ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 紅—血染め、崩壊の生活。— オリキャラ何人か……募集
- 日時: 2009/11/09 21:13
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: kVKlosoT)
*
もし“現実”の人間が“異世界”に来るとしたら
“異世界”は崩壊しますか?
崩壊と言う名の狂気は、恐れられているものである。
もし“異世界”の人間が“現実”の人間と関わるとしたら。
神は許してくれますか?
時に関わりは恐ろしいとされている。
一応↑はプロローグです。
初めまして、琉絵です。
何故同じスレッドを作ったと言うと……
パスワードを設置するのを忘れて居たからです。
……ちなみにこの物語は、現実の殺し屋が異世界と関わる事——簡単に言えば。
時に流血・吐き気を覚えるかもしれないシーンもあるので、苦手な方はすぐに読むのを止めて下さい。
苦情を言われても、作者は受け付けません。
小説の批評は受け付けます。
—扉—
登場人物(紅葉) >>1-2
(一般人) >>7
(異世界) >>19
(その他1) >>20
序話Ⅰ >>3-4
Ⅱ >>5
Ⅲ >>6
Ⅳ >>8
Ⅴ >>9
第1章【—360度回転するきっかけ—】
ファル >>10-12
燐 >>13-14
ミオリ・燐 >>15
イーラ >>16-17
- Re: 紅—血染め、崩壊の生活。— ( No.12 )
- 日時: 2009/10/18 20:26
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: kVKlosoT)
*
「な、何でもねぇよ!!」
ビィナラは不思議そうにしながらも、歩いて行った。
ファルはまた座り、頭を抱え込む。
どうすればいいのだろう。
彼を救うにはどうすればいいのだろう。
殺さずに済む方法など、紅葉には無い。
その時だった。
彼女の視界がさらに暗くなる。
不審に思い、彼女は顔を上げた。
其処には向かって左側がセミロング、右側がショートと異端な髪型をした女性だった。
パンク系の服を着用し、カラコンを入れているのか瞳は紫だった。
「……んだよ」
「何で泣いてるの?」
コイツは——殺し屋なのか?
普通こんな髪型にしないだろ……
女性は微笑みを浮かべていた。——屈託の無い笑顔を浮かべて。
「もしかして、嫌なの?」
「何がだよっ」
明らかに年上に見える女性に対して、敬語口調も無く罵声を浴びさせるファル。
女性はそんな事も気にせず、彼女にとっては見透かされたような言葉を言った。
「殺したくないの?」
ファルは思わず固まった。
この女は何だ?
何であたしの考えを読める事が出来たんだ?
おかしい、この女……
「当たってる? この家の人でしょ?」
「何で、あたしの考え…」
「殺し屋でしょ? 貴方。“海”と同じ紅葉?」
海……?
何で紅葉を知ってるんだ?
ファルは“海”と言うキーワードに、ある人物を思い浮かべた。
それは——ある人物。
「通称……お前は、知ってるのか?」
「知ってる。紅葉の事については、海から聞いていたの」
「“手段を絶対選ばない者”か?」
女性は笑った。
ファルはその笑みに「当たりなんだ」と呟いた。
「海との関係は、“恋愛”」
「へっ? ままま……マジっすか!?」
思わず驚きはためくファルに、女性は笑みを浮かべた。
そして女性は言った。
「私は、池田嬬浬。——今回は身を引いた方がいいと私は思う。この家の人を殺すのは、無理があるわよ」
意味深な発言を残して、嬬浬は遥か遠い道へと消えて行った。
- Re: 紅—血染め、崩壊の生活。— ( No.13 )
- 日時: 2009/10/21 20:04
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: kVKlosoT)
*
ルール?
俺等にだって意見はある。
だが抗えない運命。
だから俺は殺していく。
俺は戦闘が好きだから——……
それだけだったのに、何故出会ってしまった?
