ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- DISSOLVE STORY
- 日時: 2009/12/28 21:03
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
二度目の小説消失しました。
今度は荒しが来た原因だと思います。
尚、バックアップ出来るので再生します。
七魔将の土属性が追加されていたので載せます。
小説の名前の提案は架凛様です。
(↓は架凛様のスレです。)
>> http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode=view&no=3274
キャラクター紹介
名前「キース・アンバート」(名前提案:架凛様)
性別「男」
年齢「15」
武器「双剣→剣(サーベル系)」
容姿「赤髪に琥珀色の瞳、服装は黒シャツに灰色のズボン。」
性格「冷静・冷酷(ファーナ対面後、冷酷さがなくなっている。)」
キースイラスト>> http://image-bbs.webclap.com/practice/up_img/1260536781-73999.jpg
(イラスト制作者:菜月様)
名前「ファーナ・クレアス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
武器「(後に発表)」
容姿「セミロングの緑髪に青色の瞳、服装は青い服に白いズボン。」
性格「明るく優しい」
ファーナイラスト>>http://files.uploadr.net/554d816e21/002.JPG
(イラスト制作者:雪梨様)
名前「ミルド・シェトリス」(名前提案:架凛様)
性別「女性」
年齢「12」
武器「メイス」
容姿「腰まである銀髪に蒼色の瞳、服装は黒と紫のローブ」
性格「仲間になる以前は非常に攻撃的であったがキース達と一緒に行動するようになってから穏やかになっている。」
名前「リア・ライトネス」(名前提案:架凛様)
性別「女」
年齢「14」
容姿「桜色のお下げ髪にエメラルドの瞳、服装は黒のチュニックワンピース。」
性格「陽気で明るい。少々強気。」
リアイラスト>> http://d39.decoo.jp/data/4/46924/4b37fcd451c47.jpeg
(イラスト製作者:卍樹愛様)
名前「ゼファー・アラウンド」
性別「男性」
年齢「21」
武器「長剣(グラディウス等)」
容姿「ソリッドアッシュに青色の瞳、服装は白いコートに黒のシャツ、茶色っぽい長ズボン。」
性格「冷静で時には冷酷。」
- episode13「人間への復讐」 ( No.14 )
- 日時: 2009/12/28 21:20
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
ファーナは謎の少女ミルドの後を付いて行く。
そして辿り着いた場所はこの建物の奥だった。
周りには幾つものの棺桶があり、その棺桶の間の先には玉座があった。
ミルドは玉座の前に立ってファーナに顔を向けた。
「ここは私達半機械人が人間に逆襲する為に作った場所……つまり、私達のアジトよ。」
「この棺桶は一体……?」
幾つもある棺桶を見回しながら言うファーナ。
「それはね……」
微笑みを浮かべながらミルドは指を鳴らした。
途端、幾つもある棺桶の三つが開き異形の者が沢山姿を現した。
「この棺桶の中にはね……同胞が眠っているのよ。」
「同胞……?」
クスクスと笑うミルドの説明にファーナは目が点になる。
異形の者の姿はそれぞれ違っている。
一人は人の皮膚を剥がした者、もう一人は灰色の肌に腕が体より大きい者、またもう一人は顔が半分機械で半分が人工皮膚の者がいた。
どれも決して人間ではない事はファーナは出てきた三体を見て分かった。
「あれれ〜?」
驚く姉に無邪気な子供の様に首を傾げるミルド。
「どうして驚くのかな〜?私のお友達なのに〜」
「ミルドちゃんはどうして人間に復讐をしたいの?半機械人を連れて……」
「そんなの決まってるじゃない〜。」
無邪気な笑みを出しながらファーナの前に立つミルド。
そして彼女の口から途轍もない言葉が出た。
「人間が憎いからよ……」
さっきまでの無邪気な笑みが消えて憎悪を纏った瞳をファーナに向ける。
「元々人間だったのに科学者のせいで私達は半機械人にされたわ。それのせいで私達は人間に迫害されて奴隷扱い、または八つ当たりの道具として使われた……」
「………」
憎悪を纏った瞳をしながらミルドは復讐の理由を説明する。
ファーナは何も言わない。
黙ってミルドの話を聞いているだけだった。
「私達は科学者の実験に毎日付き合って頑張ってた。だけど、沢山のお友達が実験中に拒絶反応を起こして死亡、又人間との戦いで破壊される。私はもてる力を全て発揮してお友達を連れてここに逃げたわ……」
