けた——その時。



 ————!!?!!?



「……っみず……っ!!?!!?」

「……え? 水……? キャーッ!! 瑛斗先生、鼻血ッ!!」
 

 俺の鼻からタラリと垂れる鼻血を見て、一人アタフタと焦る美兎ちゃん。
 そんな姿を他所に、俺は目の前の光景を眺めて鼻の下を目一杯伸ばした。


(……グッジョブ、山田)


 俺は心の中で、山田に向けて称賛の親指を立てた。

 美兎ちゃんに抱き抱えられた山田の足にはスカートが引っかかり、見事に捲れ上がったそこには、水玉の可愛いパンツが広がっている。


(最高のご褒美だよ……。美兎ちゃん、ありがとうっ!)

 
 俺はそのご褒美を堪能すべく、一瞬たりとも気を抜かずにガン見し続けたのであった——。
 


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