*
「……あーあ、血ドロドロだぜ。コイツどうせメタボとか何かで死ぬ運命だったんだろうな」
夜に浮かぶ月。——今日は三日月だった。
しかしその三日月は怪しげに輝いていた。
それに気づく者は少ない……いや、居ないだろう。
何処にでもある普通の公園。
木で森のような状態になっている場所に、1人の太った丸坊主の男が血まみれになって倒れていた。
黒い高級そうなスーツは自らの血で汚れていた。
見開いた目からは血が流れ、涙の様に見える。
そしてその死体を見下ろす少年。
黄緑色の短髪に、瞳は緑色。
白いパーカーは男の返り血で汚れていた。
「……あーあ。最悪」
そう言って少年は死体を蹴り上げた。
だがその時だった。
騒ぎでも聞きつけたのか分からないが——……
1人の少女が少年を見ていた。
「ゲッ」
少年は驚き、そして「まずい」と言った様な表情になっていた。
この光景を見られたら、俺は刑務所だ。
しかし少女は男の死体に驚くことも無く、只少年を見つめていた。
切れ長の黒い瞳で。
「…………んだよっ。警察に知らせろよ」
刑務所から出たら、即俺は殺されるだろうな。
ボスに……
しかし少女は言った。
「言わないわよ。それより此処から離れたら? さっきの悲鳴聞いたのか、警察に知らせた通行人が居たわよ」
「ゲッ」
「ほら、このジャンバー着なさい!」
そう言って少女は、自分が着ていたジャンバーをリンに投げ捨てた。
返り血で汚れたパーカーは、瞬く間にジャンバーで隠された。
ズボンはそれほど付いていなかったので大丈夫のようだが。
「……パトカーのサイレンだわ」
「うわー、最悪だ。こうなったら……」
「第一発見者にでもなる気? そんなの危険だから行きましょう」
2人は男の死体から離れ、公園を去った。
- Re: 紅—血染め、崩壊の生活。— ( No.14 )
- 日時: 2009/10/21 20:38
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: kVKlosoT)
*
我儘かもしれない。
でも幸せを掴み取りたい。
もし誰かと死ねって言われたら。
君と死にたい。
*
「あなたの名前は、何なの?」
灰色のショートヘアに、切れ長の黒い瞳。
スカーフを首に巻き、薄いパーカーを着てその中に薄い長袖を着ている。
——そんな外見の少女は、そう質問した。
“噴水公園”と呼ばれた、ごく普通で単純なその名前の公園のベンチに、2人は座っている。
「俺? 通称と本名どっちがいい?」
「通称……? もしかして殺し屋?」
「そーゆう事だ」
意外にも彼女は怖がらなかった。
何故と問いたかったが、無理だった。
「風向燐。通称“精神が狂った者”」
「こんな風に喋ってるのに、精神が狂ってる? 違うわよ」
「戦闘好きって事で、これが通称」
燐は白い歯を見せて笑う。
完全には笑っていなかったが。
少女は深呼吸をし、こう言った。
「私は、楫谷栞」
「栞?」
「……普通でしょ?」
「つか、楫谷ってどー書く?」
「木へんに口と耳書いて“楫”」
——普通なのか分からねぇな。
つか、何で殺し屋とこんな風に平気で話が出来るんだ?
意味分からねぇ……
燐はこの栞という少女が不思議に思えてきた。
栞は言った。
「ねぇ」
「? んだよ」
「また、会える?」
「……おー、会える。ゲッ、仕事放置しすぎた……あー、あのクソ棒人間に怒られるわ」
「棒人間? 体系が棒なの?」
「ちげーよ。そいつの武器が棒なの。怒ると振り回す危険人物だぜ」
ペラペラとロィラの事を喋りだす燐。
ロィラに対しては、日頃から不満が合ったらしい。
ロィラも悪い。だが原因を作るのは燐だ。
「ねぇ、その殺し屋のルールはあるの?」
「ん? ルールね……」
燐は立ち上がり、栞の方へ振り向いていった。
彼の顔は月明かりで照らされ、綺麗に輝いていた。
「自分の意見を通す事が出来ない。抗えない運命にある」
- Re: 紅—血染め、崩壊の生活。— ( No.15 )
- 日時: 2009/10/22 19:21
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: kVKlosoT)
*
私は殺せない。
罪人でも殺せない。
私は殺せない。
人だけは、壊せない。
*
「お前は、殺さないのか? 何年もここに居て——」
「…………」
紅葉の隠れ家とも言える場所。
その場所、見た目はごく普通の一軒家の中の部屋。
少し薄暗い部屋に、2人の人物が存在していた。
1人は髪をあげ、額を出した男は、大きな椅子に座っている。