「じゃあ、以前いた旅人や邪教団の人達は……」
ファーナが恐る恐る、邪教団らしきアジトの中で捜索して見つけた幾つものの死骸の事を尋ねる。
すると、ミルドはニヤッと唇を動かし……
「確かに中にいた死骸は全部人間よ……でもあの時はスッキリしたわ〜。土下座しながら謝ってくるんだもの……謝ってもコロスのに〜。」
無邪気な笑みを出しながらも邪悪な言葉を放つミルド。
数秒で笑みは消えて三体に顔を向けた。
「聖女を連れてきて……お姉ちゃんに見せたいものがあるから……」
不敵な笑みを浮かべて言葉を放つと一体が頷き、ファーナとミルドが出てきた場所を通っていた。
数分後、鎖の音と共に一体帰ってくる。
その一体の後には首を鎖で繋がれた聖女アンフィー・フォン・コンスタンツが現れた。
「うぅ……」
聖女アンフィーは苦渋な顔をしながら異形の者に鎖を引っ張られ、ミルドの前に放り出される。
聖女アンフィーはミルドの姿を見るとガクガクと体を震わせていた。
「ふふふ、お姉ちゃん。これから面白い物を見せてあげる……」
冷酷な笑みを浮かべながらミルドは片手をアンフィーの前に出しブツブツと何かを言い始めた。
「や、やめてくだ……」
アンフィーは制止の言葉を掛けようとしたものの、突然両腕が広がり、足は揃い浮遊していく。
浮遊が止まるとアンフィーの体に電撃が流れ始めた。
「あぁぁぁぁぁ!!!!」
途轍もない激痛にアンフィーは絶叫する。
その絶叫にファーナは耐えられず耳を塞ぐ。
「ふふふ、苦しみなさい。私達が苦しんでいる分以上ね……」
「あぁぁぁぁぁ!!!!」
止まる事のない絶叫と増していく電撃の強さ。
残酷な笑みを浮かべながら片手をアンフィーに向けるミルド。
その時……
「止めて!!」
「えっ?」
一瞬響くファーナの言葉にミルドの集中が途切れると同時にアンフィーに走っていた電撃は消え、床に体を叩きつかれる。
「あ、ぐぅ……」
電撃による痺れと床に叩きつけられた衝撃の痛みに苦しむアンフィー。
ファーナは駆け寄って両手を前に出す。
途端、ファーナの両手から光が漏れ、魔導が発動される。
呻き声はどんどん小さくなっていき、次第には寝息を立てる。
ファーナの行動にミルドの目は点になっていた。
しかし、それは束の間、姉の行動にミルドはファーナに駆け寄った。
「お姉ちゃん!どうしてそんなことをするの!?人間が憎いんじゃないの!」
怒鳴り声を出すミルド。
治したのかファーナは光を消し、立ち上がってミルドに顔を向ける。
「私は人を憎んでないよ。パパとママを憎む事なんて出来ない。」
「つっ……!」
ファーナの言葉に一歩後ろに引くミルド。
だが、その行動はすぐに止まり、笑い出した。
「そうなんだ……お姉ちゃんはあの変な男と行動してたから人間を憎まないんだ。」
「えっ!?」
笑いながら出た言葉にファーナは驚いた。
驚いたファーナを見るとミルドは笑いながら指を鳴らす。
途端、また棺桶が開く、今度は一つだけ……
その棺桶から出てきたのはキース達が戦っていた庭園のあのモンスターだった。
「この子に教えてもらったの、お姉ちゃんをここに誘う際に男がお姉ちゃんに駆け寄ろうとしてた事をね……」
冷酷な瞳と同時に笑みを浮かべるミルド。
「あの男が死ねば、お姉ちゃんは私達に戻ってくる……だから私はあの男を始末しに行くわ……」
冷酷な笑みを浮かべながらファーナの前を通り、キースを殺そうと向かうミルド。
「そうはさせない!!」
そう叫んでキースの所へと向かおうとするミルドの前に立つファーナ。
「ふふふ、どうしてもあの男が大事なようねぇ……ちょっと手荒だけど……」
ミルドはファーナから距離を取ると自分の周りに黒いオーラを漂わせた。
「しばらく、お姉ちゃんに動かないでもらうわ!」
そう叫んだ途端、ミルドの両目が光る。
(な、何?目が光ってる……!?)
「ふふふ、死なない様に……」
不気味な笑みを浮かべて右手を前に出す。
途端、右手の紅い炎の球が具現される。
「ファイアボール!!」
そう叫んで紅い炎の球を放つ。
火球は二人の中間に落とされ爆発を起こした。
「あぁ!?」
爆発と同時に発生する爆風に吹き飛ばされ、壁に体を打ちつけられる。
ズルズルと床に落ち、そのまま気を失ってしまった。
「この力は私にしか使えない……さて、あの男を始末しに行こうか……」
不敵な笑い声を出しながらファーナはその場を出て行った。
姉の拒否の言葉を出させた男を始末する為に……
- episode14「ミルドの力」 ( No.15 )
- 日時: 2009/12/28 21:21
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
薄暗く、所々に見かける骨や血痕を見掛けながらも一本道の通路を走り続けるキース。
ガラハドを倒した後に感じた途轍もない殺気に気が付き急いで大切な人の元へと向かっていた。
(ファーナ、無事でいてくれ……!)
そう無事を祈りながらスピードを上げていく。
無我夢中で走っている時、数メートルで爆発が起こった。
遠くにいたから突風に押されてスピードが緩んだだけだった。
(何だ、この爆発は?聖騎士か、それともデイブか?)
二人が爆弾系の何かを投げたのかと思い爆心地に辿り着く。
そこには新しい血と所々に褐色の腕や脚、そして肉片を見掛ける。
何があったのか分からず、見ていると足音がした。
次第に近くなっていき、キースは何時でも攻撃できるように双剣の柄を掴む。
「巨漢の癖に一瞬にして死んじゃうなんて人間って不便ねぇ……」
薄暗い一本道から姿を現したのはミルドだった。
恐らく、さっきの爆発はミルドの力で起きたのだろう。
普通の少女の姿を見たキースは双剣の柄を掴んでいた手が緩んだ。
(何だコイツは?子供?)
「あら?まだ生き残りがいたの……って、あれぇ?」
キースを見たミルドは首を傾げて近付いてくる。
「何だ?」
「ふふふ、み〜つけた……」
尋ねるキースの言葉を無視するかの様にミルドは不敵な笑みを浮かべる。
咄嗟にキースは間合いを取って双剣を抜きとろうとした。
「貴方でしょ?お姉ちゃんを変えた人……」
「俺がファーナを?」
「惚けないでちょうだい、人間に復讐しようとお姉ちゃんの力が必要なのにお姉ちゃんは人間を恨んでない。そう、全て貴方のせい……」
冷酷な瞳でミルドはキースを見る。
キースはミルドの瞳を見て一つ感じ取っていた。
それは“殺気”だ。
(コイツの殺気は……ガラハドとの戦いで感じた……!?)
「ふふふ、奥で待ってるわ。一本道しかないから……」
ミルドは冷酷な笑みを浮かべてそう言うと消え去った。
ミルドの話を聞いたキースはその先をただ走っていた。
そして階段を駆け上がり、遂に奥へと辿り着いた。
玉座とその道の周りにある幾つものの棺桶。
そして玉座に座っているミルドとその隣には電気のサークルに囲まれたファーナがいた。
「ファーナ!」
「キース!駄目……!逃げて!!」
ファーナの叫びが木霊する。
ミルドは立ち上がってファーナの前に手を出すとファーナの体に電撃が走った。
「………!?」
「お姉ちゃん、あまり変な事言っちゃうと電撃を強くするよ?」
冷酷な笑みで放つ言葉にファーナは痛みに耐えながら口を閉じる。
ミルドは大人しくなったファーナを見て手を引く。
途端にファーナに走った電撃が止む。
そしてミルドはキースの前に立った。
「お姉ちゃんの前で貴方を殺せば、お姉ちゃんは心が壊れる……壊れたら私が人間に復讐するように調教すればいいのだから……」
「人間に復讐か……俺も前はそう思い込んでいた……」
キースは自分を嘲笑うかの様に哀れむ顔をしながらそう言った。
「俺は人間が憎かった。機械人も同じだと言うのに人間は奴隷として扱った。いっそお前の様に人間を全員抹殺する気だった。だが……」
自分も人間が憎かった事を話すキース。
「ファーナに出会ってから人を恨まなくなった。ファーナの話を聞いてな、両親に捨てられて半機械人にされてながらも両親を愛し続けていた。」
「………」
キースの話を聞いていながらも何も喋らないミルド。
「だから心を壊せない。俺を殺したとしてもファーナの心は壊れない。」
ミルドに強い眼差しを向けるキース。
しかし、その話を聞いたミルドはクスッと声を出し笑い出した。
「あははは!面白い事を言うのね。お姉ちゃんの心が壊れないだって!」
腹を押さえて笑うミルド。
しかし、数秒後には冷酷な瞳でキースを睨んだ。
「なら、貴方を私のお友達でズタズタに引き裂いてくれるわ!!」
冷酷な瞳が輝くと全ての棺桶が開き、異形の者が出てくる。
数は100体、圧倒的に不利な状況だった。
「さぁ!お姉ちゃんの心を壊して人間に下剋上する為にその男をバラバラにして!」
「ヴモオォォォォ!!!」
キースに指を指して命令するミルド。
途端に咆哮を上げて雪崩のように襲いかかる。
(数が多すぎる!この数で大技は……!)