まるで党首だ。
濃い目の灰色の髪を後ろに固めている。
そして男はサングラスを掛け、煙草を吸っている。
年齢は見た目では分からない。
だが、30〜40代はいっていると思われる。
そしてもう1人は女。
右側で花の様な髪飾りで、薄い灰色の髪を結っている。
マリンブルーの瞳は、男を鋭く見つめている。
その少女は無表情だった。
「……どうした?」
「…………私は殺害などしたくない。だから、殺害なんかしない」
「お前は、自分の意見は絶対に曲げないな……」
男は少女の言葉に呆れるように言い捨てる。
すると少女は窓の方向へと振り向く。
男は少女の行動に気がつく。
「どうした」
「…………紅葉の中で、誰かが殺したくないと嘆いています」
「……それはダメだ。我儘に過ぎない」
少女はドアのある方向まで歩くと、男に吐き捨てる。
「……強要はしない方がいいと思います」
*
「……嬬浬。お帰り」
「あ、海。仕事無かったの?」
2階建てのアパート。
その1つの部屋に、彼等は存在していた。
「今は殺りたくないから」
「自分の意見を尊重した方がいいわよ」
ベッドに腰掛けた青年。
パーカーのフードを被り、瞳の色は藍色だった。
口調と共に、表情はあまり変わってはいなかった。
そんな青年の両手に、スープを持たせた嬬浬。
青年はそのスープと嬬浬を交互に見た。
「……あったかいね」
「そう? パーカーのフードは被らないで」
嬬浬は青年が被っていたフードを下ろした。
其処には灰色の少し長い髪があった。
青年はスープを飲む。
そして嬬浬の手を握った。
「……最近、不安でしょうがない。もう、紅葉から抜ける事は無理だし、運命だし抗えない。でも不安で嫌だ。自分だけ死んで、嬬浬が悲しむのはもっと嫌だ」
青年は子供のように呟いていた。
嬬浬は愛しい彼の名前を呼んだ。
「海。その時は、一緒に死のう」
「……うん。僕もそう願ってる」
嬬浬の肩に海の頭が乗る。
海の髪を撫でながら、嬬浬は耳打ちした。
「ハッピーエンドが、私達に存在すればいいね」
- Re: 紅—血染め、崩壊の生活。— ( No.16 )
- 日時: 2009/10/23 19:35
- 名前: 琉絵 ◆l8pbXGbvPw (ID: kVKlosoT)
*
どうして
此処は何?
この世界は何
*
「何ですか? 凄く邪魔です」
敬語口調で喋る女は笑顔を絶やしている。
女の正面に立つ男は、長い布を被っている。
顔も分からず、表情も分からず。
何もかもが分からない男。
横で結んでいる薄い桃色の髪は、少女が動き出した事によって靡く。
少女は笑いながら男に剣を振り上げる。
しかし少女は大量の血を吐く。
男は少女の鳩尾を大きな拳で殴ったのだ。
そしてその拳には光が宿っていた。
光は少女を吸い込んでしまった。
残ったのは、少女の血。
男は少女の血に対して言った。
「私は、この世界の者では無い。あの異世界へと連れ込む番人だ」
そういい残して、男は消えた。
一瞬にして消えてしまった。
*
次の朝。
燐は眠っていた。
昨夜の仕事で疲れ果て、栞の家で眠っていた。
栞は燐の髪を撫でながら、テレビを付ける。
テレビはニュース報道。
しかし栞の表情は変わった。
『次のニュースです。昨夜、○○区○○町の通りで吐血したと思われる大量の血、そして被害者と思われる桃色の髪の毛が発見されました。警察は殺人事件と見て操作中——……』
栞はリモコンでテレビのスイッチを切った。
そして燐をたたき起こす。
「うっせーな……んだよ?」
「ねぇ、薄い桃色の髪の毛と大量の血が発見されたんだって……」
燐は眠そうに栞にもたれかかる。
そして呻くように呟いた。
「……あー、それ……アイツ……?」
「アイツって誰!?」
「“馬鹿娘”……ねみぃ」
「じゃあその人襲われたのよ……きっと、きっと」
「栞? お前、どうしたんだよ。アイツがそんな簡単にやられる筈ねーし。笑顔を絶やしてるんだぜ? ありゃあ不気味で幽霊も顔負け……」
しかし栞は蒼白した顔で首を横に振る。
「だ、だって……ニュースで言ってたのよ! 殺人事件としてって」
「……へ?」
「○○区○○町だって……」
燐は目を擦りながら言った。
「俺はアイツと関わってないし、さらに俺は記憶力ねーし。……メール?」
燐はズボンのポケットから、赤色の携帯を取り出す。
携帯を開いた瞬間、燐は固まった。
ある内容のメールで。
“馬鹿娘”が行方不明になった。
紅葉で起きた最初の行方不明事件だった。
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