「たくっ、そんな不利的な数でも嬢ちゃんを助ける為にやるとはな……」
聞き覚えのある声と同時にキースと異形の者達の間に緑色の何かが転がる。
手榴弾だ。
手榴弾は転がり止まると同時に白い光を放って爆発した。
「ヴモオォォォォ!!!!」
異形の者達の絶叫が響く。
「アンバート!後はお前の攻撃が頼りだ!!」
手榴弾を投げた本人はガラハドだった。
胸にクロスの字に血を流しながら、大剣を松葉杖代わりに使いながらキースに叫んだ。
「瞬影刃・戒!!!」
叫びと同時にキースは一瞬消え、砂煙に包まれている生き残っている異形の者達に攻撃をする。
砂煙は消え、キースは異形の者達の後ろで双剣を持って目を瞑っている。
異形の者達はその場に倒れ、体をピクピク震わせて動かなくなった。
「お前の友達だろうから、止めは刺さなかった。さて次はお前の番だ。」
右手の剣をミルドに向ける。
ミルドは下げていた顔を上げると同時に黒いオーラが漂う。
「私のお友達をよくも……私の力を見せてあげるわ!!!」
目が輝きだすと同時に漂っていたオーラが強くなる。
右手を前に出して炎の球を具現させ放つ。
キースは炎の球を避けてミルドに剣を突き刺そうとするが黒いオーラに弾かれて吹き飛ばされる。
「くっ!」
空中で体勢を直して地面に着地する。
そして身構える。
(ミルドの力は何だ?あの力は……?)
「余所見してる暇があるの!!」
考えているキースにミルドが両手から炎の球を放つ。
キースは再び避けてまたミルドに剣を振るうが弾かれる。
(何てガキだ!アンバートの剣が弾かれるとは!?)
二人の戦いを見ているガラハドは心の中で驚いていた。
キースはミルドに何回も攻撃をするが黒いオーラによって弾かれる。
(くっ、長引けば圧倒的に不利になる。だが何故攻撃が通用しない。)
苦虫を噛んだかの様な顔をしてミルドを睨む。
ミルドは余裕の表情で片手に炎の球を具現させようとしていた。
(ん?目が……)
ミルドの瞳を見て何かに気付く。
瞳は輝いている。
それを見てキースはミルドの力の原因に気付いた。
(一か八かだ……)
「もう終わりよ!私の最高の力で葬ってあげる!」
懐から何かを取り出そうとするキースを無視して片手に黒い球を具現させる。
「さよなら……ダークスフィ……」
技名を言いきる前にキースは何かを投げ出した。
それは緑色で地面に転がる。
ミルドはそれを見て驚いた。
手榴弾だった。
「くっ!」
ミルドは黒い球を消して地面を蹴って跳び上がる。
手榴弾は光を放つが爆発はせず、起こったのはこのフロア全体を覆い尽くす光だった。
「えっ、閃光弾……!?きゃっ!!」
まともに光を見てしまったミルドは体勢を崩して腰に体を打ちつけて落下した。
光をまともに見たせいか目を開けなくなっている。
「お前は瞳の力で相手に幻術を見せ、自分を強くしてた。だからあの黒いオーラは盾の様になってあの球の威力は人を消すほどの能力だった。」
「そ、そんな!?じゃあ今の私は……」
ミルドの言葉にキースは頷く。
「その通りだ、今のお前は子供そのもの……だから……」
キースはその場に消え一瞬でミルドの隣に現れ……
「お前の負けだ。」
そう言って剣の柄をミルドの横っ腹に叩きつけた。
「ふっぐ!?」
息の塊を吐いて叩かれた横っ腹を押えて膝をつく。
キースは双剣を鞘に納めてファーナに駆け寄る。
ミルドの力が無くなったのか、囲んでいた電気のサークルが消えていた。
「キース!!」
立ち上がると同時にキースに抱きつくファーナ。
キースはファーナの頭を撫でた。
そして撫でていた手を離すとミルドに顔を向けた。
「ミルド、お前の負けだ。」
瞳の力を発揮できない子供同様の状態になっているミルドにキースはミルドの敗北を制す。
「止めを刺しなさい……」
「何?」
「止めを刺しなさいって言ってるの!!」
ミルドはそう叫んで立ち上がった既に閃光弾の効果が消えたのか目を開けていた。
「ミルドちゃん、何を言ってるの!?」
ミルドの言葉にファーナは叫んだ。
「私は貴方に負けた。この力では人間に復讐出来ない!それなら死んだ方がましよ!!」
「その通りだ。」
ミルドの叫びを掻き消すように大声がフロアに響いた。
「誰だ!?」
ガラハドは大剣を持って構える。
階段から足音が鳴る。
そして上がってきた人物にミルド以外の三人の目が点になった。
その人物は……
聖騎士団騎士隊長アルクゥだった。
- episode15「冷酷剣士ゼファー」 ( No.16 )
- 日時: 2009/12/28 21:22
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
アルクゥの登場に誰もかもが驚く。
邪教団のアジトに辿り着いてから一度も会ってない。
まして、地下に落ちたのは四人……
アルクゥがやってくる事は誰もが予想していなかった。
「キース。何故止めを刺さない?何時ものお前なら容赦なくやった筈だ。」
「まさか、アンタは……!?」
アルクゥの言葉にキースは一歩後ろに下がる。
「ゼファー・アラウンド……!?」
恐る恐るアルクゥに向けて言葉を放つ。
途端、アルクゥはキースに答えるかの様に片手で顔を掴むとビリビリと音を立てて剥がれる。
剥がれた後にはソリッドアッシュの髪に青色の瞳が露わになる。
「ゼファー、何でアンタがここに……?」
本名を言うキース。
「馬鹿馬鹿しい事を言う、裏切り者の始末をしに来たと言ったら……」
途端、キースの目の前にいたゼファーが消える。
キースは呆然としていると後ろから誰かの両手が出てきた。
「どうする?」
「つっ……!」
咄嗟に感じた殺気で我に返ったキースはゼファーから離れた。
そして、双剣の柄を握る。
「ほぅ、帝国から抜け出しても速さは衰えてないようだな、しかし、裏切り者の始末はリストに入っていない。」
「何だと……?」
「俺がアグニムの命令でここに来たのは……」
ゼファーはゆっくり剣を抜きながら、キースを通過する。
そして止まった先にいたのはミルドだった。
「この小娘が持っている。“魔女の瞳”だ。」
抜いた剣をミルドの喉に向けるゼファー。
突然、自分が狙われている事に気付いたミルドは自分に指を指す。
「え、わ、私……?」
「その通りだ小娘、苦しんで死にたくなければ頭を出すんだな。」
そう言ってゼファーは近付いて行く。
「こ、来ないで!!」
バックステップで後ろに引いて間合いを取ると黒いオーラを漂わせる。
“魔女の瞳”の力だ。
「い、幾ら貴方でもこの瞳の力に逆らう事は出来ない!」
「よせミルド!ゼファーにそんな策は通用しない!!」
対抗しようと魔女の瞳の力を発動させるミルドを止めようと叫ぶキース。
黒いオーラを一目見たゼファーは剣を横にすると剣が青く光り出す。
「小娘、もう一度言う。頭を出せ……」
「お断りよ!消えて!!」
ミルドはそう叫びながら片手に黒い球を具現させる。
「ダークスフィ……」
「答えはそれか……」
攻撃するミルドに対し、ゼファーはそう呟いてその場を消えた。
狙いを定めたミルドは黒い球を消してゼファーを探す。
「何処を見ている小娘?」
「えっ……」
振り向いた時にはグシャっと物凄い気味の悪い音がフロアに響いた。
その音はゼファーがミルドの眼球を抉り取った音だった。
「ああぁぁぁぁぁ!!!!」
眼の辺りに走る激痛にミルドは悶え苦しむ。
抉り取られた場所からは血を流している。
ゼファーの行動を見たキースは呆然とし、一方のファーナはあまりに残酷な物を見たのか口元を押さえている。
ガラハドも呆然と二人を見ていた。
(何て奴だ!眼球を抉り取るとは!?)
「フン、所詮《デアボラスタ》の実験品では分析できんな。」
抉り取った眼球を見つめて冷酷な言葉を放つゼファー。
そして未だに苦しんで悲鳴を上げているミルドに顔を向けると長い髪を掴んで顔を上げた。
「痛いなら、殺してやる。楽にな!」
剣を持っている腕を振り上げて首を切ろうとする。
その時、ミルドの味方をしている異形の者達がゼファーに襲いかかろうと走る。
「フン、屑共が……」
そう呟いて足元に赤い魔法陣を具現させてブツブツと独唱を始めた。
そして剣を掲げる。
「エクスプロージョン!!!」
そう叫んだ途端、異形の者達の中心に火柱が落下し大爆発を起こした。
爆発に飲み込まれた異形の者達は灰へとなり、散り散りになった。
あまりの強さに三人は呆然とする。
(何だ!今のは!?)
「さて……」
片付け終えたゼファーはまた一度剣を振り上げる。
「仲間に今すぐ会わせてやる……死ねぇ!」
「い、イヤアァァァァ!!!!」
振り下ろされる剣はミルドの首を切ろうとしたその時、寸でにナイフが三本ほど飛び出し、ゼファーの剣の軌道を変えた。
ゼファーの持っている剣は床を叩きつける。
咄嗟にミルドはその場に消えて、ゼファーは剣を静かに構えると息を吸って……
「どういうつもりだ、キース?」
ミルドを担いでいるキースにゼファーは睨みながらそう言った。
キースはミルドを床に降ろして横に寝かせ、ファーナに顔を向ける。
「ファーナ、眼の回復を頼む。」
「う、うん。」
頷いたファーナは横に倒れているミルドに近づくと顔の前に両手を述べ、淡い光を放出させた。
二人を庇うかの様に前に出て双剣を構えるキース。
キースの行動を見てゼファーはフッと笑う。
「いいだろう、あの小娘の前にテメェを殺す!」
銀刃の剣を片手に持って構えるゼファー。
(ゼファーに勝てないがファーナとミルドが逃げる時間を稼ぐしかない!)
自分は犠牲になっても構わないと言う考えを持ったキースは双剣の柄を強く握るとゼファーに向かって行った。
「うおぉぉぉ!!!」
左手の剣からの攻撃がゼファーに迫る。
しかし、ゼファーは軽々と片手に持っている剣でガードする。
だが、キースの攻撃は終わってなかった。
左からの攻撃と同時に右手の剣の攻撃が迫る。
それをもゼファーは軽々とガードした。
「分からないな、お前がそこまでする事がなぁ!」
そう叫んで鋭い剣の横への一閃がキースに迫る。
キースは地面を蹴って高くジャンプし、上から攻撃しようと剣を振り下ろす。
ゼファーは左手の甲で双剣の攻撃を受け流す。
「どうした?俺が教えた技じゃ、俺には勝てねぇぞ!!」
「くっ……」
舌打ちして間合いを取ろうと離れるキース。
しかし、その引きが命取りになってしまっていた。
下がると同時にゼファーが一瞬でキースの前に現れる。
「はあぁぁぁぁ!」
見えぬ程の斬撃がキースの迫る。
キースはその斬撃を弾く。
火花が散る中でファーナはミルドの眼を回復させながらキースを見守っていた。
ガキィン!!!!
大きい金属音と同時に二人は間合いを取っていた。
キースは満身創痍になっていながらもゼファーは息が全く乱れていない。
圧倒的にキースが不利だった。
額に汗を流すキースは肩で息をしながら構えている。
「終わりにしてもらうぜキース。だが、お前をアグニムに渡しはしねぇ……俺が完全に壊してやる。」
ゼファーがそう呟いて力を溜めるとゼファーの周りにオーラが漂った。
(来る……!?)
大技が来ると予想したキースは自分も大技で対抗しようと力を溜めた。
「瞬影刃!」
「斬光剣!」
互いの大技がぶつかり合う。
金属音が鳴ると同時に二人は背中を見せていた。
沈黙が経ってから数秒、ゼファーが動き静かに剣を鞘に納めた。
ブシュウ!!
「がっ……!?」
と同時にキースの体から大量の血が噴出し、キースは地面に倒れた……
- episode16「複製機械人(コピーヒューマノイド)」 ( No.17 )
- 日時: 2009/12/28 21:23
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
「キース!!」
血を流して倒れるキースを見て名を叫ぶファーナ。
血を流していながらも立ち上がろうと腕を使う。
「はっ、俺の複製(コピー)でありながらもこの程度とはな!」
鼻を鳴らして気に食わなさそうな顔をしながら放ったゼファーの言葉に立ち上がろうとするキースの耳を疑った。
「複製……」
「教えてやるよ。三博士が俺が死んだ時に次の機械人を作ろうと俺より高性能の奴を作った。そしてその機械人を奴等は『複製機械人(コピー・ヒューマノイド)』と呼んだ。」
立ち上がろうとするキースの顔面の前に剣の刃を向けながらゼファーは説明し始める。
「その一人がお前だ。」
「………!?」
複製機械人の一人だと言われて目が点になるキース。
ゼファーが死んだ時の代わりとして生まれたのが自分だと驚いていたのだ。
「最初は俺が死んだ時はお前に《剣帝》の座を譲ろうと思ったが裏切った事で気が変わった。複製として生まれたお前を殺す!!」
キースに体を向けたキースは両手に持った剣を振り上げる。
「ダメッ……!キース!!」
立ち上がろうとしているキースを剣で突き刺そうとするゼファーを止めようと叫ぶファーナ。
ミルドの眼は未だに戻っておらず回復に専念している。
「ちいっ!!」
舌打ちして胸にクロスの字に切り刻まれながらも気にせずに立ち上がったガラハドは大剣を持ってゼファーに斬りかかった。
しかし、ゼファーは一旦止めを刺すのを止めてガラハドの大剣を剣で受け止めた。
(やっぱり無理だったか……!)
「邪魔をするなぁ!」
そう叫んでゼファーはガラハドを怯ませると同時に剣を斜めに振り下ろす。
ガラハドは斬撃を大剣で受け止めるが余程の威力だったのか吹き飛ばされ、壁に腰を打つ。
「ゴホッ……!」
腰に響く痛みに耐えられず膝をつく。
「雑魚が邪魔しやがって……」
そう呟くとゼファーはキースの前に立ってまた剣を振り上げる。
「はあっ!」
一気に地面を蹴ってキースは飛び掛かる。
しかし、無駄な抵抗と言うものの当然の如くゼファーに剣で受け止められてしまう。
「雑魚がいい加減にしやがれ!!」
素早く横への一閃が迫る。
キースは素早く離れて双剣で受け止めるが受け止めた瞬間、物凄い金属音と共に双剣の刃が砕かれ床に落ちる。
「あ……」
(しまった!?)
双剣が破壊された事に口を開いて驚くファーナ。
そしてキースは絶対絶命へと追い込まれた。
「フン、武器が無くなった様だな……お前を葬ったら次はあの二人の小娘をお前の元に追わせてやる。せめてものの慈悲だ。」
「ヤダッ!キース!!」
叫ぶファーナ。
止めを刺そうと大技の構えを取るゼファー。
その構えは先程の“斬光剣”と違っていた。
その構えを見た事があるのかキースは目を大きく見開いた。
(あの技は避けれない!だが、俺は殺される訳にはいかない!俺にはまだやることがある!)
そう思いながら折れた双剣を構えていると足元に何かが落ちる。
気になって見るとガラハドが持っていた大剣が落ちていた。
「アンバート、俺の大剣を使え!!」
壁にもたれながら叫ぶガラハド。
本人が精一杯の力を出してキースに自分の武器を投げたのだろう。
キースは頷いて双剣を投げると大剣を両手に持って構えた。
大剣を持って構えたキースを見たゼファーはハッっと声を出した。
「お前は剣術なんて覚えていない、俺が教えたのは暗殺術……無駄な足掻きは止めるんだな!!」
そう言われてキースはハッっとする。
キースはアグニムの元で生まれてから、ゼファーに暗殺術しか教えてもらってなかった。
剣術を持っていない今のキースは素人丸出しだった。
もはや、敗北しかないキースはそれでも大剣を持って構える。
その時……
(剣術を使え……キース……)
「………!」
頭の中に男の声が響く、その声はキースにとって懐かしい声であった。
(俺の剣術を使え……)
(誰なんだアンタは……駄目だ俺は剣術を知らない……)
声に答えるかの様に心の中で言うキース。
(大丈夫だ、俺の弟なら出来る……)
(!?)
謎の男の声の言葉にキースは驚く。
そして頭に何かが浮かび上がる。
「止めだ!複製機械人!!」
そう叫ぶと同時に体をゼファー自身に漂っていたオーラが一気に開放される。
光と一体化しキースに襲いかかる。
無防備状態になっていたキースは突然我に返る。
「竜剣!!」
「!!!!」
地面を蹴ると同時に光と一体化するキース。
互いに一体化した光はぶつかって轟音、目が眩むほど光がフロアを包みこんだ。
「うっ……」
光が消えたと思い目を開けるファーナ。
そこには互いが先程いた場所に二人が立っていた。
しかし、数秒後キースの体から血が噴出し、仰向けに倒れた。
「キース!?」
また倒れたキースに叫ぶファーナ。
しかし、ゼファーも先程の無表情が無くなっていた。
目を見開いて倒れたキースに振り返る。
「馬鹿な……複製が剣術だと……しかもその剣術は俺が殺った……!?」
驚きながらも言うゼファー。
その時、ゼファーの利き腕の左腕から血が噴出した。
「何っ……!この俺が手傷を!?」
ゼファーは左腕を押さえる。
しかし、血は止まってなかった。
「だが、複製はもう動けねぇ……止めを刺したら……」
左手に剣を持ってキースに近付く。
その時、ファーナがキースを庇うようにゼファーの前に立ちはだかる。
「お前じゃ、俺の邪魔をする事は出来ない……退け。」
「やだっ!絶対キースを殺させない!!」
「退け!!」
否定するファーナを斬ろうとゼファーは剣を振り上げた。
その剣が振り下ろされた途端ファーナは目を固く閉じた。
しかし、振り下ろされたてから数秒が経ってファーナは何が起こったのか分からず目を開ける。
目の前にはゼファーではなかった。
桜色のお下げ髪に黒のチュニックワンピースを着た同い年の少女。
その少女はファーナが知っている人物だった。
(リア……ちゃん……?)
「《剣帝》ゼファー・アラウンド……」
しかし、あの時のリアとは違う事に驚くファーナ。
以前の陽気と優しさとは違って逆と言えていた。
「お前は『神官護衛隊』の?何しに来やがった?」
「勿論、ファーナちゃんを殺させない為よ……《剣帝》、一度退いてもらえない?」
リアの言葉を聞いたゼファーはフッっと笑う。
「俺が逃げろだと?」
「利き腕に傷を負っていながらも、戦うつもり?」
「………」
リアに傷を負った利き腕を言われてゼファーは何も言わなくなる。
数秒の沈黙が経つとゼファーは背中を向ける。
「いいだろう、だが覚えておけ……次に会った時は宗教都市ごと壊滅させてやるとな……」
そう言ってゼファーは姿を消した。
ゼファーが姿を消した途端にリアが安堵したのか息を吐いた。
(もし、あの人が《剣帝》に手傷を負わせてなかったら殺られてたわね。)
そう考えながら、ファーナの方に体を向くとファーナは顔を下げていた。
「ファーナちゃん……?」
顔を見ると目から何かが流れ床に落ちる。
それは涙だった。
「リ、リア……ちゃん……」
その涙を出している意味をしったリアは優しく笑った。
「嬉し涙ね……うんと泣いてもいいのよ。」
「うぅ、うああぁぁぁぁん!!!!」
ファーナは限りなく泣いた。
その涙は今までの事とは違う事に気付きながらも限りなく……
- episode17「約束」 ( No.18 )
- 日時: 2009/12/28 21:24
- 名前: はせピン (ID: 4Ru1i4kp)
ゼファーが退却してからその後、ファーナは回復術でキースとガラハドの傷を治し、宗教都市レオールの宿屋で重傷のキースが目覚めるのを待っていた。
「うっ……」
目を覚ましたキース。
視界に入ったのは木造りの天井、体を起こすと痛みが走る。
「死んでなかったのか……ファーナの力のおかげか……」
ファーナの回復術でゼファーとの戦いで負った傷が治っている事が分かる。
立ち上がって掛けてある黒シャツを着ると室内を出た。
「………!?」
室内を出た先には入ろうとしていたミルドがいた。
ゼファーに抉られた両目はファーナの回復術によって目は戻っている。
ミルドはキースを見て驚き、室内に入るのを止めて何処かへと行ってしまった。
「ミルド……」
去って行ったミルドを見てキースは名を呟いた。
そして、階段を降りようとするとファーナが目の前にいた。
「キース……」
キースを見たファーナは呆然とする。
「ファーナ、心配掛けてすまなかった。」
手を頭にやって謝るキース。
その時、ファーナが突然抱きついてきた。
「キース……」
「何だ?」
「約束して。」
「………?」
何を約束するのか分からないキース。
抱きついていたファーナは離れると口を開かせた。
「もう、私の前で無茶はしないで……キースが死んじゃうのは嫌だから……」
「分かった、俺はもう……死に急ぐ事は……」
ファーナの約束を誓うキース。
もう、ファーナや大切な人の前で死ぬのは止そうと心の中で決意するキース。
しかし、キースは心の中で疑問に思っている事が残っていた。
それは自分がゼファーの代わりの人間として誕生した事とゼファーとの戦いで頭の中に響いた謎の男の声の事だった。
《複製機械人(コピー・ヒューマノイド》として生まれたキース。
それはゼファーが死んだ時の代役として誕生した存在。
自分はこの世界に等しく存在出来るのかと疑問に思っていた。
「そう言えば、ガラハドは?」
目覚めて室内を出てからガラハドに会っていないキース。
問いを聞いたファーナは懐から一枚の手紙を取り出した。
「治して宿屋に着いたら出て行っちゃったけど、キースに渡してって……」
「………」
ファーナの持っている手紙を受け取るとキースは読み上げた。
『キース・アンバート、俺はしばらく北西に行く。何時かお前を倒す為にな。もし行き先に迷いがあったらお前の元々いたアルカトラル帝国に戻れ、俺が帝国に行った時に教えてくれたギルドの長なら何か分かるはずだ。あの嬢ちゃんに有難うって言っとけよ。重傷のお前を必死で看病し続けたんだからよ。それじゃあな! ガラハド』
ガラハドの手紙の内容を見てフッと笑うキース。
(アルカトラル帝国のギルドか……一度行ってギルドの長に会うしかないな。)
ガラハドの言葉通り一度帝国に戻ろうと考えるキース。
「ファーナ、ミルドを連れてアルカトラル帝国に戻るぞ。」
「えっ、どうして?」
突然の事に首を傾げるファーナ。
「ガラハドの手紙で帝国に所属してあるギルドに行って情報を聞こうと思ってな。」
「ガラハドさんがそう言うなら、行くしかないね。分かった。ミルドちゃん呼んでくるから!」
そう言ってパタパタと階段を下りて言ってミルドを探しに行くキース。
二人が来るのを待つ、数十分後にファーナはミルドを連れて戻ってきた。
「それじゃあ、港に行ってアルカトラル帝国に行くぞ。」
「アルカトラル帝国に戻って大丈夫なの?」
ミルドが心配そうに言った。
「あぁ、アグニムは恐らくゼファーが手傷を負った事に奴は俺達に手を出してこないだろう。」
「それならいいわ。魔女の瞳を取られてから力が激減しちゃったから……」
「それじゃあ、早く港に行こう!」
三人は宿屋を出て港へと向かった。
一方、アグニムは……
第三都市ムガル アグニムの館
「ゼファーが手傷を負って帰ってくるとはな……予想外だな。」
既にゼファーは帝国に帰国していた。
キースの剣術を喰らったゼファーを見てアグニムは危ないと感じ、キースを倒す作戦を考えていた。
「エクステルミは行方不明だからな……仕方ない……」
そう呟いて室内を出る。
そして薄暗い地下を下りて行き、鋼鉄の扉を開けるとそこには180㎝の人間が三人分位の兵器があった。
人間より短い腕にはガトリングの様な銃器、背中には浮かぶ為やスピードを上げる為のホバー。
まるでロボットの様だった。
「自律機動型(オートマシン)、ワシの意思で動く機械……」
独り言を言いながら、自律機動型(オートマシン)に近付く。
そして……
「ガデュロイド、キース・アンバートを始末しろ。勿論、そいつの仲間もだ。」
そう言うと自律機動型の目と言える場所が光り、歩き始める。
そして背中のホバーに火が付き外に出て空へと飛んで行った。
「キース・アンバート……今度こそ貴様の人生を終わらせてやる。」
そう言って笑いながら館の中へと入って行った。